すみ=「すみ」です。 にえ =「にえ」です。
ジョー・R・ランズデール 
アメリカ、テキサス州1951年生まれ。ホラー、サスペンス、SF、ウエスタン、ミステリーと幅広い 創作活動を展開し、数々の賞を受賞している。最近では、「ボトムズ」でアメリカ探偵作家クラブ(MW A)最優秀長編賞を受賞。アメリカでは「テキサスのスティーヴン・キング」とも言われている。マーシ ャル・アーツ(格闘技武道の一種)を30年以上習いつづけ、合気道にも習熟している。現在は妻カレン とテキサス州在住。
めちゃクールなアメリカの公式ファンサイト http://www.joerlansdale.com/
すみ アメリカで人気があって、いろんなタイプ の小説を書くとは聞いてるけど、日本ではあんまり出版されてないよね。
にえ 最初に出版されたのが、竹書房から出た バットマンの本、それからサスペンスの「凍てついた七月」、そしてミステリーのハップとレナードの シリーズ。
すみ ハップとレナードのシリーズは、アメリカ ではモージョ・ストーリーズって呼び名で親しまれているんだって。
にえ このシリーズでは日本でも大受けで、かな り人気が出たと思うんだけど、なんと日本では、第一作が出てないの〜。
すみ なんでだろうね。出来が悪いのか、日本人 にはわかりづらい内容なのか、その辺はわからないけど、一話完結とはいえ、登場人物が同じで続いてる 部分の話もあるから、やっぱり気になるよね。
にえ ハップとレナードは生活じたいは人間のク ズみたいで、とにかく会話は下品。でも、意外と知的なところがあって、なにより人としての思いやりに 溢れてて、読んでるとみんな二人を好きになっちゃうの。そうなるとやっぱり、二人がどういう人生を歩ん できたか、ちょっとでも知りたいじゃな〜い。
すみ それはともかく、ランズデールはいろんな ジャンルの小説を器用に書きわけるだけあって、文章などの上手さには定評のある人だったんだけど。
にえ とはいえ、小手先だけでそつなく書いてる ってタイプじゃないの。どのジャンルでもとても丁寧で、作者の思いみたいなものがビシビシ伝わってくる 書き手なの。
すみ そのランズデールの凄さを見せつけるよう な作品が、とうとう日本でも出版されました。
にえ 「ボトムズ」! いちおうミステリーの形式 ではあるけど、これはもうミステリーというカテゴリーを越えた素晴らしい小説。ミステリー好きじゃない人 も読んでほしい。
すみ 文章、ストーリー、登場人物、書こうとして いること、なにもかもが素晴らしくて、読んでて震えがきたよね。
にえ 書いてあることは奇抜ではないの。作者自 身の原風景である1930年代のテキサスがノスタルジックに描写され、少年の成長、父子の関係、黒人問 題や狭い田舎ならではの人間関係の根深い複雑さなどが書かれてて、書いてあることじたいはかなりオーソ ドックス。
すみ こういう小説を読むのは初めてじゃない。 でも読んだあとは、今まで読んだ似た小説のどれよりも感動してた。これこそ、ランズデールが優れた作家 だという証明書だよね。
  
「ムーチョ・モージョ」    <角川書店 文庫本>

ハップとレナードシリーズ<2>
七月、放浪白人のハップとホモ黒人のレナードは、亡くなったレナードの叔父チェスターの家を掃除してい た。そこで見つかったのは、ポルノ雑誌に包まれた子どもの骸骨。レナードに人生を教えてくれた、あのチ ェスター叔父が犯人なのか?
「バッド・チリ」    <角川書店 文庫本>

ハップとレナードシリーズ<3>
沖合油田の仕事から帰ったハップを待っていたのは、レナードの失恋。そのうえ、レナードと別れたラウル の新恋人が死体で発見され、レナードが容疑者に。ハップに休まるときはないのだ。
「罪深き誘惑のマンボ」    <角川書店 文庫本>

ハップとレナードシリーズ<4>
KKKが支配するテキサス東部の街グローブタウンで、美人黒人弁護士のフロリダが失踪した。 ハップとレナードは、さっそく狂気の街に乗り込んだが。
「人にはススメられない仕事」    <角川書店 文庫本>

ハップとレナードシリーズ<5>
レナードの叔父が遺してくれた家で、共同生活をはじめたハップだったが、いくら仲がいいとはいえ、やはり二人暮らしはなにかと衝突もあった。イカす赤毛女のブレットと一緒に住むことができれば、それもすべて解決する。ブレットとは心も体もバッチリ通じ合えていたし、今度こそ幸せになれそうだ。ところが、ブレットにかかってきた一本の電話が、そんな計画をすべて台無しにした。ブレットの娘ティリーは売春婦だったが、組織を抜けたいから助けに来てくれと伝言をよこしたのだ。当然、ハップはレナードを誘い、ブレットのティリー救出を助けることにした。
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「ボトムズ」    <早川書房 単行本>

老人ホームでハリー老人は、1930年代、まだ自分が11歳、妹のトムが9歳だった頃のことを 思い出していた。父親は理髪店と農業、それに警察組織がまだなかった当時の治安官も兼任していた。 家族はテキサス東部のボトムズ(低湿地)を形成する森のそばに住んでいた。その森で兄妹は、 全裸で体じゅうを切り裂かれ、イバラの蔓と有刺鉄線で木の幹にくくりつけられた、無惨な黒人女性の 死体を見つけた。治安官の父は犯人を捜すが、わずかな証拠すら見つからない。静かな田舎町は震撼し、 やがて、第二、第三の被害者が見つかっていく。
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「アイスマン」    <早川書房 単行本>

仕事もせず、母親の家に住んで、母親の年金のおこぼれをもらって暮らしていた青年ビルに危機が迫っていた。母親が死んでしまったのだ。遺言で、遺産は全額、病気の猫たちのために寄付されてしまう。年金を止められてしまう。とりあえず、死亡届を出さずに死体を放置しておいたが、だんだん臭いはひどくなってきたし、年金の小切手はサインが真似できずに換金できない。ストックの缶詰も食べ尽くしそうだ。そこでビルは仲間を誘い、花火の屋台を襲って、売上金を奪い取ることにした。しかし、これまた散々な結果で、命からがら沼地を抜けて逃げることに。やっと助けてくれたのは、フリーク・ショーの一団だった。
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「テキサス・ナイトランナーズ」    <文藝春秋社 文庫本>

モンゴメリーとベッキーは学生時代からの交際期間を経て結婚した仲の良い夫婦だった。モンゴメリーは 大学教授になった。意気地なしかもしれないが、人の根はみな善だと信じるやさしい夫だった。ベッキーは 高校教師となったが、理想と現実のギャップに悩み、辞めようかと考えているところだった。その頃、街 では連続婦女暴行殺人事件が起きていた。犯人は高校生、罪悪感のまったくないクライドとその狂った仲間 たちだ。クライドは自分の高校の教師であるベッキーに目を付け、次の犠牲者にすることにした。ところが、 暴行の真っ最中に邪魔者が乱入し、クライドは逮捕され、拘束中に自殺してしまった。精神を病んだベッキーを癒そうと、友 人の別荘を借りることにしたモンゴメリーとベッキーだったが、魔の手はそこにまで伸びようとしていた。
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「モンスター・ドライヴイン」    <東京創元社 文庫本>

収容車数4千台の巨大ドライヴイン・シアター《オービット》は、B級ホラー映画がオールナイトで上映される金曜の夜とも なれば大変な賑わいだった。勤め先の家具工場を首になり、この町を去る年上の友人ウィラードに誘われ、《オービット》に 向かったぼく、ことジャックとボブとランディは、もちろんB級ホラー映画が大好きだった。見ることはってことだけど。
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「ダークライン」    <早川書房 単行本>

1958年、修理工だった父親がドライヴイン・シアターを経営することを決意し、ミッチェル家はテキサスの田舎町へ引っ越す ことになった。その時まだ13才だったスタンリーは、ついこの間までサンタクロースの存在を信じていた自分の幼さにうんざり している少年だった。引っ越したときは夏休み、学校はとうぶん始まらない。スタンリーはドライヴイン・シアターの裏にある森 で、地面に埋められていた箱を見つけた。なかには、切手を貼っていない手紙が数通と、日記の切れ端らしきものが入っていた。 それは13年前に殺された少女が書いたものらしかった。同じ日に別々の場所で殺された、マーガレットとジュエルという二人の 少女のどちらかはわからないが。
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「サンセット・ヒート」    <早川書房 単行本>

1930年代、大恐慌のさなか、テキサス東部の町キャンプ・ラプチャーに大竜巻が襲った。そのとき、サンセットは夫ピートに暴力を振われていた。このままでは殺される。サンセットはピートのホルスターから38口径のリボルバーを抜き、彼のこめかみに一発撃ち込んだ。大竜巻が過ぎ去ると、サンセットはすぐにピートの両親のもとに向かった。そこに娘カレンを預けていたのだ。罪を問われると思っていたサンセットだが、ピートの母マリリンはわかると言った。自分も同じ目に遭ってきたから。さらにマリリンはピートに替わって町の治安官を決める集会で、なんとサンセットを推薦してくれた。
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