3月20日、海だあ! 笠岡⇒大島吉海町113.2Km
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昨晩は疲れていたこともあったし、カイロも抱いたし、寒くもなかったということで、
泥のように眠った。目覚めはさわやか。
さて、とりあえずの目標地点は尾道。午前中につければいいなあと、思いながら
2号線まで出てみる。
すぐ気づいたのは追い風だ。もしかして今回の旅行で初めてじゃないだろうか。
軽くペダルを回すだけでも23キロというスピードが出る。
おおーーー!!!、うれしーーー!!!、でも風が吹き始めるのは十時ごろからだよな。
油断は禁物。 しかし、おいらの心配をよそに、今日は強い風は吹かず、走りやすい一日だった。 午前中どころか11時には尾道に入ってしまった。 | ![]() |
そうなると、映画「転校生」の舞台となった御袖天満宮だけはどうしても行ってみたい。
さっそく、地元の人を捕まえてそのときは神社の名前も知らなかったから、
転校生の舞台になった神社の境内に行って見たい、と、片っ端から聞いてみる。
その近くまでは簡単に行くことができた。
ところが、尾道を舞台にした映画を見たことがある人ならわかるだろうが、
ともかく狭い路地が入り組んでいる。
正直言ってよくわからん。映画で見た記憶のある町並みにいることは確かなのだが。
目的の場所が寺だか神社だかもわからなかったから。 そして、どんなわけだか知らないけど、やけにいっぱい寺がある。 この狭い山地に押し合いへし合いするようにたくさんの寺が建っている。 後で聞いた話なのだが、昔は国道が線路の北側にあったそうなのだ。 それが戦時中だか、復興の混乱期だかオイラの記憶も曖昧だが、 国道を今の位置に持ってくるときにたくさんの寺の場所を移すことになったのだそうだ。 しかし、この古い情緒のある街も、住む人にとってはよい町ではないようで 崩れ賭けた古い家が補修されないままにされてるのを見るとちょっと悲しい。 |
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一時になってしまったのでさすがに尾道で時間つぶし過ぎたかなと。
しまなみ海道に入る。尾道大橋を渡るとき、料金場に行ったら、
ここは車用の料金場だから来たら危ないと怒られてしまった。
見ると、脇に、ちっちゃいポストみたいな料金箱が置いてある。
かなり、みんなの自主性に任せているようだ。料金も10円だったしね。 とりあえず、因島に渡ったわけだが、サイクリングコースとしまなみ海道、 どっちを行ったらいいか困ってしまう。 ガソリンスタンドに飛び込んで聞いたところ、 距離的にはしまなみ海道が近いけど、景観を見たいならしまなみサイクリングロードだろうとのこと。 その言葉を聞いてサイクリングロードに向かうが、後で、しまなみ海道は 自動車専用道路で自転車は入れないことを知る。 しまなみ海道に行かないでよかった…。 |
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しまなみサイクリングロードは向島の西側をぐるりと半周するように走る道だ。
しばらく内陸を走ったかと思うと、島の見える海辺にやってきた。
ちょっと行くと赤い鉄橋が見えてきた。今度はあれを渡るのかな? 道端でみかんの直売をやっていたので自転車を止め、ばら売りできるか聞いてみる。 一袋でも十分安いのだが、あんまり大荷物を持ちたくないのだ。ばら売りOK。 というか、100円ではっさくを三つぐらいもらおうかと思ってたのだが、 これももってけ、これも食べて見なさいと、 はっさく、ポンカン、伊予かんなど、すべての種類を合計十個ぐらいもらってしまった。 ありがたき幸せ。ちなみに、さっきから見えていた鉄橋は岩子島という島に渡る橋で 因島に渡る橋はもっと先らしい。 |
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海岸線沿いの道から橋の高さまで上るのが結構つらい。
一応、サイクリングロードというぐらいなので勾配には結構気を使ってあるようだけど、
それにしても余計なほどの荷物をいっぱい積んでいるオイラは
無駄な坂道はできるだけ逃げたいという気持ちもある。
因島では、かなりきつい勾配もあったしね。それでも、景色のよさは絶品だった。
あと、鰹節を作っている工場がいっぱいあって、
街中にいい香りが漂っているところが結構あった。
そばにはこの辺ではもう見られなくなったいかにもな日本猫がいたりして…。
とってもよかったです。瀬戸内、しまなみ海道。
写真が多くなったので普通の人はちょっと重いだろうけど、我慢して見てくれないか。 当初伯方・大島大橋のたもとの展望台で今日の宿を取ろうと思っていたおいらは 開いているガソリンスタンドがないのにあせっていた。 ガソリン用のボトルの中は空だし、コンロの中もかなり少ないはず。 とても夕食と朝食両方は準備することはできないだろう。 生田島のあたりからガソリンスタンドを探していたのだが、 サイクリングロードは普通の幹線道路からかなり外れているようで ガソリンスタンドがほとんどなかったのだ。何とか伯方島でガソリンスタンドを見つけ、 その前に、夕飯の買出しと米を磨いでおくかとコンビニに寄ったら 大阪からのサイクリストに声をかけられ、情報交換。 ちょっと話し込んでいるうちに、七時を回ってしまい、ガソリンスタンドが閉まってしまった。 オーマーガー!!!、どうしようもない。米を磨いでしまったのだから コンビに弁当で済ませる訳にはいかない。 走りましたとも、こんな景色のいいところを、夜間。ほとんど馬鹿だね。まったく。 何とか、閉店時間八時のぎりぎりの時間でガソリンスタンドに飛び込み、 ガソリンを0.7リットル足してもらって税込み71円。 その割にコーヒーをご馳走になってしまって迷惑な客です。 どうせしばらく内陸を走るので、無理をして今夜のうちに来島海峡大橋のたもとまで行って 展望台にテントを張り、就寝。屋根があったのでテントを張らないで寝たんだけど、 寒かった。テント張ったほうがよかったかも。 | |
3月21、雨の中の来島海峡 大島吉海町⇒小松町妙口45.4Km
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来島海峡のたもとから出発。来島海峡大橋は二つの島を使った三連吊橋だ。
橋の巨大さにちょっと感心し、敬意を表して
自転車を押して渡ることに。
海流の流れは結構速いみたいだ。最大で時速18キロぐらいになることもあるらしい。
海面に浮き出る模様を見ていると結構飽きない。
橋の真中ほどで海面を見て休んでいると後ろのほうから通勤らしき、自転車に乗ったお姉さんがやってきた。
風が強くなってきたので辛そうだ。
すれ違うとき、おはようございますと挨拶を交わす。気持ちのいい朝である。 のんびりと橋を渡っているうちに風がどんどん強くなり、ワイヤーが風を切るゴーという音と 橋がきしむ音が大きくなってきたのでさっさと渡ることにする。が、時遅く、 渡りきる寸前に雨が降ってきた。かなり大粒の雨だ。慌てて橋から見えていた来島海峡展望館に逃げ込む。 雨は本降り。なかなか止みそうにない。 | |
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展望館で腹を据えて雨宿りすることに決定。携帯とザウルスの充電を頼んで、
展示物をゆっくりと見学。
渦潮っていうと、やっぱり鳴門海峡をイメージするけど、
この来島海峡もなかなか潮流が早いことでは引けを取らないらしい。
そういえば、海水浴場ってあまり見なかったな。
潮の流れが速いので砂がみんな流されてるのかもしれない。
それに、よっぽども入り組んで潮の流れが少ないところじゃないと
流されてしまって危ないんだろうな。
こんなにきれいな海なのに、そう気軽には泳げないだろうと思うとなんか複雑。 さらに、四国に入ってからどんなルートで走るかのチェック。 そんなことをやってもまだ雨が上がらないので、休憩室のテレビをボーっと見ていた。 壁に潮流の早くなる時間を記したボードが下がっている。 次の最大潮流は12時40分ぐらい。そこまで待とうかどうしようか迷う。 でも、所詮、推定流速4.5ノット。6時間前の8ノットにはかなわない。 昨日、大三島橋で渦が巻いているのを見れたからよしにしよう。 12時頃、雨も上がったので出発に決定。 |
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走り始めたものの、走る気にならない。サイクリングターミナルを出てから
国道に行かずに海沿いの細い田舎道を走る。
瀬戸内を離れるんだから、うまいものを食べようと、「大浜」という磯料理屋へ。
何を頼んでいいかわからなかったから1500円のランチセットを注文。
ランチの割には高いなあと思っていたら、とんでもないボリュームの料理が
コース料理みたいに次から次へと出てくる。
出てくる魚もうまい!、高いものには高いなりの価値があると思った次第。 今治の市街地に入ると一軒の古い自転車屋の店先に競輪で使うピストマシンが 置いてあるのに気づいた。話を聞いて見たら昔、競輪選手だったらしい。 このあたりは昔から競輪が盛んだったようで、しまなみサイクリングロードも 競輪の絡みもあってできたそうだ。なんか納得。 次に道の駅「今治湯ノ浦温泉」に着。 この中に温泉はないけど、近くにもらい湯をしてくれるところで 瀬戸内海を望みながら入れる風呂があり、コインランドリーもあるというので寄ることに。 出るとき、自転車でお遍路さんをやってる人がいるので話をして見るが、 四国カルストを通って四万十川の源流域に行きたいといったら散々馬鹿にされる。 あと、人生長いのだし、どうせこの時期だと求人なんてないんだから 急がないでのんびりと回るべきだと説教される。もっともしかり。反論できないっす。 というか、オイラも元々はそのつもりだったし。 しかし、親には勝てないのよ。去年の今ごろ、自転車でこけて 骨折、一ヶ月会社休んでいるし。(おぉ) 風呂に久しぶりに入ったあと、これまた久しぶりのコーラを買って飲む。 うまい!、贅沢だねえ。コーラが贅沢品に思えるとは。 まあ、バイクで旅をしている連中にとっては一日に二千円近く食費に使う サイクリストはとても贅沢に思えるらしいが。 ま、こっちは体がエンジンだしねえ。食い物ケチれば力も出てこないからなあ。 で、今の峠越えの気持ちを確実にするために国道11号線にぶつかるまで走って、 ぶつかったら右に折れてちょっと行ったところで公園を見つけ、テント泊。 たぶん、小松町の妙口付近。桜がきれいに咲いていた。 とりあえず、今日は怠けました。50キロ走ってないから、多分、 長期のツーリングでは最短距離。 まあ、完全休養というのは何回かあったけどね。 たまにはこんな走り方もいいのでしょう。 でも、お金使ったなあ…。 | |
3月22日、もっともハードな日 小松町⇒美川村61.1Km
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雨がテントをたたく音で目がさめた。まあ、たいした降りではない。
飯を作っていたら雨が止んでくれたので、テントをたたんで出発。
ところが、走り始めて10分もたたないうちに結構な雨に。
慌ててコンビニで雨宿り。
気分が乗ってから降られる分にはかなり降っていても走ることはあるけど、
走り始めから降っているというのはやな物だ。
ひさしの下でお菓子をもぐもぐやっていると、
雨の中、青いカッパを着て坂を登っていくMTBを発見。
国道11号を松山のほうに折れた時点でほかのサイクリストとはまず
会うことはないだろうと思ってただけにびっくり。
仕方ない、こんな悪条件の中を走ってる人もいるのだ。
オイラもカッパを着込んで走り始めた。 ところが、追いついて見ると、実は女の子。 これはびっくり。まさか、こんな天気の日に山道を走ってるのが 女の子とは。山内まではオイラも11号を走るのでご同行を申し上げる。 話を聞くとさらにびっくり。彼女は高校時代、 柔道で大阪府代表にもなったことがあるつわもの。 高校時代、膝の靭帯を痛め、今はその経験から理学療法士(リハビリの先生) を目指して専門学校に通う二十歳の乙女だそうだ。 その彼女、さすがに体力あって、強い。 いくら荷物の量が違うとはいえ、オイラのペースに余裕でついてきてしまう。 ただ、オイラのほうが圧倒的に経験は豊富だから 何とか、男としての面目は保てたけど。 |
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りえちゃんは東予までフェリーで、今日スタート、これから松山まで行って、
今治からしまなみ海道を通って大阪まで帰るそうだ。四月一日までに帰らなければ
ならないらしい。
オイラのほうは河内で国道494に折れ、四国カルストを目指す。
昼飯をご馳走してお別れである。 さて、困ったことに雨のほうは相変わらずである。 食堂に入っちまったから雨の中を出るのはいやだが、いつまでもここにいるわけにも行かない。 腹を決めておいらも出かける。 目指すは黒森峠(985m)だ。 相変わらずの雨の中、黒森峠への登りに取り付く。 だんだん民家も少なくなって最後の集落の店で板チョコ二枚と菓子パンを一個買う。 話を聞くと距離的にはそんなにつらくはなさそうだ。問題はやっぱこの天気だね。 集落も終わり、いよいよ峠に差し掛かる。 ところで、この坂、なかなか妙な坂だ。 勾配がほとんど変わらないのだ。多分6〜8%ぐらい。 正直、それほど急な坂だとは思わない。しかし、勾配が変わらないのだ。 普通なら、多少の下りや、せめて勾配のゆるいところがあるものだ。 ところがずーっと勾配が変わらない。休むタイミングがつかめない。 もっとも、雨の中で休むのもいやなんだけど。 走っているときは暑くても、止まったとたん寒くてどうしようもなくなってしまうのだ。 それなら負担をかけない程度のペースで休憩を少なくしたほうがいい。 しかしやっぱり汗はかく。いつのまにか、汗でむれて シャツがぐっしょり濡れているのに気づいた。公衆トイレを見つけたのでそこに逃げ込む。 とりあえず、コンロをつけ、暖かい味噌汁を飲み、下着を替え、 コンロの火でシャツとジーパンを乾かす。寒くて震えてました。 なんとか体もあったまったのでまた出発。 ほとんど雲の中みたいで視界は利かないけど、 それでもまわりの景色が少しずつかわってくるのがわかる。 だんだん上のほうが開けてきて、植生もシラビソとかの高山植物に変わってきて もうすぐ頂上という雰囲気になってくる。 この尾根をまわりこめば頂上はもうすぐだと期待を膨らませてコーナーを曲がったとたん目に入ったのは…、 谷の反対側のはるか上を走る一本の道でした。 まあ、そこからはそんなになかったのが救いではあったけど。 このころには雨もかなり収まっていたしね。 美川村まで降りてきたら七鳥の小学校のそばの公園でテント張って寝てしまいました。 しかし、この、雨の中のダウンヒルでブレーキシューがめちゃくちゃ減ってしまった。 もう、ほとんどないくらい。もうひとつ峠を越えなくちゃならんというのに…。 |