おまけ30
弐千円札が出たんだってね:
うん、そうなんだよ。
だからぼくちょっとあせっちゃったんだ。
つぎはきっと参千円札だなと思ってね。
夏目漱石さんは、我輩は猫であるって本を書いてお札になったんでしょ?
それなら、我輩だって犬なんだからどうだろうって思ってるんだ。
それに、聖徳太子さんとか、紫式部さんとか、
有名な人多いだろ?お札の表紙・・・。
それもみんなありがたみのありそうな人ばっかりさ。
だからね。
今度はぜんぜんみんなが知らない人がいいと思うんだ。
文明に貢献した人たちの中でね。
遣唐使について行ったかどうかは知らないけど、
犬が文明にけんとうしてきたことは確かなんだよ。
それにありがたみもぜんぜんないしね。
これならお金のために泥棒したりするの、
きっとばからしくなると思うんだ。
柔軟性についてどう思いますか?:
からだの柔軟性と心の柔軟性、それに脳みその柔軟性が大切だね。
ぼくが自分のおしりをなめたりするのを見て
きみがぼくのこと、ひそかに軽蔑しそうになっているのは知ってるよ。
で、それはぼくの柔軟性のせいなのかい?
ぼくは柔軟だから、自分のおしりをなめているのかい?
ただ、手が使えないからやってるだけなのに?
ぼくはきみみたいに、手で頭の後ろを掻いたり、
するめみたいな格好で寝たりできないのさ。
で、それはぼくの非柔軟性のせいなのかい?
ぼくはただ自分が使えるものを使って、
使えないものを使わないでいるだけさ。
これでぼくがきみのこと、軟体動物の一種だと思って
ひそかに軽蔑しそうになっているってこと、打ち明けてもいいかな?
流れているのは「きのうやさしい風が」です