日常戦闘記録 6月

　最近は、いろんな物がリサイクルされている。
　ゴミも分別して出すのが常識となりつつある。　スーパーとかでもプラスチックのトレイとか牛乳パックとか回収してるよな。
　例にも漏れず、コネクションでもゴミは分別している。
　今まで、何気なくゴミを捨ててたが、コネクションに来て、徹底してゴミを分別しているのを見て、すげぇ驚いたモンだ。
　コレは、一般でも … ひどい所になると何十種類と分別するってぇからな。　世の主婦達は、大変だぜ。
　そんな事もあって、コネクションに来てから物についてる “リサイクルマーク” ってのか？　ソレを確認するようになったんだが、結構おもしろいよな。
　「マジで？」なんて思うような物があるんだよ。

　「へぇ。　コレもプラスチックかよ … 」
　「何や？」
　一見、アルミっぽく見えるもののリサイクルマークを見て、それがプラスチックのマークだったもんだから驚いてると、十三がのぞき込んでくる。
　「ああ、それかいな。　ワイも最初に見た時は、驚いたワ。　アルミっぽく見えるからなぁ」
　「だよなぁ。　俺も最初はアルミだと思ったぜ。　最近は、プラスチックも随分いろんな形に姿を変えてるモンだよな」
　十三と二人、プラスチックに対して感心しちまった。
　「それだけやないで。　紙もそうや。　マーク見ると紙っぽくないのに紙やったっちゅうモンあるさかいな」
　「ややこしぃよなぁ。　それだけ技術が進んだんだろうが、こっちとしてはすぐに判断できなくて困るじゃねぇか」
　「全くや。　けど、そのおかげで、リサイクルしやすいやろ」
　ま、確かにな。
　形状が全然違う物に見えても、同じプラスチックなら一緒に捨てられるし、リサイクルもできる。　
　「知っとるかぁ、豹馬？　最近の拳銃は、ストック（銃床）やグリップ（握り）、フレーム（本体）、一部のライフルではトリガー（引金）やハンマー（撃鉄）なんぞの撃発メカニズムがプラスチックだったりするヤツがあるんやで」
　「！　マジかよ？！　そんなんで大丈夫なのか？」
　「プラスチック言うても、そんじょそこらのとは違うワ。　しっかり強化したヤツやで」
　知らなかった。　プラスチックは、武器の世界にまで進出してやがるのか … 恐るべし、プラスチック。

　そんな時、ふと目に入った消しゴム。
　「ん？」
　消しゴムのケースにもリサイクルマークが付いてやがる。　業者も大変だよな。
　そんな消しゴムケースのリサイクルマークのそばにある文句。　何か気になって、よくよく見れば … 。

　『消しクズは不燃ゴミです』

　「 … 消しクズは不燃ゴミ … 」
　「どないしたんや？」
　ケースの文句を見て固まってる俺を見て、十三がのぞき込んできた。
　「いや、これ … 」
　俺は十三に、消しゴムのケースの文句を示す。
　「 …… 」
　十三も、その文句に一瞬固まる。
　「考えてみれば、そやな。　消しゴムはゴムや。　不燃ゴミやろ。　その消しゴムのカスもゴムやもんな」
　「だな」
　普段、全然考えなかったが、よくよく考えてみれば、その通りだ。
　「俺、今まで消しカスなんか意識してなかったぜ」
　「ワイもや」
　「 “不燃ゴミ” って事は、消しカスは集めておいて、不燃ゴミに分別して捨てねぇといけねぇよな … 」
　「厳密に言うたら、そう言う事やな」
　「めんどくせぇ … 」

　全部 … 紙も、瓶も、プラスチックも、何もかも一緒に捨てても、自動で分別してくれる装置とかできねぇかな？