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ブルーノ・シュルツ
日時: 2005/02/23 20:23
名前:
参照: http://yonosk.at.infoseek.co.jp/rv05/synamon.htm

ブルーノ・シュルツは、1892年ポーランドの辺境、現ウクライナ領のドロホビチという小さな市に生まれ、1942年ユダヤ人であるというだけの廉により、ドロホビチの路上において占領者ナチス・ゲシュタポの銃弾に斃れました。その埋葬場所さえ現在では不明となっております。
 美術教師として生活の糧を得つつ、小説家としての成功を求めた彼が生前に残した作品のほとんどは、連作短編集『肉桂色の店』と『砂時計(クレプスィドラ・サナトリウム』の二集に収録されています。
 その作品は、反物商人であった父と溢れんばかりの服地が積まれた店の記憶、田舎の記憶、ドロホビチの記憶が時間空間を越えて分離再構成されたような、軽やかながら現実を拒否する幻想に満ちあふれています。小説と言うより「詩」に近いとも評されますが、決して高踏的ではなくしかもキッチュや虚仮威しに流れず、東洋のわれわれにとっても、どこか懐かしささえ感じる世界と言えます。
 きわめて残念なのは、この全集本が高価でまた入手困難なこと。上記小説作品2集だけでも、文庫化されることを願ってやみません。
メンテ

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Re: ブルーノ・シュルツ ( No.3 )
日時: 2005/04/02 00:35
名前: きゅー
参照: http://www.geocities.jp/s_kanesh/main.html

さいきんたまたま坤さんのおっしゃっている全集本を手にしました。とても面白そうな内容だったのですが、ページ数が多かったので後回しに(笑)
これはぜひ読まねば!
メンテ
運命的出会いかも〜 ( No.4 )
日時: 2005/04/02 22:22
名前:
参照: http://yonosk.at.infoseek.co.jp/rv05/synamon.htm

きゅーさん、いいタイミングで全集本を掴みましたねー。幸運の後ろ髪を離してはなりませぬぞっ。評論書簡までとは申しませぬが、創作篇だけでもぜひ味わってくださいまし。
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Re: ブルーノ・シュルツ ( No.5 )
日時: 2005/04/02 22:42
名前: けーはい

せめて創作篇の最初の「八月」だけでも・・・
それも駄目なら最初の数行の、真夏の日々の描写だけでも。
シュルツ以外じゃこうは書けないだろう、ってのが一目瞭然な文章ですから。(まぁ僕の読書量はたいしたこと無いんでこういう文章を書く人は実際はほかにもいるのかもしれませんが・・・汗)


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Re: ブルーノ・シュルツ ( No.6 )
日時: 2005/11/12 21:45
名前:
参照: http://yonosk.at.infoseek.co.jp/rv05/synamon.htm

「ほんやく本のススメ」の御利益霊験あらたかというところで、めでたく「シュルツ全集」の創作部分のみが分離復刊されました。

「シュルツ全小説 平凡社ライブラリー (557)」(2005年11月刊) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4582765572/qid=1131782258/sr=1-1/ref=sr_1_0_1/250-0177928-6007427

 お値段がペーパーバックにしてはやや張るのと、帯の宣伝文句、「歪んだ創世記・非合法に創造された世界模型」というのはいささか意味不明だったりもしますが、そんな些細なことにこだわるよりは平凡社さんのご英断に感謝したいところですね〜。あっ、ちょっとちょっと、そこの旦那、歪んだ×××の非合法××、いりませんかい。おっ、これはセールスに使えるかなっ。
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ブルーノ・シュルツ狂です ( No.7 )
日時: 2006/04/09 06:32
名前: 仙頭力士  <washi-h@jcom.home.ne.jp>

初めまして。まず自己紹介させてください。

 私は某美術大学芸術学科を出て現在は別の某美術大学に勤務しております。色々なアーティストが好きで自ら制作も行いましたが、取り分けブルーノ・シュルツを偏愛し、大学ではシュルツの訳者である工藤幸雄先生に私淑いたしました。幸いにして現在も親交は続いています。

 高校時代に運命的遭遇を果たして以来のシュルツ・マニアで、新潮社からの「全集」も平凡社ライブラリーからの「全小説」も持っています。あと洋書ですが画集やらカタログやら、とにかく手に入るものはひたすら集めました。

 言うまでも無く小説が素晴らしいのは勿論でありますが、日本では未だ知られざるシュルツの絵画への思い入れは人一倍強く、10年ほど前に甚だ小規模ながらシュルツの日本初となる「作品展」をディレクションしたこともあります。ただ資金不足と知名度の問題で殆どレプリカばかりの展示でした。こちらのサイトにいらっしゃる方々は、もしシュルツの絵画展が開催されたら観に行かれるでしょうか?私は密かな願いを込めて展覧会を企画しています。そのためには認知度を上げることが必要不可欠です。どのような形でも構いませんので、何卒ご協力いただければ幸いです。計画の足がかりとしてWikipediaに記事を書きました。拙いながらも我が想いを凝縮したつもりです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%8E%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AB%E3%83%84

 ご高覧の上、ご感想など頂戴できれば無上の喜びであります。
メンテ
Re: ブルーノ・シュルツ ( No.8 )
日時: 2006/04/09 20:16
名前: すみ&にえ
参照: http://park8.wakwak.com/~w22/

そういえば、ブルーノ・シュルツを読みましたよ、とここにご報告するのを忘れてました。こちらです〜。
http://park8.wakwak.com/~w22/628.htm
http://park8.wakwak.com/~w22/637.htm

仙頭力士さん>Wikipedia拝見しました。ブルーノ・シュルツの絵画展ですか。私たちは行ける範囲でおこなわれるのなら、絶対に行きます!
メンテ
万感の想いです ( No.9 )
日時: 2006/04/10 14:44
名前: 仙頭力士  <washi-h@jcom.home.ne.jp>

すみ&にえ様

 お返事本当にありがとうございます。絵画展への嬉しきご賛同、我が胸に熱く響いてきます。まだまだ個人的な「夢想」のレベルで実現に至るかどうか定かではありませんが、命賭けで頑張る所存です。

 10数年前ポーランドに渡り古都クラクフの国立美術館にてシュルツの連作版画「偶像讃美の書」をこの手にとったときの感動は今も忘れられません。シュルツの絵を生で触ったことのある日本人は恐らく自分だけかと自惚れます(工藤幸雄先生は版画を1点所蔵されているので例外です)。そうでなくともシュルツ絵画への愛情にかけては日本一とおこがましくも自負しています。

 Wikipediaの拙文ですが私が投稿したら、すぐさま(本当に直後に!)ご親切などなたかが見出しをつけたりして編集してくださったのです。日本にも熱狂的なシュルツのファンがいるのだと再確認させられました。こうした潜在的な支持層に向けてもっとアピールし続けたいものです。そうすれば展覧会の企画も前進するだろうと思います。

 すみ&にえ様の「シュルツ体験(そう呼ばせてください)」を綴った対話文、作家の意図するところを十全に汲み取られており、実に素晴らしいです!私がこちらに書き込むきっかけとなったのも、このページを拝読したからです。ご指摘の通り、シュルツの小説はストーリーよりも言葉そのものの力が訴えかけてくるタイプの作品なので、それについて語ろうとするとどうしても「美しい」だの「幻想的」だのといった形容詞を多用せざるを得ません。それはともすればシュルツの詩的表現に対し「屋上屋をかける」結果となるのですが、お二人の平易で素直な言葉遣いは実に無駄なく的確に作品の本質を言い当てていらっしゃいます。自分の晦渋で観念的な文体が恥ずかしく思われます。

 ところでシュルツの短篇の中からフェイヴァリットを選ばれるとしたらどれでしょうか?私は「書物」と「天才的な時代」です。もちろん完成度から言えば「八月」や「肉桂色の店」などに及ばないでしょう。しかし前・後編的な繋がりを持つ両篇には個人的な思い入れがあります。今は昔、大学のころこの2作品は日本では未訳でした。そこで私は工藤幸雄先生の文学ゼミに押しかけ英訳本からの読解を半ば強引に決めてしまったのです。重訳とはいえシュルツの未紹介作品を1語1語日本語に移しながら、私はその言葉の魔術に魅入られ酔いしれました。時間の流れが変わったような摩訶不思議な気分でした・・・もっとも数年後「全集」が出て先生の訳文を読み、私のささやかな自己満足は脆くも崩れ去りましたが。

 このスレッドを立ち上げられた坤様のサイトにもお邪魔させていただきました。ネット上で私が発見した中では屈指のシュルツ評と感じ入りました。単なる「幻想小説」でないことをいち早く見抜き、簡潔明快で正鵠を射た鋭い論述に感銘を覚えました。そして工藤先生の「ぼくの翻訳人生」までお読みになられているなど流石です。ちなみに皆さんに一つご紹介を。工藤幸雄先生は学者然と構えたところは皆無、気さくにして粋で洒脱。とても愉快でカッコイイ御仁でいらっしゃいます。日本語の美しさへのこだわりは、戦前の日本にあまたいたであろう本物の知識人・文人の姿を現代に伝えるが如し。こういう人物こそ真に文化勲章に値すると思います。この世で私が「師」として敬愛すると迷い無く言い切れる唯一の方であります。

 我田引水な長文、誠に失礼いたしました。願わくばこのささやかなメッセージがシュルツの芸術を少しでも巷間に広げる一助となりますように。

 
 
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シュルツ展に期待して ( No.10 )
日時: 2006/04/13 21:11
名前:
参照: http://yonosk.at.infoseek.co.jp

仙頭力士さん、こんばんは。シュルツに関する熱い語り、ありがとうございました。拙HPにもご訪問いただいたそうでまことに感謝に堪えません。いやいやわたくしの感想などは素人の印象のみで、おことばは過褒というものですが。
 仙頭力士さんのWikipediaの記述も拝読させていただきました。なるほど、「文学と絵画は同テーマ」ですか。アデラの存在感も含めて「マゾヒズム」ということばで括れるのかどうかはともかくとして、「全集」にも採録されていたあの版画のインパクトは忘れがたく、シュルツ展がもし関西で開催されればもちろん一も二もなく観覧する所存です。えーとー首都圏の場合は、まーそのときの事情ですが〜。wikiにリンク先として挙げてくださったポーランドのサイトも訪ねてみました。たくさんのオートポートレートを残してるんですねー。ほんと、ぜひ生で一度見てみたいものです。
 専攻は違うかもしれませんが工藤先生のお弟子さんでもいらっしゃるのですね。先生のインタビュー記事のページ、たしか掲示板には書いたと思いますが、他の方々のためにも再掲しておきます。
http://www.eigotrans.com/interview/kudo/kudo.shtml

 ほんと洒脱で粋なお人柄が拝察できますよね。
メンテ
ご期待に感激です! ( No.11 )
日時: 2006/04/14 20:06
名前: 仙頭力士  <washi-h@jcom.home.ne.jp>

坤様、はじめまして。

 シュルツ絵画展への暖かいエールに心からお礼申し上げます。私は東京在住なこともあって、もし夢物語のようなこの企画が実現するとしてもちょっと関西方面での開催は難しいかも知れません。折角応援を頂いたというのに心苦しい限りです。
 
 その代わりと言っては何ですが展覧会と平行してこれも積年の計画としてシュルツの画集の出版を目指しています。とある出版社に数年前から話は持ち込んでいるのですが、どうも反応が芳しくありません。やはり問題は「知名度」なんですよね・・・これを上げないことには何も始まりません。そのためにネットであれこれ画策している次第です。

 Wikiで「文学と絵画は同テーマ」と書きましたが、その出典にあたるヴィトカツィへの書簡の一節をちょっと拡大解釈してしまったようです。ニュアンス的には間違ってはいないとは思うのですが、訂正しておきましたので宜しければご覧下さい。

 シュルツの自画像は確かに多いです。そして多くが真正面では決してなく妙に屈折した角度から自分を捉えています。シュルツ最短の小説「孤独」の自己描写シーンがよく引き合いに出されます。「人相はどうか?私もときどきは鏡に映して見る」に始まる一段落がそうです。私も以前の「作品展」でキャプションに使いました。

 私の筆力不足が原因と思いますが、シュルツの小説と絵画を「マゾヒズム」の一語で括るつもりは毛頭ございません。むしろ逆にシュルツをマゾのレッテルから何とか解放してあげたいと常々考えております。まあ版画に関しては「パッと見」モロにマゾヒスティックなので、ひねくれた理屈をこねないとなかなか難しいですが・・・足りない脳味噌で何とか頑張ります。

 工藤先生とのお付き合いについては、私が殆どファン意識でもって一方的に「不肖の弟子」を名乗っている程度とお考え下さい。ポーランド語はもちろん英語すらサッパリな語学音痴の自分は、ポ・露・仏・英4ヵ国語を自在に操る先生をただただ畏敬の念で眩しく見上げるばかりです。でもそんな浅学非才の私に先生はいつも親身に接してくださいます。本当に身に余る光栄を感じてやみません。坤様がご紹介された先生のインタビューのページ、知っておりました。本当にあのフランクなイメージ通りの粋人でいらっしゃいます。

 数ある先生のお仕事のなかでもシュルツが占めるところは大きいものがあります。古川沙織さんという才女がシュルツにインスパイアされた絵物語を描いていることをご報告したら、いたく感激なされました。彼女のHPを紹介しておきますね。ゴシック調の耽美的な画風と流麗な日本語が素敵です。
http://www.k2.dion.ne.jp/%7Enoir/

 坤様のシュルツ評、すみ&にえ様の対話も先生にお知らせします。絶対ご好評を得られるものと確信いたします。いずれも先生が何よりこだわる「美しい日本語」で鮮やかにシュルツを論じていらっしゃるのですから。

メンテ
シュルツの絵画論を書きました ( No.12 )
日時: 2006/07/21 08:18
名前: 仙頭力士  <washi-h@jcom.home.ne.jp>

 手前味噌な書き込みで甚だ恐縮ですが、宣伝させてください。この度、TH(トーキング・ヘッズ叢書)という雑誌の27号(特集「奴隷の詩学」)に「ブルーノ・シュルツの絵画─マゾヒズムの図像術」なる論考を執筆いたしました。浅学非才の我が身ではありますが全身全霊を賭けて紡ぎ出した拙稿は、日本の公けの出版物に掲載されるものとしては、かつてない本格的な紹介になっていると自負いたします。収録図版は50枚を超え、唯一の油彩がカラーで観られます。シュルツの絵に興味のある方々におかれましては、是非ご一読いただきたく謹んでお願い申し上げます。

 常時取り扱い書店が少ないので、版元のアトリエ・サードのHPをご案内しておきます。
http://www.a-third.com/top.html
メンテ

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