パリパリした白いシーツ。 薬や消毒の匂いのする特有の空気。 それを感じた瞬間、俺は勢いよくベッドから起き上がった。 頭が重くてズキズキ痛んだけど、そんなものにかまってられない。 ここが病院だということはすぐにわかったけど、ここが病院だろうとどこだろうと、そんなことはどうでもいい。ただ、ここに時任がいないことが問題だった。 「あっ、久保田君気づいたの?」 とにかく、時任をさがしに行こうとした時、そう言って桂木ちゃんが病室に入ってきた。 その顔がやけに沈んでたから、なんとなく時任に何かあったんだってそんな気がする。 俺がじっと桂木ちゃんの目を見ると、桂木ちゃんはらしくなく俺から目をそらした。 「桂木ちゃん。時任がどこにいるか知ってる?」 「時任は…、さっきまでここにいたけど、今は家に帰ってて…」 そう言いつつ、桂木ちゃんの視線が泳いでる。 なぜかまともに俺の顔を見れないみたいだった。 俺にウソついてるね、桂木ちゃん。 「じゃあさ、俺も帰るよ」 「えっ?」 「時任が待ってるから」 「そ、それは、ダメよ」 「なんで?」 「疲労が溜まってる上に衰弱してて、二、三日は入院。そう病院の先生が言ってたんだから、おとなしく寝てなさいよ」 帰ると言った俺の言葉に、明らかに動揺してる感じが、桂木ちゃんの表情と声から伝わってくる。 それはとても嫌な嫌なカンジで…。 俺は開け放された病室の窓から生暖かい風が吹いてきた瞬間、気持ち悪くて吐きそうになった。 また雨が降りそうな気配がする。 「とにかく、今は寝ててよ。もう少ししたら五十嵐先生もくるから」 雨の気配を感じたら、さっきまで聞こえていた桂木ちゃんの声がなぜかやけに聞こえづらいくなった。外の景色も、聞こえてくるはずの声も、音も、なんだかガラス越しみたいに遠く遠くなる。 ここにいない時任のことだけが俺の中で大きく大きくなって、その重さがココロの色を、すべての感覚を麻痺させていくような感じがした。 「久保田君っ!」 俺は桂木ちゃんが止めるのもきかずにベッドから起き上がる。 時任を捜しにいくために…。 時任がどこにいるかはわからないけど、時任がここにいないなら、俺は時任のいるところまでいかなきゃならない。 そうしないと俺はダメだから…、時任がいないと何もかもがダメになるから…。 俺は時任を欲しがって、俺の世界が、俺のすべてが狂っていくのを止めなきゃならない。 「お願いだから行かないでよ!」 「…それはできない」 「私…、時任に言われたの…」 桂木ちゃんが何を言っても立ち止まるつもりなかったけど、その口から時任の名前が出たから、俺は足を止めた。ドアの方から桂木ちゃんの方を振り返ると、じっと何かに耐えるみたいな顔してこっちを桂木ちゃんが見てる。 桂木ちゃんは今にも泣きそうな顔をしてた。 「時任が何て?」 俺がそう言うと、桂木ちゃんは苦しそうに息を吐く。 その吐息を聞きながら、俺はその言葉の先を待った。 「久保田君が倒れたって聞いて、私と五十嵐先生が病院に駆けつけた時、時任は久保田君のベッドの横にじっと座ってた。久保田君の手をぎゅっと握って…。けど、私達が来たのに気づいたら、逃げるみたいに病室飛び出してったの。『頼むから、絶対に久保ちゃんに俺のこと探させないでくれっ。頼む、お願いだから』って、そう言って…」 「・・・・・・・」 「今、久保田君が捜しに行っても、時任は逃げると思う。だから、時任を捜すのは私と五十嵐先生にまかて寝てて。絶対に探し出して見せるから」 桂木ちゃんの口から伝わった時任の言葉が、俺の胸に突き刺さる。 時任は自分の意思で俺の前から姿を消した。 眠ってる間に…。 たぶん、俺が倒れたのは自分のせいだって自分自身を責めながら、痛みと哀しみに暮れて、時任はそうすることを選択したに違いなかった。 けど、時任のした選択を俺は受け入れるわけにはいかない。 哀しくて苦しくて泣いてる時任を抱きしめなきゃならないから…。 俺はただひたすら、そのココロを身体を抱きしめるために、どこへでも、どこまででも…、今日も、明日も、無いかもしれない未来までも時任を追いかけなきゃならない。 俺がこの世界で生きるために…。 俺は必死に引き止めようとしてる桂木ちゃんに、 「それでも行くよ。やっぱり時任は俺を待ってると思うから」 と言うと、ドアへと歩き出す。 すると桂木ちゃんは、目にいっぱい涙をためて微笑んでた。 心配しなく平気だよ、桂木ちゃん。 俺は絶対に時任を捕まえてみせるからさ。 けど、そうするのはたぶん時任のためじゃなくて俺のため。 苦んで哀しんで俺から逃げた時任を捕まえて抱きしめることは、やっぱり俺のエゴでしかないのかもしれないけど、だからって引けるほど簡単で単純な想いじゃない。 みっともなくてドロドロしてて、ちっともキレイじゃないけど、それは紛れもなく時任を欲しがって、恋しがってる俺のココロ。けど、そのココロを隠してキレイなモノだけ並べたりしてたら時任は捕まえられない。だから俺は、そんな自分を情けなくさらして生きていこうと思った。 それだけが、俺にとって譲れないこと、譲れないモノだから…。 たとえそれが狂気でしかなかったとしても、そんなこと俺には関係ない。 時任のココロも身体も誰にも絶対渡したりしないって、それだけが俺の望みだから。 もし、それさえ叶えられるなら、時任が俺のそばにいてくれるなら、邪魔をするすべてのモノに俺は銃口を向けて引き金を引くだろう。 少しも後悔なんかせずに・・・・。 マンションに戻ると、やっぱり時任は戻ってなかった。 たぶん、もう戻らないつもりだろう。 俺は少し考えた後、一番近い駅に行って切符の自販機と行き先を示した掲示板を眺めた。 たぶん、時任はとにかく俺に見つからないようにこの街から離れようとする。 けど、行き先はお金をそんなに持ってないから遠くない。 たぶんココだろうと思う場所のボタンを俺は押した。 波の音が…、遠く近く聞こえる。 海の果てから吹いてくる風が、冷たく冷たく砂浜を撫でていた。 さっきまで晴れていたのに、風がどんどん雲を運んできて空を灰色に染めてく。 久しぶりに見た海は、まるで何かを飲み込もうとしてるかのように見えてなんだか恐かった。 前に来た時は、すごくキラキラしててキレイに見えたのに今は全然違ってる。 けど、違ってしまったのはたぶん海のせいじゃなくて、俺せいなのかもしれない。 あの時はこの手に大好きな暖かい手が繋がれてたけど、今は寒く冷たく冷えていくから、俺の目にうつるモノも冷たく凍えてたりするんだろう。 俺はこの海が風が目にうつるものすべてから冷たく寒く感じてたから、凍えないようにさっきからずっと自分自身を抱きしめていた。 けれど、そうしてても指先から段々熱が奪われていくような気がする。 目の前の光景を見ていたくなくて目を閉じると、目蓋に病院のベッドで眠ってる久保ちゃんの姿が浮かぶ。 疲れて果ててやつれた久保ちゃんの顔。 それを見てることができなくて、俺は病院でぎゅっと久保ちゃんの手を握って床を見つめてた。 壊れたココロを抱えて、ただ手から伝わるぬくもりを握りしめてたけど、この手を離さなきゃならないって、そればかりを思って考えて…。 そうしようとしてる自分に、離れなきゃならない事実に傷を負いながら、久保ちゃんの手に自分の頬を押し付けてた。 俺がそばにいる限り、久保ちゃんはきっと苦しみ続ける。 ずっとずっと…。 俺は久保ちゃんの苦しみを痛みを止めたかった。 久保ちゃんの痛みを俺の痛みにして、久保ちゃんを救いたかった。 でも、そんなことはムリだから、どうしてもできないから、俺は久保ちゃんから離れるしかない。 好きで大好きで、そばにいたいってどんなに望んでいてもダメ。 その想いが久保ちゃんを壊すから…。 けど…。 久保ちゃんの手を離して、暖かい腕を離れて…、俺はそれでも生きることにしがみついていられるのかな? こんなに痛くて痛くてたまらないのに。 こんなに苦しくてたまらないのに。 久保ちゃんへの想いを胸の中で殺して、それでも平気でいられる? こんなに想いがいっぱいなのに、それ全部殺して、からっぽなココロ抱えて…。 …それでも、それでも生きてかなきゃならねぇのかな? そんなの嫌だって、何もかも投げ出してしまいたくなるのに。 どうしよう、久保ちゃん。 暗い暗い海から波が押し寄せてきて、俺を飲み込もうとしてるみたいな気がする。 俺はいつの間にか波打ち際に立っていた。 寄せては返す波が足を洗っていたけど気にしない。 俺はさっきまで恐いと思っていた海が恐くなくなっていた。 一歩、また一歩と足を前へと踏み出していく、すると波が次第に俺のズボンを濡らす。 けれど、もうそんなことどうでも良かった。 俺は、ただひたらすらこの痛みと苦しみから開放されたいって、もうまともに働いてない頭の隅で思ってたから…。 久保ちゃん…。 久保ちゃんがいないと苦しくて…、苦しすぎて…、もう…。 何もかもがなくなっていく。 頭の中も、心の中も白く白く染まっていくような気がした。 …もう波が肩まで来てる。 けど、俺が構わずもう一歩踏み出そうとした時、何かが俺の身体が前進するのを防いだ。 一瞬、何が起こったのかわからなかったけど、俺のこと止めてる腕に冷え切った手を乗せた瞬間、それが誰なのかがわかった。 「く、ぼ、ちゃん…」 打ち寄せる波に濡れた髪、じっと俺のこと見つめてる静かな瞳。 久保ちゃんは俺と同じように冷たい海の中に立ってた。 俺はそれが信じられなくてしばらく動けないでいたけど、久保ちゃんから逃げなきゃいけないことに気づいて、深い海に足を取られそうになりながら久保ちゃんの腕から逃れようとする。 けど、久保ちゃんの腕が強く強く抱きしめてくるから、どうしてもそれから逃げられなかった。 「放せっ!」 叩いても殴っても、久保ちゃんは腕を放そうとしない。 久保ちゃんから逃げなきゃ、逃げなきゃって思ってるのに、抱きしめてくる腕が暖かすぎてその腕に縋り付きたくなる。その腕に抱きしめられたくなる。 逃げたいのに、逃げたくない…。 「時任…、俺から逃げないで」 やがて疲れて動けなくなってしまった俺のことぎゅっと抱きしめて、久保ちゃんがそう言った。 苦しそうな辛そうな久保ちゃんの声。 その声を聞いたら、やっぱり逃げなきゃって思った。 久保ちゃんの痛みも苦しみもきっと俺の中にあるから、そばにいちゃいけない。 「俺は久保ちゃんのこと壊したくない。けど、一緒にいたら絶対壊すから、だからそばにはいらんない。俺に久保ちゃんのこと壊させないで…、頼むから…」 必死な想いで俺は久保ちゃんにそう頼んだ。 まだ一緒にいたいってココロが叫んでたけど、そしたら久保ちゃんは…。 そんなの絶対ダメだ、絶対イヤだ。 そんなのが、俺らの行く先だったなんて絶対に…。 俺は久保ちゃんに生きててほしい。 俺がこの世から消え失せても…。 久保ちゃんに存在することをやめてほしくなかった。 俺が生きてた時間も月日も、想いもココロも、全部久保ちゃんの中にあるから…。 「久保ちゃん、…俺が死んでも…」 生きてって、そう言おうとした。 けど、俺は最後までそれを言うことができなかった。 久保ちゃんの唇が、俺の唇を塞いだから…。 押し付けるみたいに重ねられた唇は、激しく強引にキスしてくる。 苦しくて口を開けると、すぐに久保ちゃんの舌がすべりこんできた。 「んんっ…」 そのキスに応える余裕なんて全然なくて、俺は久保ちゃんに翻弄されながらその身体にぎゅっとしがみつく。 唇から身体から久保ちゃんの体温が伝わってきて、それを感じている内にぽろぽろと自分の目から涙が零れ落ちていくのがわかった。 久保ちゃんのキスが暖かさが身体に染み込んできて、それが痛くて涙が止まらない。 ずっとずっとこうしてたいって、久保ちゃんのそばにいたいって、俺の意思を無視してココロが久保ちゃんのこと恋しがって欲しがって泣き叫んでる。 呼吸する間もないほど激しいキスは、まるで海の中にいるみたいに苦しかった。 久保ちゃんの痛みが伝わってくるみたいな感じがして…。 キスが終わると、久保ちゃんは抱える感じで俺をちょっとだけ持ち上げた。 久保ちゃんの両腕が腰の辺りに回ってるから、俺の足は海水を掻いてる。 けど、そうすると俺と久保ちゃんの視線の高さが同じになった。 俺が真っ直ぐ久保ちゃんを見ると、久保ちゃんも真っ直ぐ俺を見る。 久保ちゃんはじっと俺を優しく見てて泣いてなんかなかったけど、なぜか悲痛な叫び声を上げて泣いてるように見えた。見ているだけでまた涙が溢れて来るくら哀しいその声が、俺のココロに響いてくる。 久保ちゃんは俺の涙にキスすると、俺の額に自分の額をくっつけた。 「さっき、言おうとしたよね。俺が一番聞きたくない言葉」 「・・・・・・」 「どうしてそんな酷いこと言うの? 時任」 「久保ちゃん…」 「俺は時任を想ってる自分のココロを止められないし、止めたくもない。想い続けることを絶対にやめたりしないから…。だから、どこへ逃げても、どこまで逃げてもムダだよ。どこまでもどこへでも追いかけてくから」 「追いかけてなんかくんな…、だって俺は…」 「俺は時任と離れてなんかいられない。ココロが想いが世界が死んでしまうから…生きながら死んでくから…」 「・・・・・・・」 「止まらない想いを、俺のココロを殺さないで、時任」 暗い海から激しい想いが押し寄せてくる。 俺は久保ちゃんをありったけの想いを込めて抱きしめた。 「…久保ちゃん」 「好きだよ、時任。何もかもが壊れても放したくないくらい」 「…俺も好き、大好き。ホントは…、久保ちゃんのこと壊しても離れたくない。絶対に絶対に離れたくない」 「絶対に放さないから」 「…ずっと俺のコト抱きしめてて」 死が二人を分かつとも、その手を放さないでいよう。 ぎゅっとぎゅっと握って絶対にはぐれたりしないように…。 そうすることが、どんなに痛くてどんなに苦しくても、その痛みと苦しみがあるから生きていける。 その姿がどんなに無様で醜くても、君を抱きしめるこの腕を決して放したりせず、俺は今を…、君を想うこの瞬間を、君とともに生きていたい。 君の隣にいること…。 それが俺の唯一の…、たった一つの願いだから…。 ざわざわと辺りがいつにもまして騒がしい。 五十嵐は保健室で一人、机に向かって書き物をしながら朝の時間を過ごしていた。 今日は朝から早く来ているので、まだ職員朝礼までに時間があるからこうしてコーヒーを飲みながらのんびりしているのである。 「ほんっと、天気いいわねぇ」 昨日までやけに寒い日が続いていたが、今日は暖かい陽射しがグラウンドを照らしている。 そんなグラウンドを五十嵐が窓から見ていると、ガラッとドアが開いて生徒が一人入ってきた。 「おはようございます、五十嵐先生」 「あら、おはよう」 張りのある元気な声。 入ってきた生徒は、執行部の桂木だった。 桂木は室内を見回して、他の生徒がいないことを確認すると、 「ちょっと、話したくて来ちゃいましたけど、今いいですか?」 と、五十嵐に言った。 すると五十嵐はすぐにうなづいて、自分の前にある椅子を桂木に勧める。 桂木はそこに腰を降ろすと、さっきの五十嵐と同じようにグラウンドを眺めた。 「ほんっと、月日が流れるのって早いですよね。もう卒業なんて」 「あら、卒業したくないの?」 「そういうワケじゃないですけど」 「ふふ、なんとなく寂しいってのはわかるわね。私もさみしいもの」 桂木にもコーヒーを入れながら五十嵐がそう言って笑う。 桂木の胸には、卒業生のしるしである赤い花の飾りがついていた。 今日は荒磯高校の卒業式で、今年度の卒業生である桂木はそれに出席するために来ているのである。五十嵐がいつもより早く来ているのもそのせいだった。 「ねぇ、先生」 「なに?」 「私…、ちゃんと全員で卒業したかったな…」 「・・・・もう、二人が行方不明になってからそんなにたっちゃったのね。まだそんなにたってないって思ってたけど」 「そうなんですよね。だから、卒業なんて信じられない感じがちょっとするんです」 「もしかして、後悔とかしてるの? 久保田君を止められなかったこと」 「いえ、後悔はしてないんです。だって、私に『それでも行くよ。やっぱり時任は俺を待ってると思うから』って言った時、久保田君が微笑んでたから…」 あの時、桂木を見た久保田は、生きることをあきらめたようには見えなかった。 いつもみたいに微笑んで、そして病室を出て行ったのである。 桂木はその時の久保田の顔を、今も良く覚えていた。 久保田が倒れたあの日。 桂木と五十嵐は久保田が病院を出た後必死で二人の姿を探したが、結局見つからなかった。 そしてそれ以来ずっと、マンションにもどこにも二人の姿はなく、そのまま現在に至っているのである。 「今日の卒業式、久保田君と時任の席も用意してるんでしょ?」 「二人とも私のクラスメイトだから当たり前です、と言いたいトコですけど、始めは無しだったんですよね」 「もしかして、怒って二人の席置かせちゃったでしょう?」 「当たりです」 「桂木ちゃんらしいわねぇ」 桂木と五十嵐はお互いの顔を見合わせてひとしきり笑うと、小さく息をついて再びグラウンドに目をうつした。 五十嵐は来年度も荒磯にいるが、桂木はもうここで何気ない日々を過ごすことは無い。 桂木は何かを思い出したみたいに、静かに泣いていた。 「…あの二人来るかな?」 「うふふ、時任が来たりしたらきっとまた大騒ぎになるわね」 「ったく、本当にしょうがないヤツ」 「けど、実はアタシ好きよ。ああいう子」 「私は…、私は二人とも好きだったし」 「あら、気が多いわねぇ」 「そういう意味じゃありませんっ。そういう先生は時任まで好きなんて人のコト言えるんですか?」 「うふふ、私は久保田君一筋ですものぉ」 「はいはい」 「それにアタシはね、信じてるの。二人がちゃんと無事に戻ってくるって…。だって、二人揃えば無敵じゃない、あの子たち。だから平気よ心配ないわ。どこにいたって…」 「なんてったって、あの二人は執行部員ですもんね」 無敵で、強くて、誰にも負けない。 弱気を嘲り、強気をいびる、むちゃくちゃな正義の味方。 信頼しあってて、大事にしあってて、まるで呼吸するみたいに二人でいることが自然だった二人。 そんな二人だから、なにがあったって、どんなことがあったって負けない。 「私、時任みたら殴っちゃいそう」 「あら、アタシもよ。気が合うわね」 二人がそうして話をしている内に時間がたち、卒業生を集めるための放送が校内が流れた。 桂木は五十嵐に挨拶すると、スカートをひらめかせて集合場所まで走って行く。 『よう、桂木』 『おはよ、桂木ちゃん』 そんな何気ない日常にあった二人の声を思い出しながら…。 |
2002.5.5 前 へ *荒磯部屋へ* ・・・・・・・・完結です(;O;) なのになのに、コメントできなくてすいません(涙) なにか色んなのが一杯でうまく話せません。 最後まで読んでくださった方ありがとうございますm(__)m もし、執行部のOVAをお持ちの方がいらっしゃいましたら、読み終わったそのエンディング曲を聴いてくださるとうれしいです。 私はずっとこの曲聴きながら書いてました。 |