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思いがけずチャンス到来
 結婚して、息子が生まれ、その三年後に娘が生れました。小さな社宅の目まぐるしく忙しくも楽しい毎日でしたが、息子が小学生になって、娘が幼稚園に入った春のこと、新聞でインテリアコーディネーターの資格試験を知りました。「受験資格は25歳以上」のみ。私の中でパチンと何かがはじけました。私は子供の時から「家」の勉強がとてもしたかったのだと気がつきました。
 この資格を取れば建築の仕事をする道が開けるのではないか!それから楽しい毎日が始まりました。お弁当とノートとペンケースをリュックに入れて娘の幼稚園バスが見えなくなると市立図書館の学習室の机へまっしぐらに通う日々。図書館は宝の山でした。古代、中世、ルネッサンスのインテリアの洋式、日本の寝殿造り、書院造、数寄屋造りの面白さ、アールヌーボー、アールデコにときめいて建築の構造の本を開けば気分は女学生でした。大好きなことばかりの話ですから、インテリアコーディネーターの試験は楽しかったです。
 合格通知を手に心も軽く横須賀ミサワホームへ飛び込みました。有難く採用してくれたものの、経験の無い主婦にコーディネートの仕事を与える筈は無く、私に与えられた仕事は近隣挨拶という外回りで翌日から石鹸30個とチラシを持って四人の仲間とバスと電車でひたすら歩く毎日が始まりました。いつになったら建築に関わる仕事が出来るだろうか、と見通しの無い毎日の仕事は正直辛かったです。報酬は要らない、むしろお金を払ってでも照明プラン一つ作ってみたいな、美しい光のこぼれるうっとりする家にするのだけれど…と仲間と話したことを憶えています。
 三年間は待とう。三年間頑張れば風向きが変わりきっと背中を押す風が吹く、と信じて。励ましあいながら頑張ったのですが、一人去り、二人去り、と仲間四人は皆辞めて行きました。