2004年7月の漫筆



Title


2004年7月1日(月) 「けいすけ、日本人の三人に一人のうちに入る」

 先月書いた漫筆 『伊東に行く』、 『伊東から帰る』 が長文過ぎるとのメールを頂いた。 二つの文章の文字数を合わせると約14,000文字。 たしかにこれはあまりに長かったかもしれない。

 以前、 迎賓館裏口さんで紹介されていたページ、 文章の書き方・文書の作り方 によれば、 エッセイを書くときの適切な文字数は1,500字とある。 私が書いた文章はその10倍だ。 エッセイじゃなくて漫筆です、などと言い訳をしたところで、 漫筆のファイル名はessayにしているのだから言い逃れは出来ない。 今回は結論から先に述べて文章が短くなるように心がけよう。

 そういうわけで、痔になった。

 伊東と熱海での2泊3日、 そして帰ってきてからの3日間、 ずっとうんこが出なかった。 いかに体調が悪かったとはいえ、 便秘とは無縁の生活を送っていた私にとってこれはまさに青天のへきれき。 このままではいずれ私の腸がパンクするのではないかとの不安が押し寄せて、 なかなか眠れない日もあった。 まさかうんこが出ないということがこれほど悩ましいことだったとは。 なるほど、だから便通が良くなるお茶が売れるのか。

 そんな不安の中で、伊東から生還して4日目の早朝。 強烈な便意が私を睡眠から目覚めさせた。 キター!  そのときの心境はまさにそれだ。 私はこの便意が消えないうちにとベッドから飛び起きて 一目散にトイレに駆け込んだ。

 私は和式便器愛好家だ。 洋式など邪道。 排便とは闘いだ。 その闘いの成果である大便様をこの目にしっかりと焼き付けなければ失礼にあたろう。 もちろんそのときに大便様の色ツヤと太さを確認して健康状態をチェックするのも忘れない。 それに、ウンチングスタイルと名付けられているように、 和式でいきむ姿こそが正しい排泄の姿勢である。 そして、たとえ前から覗かれようとも金隠しによる鉄壁のディフェンスにより、 局部をあらわにすることを防いでくれる、ああ和式便器よ永久に。

 トイレに入った私はいつものようにウンチングスタイルの姿勢をとる。 すると曙がするような太くて短くて硬くてツヤのあるうんこが4発ほど間髪入れずに発射された。 うん、気分はまさに完全試合。 ちなみにここでの完全試合とは、 排泄後に紙で肛門を拭いても汚れが付かないうえに、 もう大腸にはうんこが残っていないのではないかと思えるほどの爽快感が体を駆け巡るときのことを示す。 この他にも、 拭いた紙にうんこが付いてないだけの状態を完封、 完全試合とは呼べないが完封以上の成果があった気がするノーヒットノーラン、 下痢によるコールド負けといった表現も出来る。

 しかし、完全試合と断言することが可能なうんこを排泄したにもかかわらず、 なぜか肛門に違和感をおぼえる。 明らかに何かが肛門の周囲に付着している気がする。 紙でその場所をぬぐってみる。 血だ。 鮮血だ。 そういえばさっきから肛門が痛い。

 パニックである。 私は今まで肛門から血が噴いたことなど一度としてなかった。 曙級うんこで切れたのか。 それとも何か悪い病気でも患っているのか。 とりあえず私は「痔」でググる。 真っ先に目に入った 痔プロ.com を訪問。 よく分からない。 どんどん不安になる。 そうだ、友達に医者がいるじゃん。 それに今の状態を招いた元凶はそいつなんだから責任を取ってもらおう。 私はドクターに電話をした。

 もしもし、けいすけだけど、今大丈夫? ご飯食ってたりしない?

 「食ってないけど、どうした?」

 痔になったっぽい、ケツから血が出てるの

 「はあ? 痔ってちに点々でぢの痔のこと?」

 そう、6日ぶりにうんこしたら血が出た

 「血が出ただけ? なんかヘンなもの出てきたりしてない?」

 うん、ヘンなもののヘンの基準が分からないけど、 とりあえずKONISHIKIがするようなぶっというんこしたら血が出ちゃった

 「そんなの普通。俺もしょっちゅう」

 マジで? 普通なの?

 「たぶんそれさ、切れただけでしょ。 そんなもん、ちょっと便秘気味だったらよくなるって」

 大丈夫なの? 悪い病気とかじゃない?

 「それで悪い病気だったら、世の中の女なんてみんな病気になっちゃうから。 女性は便秘が多いから、肛門がちょっと切れるなんて日常茶飯事」

 薬とかいらない? なんかニトログリセリン軟膏がよく効くってネットに書いてあったけど

 「いらない、いらない。ほっときゃ治る」

 じゃあ、病院にも行かなくて大丈夫だよね? 念のためボラギノールくらいは買おうかと思ってんだけど

 「逆にその程度で病院行ったら笑われるよ。 まあ、心配だったら俺がバイトで外来やってる病院で診てやるから」

 医者に肛門見せるときってまんぐり返しの格好するんでしょ? それはさすがに恥ずかしいから矢田亜希子

 「それシティーハンターの読みすぎw 横向きに寝てもらって診るだけ」

 そうなの? でもドクターにちんこ見せるのは平気だけど肛門は見られたくない

 「いいけど、でもあれだろ、薬局行って薬買うのだって恥ずかしいだろ?」

 いや、薬局のお姉さんに 『ボブサップがするようなうんこしたら肛門が切れたんでそれ治す薬ください』とは興奮しながら言ってみたい

 「変態」

 医者に言わせると、私の痔は変態という結論だそうです。 つまり不治の病と、そんな馬鹿な。

 ちなみに、矢田亜希子はうんこなんてしないと思います。矢田嬢に肛門なんて存在しませんから。

 以上、本日の漫筆は約2,000文字。


無断リンク・転載・改変・その他なんでも大歓迎