おまけ43
本物と偽者とどのように区別したらいいですか?
いや~、ぼくもそんなこと考えちゃってね。
それできみは、自分のことにせものかほんものかわかるかい?
だいたいさ、にせものっていつもどうしてあんなにぴかぴかしてるんだろう?
きみがもし部屋ににせものの花、飾ってるとするだろ。
その花は、きみにとってどんなだい?
生きていない花は、死に瀕しているわけでもなく、
生きていないってわけでもなく、
何か、知らんぷりして、ぴかぴか光ってると思うんだ。
もちろんはじめのうちだけだけどね。
3日もするとほこりだらけになる、
でもぼくが言いたいのはその前のことなんだ。
にせものの花は、水をやらなくてもぜんぜん元気がなくなるわけでもなく
やけにきっちりとしているんだ。
害虫がいないから虫に食われているはっぱもない、
ところどころ枯れている様子もない、
花の色もやけに鮮やかで、風に吹かれて花びらがとれるような感じもしないんだ。
「いとあわれなり」とはとても言えないんだよ!
それに、かつらだってどうだろう?
あんなに思い切りひっぱっても大丈夫ってこと、
ほんものの髪の毛は、風にふかれただけで抜けたりもするんだよ!
にせものに比べると、ほんものはやけにくたびれていて、
どこかはかなげで頼りなさそうにみえるんだ。
それに比べて、にせものの圧倒的な存在感といったら、
ほんものだって驚くほどなんだよ!
つまりさ、
くたびれたり、傷ついたり、虫に食われたり、
時には風で抜けてしまったりするもの、
それがほんものってわけなんだ。
だとするとね、ぼくは、自分がほんもののような気がする・・・。
ぼくはすぐくたびれてしまうし、傷ついたりもする、
それにしょっちゅう虫に食わていて、
そのうえ、からだじゅうの毛だってやまほど抜けてるんだよ。
そういうことを考えると、ぼくは自分がほんものってこと証明できそうな気がして
ますます偉大な雰囲気に近づいていくんだ。
そしてやけに自分が立派にみえてきてね、
何かぴかぴかして来るような気がするの。
でもさ、ちょっと待って!
それって、ぼくがにせものに近づいてるってことと同じじゃないの??
だったら困るんだよ~!!
それで、考えてたの!!
・・・また、会おう!
流れているのは「また会える日まで」