「「花火やろ〜っ♪」」
「ぐぇっ」
リビングのソファでくつろいでいると、金太と知恵が、いきなり後ろから飛びついてきた。
「ねぇ、花火〜っ」
「やろやろ〜っ」
二人は、両手に家庭用花火をたくさん持っていた。
「なんや、それ? どないしたんや?」
「買い込んで、そのままだったのかよ?」
『やろうと思って買い込んだが、やらずじまいだった』 なんてパターン、あるよな。
十三を始め、他のメンバーもその花火をまじまじと見てる。
一応、もう夏は終わり。 カレンダーは晩夏を抜けて秋に突入しようってトコだ。 今になって “花火” なんて言われたら 「今頃?」 って、思うよなぁ。
最も、今になっても、残暑が結構ありやがるから、あまり “秋” って感じがしねぇけどよ。
でも、コレ、バレたらヤバいぞ。
コネクション内では、火薬の取り扱いや管理は、厳重にされてんだ。 例え家庭用花火といえど、火薬を使用している物だからなぁ。
「まぁね〜。 父ちゃん、母ちゃんと一緒に結構やったんだけど、それでも使い切らなくてさぁ(^▽^;」
「そーそー。 でも、やった次の日には、買い足してたからぁ(笑)」
「それで結局、使い切らなかったんだ〜(笑)」
笑いながら顔を見合わせる金太と知恵。 そりゃぁなぁ、やっては買って、やっては買ってを繰り返しゃぁ、無くならねぇよなぁ(笑)
「でね、来年まで取っておこうとも思ったんだけど、湿気ちゃうからって、父ちゃんが言うから」
「使い切ろうと思ってねv アタイ達だけだと、大変だから、豹馬さん達も一緒にって思って♪」
俺たちゃ、後始末屋か? まぁ、ヘンな後始末じゃねぇから良いけどよ。 花火は俺も嫌いじゃねぇし。
「いいわねぇ、あたしやりたいわ。 家庭用の花火なんて、何年ぶりかしら? 小さい頃は、お爺ちゃんとやったりもしたのよ」
ちずるが、知恵から一つ花火の包みを早速受け取ってる。
「へ〜、南原博士が? 何か、以外だぜ」
「ホンマや。 そないなイメージが、あらへんからなぁ」
十三も俺と同意見のようらしい。
「たまにね。 一夏に1〜2回くらいは、付き合ってくれたのよ」
「オイは、去年まではウチでやっとったとよ。 弟や妹たちと一緒に」
大作は家族を思い出しているらしい。 そーいや、こいつン家には兄妹いたな。
俺もここ数年やってねぇや。 太陽学園にいた頃は、毎年やってたんだけどな。
「…これ、どのようにやるんですか?」
「?!」
家庭用花火と言えば、子供の頃に誰しもやる物。 やり方を知らない人間がいるって思った事がなかった … が、そーだよ、ココには例外がいやがったんだ。
年齢的には一番ガキのクセして、下手な大人なんかより、ず〜っと頭が良い。 その反面、たまに一般的な知識がポロッと無かったりしやがんの。
「 … やっぱり、 『興味がなかった』 かよ、小介ぇ?」
「 … はい(^_^;」
「 “餅つき” や、 “豆まき” の時にも、そないな事言うとったなぁ」
「と言う事は、初・家庭用花火かしら?」
「ですね(^▽^;」
小介の親父さんも “研究の虫” だしなぁ。 お袋さんは、寂しかったろうなぁ … 旦那はともかく、子供までコレじゃぁ。 同情するぜ。
そこで、ふと思いつく。
「小介ぇ … まさかとは思うが 『 “打ち上げ花火” も見た事無い』 とかは、言わねぇよな?」
「いや〜、さすがに “打ち上げ花火” は見た事有りますよ。 と言っても、記憶に新しいのは留学先のアメリカの物で、日本の物は大分昔の記憶なのですけど … 」
ホント、子供らしからぬ生活していたよな、コイツ。
よしっ! また一つ、俺達で標準の子供の遊びを教えてやるぜ! ちったぁ、日本の “世間” って物を知れっ!
暗くなるのを待って、花火大会。
ただ持って眺めるだけじゃなく、棒付きのは地面にさして並べてみたり、2〜3本まとめたのを両手に持って走り回ってみたり。
金太や知恵と調子に乗ってやっていたら、ちずるに説教されちまったぜ( ̄▽ ̄;
小介が普通の子供の顔して楽しそうだったから、ま、いっか。
「来年は、打ち上げも一緒に見に行こうぜ。 日本のは色取り取りで、形も凝ってるぜ」
「はい、ぜひっ♪」
来年の夏の予定が、一つ決定だぜ。
* 忍のつぶやき *
だから、季節終わってるって、自分(笑)
しかし、なかなか暑いのが抜けなかった物ですから(^▽^;
私も家庭用の花火、やらなくなって久しいです。 小学生くらいまでかな、やっていたのは?
最初は華やかなのですが、最後はいつも線香花火になって、しんみりとなっちゃって。 あ〜、懐かしいなぁ。
皆さん、家庭用花火をやる時には、火に気を付け、バケツに水を用意しましょう。
で、終わったら、ゴミはキチンと片付けてねv