アスベストについて考える犬スモールアスベストについて考えるホームページ~2013年8月15日 全面改修のためテスト運用中です。

~アスベスト被害者救済の負担者について考える~


日本たばこ産業:JTへの質問
(2006.1.19)

2006年1月19日

日本たばこ産業株式会社 御中

      アスベストについて考える会   


アスベスト被害者救済基金の負担に関する貴社の見解について(質問)

 前略
 日頃、喫煙による健康被害を防止する対策を推進していただきありがとうございます。

 ご承知のとおり、昨年、アスベストによる被害者発生が問題となり、今国会で、アスベスト被害者救済法案の審議が行われようとしています。この法律により、アスベスト被害者救済のための基金が新設されるとのことです。 
 法案では、救済基金の財源として、アスベストとは関連のない事業者も資金の拠出を求められるほか、アスベスト製品の製造会社等、被害者発生に対して特に責任があると考えられる事業者には、特別の負担が求められています。

 ところで、喫煙とアスベストの関係については、特に肺がんの場合、発がんのリスクが相乗的に高まるとのことで、これについては、多くのアスベスト関連の書籍等に説明が出ています。

 また、労働者保護の立場から喫煙に関する規制があり、特に、昨年7月1日に施行された「石綿障害予防規則」には、次のように明記されていました。 ----
(喫煙等の禁止)第三十三条
事業者は、石綿等を製造し、又は取り扱う作業場で労働者が喫煙し、又は飲食することを禁止し、かつ、その旨を当該作業場の見やすい箇所に表示しなければならない。
 ----

 このようなことから、貴社はアスベストによる健康被害について、喫煙の影響を十分承知しておられると思います。また、被害者救済基金の負担に関しても、一定のお考えをお持ちであると考えますので、これらの点について、貴社の見解をお伺いしたいと思います。
 つきましては、下記の点について至急ご回答をいただきたいので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

1 アスベストによる健康被害と喫煙の関係について、どのようにお考えですか?

2 喫煙とアスベスト曝露よって、肺がん等の発がんのリスクが相乗的に高まるという研究結果があることはご存知ですか?また、知られた時期はいつ頃ですか?

3 上記のような研究結果を、貴社はどのように受け止めておられますか?また、それに対して、これまでどのような対応をしてきましたか?

4 貴社は、アスベスト被害者救済基金に、特別に資金を拠出する考えがありますか?

5 被害者救済基金の資金を負担すべき事業者について、貴社の見解を教えてください。

6 その他、アスベスト曝露と喫煙の関係について、貴社の行った研究や入手されている研究報告等があれば教えてください。



日本たばこ産業(JT)からの回答(2006.2.9)


(前文略)

以下の通り、ご回答申し上げます。

アスベストによる健康影響としては中皮腫との関連性が指摘されておりますが、喫煙は中皮腫とは無関係であることが
疫学研究から結論付けられているものと認識しています。

肺がんにつきましては、遺伝的素因、加齢、食生活、大気汚染等の環境要因などの多くのリスクファクターが存在し、それらが複雑に絡みあい発症するものですが、喫煙もリスクファクターであると認識しております。
また、個々の人が有する慢性疾患のリスクファクターを考えると、複数の要因を同時に持っている場合が少なくありません。
このような多数のリスクファクターが、それぞれどのように影響を及ぼしあうかについては、解明が極めて困難であると認識しています。

米国において、断熱材取り扱い労働者を対象とした疫学研究からアスベスト曝露と喫煙により、肺がんのリスクが相乗的に上昇するとの報告がある(Hammondら1979年)ことは承知していますが、米国人と日本人では、遺伝的素因や食生活等は異なっており、また、実際に曝露したアスベストの種類や曝露量をどのように評価するか等の問題もあることから、その結果をそのまま日本人に当てはめることは合理的でないと考えています。

なお、当社におきましてはこの件に関しまして研究や特別な調査を行ったことはありません。

また、今般成立した石綿による健康被害の救済に関する法律の中で、「石綿健康被害救済基金」の設置が規定され、今後、事業主の要件や特別拠出金等について検討されるものと承知しております。現時点において、当社としては、特別に資金を拠出する考えはございません。

以上、ご回答申し上げます。

今後とも弊社の活動にご関心とご理解を賜りますようお願い申し上げます。


               日本たばこ産業株式会社