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アスベスト新法:不作為の結末-8

 ~間違った検証~(2006.1.3)

「検証」とはどういう意味なのか?
間違いがあったのかなかったのか調べることである。

ではその「検証」自体に間違いがあったら、どうなるのだろう?
それが、些細な間違いであるにしても、普通ならありえないような間違いだとしたら?

国土交通省が、昨年8月26日に公表した「過去の対応の検証」には、そういう間違いがあった。

冒頭、「検証結果」のはじめ、「建築関係について」、次の三期に分けて検証した。
 第一期(昭和62年度(1972年度)以前)
 第二期(昭和62年度(1985年度)~ )
 第三期(平成3年度(1991年度)~ )

西暦と元号のどちらをみればいいのか、1972年と1985年という数字がどこから出てくるのかわからない。
年度区分の表記がおかしいため、どういう区切りなのかわからず、混乱してしまうのだ。
はじめ、これは単純だがひどい間違いなので、いずれかの段階で訂正されるのだろうと思った。
大事な検証に、すぐにでもわかる初歩的な間違いをして、国土交通省はさぞかし困っているだろうとも思った。
しかし、訂正もなく、何もおこらなかった。

待ちくたびれた私は、ついに11月頃になって担当課を探して電話をした。
本当に検証の意味を考えてしまったのはこの後だ。
担当者は、西暦の表記の間違いで、単純なミスだと言った。
これまでこの間違いが内部で問題になったことはなく、閣僚会議で指摘されたこともない、この電話を受けるまで、このような間違いがあることは気づかなかったと言ったのだ。
重要な箇所の単純なミス、誰からもそのミスを指摘されることもなかったということ、それは、内部で検証内容をチェックすることもなく発表され、発表後も、その内容に関心が払われていなかったということを意味する。

さらにこういう問題もある。

電話では、この検証は、 「国土交通省総合政策局国土環境・調整課」が取りまとめたという話だった。
しかし、実際には、検証に間違いがあったといっても、どこに確認をすればいいのかすぐにはわからなくなっている。
検証には、どこが取りまとめたのかという担当部署の名前もなく、連絡先も書かれてはいない。

首相官邸のホームページには、「アスベスト問題に関する関係閣僚による会合」のページがあるが、「関係閣僚」といっても、出席者が誰なのかすらわからないのだ。

どこの省庁の誰が出席しているのか、担当部署はどこなのかもわからない。そして検証をした人もわからない。
「検証」に間違いがあっても、それを指摘することも、簡単にはできない仕組みになっている。

私たちは「過去の検証」どころか、「現在の検証」すらできない。
一方的に出される検証を、ただ受け取る以外にはないのだ。

間違った検証でもそうでなくても。
そういう「検証」だ。

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「アスベスト問題に関する国土交通省の過去の対応の検証」
平成17年8月26日
国土交通省

首相官邸 「アスベスト問題に関する関係閣僚による会合」