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天野流と天鼓会

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打奏者心得

 武州天野流妻沼太鼓楽曲解説(3曲)

●「妻沼太鼓」楽曲解説

第一楽章 利根の雄流

 利根のさざ波、詩情豊かな河原、船運はなやかりし頃の河岸場、当時の宿場町めぬまの郷愁、大洪水の荒れ狂う波涛、等々を大小太鼓の音によって力強く表現した。

第二楽章 聖天様と実盛公

 中世の夜明けと共に激動の中で長井庄司実盛公は、郷土の安穏と除災招福を祈願する為に聖天様を時に治承三年(1179)である。平和を望み、恩義を重んじ人情ある武将実盛公をたたえ、その心根をしっかりと受けとめ4拍子のリズムは、祈りをテーマにした宗教的人間像の理想を追求した背景を再現した。
 まさに武州妻沼男子のサウンドである。

第三楽章 祭りばやし

 永い年月の中で培われてきた華やかな祭礼行事、豊年を祈願し、感謝し夏祭りの神輿や山車の渡御。この風物詩をリズミカルに奏する。21世紀に向かう妻沼太鼓は、郷土色豊かな独特の祭り囃子に相応しい祭りのイントロダクションでもある。

第四楽章 妻沼讃歌

黎明静寂な聖天の森にこだまする一番祈願太鼓ではじまる。刀水の東の彼方から太陽が昇る。町は活気を呈し動きだす。静かに次第に力強く、歯切れよいリズムに乗って力の限り打ち鳴らし、夢幻の境に誘いこみ最後をしめくくる。

●「屋台くずし」作曲意図 (天野 宣)

 関東の祭り囃子の中には、神田丸、仕丁舞、聖天、屋台などがあり、共通性を保ちつつトンビ(笛)、ツケ(締太鼓の縦と脇)、大胴、当たり(すり鉦)等をもって、庶民の喜怒哀楽を見事に表現して参りました。そして、祭りには無くてはならないBGMとして、江戸を中心に広がりを示して来たのであります。それらの囃子は、その地名を冠して発展し、例えば神田囃子、深田囃子という風に、互いに地元を愛する人々によって楽しく、正しくともかく続けて参った結果の大切な文化財であります。妻沼太鼓の第二楽章にこの囃子をベースに『屋台くずし』として取り入れましたのは、江戸の文化と何かにつけ関わりを持ちつつ、発展して参った妻沼町!そこの皆様方と御縁を戴いたふれあいの中に、方言こそ違いましても心の奥深く持たれる鯔背な勇みを憾じたからにほかなりません。

 『屋台囃子』のスタイルを太鼓組曲風に仕込み、更に大間のゆったりとした古曲『聖天』の手法を加えてみました。正に昇殿参拝を許された想いで、格調有る曲として育てたいのであります。

 将来、御聖天様の祭礼には、祈る想いで進んで演奏参加できるよう、特にパレードなどには、第二の楽章だけでも、独自に活用でき得る形式をとったのであります。囃子は技術的にもたいへん難しいですが、江戸囃子にみるような深い歴史を重ねて参りたいものであります。


●「歓喜」作曲意図 (天野 宣) 

 歓喜天をご本尊とする妻沼のご聖天様は信仰深い人達に生きる喜びを与えてくれる。

つけまつりをご縁に妻沼太鼓が誕生し、今や町の生きた文化財と成って来た。

 太鼓に集う人達の見事な迄に確立した人間感情が町を支えるエネルギーとなって明日の夢多き町づくりに貢献している即ち町内の活気を太鼓が支え太鼓が町の顔となった時、町民である事の誇りと自信に満ちて歓喜を味わう。小さな町のささやかな祭りから今や次第に妻沼を背負い立つ自覚と喜びの心が祭りを一層盛大にし、燃えさかる生き様が町民総参加の練り込み囃子の熱気となって頂点に達し正確な町のリズムを形成していく。

 太鼓芸術の伝承作業が10年の重みと実績によって心地良い歓喜の姿を表現する。