おまけ32
21世紀がやってきたね:
うん、でもわるいんだけどね。
正直言って、20世紀とあまり変わらない感じなんだ。
思い出してみれば、ぼくは「20世紀」が大好きだった。
21世紀になっても
ぼくはきっと、きみのあのちっちゃな薄茶色のぽつぽつのある
薄黄色の皮の中のすがすがしいシューシーな味わいを忘れない。
そうして、ぼくはまた
ミルクセーキくん、きみのことを忘れない。
きみはたしか妙に細いビンの中に入っていて、
絵の具を溶いたような、飲み物とは思えないものすごいクリーム色をしていた。
ぼくは21世紀になっても、きみのあの甘いクリーム色のことを忘れない。
21世紀が始まって、ぼくはきみたちのことがなつかしくてたまらない。
きみたちといっしょに新しい世紀を迎えられたらよかったのにな・・・。
へび年についてどう思いますか?
しっぽがはえていない人間にはわからないと思うけどね。
ぼくは時々じぶんのしっぽがへびだったらどうしようって思うことあるんだ。
「きゃっ!!、へびだ!!」なんて驚いたりしてね。
でもそれがじぶんのしっぽだって気がついたとき、
ぼくはちょっとがっかりした気分になる・・・。
スリルとサスペンスがいっぺんに吹き飛んでしまって、
みょうにがっかりした気分になるんだ。
それでぼくはときどきじぶんのしっぽを追いかけてみたりする。
でもへびのような恐怖感はわいてこないし、
緊張感もまったくないままなんだ・・・。
そんな時、ぼくはちょっと恐怖感のあるしっぽにあこがれる気分になって、
しっぽだけでもへびだったらよかったのにって思ったりするのさ。
こんな「部分的自己否定の感覚」は、
新しい世紀にはぴったりの感覚じゃないかい?
流れているのは「きのうやさしい風が」です