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子供の頃から「家」を考えるのが好きでした。
 毎晩眠りに落ちる前に空想するのはおきまりのロビンソンクルーソー。
裸足の「私」は無人島の海岸に立って考える。 さて….どこに家を建てようかと。
流木を拾って草を刈る。柱を建てて屋根を葺く。そうだ、海の見えるこの壁に窓もいる。雨漏りしないように屋根の納まりを考えたり、サソリが部屋に入らないように床を地面から上げたり、ベッドに干草を敷いたり、カマドを造ったりと忙しく働くうちに眠ってしまいます。次の晩もその続きで、かんぬきのあるドアを造ったり砂浜で拾ったビンに泉の水を汲んできたりとエンドレス。
 よくもまぁ飽きずに毎晩同じ空想をしていたものと思い出すとおかしくなります。

 小学校五年生の時、先生が学校の中庭を一ヶ月間好きに使っても良いと言いました。私たち女の子3人、男の子3人の6人のグループは家を建てる事にしました。 魚屋から要らなくなった木の箱を山ほどもらってきてバラバラにする。鋸、金槌で夢中になって一致団結。
 エキサイティングな毎日でした。出来上がったのは高床式の一坪ほど小さな家。入口には階段もドアもあって、6人ぎしぎし軋む家の中に押し合いをしながら入りました。板壁の隙間から差し込む光でまだら縞に照らされた皆の笑顔を、生臭い魚の臭いと一緒に思い出します。
 家を造ることの楽しさを知り、私のライフワークの種がまかれた時でした。