「笹の葉、サ~ラサラ~♪」
みんなで書いた短冊を吊す笹。
色々作った飾りと短冊がキレイに揺れてます。
金太くんと知恵ちゃんが色々書いた短冊は、チョット欲張りなくらい、色々書いています。
「牧場に揺れる~♪」
「ぶっ」
「なんやとっ?!」
金太くんの歌を聴いて、豹馬さんは飲んでいたコーヒーを吹き出し、十三さんは目を剥きました。
「どうしたの?」
「 『どうしたの?』 じゃねぇよ。 今の歌詞 … 違うだろっ」
「そやそや。 “牧場に揺れる” て何やねん?! “牧場” やのうて “軒端” や」
歌詞の間違いを指摘されました。
余り興味がなかったので、僕も歌詞を正しく憶えてませんでしたけど、なるほど “軒端” なら納得です。
流石に “牧場” で笹飾りは想像が苦しいですよね。 それを僕が話すとちずるさんも同じように頷きました。
どうやら、ちずるさんも正しく歌詞を憶えてなかったようです。
「そんなモンたい。 ウチの弟と妹もそげなコトがあったとよ。 恥ずかしながら、オイも一時は間違えて憶えとったと」
空耳アワーな状態って、以外と有るんですよね。
「そうなんだ~。 昔の人は、牛や馬とも七夕やってたんだと思ってた」
「をい …マサカとは思うけど、他の部分の歌詞も間違ってねぇだろうなぁ?」
疑いの眼差しを向ける豹馬さん。
試しに、金太くんに一通り唄って貰う事になりました。
笹の葉サラサラ
牧場 … ノキバに揺れる
お星様キラキラ
金銀素直
今年の短冊
私が書いた
お星様キラキラ
空から見てる
「やっぱり … 間違ってやがる」
「ホンマやな」
恥ずかしながら、僕には何処が間違ってるか分かりません。
「どの辺が間違ってるの?」
どうやら、ちずるさんも分からないようです。
「1番の最後は “金銀砂子” だぞ」
「2番の最初は “五色の短冊” や」
豹馬さんと十三さんのダブルパンチで訂正が入っていきます。
「ばってん、イベント物に詳しか十三しゃんはいざ知らず、豹馬しゃんも詳しかね?」
大作さんの疑問は最もです。 僕も感じました。 どうしてでしょう?
「昔、園長先生が教えてくれたのさ。 『正しく憶えましょうね』 ってさ」
なるほど。 太陽学園の園長先生のおかげでしたか。
孤児達を正しく導こうと、色々頑張っておられるんですね。
「あのさぁ、“ノキバ” とか “スナゴ” って何? あ、あと “ゴシキ” 」
話題から置いて行かれた、金太くんと知恵ちゃんが割り込んできました。
スミマセン。 忘れてました。
「 “軒端” は “軒” の端っこのコトだ」
「「 “ノキ” って?」」
今度はダブルで根本的な質問になりました。
「家の屋根の張り出した部分のコトや」
「雨宿りするようなトコじゃね」
「こーゆートコに笹が飾ってあって、ソレが風に揺れてサラサラ言うとんのや」
十三さんがメモ帳に簡単な図を書いて見せてくれました。 金太くんや知恵ちゃんは、コレを見て納得したようです。
「じゃ、今度は “スナゴ” 」
「 “砂子” は一般的には “石のごく細かい物” つまり “砂” のコトよね?」
一般的な意味はそうですけど、歌詞からすると “星” とか “天の川” を想像しますが … 。
「この場合の “砂子” は、 “金銀の箔を細かい粉にした物” や。 蒔絵とか色紙、襖紙とかの装飾に使うんや。 見た事無いか?」
ああ。 高級な色紙とかの裏に綺麗な和風の装飾があったりしますね。 確かに金粉みたいなのが散りばめられてたりしました。
「因みに、色紙はな、模様のある方が “表” や。 白無地の色紙の場合には、裏に銀の砂子がまいてあるのや。 憶えときや♪」
ソレは知りませんでした。
よく、サインなんかを貰う時、白い方で貰いますよね。 だから、白い方が表だと思ってました。
“砂子” に関しては、微妙に分かったような分からないような感じの一木兄妹です。 後で、ネットで写真を検索して見せてあげましょう。
「じゃ、最後に “ゴシキ” 」
「 “五色” は “五種類の色” 。 普通は赤・青・黄・白・黒の事を言うのさ」
「他にも “多種多様” とか、 “色んな種類” とかの意味もあんのやで」
要するに “色んな色の短冊” って意味ですね。
となると、この歌の意味は …
軒端に飾ってある笹の葉がサラサラと風に揺れている
星が金や銀の砂子のようにキラキラ輝いている
私の願い事を色んな色の短冊に書いた
キラキラ輝く星がソレを空から見ている
こんな感じでしょうか?
昔の童謡は、言葉が現在では余り使わない物が使われている事が多いので、間違えて歌詞を憶えていたり、意味が分からなかったりしますけど、改めて考えると面白いですね。
今度、別の歌も調べてみましょうか。
* 忍のつぶやき *
私は、最初 “金銀砂子” は “天の川” を現しているのだと思ってました。
歌の解釈に関しては、私の勝手な想像です。 正しいかどうかは分かりませんので、信じ込まないように(^▽^;