「ちょっとぉ … 嘘でしょ〜 …」
あたしは、呆然とハガキを見ながら呟いてしまったわ。
今日、舞い込んできた、あたし宛の一枚のハガキ。 それは、長い事お世話になっていた美容院の閉店のお知らせ。
最近忙しくて、ちょっとご無沙汰しちゃったけど、そろそろ行きたいと思っていた矢先の事だから、驚き具合も大きかったわ。
確かに、以前働いていた店員さんが独立した時に、お客さんゴッソリ取られて行っちゃって、以前の勢いがなくなっちゃってたけど、頑張ってたのよね。
あたしも長年お世話になってたから、こっちの好みとか全部分かってもらってて、『黙って座れば、いつもの通りにやってくれる』 ということで、楽だったのよね。
「どうした、ちずる?」
あたしの呟きを聞いていたのか、豹馬が聞いてきた。 その後ろには、十三くんと小介くん。
「実は …」 とハガキの事を話すと。
「ああ、行きつけの店が無くなってしもたんかぁ」
「全然そんな素振り無かったのよ。 ホント、いきなり。 突然!」
「行きつけの店が無くなるってのは、寂しいよな。 俺も経験あるぜ」
「え?! ホントですか、豹馬さん?」
「おう。 最近ずっと不景気続きだし。 競争、激しいし。 同じ業種の店が多い地域は、激戦だぜ」
そう、どんな業種でも色々と競争が激しい。 バブルが弾けてからは、まず生き残る為に、かなりの創意工夫が店側に必要。
勿論、あたしの行きつけのお店も、色々やってたわ。 でも、駄目だったのかしら?
駄目だから閉店になっちゃったんだろうけど … 。
あれから数日後、その店の前を通ったら張り紙があったので、思わず立ち止まって、しっかり見て来ちゃったわ。
内容は、『その店に関する事は、どこどこの法律事務所に聞いて下さい。 周り近所の店に聞いても分かりませんよ』 といったコトだったわ。
こんな風になってるってコトは、自己破産でもしちゃったのかしら?
はぁ … 世の中まだまだ安定しないわね。 落ち着くのは、一体いつなのかしら?
* 忍のつぶやき *
コレもまた、実体験。
10年以上も、親子共々お世話になった所だったから、いきなり無くなってショッキーングッ!
新しく、美容院探ししなきゃ … 。