パネルの質問に対する科学専門家の回答について、ヨーロッパ共同体(EC)のコメント
-専門家の回答の要約-
質問 NO. | P.INFANTE | N.H.DE KLERK | D.W.HENDERSON | A.W.MUSK |
1(a)リスクをもつ職種の主なもの | 主として二次的な使用者(ビルディング産業、取り扱い作業、管理作業など) | 主として二次的な使用者(ビルディング産業、取り扱い作業、管理作業など) | 主として二次的な使用者(ビルディング産業、取り扱い作業、管理作業など) | 主として二次的な使用者(ビルディング産業、取り扱い作業、管理作業など) |
1(b)主として職業的リスクかそれとも環境的リスクか | 主として職業的リスク、または職業に関連するリスク | 主として職業的リスク、または職業に関連するリスク、及び環境的リスク | 主として職業的リスク、または職業に関連するリスク | 主として職業的リスク、または職業に関連するリスク、及び環境的リスク |
1(c)劣化したアスベストセメントからの繊維の飛散 | 繊維が飛散:微小で定量不可能なリスク | 繊維が飛散:微小で定量不可能なリスク | 繊維が飛散:微小で定量不可能なリスク | 繊維が飛散:微小で定量不可能なリスク |
1(d)アスベストセメントの取り扱いに伴う繊維の飛散 | 大量の繊維が飛散;確立されたリスク | 大量の繊維が飛散;確立されたリスク | 大量の繊維が飛散;確立されたリスク | 大量の繊維が飛散;確立されたリスク |
1(e)非飛散性のクリソタイル含有製品の取り扱いに伴う繊維の飛散 | 繊維の飛散;作業者や補助者に対する確立されたリスク | 繊維の飛散;作業者や補助者に対する確立されたリスク | 繊維の飛散;作業者や補助者に対する(定量不可能な)確立されたリスク | 繊維の飛散;作業者や補助者に対する確立されたリスク |
1(f)アスベストセメントから飛散した繊維の危険性 | 危険な繊維 | 危険な繊維 | 危険な繊維(少なくともそれらのいくつかは) | 危険な繊維 |
1(g)アスベストの解体や除去に伴うリスク | 確立されたリスク | 確立されたリスク | 可能性の高いリスク | 確立されたリスク |
1(h)廃棄物のリスク | 理論的なリスク;おそらく低レベルのリスク | 理論的なリスク(適切に処理されなかった場合) | 理論的なリスク(適切に処理されなかった場合) | 理論的なリスク(適切に処理されなかった場合) |
1(h)廃棄物を処分する際の安全性 | 意見なし | 理論的なリスク(適切に処理されなかった場合) | 理論的なリスク(適切に処理されなかった場合) | 理論的なリスク(適切に処理されなかった場合) |
2.クリソタイルの他の用途によって発生するリスク | 確立されたリスク | 確立されたリスク | たいていの用途に対しては確立されたリスク、おそらくその他の用途でも同様 | 確立されたリスク |
3(a)(b)(c)クリソタイルと角閃石系アスベストの病理発生学的な比較 | クリソタイルと角閃石系アスベストは発がん物質で肺がんと悪性中皮腫を発生させる/肺がんに対するクリソタイルの発がん性は角閃石系アスベストに匹敵するが、悪性中皮腫についてはそれほど高いものではないとみられる/物理的、化学的な特性が決定的な役割を果たす | クリソタイルと角閃石系アスベストは発がん物質で肺がんと悪性中皮腫を発生させる/角閃石系アスベストの発がん性のほうがクリソタイルより高い(特別な反応はがんのタイプによらない)/物理的、化学的な特性が決定的な役割を果たす | クリソタイルと角閃石系アスベストは発がん物質で肺がんと悪性中皮腫を発生させる/悪性中皮腫に対するクリソタイルの発がん性は角閃石系アスベストよりも低い;おそらく、肺がんに対する発がん性に比べそうである/物理的、化学的な特性が決定的な役割を果たす | クリソタイルと角閃石系アスベストは発がん物質で肺がんと悪性中皮腫を発生させる/角閃石系アスベストの悪性中皮腫と肺がんの発がん性のほうがクリソタイルよりも高い/物理的、化学的な特性が決定的な役割を果たす |
4(a)クリソタイルの低濃度暴露に関する疫学的なデータ | 多くの職業についての確立されたリスク | いくつかの研究では高いリスクを示さない | 暴露の量反応関係を定量化できるデータはない | いくつかの研究では高いリスクを示さない |
4(b)安全な閾値 | どの疾病に対しても閾値は存在しない | 閾値の存在を示すことは不可能 | (アスベスト肺を除いて)閾値は存在しない | どの疾病に対しても閾値は存在しない |
4(c)(d)直線モデル | 直線モデルは最も適切:他にこれに代わりうる信頼できるモデルはない | 直線モデルは最も適切:他にこれに代わりうる信頼できるモデルはない | 直線モデルは最も適切:他にこれに代わりうる信頼できるモデルはない | 直線モデルは最も適切:他にこれに代わりうる信頼できるモデルはない |
4(e)クリソタイルの暴露濃度と暴露期間 | リスクが存在しない低濃度のレベルはない | リスクが存在しない低濃度のレベルはない | リスクが存在しない低濃度のレベルはない | リスクが存在しない低濃度のレベルはない |
5(a)(b)(c)(d)「管理された」使用 | 大多数の状況において実際には不可能 | 大多数の状況において実際には不可能 | 大多数の状況において実際には不可能 | 大多数の状況において実際には不可能 |
6(a)非繊維状の代替品のリスク | 発がん性はない | 直接回答できない;発がんのリスクについては繊維状の代替品のみが検討されるべき | 直接回答できない;発がんのリスクについては繊維状の代替品のみが検討されるべき | 直接回答できない;発がんのリスクについては繊維状の代替品のみが検討されるべき |
6(b)(c)代替繊維の物理的、化学的特性;クリソタイルと比較したリスク | 寸法と形状(吸引可能かどうか)と体内の滞留性が毒性と関連している すべての代替繊維はクリソタイルよりも危険性は低い |
寸法と形状(吸引可能かどうか)と体内の滞留性が毒性と関連している すべての代替繊維はクリソタイルよりも危険性は低い |
寸法と形状(吸引可能かどうか)と体内の滞留性が毒性と関連している すべての代替繊維はクリソタイルよりも危険性は低い(リフラクトリーセラミックについては疑わしい) |
寸法と形状(吸引可能かどうか)と体内の滞留性が毒性と関連している すべての代替繊維はクリソタイルよりも危険性は低い |