アスベストについて考える犬スモールアスベストについて考えるホームページ~2013年8月15日 全面改修のためテスト運用中です。

WTOの裁定

WTOの裁定(8)-上級機関の結論

上級機関は、

(a) アスベストとアスベスト含有製品の輸入を禁止した政令の部分は、TBT協定の「技術的障害」にあたらないため、TBT協定は適用されないとしたパネルの結論を破棄する。

(b) パネルが、クリソタイルアスベスト繊維とPCG繊維(PVA繊維、セルロース繊維、グラスファイバー)、また、クリソタイルアスベスト含有と PCG繊維含有のセメント製品の、1994年GATTのⅢ:4条における「類似性(likeness)の判断において、クリソタイルアスベスト繊維の健康に対するリスクを考慮に入れることは適切でないとした結論を破棄する。

(c) パネルが、クリソタイルアスベスト繊維とPCG繊維が、1994年GATTのⅢ:4条の「同種の産品」にあたるとしたこと、また、カナダが、それらの繊維が、この規定における「同種の産品」であることについての証明責任を満たしていなかったとした結論を破棄する。

(d) パネルが、クリソタイルアスベスト繊維含有とPCG繊維含有のセメント製品が、1994年GATTのⅢ:4条の「同種の産品」にあたるとしたこと、また、カナダが、それらの製品がこの規定における「同種の産品」であることについての証明責任を満たしていなかったとした結論を破棄する。

(e) これらの結果として、この強制法規が、1994年GATTのⅢ:4条に適合したいとしたパネルの結論を破棄する。

(f) パネルが、問題となっている強制法規が、1994年GATTのⅩⅩ(b)条の規定における、「人の・・・生命及び健康を守るために必要である」としたこと、また、パネルが、この結論に至るにあたって、DSU(紛争解決に係る規則及び手続に関する了解)11条の規定にしたがって審議をおこなったことを認める。

(g) パネルが、その強制法規が、1994年GATTのⅩⅩⅢ:1(b)条の規定に該当する原因となりうるとした結論を認める。
(GATTのⅩⅩⅢ:1(b)条は、その強制法規が、他に該当する規定がない場合に限り補足的に適用される条文ではなく、GATTの健康保護を目的とする他の条項に該当する場合においても、同時に適用されるとした判断を支持するということ。)

以上の結論から、カナダは、この強制法規が、協定に基づくヨーロッパ共同体の責務に反するのもであることを立証するには至らなかった。したがって、上級機関は、DSUの19.1条に基づき、DSB(紛争処理機関)に対して、いかなる勧告も行わなわない。

(参考)
  WT/DS135/AB/R  Page 70
  Ⅸ. Findings and Conclusions
  http://www.wto.org/english/tratop_e/dispu_e/135abr_e.pdf