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選ばれた4つの企業-特別事業主はどのように決められたか-
その3--過去の造船の使用量?
(2006.10.11更新)
(※ここで書かれている内容は、2006.年10月1日までにわかっていることをもとにしています。
今後の情報や回答を受けて、訂正されることがあるのでご注意ください。)
先ほどのメールで、
国土交通省の所管分
住友重機械工業(株)横須賀製造所
三井造船(株)玉野事業所
(株)IHIマリンユナイテッド呉工場(石川島播磨重工業(株)旧呉第一工場)
がアスベスト使用量1万トンの要件に該当しないため、対象からはずされているようだということをお伝えしました。
この3つの事業場は、社団法人日本造船工業会に所属していて、
国土交通省海事局造船課、が所轄しています。
厚生労働省の労災認定件数の資料では
住友重機械工業(株)横須賀製造所 は、「船舶塗装、外板の溶接等作業の際、石綿を使用」となっており、
アスベストの取り扱い期間は、昭和62年まで、労災認定件数は、平成11年から16年で肺がん3、中皮腫8とあります。
三井造船(株)玉野事業所(岡山県) は、「機械組立工程の際、断熱材として石綿使用」とあり
アスベストの取り扱い期間は、不明で、
労災認定件数は、平成11年から16年で肺がん9、中皮腫8となっています。
(株)IHIマリンユナイテッド呉工場(石川島播磨重工業(株)旧呉第一工場) は、
平成14年10月分社化に伴い、石川島播磨重工業(株)旧呉第一工場が(株)IHIマリンユナイテッド呉工場になったようです。
「船舶での石綿含有製品の取り扱いおよび周辺での作業」で、
昭和50年代半ばまでアスベストを使用していた、とされています。
労災認定件数は、平成11年から16年で、肺がん1、中皮腫5、
平成10年度分以前で、肺がん1、中皮腫8となっています。
住友重機械工業(株)の事業場は横須賀製造所の1箇所
三井造船(株)は、玉野事業所(岡山県)のほか、大阪府に藤永田事業場があります。
(株)IHIマリンユナイテッドは呉工場のほか、横浜、相生市(兵庫県)、東京都?
などに事業場がありますが、石川島播磨重工業の分が含まれたデータもあり、よくわからなくなっています。
問題は、
昭和62年までに使用された、住友重機械工業(株)横須賀製造所のアスベスト使用量と、
取り扱い期間が不明の、三井造船(株)玉野事業所のアスベスト使用量と、
昭和50年代半ばまで使用した、(株)IHIマリンユナイテッド呉工場(石川島播磨重工業(株)旧呉第一工場)
のアスベスト使用量を、国土交通省はどうやって調べたのかということです。
いくつかの事業場があり、分社化もあり、取り扱い期間が不明の事業場もあるのに。
労災認定件数では、中皮腫の件数もかなり多くなっているけれど。
とにかく、この3つの事業場のアスベストの累積使用量は1万トンに達していなかった、ということになっています。
でも、企業に対する調査は、国土交通省は行っていないし、自己申告も受けていないということなのです。
多分、何かの資料にもとづいて推定しているのでしょう。
それが何なのかということなのです。
アスベストの累積使用量は、特別事業主の要件に当てはまるかどうかと点で重要ですが、それだけではなく、
1万トン以上の事業場に該当して特別事業主になると、拠出金の算定額に大きく影響してきます。
環境省の提示している今の案では、アスベスト事業主に対する拠出金の額は、該当する事業場のアスベストの使用量と労災認定の人数で決まっており、そのうち、
アスベスト使用量の比率がかなり大きく振り分けられていて、アスベスト使用量1万トン当たり 約750万円という計算になっています。
使用量が何万トンに推計されるかによって、特別事業主に該当するかどうかだけではなく、1万トン当たり約750万円という負担金が求められてくるので、
この使用量の推定がとても重要になるのです。
(ちなみに、労災認定のほうは1件当たり約13万円で計算されます。)
明日12時から、経済産業省で、経済産業省企画調整補佐のはたさんと、国土交通省環境海洋課いいづかさんから、このアスベスト使用量の推定方法の件で、
お話をお聞きしてきます(環境省企画課の竹内さん、経済産業省の付き添い)。
経済産業省が39社に送ったという調査票とその依頼文も、明日渡していただけると思うので、
どこにどのように送って調査をしたのかお聞きしてきます。
造船の昭和50年代のアスベスト使用量がどうしたらわかるのか、
そういうことも、明日になればわかるかもしれません。
わかることが増えるとわからないことももっと増えるかもしれませんが(いつものこと)、
とにかく、皆さんも楽しみに待っていてください。
(つづく)