<B>西日本放浪記</B>

西日本放浪記

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おまけ






3月17日、夜を走る
大阪⇒神戸47.7Km
知り合いが家まで迎えに来てくれる。 自転車で西に行くなんていうと、新潟から走っていくように思う人がいるだろうが、 この時期にそれをやったらかなりつらいね。 というか、下手したら雪が降るし。
過去に自宅から大阪駅までは走ったことがあったから大阪からのスタートとする。 大阪まで行けば結構暖かいだろう。間違っても雪なんか降らないだろうし。
ま、そんなわけで、自転車をばらして輪行袋に入れ、列車で大阪まで向かうことにする。
といっても、大騒ぎだ。ばらすといっても折りたたみ自転車ではない。 荷物を積んで長距離を走るための自転車だから、自転車だけでもかなり重い。 輪行袋に入れて担ぐと肩にずしりとバンドが食い込む。 それだけではない。サイドバックが四つに、フロントバック、ロールマット(寝袋用)などの 手荷物がたくさん。 どうあがいても一度には持てない。だいたい移動は三往復しなければならない。 おかげで乗り換えの時間がかかるので、できるだけ、始発電車と終着駅の組み合わせを使う。 ま、今回は乗り換え一回で済んだけど。
輪行袋に入った自転車と荷物
ちなみに中はこんな感じ
ちなみにこの日は大阪に着いたのが五時、自転車を組み終えたのが六時半。 動くつもりはなかったけど、泊まれそうな所を探していたら、結構走ってしまい、 そのまま夜の十時ごろまで走って神戸まで行ってしまった。 なんといっても、夜なのに暖かい。公園の東屋の下でテントを張らずに寝袋だけで寝てしまいました。
 
3月18日、近くて遠い明石大橋>
神戸⇒有年145.0Km
今日の目標は四国に渡ること。明石から淡路島、さらに徳島に渡りたい。 昨日、がんばって神戸まで走った甲斐があった。九時ごろには明石海峡大橋が見えるところまできた。 残念ながら明石海峡大橋は自転車では渡ることができない。 橋の根元のインターでヒッチハイクしようとインターまで上がっていく。 ところが、考えてみれば当たり前だが、この寂れたインターから 明石海峡大橋を通って四国に渡る車の数自体が少ない。 おいらが目指すのは空荷の2t以下のトラックである。 一時間ほど待ってみたけど、一台も通らず。 しかも、仮に通ったとして乗せてくれるかどうかは別問題。 しょうがなく、諦めました。
なんか、どうでもよくなって、天気もあんまりよくなかったから 走る気もなくなって…。橋の根元にあった、橋の科学館で一時間ほど時間を潰す。 取るルートは二つ。岡山まで走って瀬戸大橋を電車で渡るか、いっそのこと 尾道まで行ってしまなみ海道を自転車で渡るか…。どっちにしてもかなり脱力。 橋の科学館を出るときに、地図をもらうついでに明石から淡路島に フェリーが出てるよと教えてもらう。 喜び勇んで明石港へ。聞いてみると、淡路島へは渡れるけど、 淡路島から四国に渡るフェリーがないそうだ。あ〜あ、結局岡山まではどうあがいても 走らなきゃならないか。
橋の科学館から見る明石海峡大橋
どっかのサイトからかっぱらってきた空撮写真
岡山までは国道2号線一本である。 さすがに日本の大動脈、ずうっとまっすぐなバイパスが伸びている。 予定外のことですっかり出遅れたおいらはわかりにくい旧道より、 まっすぐで広いバイパスで距離を稼ぐことにする。 ところが…、ここでおいらを迎えてくれたのはとんでもない向かい風だった。 いちおう、この時期、季節風が西から東に吹くから、 向かい風が吹くのはある程度覚悟の上だったのだけど…。 ちょっと半端じゃないくらいの強風。 平地でも下手をすると時速10キロを切ってしまうぐらいの。 それに、道はずーっと広いわけではなく、結構狭いところもある。 大型トラックやトレーラがめちゃくちゃ多い。 この辺では見ることの少ないフルトレーラががんがん走っている。 はっきり言って、歩道を走るのは疲れる割に距離が伸びないから大嫌いなのだが 背に腹は替えられない。歩道を走ることが多くなる。 おまけに、店が少ない。ぽつん、ぽつんとコンビニがあるぐらいだ。 ガソリンスタンドはいっぱいあるけど。 昼飯はコンビに弁当で済ませてしまった。かなり悲しい。 それでも何とかムキになって西を目指す。 姫路城に寄った他は細かい休憩以外、ひたすら走りつづける。 さて相生(あいおい)を過ぎ、そろそろ夕飯の心配をしなくちゃと思い店を探すけど、 これがまた無い。 姫路城
桜はまだ咲いていない。神戸は散り始めていたというのに。
ようやくコンビニを見つけ、何とか晩飯のおかずを買う。 もう、この辺はあきれるほどの田舎だね。 でも、トラックの交通量だけは多いのだが。
夕飯のおかずも手に入れたので泊まる場所を探してうろうろ。 有年(うね)駅に陣を取る。 駅員さんはいるみたいだが、窓口には出ていないので多分、八時を回れば 引き上げるだろうという読みのもとに駐輪場の脇で自炊をはじめる。 トイレの水でご飯を炊き、濡れタオルで体をふき、下着を着替えて 飯を食べる。 そろそろ人がいなくならないかなと思うが、 列車の本数が減らない。というか、貨物列車がやけに多い。 よくよく見てみたらこの線路、山陽本線だ。 幸いテントを張ってなかったので荷物をまとめて近くの川の堤防にお引越し。 かなり無茶な走り方をした一日だった。
 
3月19日、田舎道は楽しいけれど…
有年⇒笠岡112.5Km
あまりの寒さに明け方、何度か目を覚ます。起き出すのもいやなので 寝袋の中で震えて過ごす。 六時にもなるとさすがに起き出そうという気にもなってくる。 テントのチャックを開けて、顔を出してみると外は真っ白。 雪ではない。霜だ。うひゃあ、寒いわけだよな。 昨日はテントを使わずに寝袋だけで寝ていてそれでも寒くなかったのだから。 とりあえず、寒さを何とかするためにお湯を沸かして朝食の仕度をする。 水筒から鍋に水をあけようとするけど…、なんか妙に水の出が悪い。 水筒の中を覗き込んだら凍っていた! もっとも、口のそばが凍っていただけで中まで凍ったわけではないが。 それにしても寒い。 テントにも霜がびっしりついていて、手ですくったら また、凍り付いてしまう始末。 田舎は空気がきれいな分、放射冷却も激しいんだなと実感した次第。 テント、乾くのを待ちたかったところだけど、この寒さでは 無理と判断。霜がついたまま、サイドバックに放り込んでしまった。 で、八時半には車上の人になる。
走り始めると道はどんどん寂れたほうへ。そのうちまわりには民家がぽつんぽつんとしか 無くなってしまった。 そのわりに、大型トラックだけは多い。道幅はそこそこあるからそんなに怖くは無いけれど。 昨日、岡山を目指すには峠を二つ越えなければならないと聞いていたが、 一つ目の鯰峠は全然たいした事が無い。そのまま、二つ目の船坂峠にさしかかる。 これもそんなにたいしたことが無い。しかし、峠の頂上のトンネルで困ってしまった。
かなり古いトンネルで、幅が狭く、歩道が無い。さすがに、荷物で横幅が広がったランドナーで ここを走るのはちょっとためらわれる。 ふと、脇を見ると旧道がある。いまだにハイキングコースとして整備されているようだ。 でも、かなり上まで伸びているみたい。ちょっと迷ったけど、旧道のほうに折れる。
入ってみると、勾配はきついけど、静かでいい道。 道路に寄りかかってくるように枝を伸ばす潅木の脇を 鳥のさえずる声を聞きながらのんびりと上っていく。 今まで、ムキになって風に逆らって、のんびり走ることを忘れていたような気がする。 その土地の匂いを感じながら旅をするのが自転車の旅だ。 距離を伸ばすことに頭がいって、そんな余裕が無くなったらだめだよな。
気持ちがなんか楽になった。そう思ったところで、峠の頂上で記念撮影。
船坂峠の頂上、この道を登ってきた
昔の県境の印だろう、ここから岡山県
峠を降りてくると、独特の雰囲気を持つ町にでた。 なんか妙に埃っぽい町だ。採石場があるらしく、 遠くに見える山が大きく削られている。 町並みは煉瓦造りの古い家が並んでいる。 昔風の大きな工場の看板を見て理解した。 町の地場産業がレンガなのだ。 ここではこのまま2号線を走るか、それとも 山陽本線に沿って和気のほうに行くか選ばなければならないが。 当然、ここは和気に向う。やっぱり、あのトラックの群れはねー。 三石の町並み
山陽本線沿いをのんびりと下る。山陽本線を走る貨物列車が とても長くて迫力がある。 そのうちに瀬戸町というところにはいる。 瀬戸物の瀬戸なのかな、その割に工場がないなあと おもい、コンビニに入ったついでに聞いてみたら、 多分関係ないと思いますよと、笑われてしまった。 瀬戸町を過ぎたら岡山まではそんなにない。あと一息。 和気から万富に行く途中の吉井川
国道2号線に出たとたんに風が強くなったような気がする。 かなりへこむ。 岡山市街には入ろうかどうしようか迷ったのだけど、結局入ることに。 なんといっても昨晩の寒さがこたえた。 白金懐炉を持ってきてはいるのだが、ベンジンがないのだ。 それを買わなけりゃいけないし、あと、どこかでザウルスの通信ケーブルを落としてしまった。 これも買わないといけない。岡山市街を抜ければ一軒ぐらい扱っている店が あるだろうという魂胆である。
しかし、岡山、道を尋ねた女子高生がめちゃくちゃかわいくて、親切だった。 スカートは膝丈よりちょい上ぐらい、ノーメイクだったし、髪も染めてない。 女子高生たるもの、こうあってほしいものだね。 写真は残念ながら撮ってないよ。そこまではずうずうしくなれない。(おぉ)
岡山についたのは三時ごろ。喫茶店に陣取り遅い昼飯を食べながら、改めてこれからの進路を考える。 というか、この時点でほとんど決めていたんだよな。 岡山から四国に渡るにはヒッチハイクか、フェリーか、自転車をバラして輪行するかしかない。 ヒッチハイクは明石海峡大橋で懲りたし、輪行もいやだ。そうするとフェリーなんだけど、 やっぱり、それより、走れる限りは走りたい。目指すは広島県尾道だ。 今日の目標はいけるとこまで。 ということで四時近くになって出発。というか、携帯とザウルスの充電をさせてもらってたので 出発が遅れた…。
ということで、今日は暗くなってからも走ることに。 選ぶコースは当然2号線。幹線じゃないと道に迷ってしまう。 ま、普通なら、長期のツーリングでこんな夜間走行はしない。 事故る可能性も高いし、体力だけじゃなくて神経もすり減らす。 そして、何より、明日に疲れを残したら長期のツーリングでは体が持たないのだ。 しかし、今回のツーリングではそれだけのデメリットをかえりみずに夜間走行が多い。 理由はなんと言っても風が弱くなるのだ。 この数日のパターンから見ると朝、十時ごろまではほぼ無風。 それから強い風が吹きだし、六時を過ぎるとかなり弱くなってくる。 このパターンは今回のツーリング中、山の中以外、どこでもそうだった。 で、悪いことにたいてい向かい風なんだよね。
普通の人が思っている以上に自転車というのは風に弱い。 おいらのランドナーの平地の普段の巡航速度は時速20〜5キロである。 それが、昼間風が強いときは下手をすると10キロを切ってしまう。 夜になれば風が無くなるわけでもないが、 それでも、昼間の精一杯がんばっての15キロに対して、 夜の15キロは自然に出てしまうスピードである。 これだけの差があると、先に上げたデメリットを考えても 夜間走行をする価値は充分にある。
ところが、怖い目にもあった。 大きな交差点だと、手前で高架道に行く本道と交差点にいく側道に分けてるところが多い。 国道2号バイパスにもこのような交差点があった。 一つ目の交差点は素直に側道のほうを行った。 ところが、車道はT字路で行き止まり、歩道が20%ぐらいの勾配で先の本道に つながっていた。 かなり頭にきて、次の交差点では一応、自転車進入禁止の看板がないのを 確認して本道に入る。 上がってみてびっくり。 ただの立体交差ではなく、片側一車線対面通行のバイパス。路肩はほんのわずかしかない。 しかも、大型トラックがめちゃくちゃ多い。 入って、100メートルも走ったら失敗したと思ったけど、Uターンもできない。 クラクションを鳴らされてもふらつかないようにハンドルを押さえ込むのが精一杯。 はやく、下道との合流があるのを祈るのみ。 ところが、こんなときに限ってなかなかそんなのがない。 おかげでめちゃくちゃ怖かったけど、かなり距離を稼ぐことができました。
八時を過ぎたので寝場所を探しに笠岡の市街地をぶらつき、 テントを張れそうな所を探すがなかなか見つからない。 ちょうどいい公園を見つけテントを張ったら九時を回ってた。 それから、飯を炊いて晩飯。お疲れさんでした。

瀬戸内編

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