アスベストについて考える犬スモールアスベストについて考えるホームページ~2013年8月15日 全面改修のためテスト運用中です。

~アスベスト問題と企業の責任について考える

アスベスト救済基金負担~特別事業主の要件とは?

選ばれた4つの企業-特別事業主はどのように決められたか-

その5- スレート上位5社で60%

2006.12.3更新


(※ここで書かれている内容は、これまでにわかっていることをもとにしています。
今後の情報や回答を受けて、訂正されることがあるのでご注意ください。)

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この前のメールで、
国土交通省が、造船部門3社のアスベストの累積使用量を調査し、1万トンに満たないから
該当しないと判断した、その際、造船部門でアスベストがほとんど取り扱いをやめた
昭和57年の使用区分のデータ(造船部門0.5%)を使ったといいました。

これがその表です。
アスベスト製品等流通経路調査の144ページに出てくる表
昭和58年度の環境省委託調査報告書

一方、経済産業省が行ったアスベスト使用量の調査は、今年2月はじめ、
住宅産業窯業建材課から、企業宛に調査票を送付し、それに企業が回答を送る
という形で行われました。

正確な日付は、
 メールによる依頼
  2006年2月2日(2月10日が提出期限)
 FAXによる依頼
  2006年2月15日(2月20日が提出期限)
で、事業主負担検討会の開催時期、7月25日~8月30日よりも、
半年近く前に調査が行われていたことがわかります。

経済産業省からやっとで送ってもらった、調査票と依頼文をみてください。
http://park8.wakwak.com/~hepafil/pdf2/hutan/meti-tyousa.pdf

経済産業省は、昨年8月26日に
「経済産業省の所管に係る企業のアスベストによる健康被害の状況の結果について」
http://www.meti.go.jp/press/20050826002/higaichousa-set.pdf
で、企業ごとの被害状況の調査結果を発表していました。

経済産業省は、この時の企業93社から、アスベストの使用量が多いと思われる39社を選びだし、
それぞれに直接調査票を送って回答を求めたということです。
(39社から全部から回答があった。)

「アスベストの使用量が多いと思われる39社」は、社団法人日本石綿協会の福田さんに
相談をして、福田さんの意見をもとに、経済産業省が行った業界などへの
調査結果などから判断して決めたといいます。

39社から送られた回答をもとに、事業場ごとのアスベストの累積使用量を計算しました。
アスベストの使用量が1万トン以上あった事業場の数は、62事業場だったということです。
(何社かは不明)

調査の依頼文を見ると、経済産業省は、この調査に先立ち、企業ごとのアスベスト使用量について、
すでに企業から報告を受けていたことがわかります。

事業場ごとのアスベストの使用量調査を、企業全体の使用量調査の後に再度行なったわけは、
この時期に、事業場ごとの要件でを決める動きが出てきたということを意味しているのかもしれません。

この調査で、1万トン以上の使用量があることがわかった62事業場を、拠出金の対象に
することはできないでしょうか?

環境省の挙げている3つの要件のうち、(市区町村の中皮腫死亡数が全国平均以上という要件ははずすとして)
①労災認定件数、10件以上
②アスベストの累計使用量1万トン以上
のいずれかの要件を満たした事業場を、拠出金算定の対象にするのはどうでしょう?

今のように、3つの要件をすべて満たした事業場を選び出すのではなく、ひとつの要件を満たしていれば
該当することにする(andではなくorにする)、かりに、事業場ごと要件で決めるとしても、
そういう決め方にすることもできるはずなのです。

はじめにあげた「アスベスト製品等流通経路調査」では、昭和57年の製品区分では
石綿スレートの割合が64%を占めていました。

最も主要な製品であった石綿スレートの製造企業について、次のように書かれています。

「石綿スレート協会傘下の企業数は29社44工場でうち中小企業は23社25工場となっている。
中小企業の比率は生産数量比率で約36%である。
しかし業界上位5社で生産比率が約60%を占める割合となっており、中小企業の比率が
増加傾向を示しているものの、まだ大企業と中小企業の格差が非常に大きく、
中小企業の組織の強化等の必要にせまられている。」

石綿スレートの60%を占める上位5社・・・こういう主要な企業が特別拠出金を負担する義務を負わずに、
アスベストとは関連のない一般企業に負担を負わせてしまう結果になっていないのかどうか

経済産業省がアスベストの使用量の調査をたびたび行い、その調査結果があるのにもかかわらず、
わずか5つの事業場が該当するかどうかということだけにしかその結果を生かしていないこと、
これでいいのかなと思います。

                              2006.10.19 

                              2006.10.14