=「すみ」です。 =「にえ」です。 | |
「ダ・ヴィンチ・コード」 ダン・ブラウン (アメリカ)
<角川書店 文庫本> 【Amazon】 (上) (中) (下)
宗教象徴学を専門とするハーヴァード大教授ラングドンは、講演のため、フランスを訪れていた。その夜、ルーヴル美術館館長ジャック・ソニエールと会う約束をしていたが、ソニエールから連絡はなかった。 ところが、ホテルの部屋で寝入っていたラングドンに警察から電話が入った。ソニエールがルーヴル美術館で殺され、ソニエールは自分の体を使い、不可思議なダイイングメッセージを残しているという。ルーヴル美術館に連れて行かれたラングドンは首を傾げるばかりだったが、そこに女性暗号解読官ソフィーが訪れると、様相は一変した。 | |
私たちにとっても、邦訳本としても、「天使と悪魔」から2作目のダン・ブラウン本です。 | |
まあ、ダン・ブラウンに関しては、「天使と悪魔」の1作で、もう実力のほどは見せつけられまくっていたから、読む前から不安はなく、期待だけだったんだけどね。それにしても、さすが、さすがっ。 | |
もともとこの「ダ・ヴィンチ・コード」がアメリカでベストセラー1位を1年以上もつづけているという驚異的な人気の本で、それでシリーズ前作の「天使と悪魔」も売れ出したってことだから、私たちとしては、こっちが読みたくて、待ち遠しかったのよね〜。 | |
「天使と悪魔」はシリーズ1作目ってこともあるんだろうけど、ハリウッド映画顔負けのハデハデさ。でも、こちらはかなり落ち着いて、じっくりと謎解きがされていくし、驚愕の新事実と呼んでもいいのかしら、そういう知識の披露がされていってた。 | |
こういう小説だと、どこまで話していいのかってのが、いつも悩みの種だけど、出版社等から発信されている情報を鑑みると、これぐらいは言っても構わないみたいなんで言っちゃうと、キリスト教についての驚愕の真実?! なんだよね。この「?!」は絶対必要(笑) | |
アメリカとかで、すでにかなりの物議を醸しだしているみたいだね。敬虔なキリスト教信者からの反発も激しいみたい。 | |
私たち的には、グレアム・ジョイス「鎮魂歌」の冒頭で触れられ、期待しまくったのに肩すかしくらっちゃった暴露的な内容を、この本でキッチリ読めたから、嬉しさ倍増だったよね。 | |
そうそう、こういうのが読みたかったんだよね。あと、ずっと前に読んだウンベルト・エーコの「フーコーの振り子」で、もうちょっと、と思っていたところも満足させてもらえたよ。 | |
とにかくスゴイ知識のつめこみで、しかも、その知識にウンザリさせられなくて、楽しくエンタメ系の小説として読めるっていうのは「天使と悪魔」でも同じだったけど、さらにスッキリまとまってたね。 | |
あっ、「ダ・ヴィンチ・コード」のなかで、謎を解くためにあっちこっち行かされたせいか、私たちもリンクで同じ手法を使っているではないかっ。ふっふっふ。 | |
それはいいんだけど(笑)、「天使と悪魔」では、主人公のラングドンの魅力のなさが唯一の欠点かな、みたいなことを言ったんだけど、こっちだと、無理にラングドンを前に出そうとしてない感じで、そのへんがぜんぜん気にならなかったよね。むりに派手なアクションをやらせようとしてなかったし。 | |
とにかく詰め込まれた知識そのものが、驚きいっぱいで、おもしろすぎるから、読者としても他はもうどうでもいいというか、邪魔しないでって感じなのよね。そのへんをうまく汲んでくれてあった。それに、邪魔しない範囲ってことで控えめながら、グッと惹かれる登場人物もいたし。 | |
さてさて、ちょっとぐらいは内容を紹介しておきましょうかねえ。肝心のおもしろいところはぜんぶ省いて(笑) | |
あ、そうそう、その前に、「天使と悪魔」を読んでいない方は、先に「ダ・ヴィンチ・コード」を読んでも大丈夫かなって不安があると思うんだけど、大丈夫だと思いますよ。これってそのまま書かれちゃうと、「天使と悪魔」のネタバレに繋がるんじゃないの、と思ったところがひとつあったんだけど、 うまく回避してくれてあったし、共通する登場人物である主人公のラングドンも前回の人間関係をまったく引きずっていなかったし。 | |
で、ストーリーね。主人公のラングドンは宗教象徴学っていう私たちでは簡単に説明出来そうにない学問の教授なんだけど、今回はフランスを訪れてるの。 | |
まあ、要するに、いろんな宗教の歴史やらなにやらに詳しくて、聖画の右端についてるこの印は、じつはこれこれこういうことを暗に表しているんだとか、そういった諸々に詳しいってことよ。 | |
苦情の来そうな雑な解説、どうもありがとう(笑) で、ラングドンは講演に来てたんだけど、その夜、会うはずだったルーヴル美術館の館長ソニエールが何者かによって殺されてしまい、事件に巻き込まれるの。 | |
ラングドンは女神崇拝の図像学に関する本を書いたばかりで、ソニエールもその分野にとても詳しかったのよね。 | |
他にもソニエールは、レオナルド・ダ・ヴィンチを崇拝し、その発明品や暗号解読にも精通し、ダヴィンチが絵のなかに隠した様々なメッセージやそのトリックにも精通していたのよね。 | |
そしてもちろん、本人自身も他人に明かせない秘密を抱えていたのよね。で、暗号解読官でもある、ソニエールの孫娘ソフィーと、ソニエールが残したダイイングメッセージをもとに、その謎を解くことに。 | |
それがソニエールの謎どころか、隠匿されたキリスト教の真実を暴くことになるのよね。これが、ウヒャー、そういうことだったのっ、と何教徒でも腰を抜かすようなお話。私たちが「鎮魂歌」でチラッと知っていたように、多少なりとも知識のある方もいるだろうけど、それでもやっぱりウヒャーウヒャーと楽しめることは、もっともっと知識のある荒俣宏氏の楽しげな巻末解説で保証済みっ(笑) | |
あと、これは読後に見た方がいいんだけど、このページのフォトギャラリーは必見。というか、この本を読むといろいろ知りたくなって、検索しまくりたくなると思うんだけど、その前に見ておくと、だいぶ楽できるかも。著者インタビューもおもしろかったし。あ、本のほうは、もちろんオススメですっ。 | |