アスベストについて考える犬スモールアスベストについて考えるホームページ~2013年8月15日 全面改修のためテスト運用中です。

~アスベスト問題と企業の責任について考える

アスベスト救済基金負担~特別事業主の要件とは?

選ばれた4つの企業-特別事業主はどのように決められたか-

その4- 使われなくなった時期のシェア

2006.12.3更新


(※ここで書かれている内容は、これまでにわかっていることをもとにしています。
今後の情報や回答を受けて、訂正されることがあるのでご注意ください。)

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2日の12時から、経済産業省と国土交通省、環境省の担当者から、アスベストの推計方法について話をお聞きしたとお伝えしていました。

私は、その内容があまりにひどいと思ったので、続きが書けませんでした。
それで、政党への質問書を作りました。

今までどうしてもやらなければならないと思っていたのですが、自分が何を聞くべきかはっきりわからないような気がして、なかなかできなかったことです。

でも、何とかお送りすることができました。
自治体宛の質問の回答は、半数程度が集まっています。
報道されている事業場のことを書いてくださっていないところには、もう一度質問をお送りしました。

他にも、遅れる旨の連絡をいただいているところもあります。
連休に、都道府県ごとの施設などを調べて、今日催促のメールを送りました。

それで、もう一度、国土交通省と経済産業省と環境省の担当者の方たちにお電話をして、2日にお聞きしたことを確認してみることにしたのです。

結果はこうでした。

お伝えしたように、国土交通省の所管分、
 住友重機械工業(株)横須賀製造所
 三井造船(株)玉野事業所
 (株)IHIマリンユナイテッド呉工場(石川島播磨重工業(株)旧呉第一工場)
は、労災件数10件以上の要件は満たしているけれど、アスベスト使用量1万トンの要件を満たしていないので、
拠出金を算定する事業場には該当していないということでした。

では、この3つの事業場のアスベスト使用量は、どのように推計されたのでしょうか・・・

[日本の過去のアスベストの総輸入量967万トン]に、[昭和57年の造船部門のアスベスト使用量 0.5%]を掛けて、
造船業界全体で使用したシェアを出し、
これに、総建造量に占めるそれぞれの事業場の建造量の割合から、その事業場の使用量を決めた、
というのです。

「昭和57年の造船部門のアスベスト使用量」の 0.5%は、昭和58年度の環境省委託調査報告書
アスベスト製品等流通経路調査の144ページに出てくる表(下の図)
「日本におけるアスベスト製品の製品区分と使用区分(昭和57年)」にある、
 船舶 0.5%
という数字を指しています。

昭和57年のアスベスト使用区分、船舶 0.5%・・・これが、これまで造船業界が使ったアスベストの使用量を表す数値でしょうか?

少なくとも三つの事業場うちの一つ、
 (株)IHIマリンユナイテッド呉工場(石川島播磨重工業(株)旧呉第一工場)
は、昭和50年代半ばまでしかアスベストを使用していないということでした。

では、他の造船の事業場はどうだったのか?
厚生労働省の労災件数のデータで、主な造船の事業場のアスベストの取り扱い期間を見てみると、次のようになっています。

 日立造船(神奈川工場)  昭和16年~昭和50年
 住友重機械工業(横須賀製造所) ~昭和62年
 日本鋼管(鶴見造船所)  昭和30年頃~昭和50年頃
 日立造船(舞鶴工場)  昭和46年~昭和50年
 日立造船(桜島工場)  明治時代~昭和46年/昭和46年~昭和55年
 三菱重工業(神戸造船所)  ~昭和57年7月
 石川島播磨重工業(横浜第2工場)   ~昭和50半ば
 石川島播磨重工業(旧名古屋工場・愛知工場)  ~昭和50年代半ば
 日本鋼管(津製作所)  昭和44年~昭和53年
 IHIマリンユナイテッド(石川島播磨重工業呉工場)  ~昭和50年代半ば
 日立造船(向島工場)  ~昭和53年
 神戸船舶装備(下関工場)  昭和39年~昭和59年
 三菱重工業(下関造船所)  昭和30年~昭和53年
 三菱重工業(長崎造船所)  昭和5年~昭和56年
 三井造船(千葉事業所)  昭和40年~昭和62年
 住友重機械工業(横須賀製造所)  昭和46年~昭和62年
 日本鋼管(清水製作所) 昭和33年~昭和45年頃
 ハイテック(大阪)  昭和22年~昭和54年
 日立造船(大阪工場)  ~昭和60年
 三菱重工業(神戸造船所)  ~昭和57年
 石川島播磨重工業(相生第一工場)  昭和9年~昭和52年頃

昭和57年というのは、ほとんどの造船の事業場でアスベストの取り扱いがなくなっている時期になるのです。

ほとんど使われなくなっている時期のシェア0.5%を使って、それまで造船業界が使った使用量全体を出すことが、なぜできるのでしょうか?

国土交通省造船課の田村さんは、
それ以外のデータがない以上、公的な機関の統計データを使用して計算することは間違いではないと言っています。

経済産業省では、各メーカーに使用量を問い合わせている(と言っている)のですが、国土交通省は、3つの事業場に対して使用量を調査していません。

使用しなくなった時期のデータを使って、現実とは程遠い推計を出すくらいなら、メーカーに使用量を聞くほうがよほどましではないのでしょうか?

公的なデータを使った推計といっても、もう使われなくなっている時期のデータなら、それ使って計算することは、でたらめとどこが違うのかと思います。

それ以外のデータがないからこの数値を使うことが認められるなら、それまで何もしてこなかったことが、新たな間違いを正当化できることになってしまいます。

こんなことがなぜ許されるのか、本当にわかりません。

弱いものには、強いものは、 間違ったことをしてもいいということなんだと思う。
力というものは、間違ったことでも正しいことに変えることができる、そういう力なんだ・・・と思うしかないのです。

経済産業省の方が、これよりましなのかましでないのか、また明日お伝えすることにします。