すみ=「すみ」です。 にえ =「にえ」です。
ウィリアム・ゴールディング 
1911年イギリス、コーンウォールで、代々教師の職に就く家系に生まれる。マールボロおよびオックスフォード大学で物理学および 英文学をまなぶ。1940年、英国海軍に入り、第二次世界大戦に参加。戦後、ソールズベリーで教師と して働く。この頃から作品を発表しはじめる。コーネル賞、ブッカー賞(1980年「通過儀礼」)、 ノーベル文学賞(1983年)受賞。1993年、ウィルトシャーで亡くなった。
すみ ゴールディングは「蝿の王」だけは読んだって人は多いんじゃないかな。
にえ ノーベル文学賞受賞後、すごく話題になって、読んだ人がみんなこぞって絶賛したしね。
すみ 読んでないのはまずいでしょう(笑)
にえ あんまりスゴイ小説で、読むと鳥肌たつよね。読んでない人はお早めに。
すみ で、それっきり他の著作は読んでないって方が多いんじゃないでしょうか。
にえ うん、「蝿の王」が凄すぎて気がすんじゃったし、本屋で他の著作が目に入らないし、もう終わりかな、みたいな(笑)
すみ で、一昨年あたりから、開文社出版がぽつぽつと、ブッカー賞受賞作を含め、今まで未翻訳だった作品を出版しだしてくれて……。
にえ で、私たちが読んでみた、と(笑)
すみ 読んでみて、いつもいつも「蝿の王」じゃないんだな、とわかったら、ゴールディングという作家に興味がわいてきた。
にえ 文章がうまい、ただし長文でウネリがあってかなり読みづらいってっていうのが原文のゴールディングの文章評だから、翻訳で気軽に読めるというのはラッキーなんじゃないでしょうか。
すみ 結局のところ、「蝿の王」があまりにもわかりやすく、評論なり、論文なり、感想文なりをものすごく書きやすい作品だったから、ぎゃくに、それにいたるまでの作品を読んで、どういう過程、心理があって、あの作品を書いたのかなと知りたくなってきたのよね。
にえ ノーベル文学賞受賞作家でありながら一発屋、そうなのか?って部分もあったしね。
すみ 「蝿の王」よりゴールディングを知りたいってところでしょうか。
  
「蝿の王」    <集英社 新潮社 文庫本>

近未来、戦争の勃発によってイギリスから疎開することを余儀なくされた少年たちを乗せた航空機が攻撃を受け、太平洋上の無人島に不時着した。生き残った子ども達は、隊長ラーフを中心に、無人島での生活を始める。だが、常夏の楽園、しかも何かと自分たちを縛りつけようとする大人もいないその無人島は、少年達を無邪気な獣に変えるのに充分だった。 文句なし、20世紀文学の傑作中の傑作。
「後継者たち」    <中央公論社 ソフト本>

ネアンデルタール人のロクは、ある日、いつも渡っている橋がなくなっているのに気づき、仲間を呼び寄せた。 首長マルに率いられるロクたちの小集団の者たちはみな、水を怖れているので橋がなくては生活の範囲が狭めら れてしまう。賢い「おばあさん」の知恵を借り、ふたたび丸太の橋を渡そうとしたのだが、マルが病に倒れて帰 らぬ人となり、ロクと女の子のフェイが出掛けているうちに「新しい人」たちに襲われたらしく、二人が戻って きてみると、おばあさんも、幼い少女リクウも、赤ちゃんも姿を消していた。仲間を取り返そうと「新しい人」たちに挑むロクとフェイだったが。
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「通過儀礼」    <開文社出版 単行本>

ネルソン提督のトラファルガー沖海戦で勝利した1805年から数年後のこと、ネルソン提督に指名され、オーストラリアに向かうことになった英国貴族階級の青年トールボットは長い船旅のあいだじゅう、ネルソン提督の依頼を受けて、船で起きたちょっとした出来事を日記にしたため、提出することにした。その船は戦艦改造の輸送帆船で、トールボットと同じような身分の者、画家、怪しげな美女、国教会の若い聖職者コリーなどが乗っていた。
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「可視の闇」    <開文社出版 単行本>

ロンドン大空襲の業火のなか、一人の子供が歩み出てきた。どうして死なずにすんだのか、どこの誰なのか、なにもわからないまま収容されたその子供は、半身が火傷に覆われ、髪の毛も半分がなくなっていた。やがてその子供はマティと名づけられ、孤児の学校に進学することになった。
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「尖塔」    <開文社出版 単行本>

参事会長を務める司祭ジョスリンは、大聖堂に150フィートもの高さの尖塔を増築しようと計画した。しかし、洪水も多く、ゆるい土壌に、大聖堂は現在の建物を支えるだけの基礎しかなされていなかった。それでも、自分こそは神に選ばれ、神に支持されていると信じるジョスリンは、計画をむりにでも推し進めていく。もう、だれにも止めることはできなかった。
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