日常戦闘記録 1月

　ポリポリ … 。

　リビングルームへ来るたびに聞こえてくる、この音。
　発生の元は、ココや、ココ！　テーブルの上にドンと置かれた容器。　その中にあるアレ。
　元々はコネクション内のあちこちに飾ってあった “鏡餅や” 。
　この間、 “鏡開き” だったやろ？　あの時に木槌で叩き割った鏡餅のなれの果て … それがアレや。

　ポリポリポリ … 。

　ま、要するに、 “かっぱ●びせん” やないけど『止められない、止まらない』っちゅう状態やな。
　量が減っても、木兵衛さんが次から次へと作ってくれるモンやから、すぐに補充されるんや。
　イヤ、美味いんやけどな … コレはウッカリすると、大変な事になるんや。

　「つい、手が伸びちまうんだよなぁ(＾▽＾；」
　「食べちゃいますよね」
　「オイの実家では、いつも汁粉にしとったばい」
　「コネクションでもお汁粉だったわねぇ。　こんな食べ方もあったのね(^o^)」
　地域によって、鏡開きした後の鏡餅の食べ方は様々や。　今回は、一木家の食べ方になったっちゅう事やな。　みんなに好評や。
　「うん。　ウチでは、いつもコレだよ。　ね、兄ちゃん」
　「そーそー。　父ちゃんが好きなんだよ」
　皆がポリポリやっとるのは、鏡餅を細かく砕いて上げたモノ。　つまり “揚げ餅” やな。　ほとんどアラレ煎餅状態や。　揚げた後に塩をまぶした “塩味” と、醤油をかけた “醤油味” がある。
　どっちもエエ味や～。　手先が、チョット油っぽくなるのが難点やけどな。　けど、ワイは汁粉より、コッチがエエワ。　けど … 。
　「どうした、十三。　あんまり食べてねぇな」
　「ああ … この手のモンはセーブしとかんとな。　後で偉い目に遭うさかい … 」
　「「「「偉い目？」」」」
　解っとらんなぁ … コレ、揚げてあるんやで！　特にちずる！　注意せなアカンのやないか？！
　「揚げ餅やど。　油使（つこ）とんのや。　食べ過ぎたら太るで」

　ピシッッッ！

　そんな音が聞こえた様な気がした。
　思った通り、一番顕著に反応したんはちずる。　次が知恵やな。　大作も反応しとる。
　残り三人は、それほど顕著な反応やない。　けど、手は止まった。
　「あ、あたし、もういいわ … ごちそうさま … 」
　ちずるはそう言って、そそくさとリビングルームを出て行きおった。　それに知恵も続いとる。
　「よく考えれば、そうですよね。　油をタップリ使っているんですから … 老若男女問わず、油分の取りすぎはマズイですよね。　健康の為にも … 」
　全員が手を止めた。
　ワイ等は健康管理も仕事の一つや。　少しならともかく、食べ過ぎはアカンな。
　「ちずるしゃん、大丈夫かのぉ … ？」
　そやな。　それが一番心配や。　なんだかんだ言うても、女の子やさかいな。

　あの後、ちずるの部屋から悲鳴が聞こえたらしい。
　悲鳴を聞きつけた職員が驚いて駆けつけたが、ちずるが『何でもない』と言うので、引き下がったっちゅうこっちゃ。
　たぶんアレやな。　体重計に乗ったんやろ。
　やっぱり、油の取りすぎやったんやな～(^_^；