「久保ちゃん、今すぐ彼女に…っ、美里さんに連絡を取ってくれっ、頼む!」
コンビニに行った時任はマンションに戻ってくると、ただいまの挨拶もせずに焦った様子でそう言う。けれど、久保田は美里が居なくなったと聞いても、少しも動揺はしなかった。
眉一つ動かさずに時任の頼みを聞き、夜が明けても空が曇っているせいで暗いままの通りから視線を外し、持っていたケータイでアドレスにある美里の番号にかける。しかし、電源が切られているのか通じなかった。
久保田のケータイの着信履歴は美里の名前で埋まっているが、発信履歴に同じ名前が記録されたのは、奇しくも今日が始めてで…。もしも、この始めての記録が久保田の意志ではなく、時任に頼まれたから記録されたのだと知ったら、美里は何を思うだろう。
けれど、久保田はそんな事など考えもせずに通話を切り、淡々と事実だけを時任に伝えた。
「・・・・通じないみたいだけど?」
「やっぱ…、なんかあったのかもしれない。そもそも俺が教えた上に、こんなわかりやすい場所で道に迷うなんて、あり得ねぇし…な」
「それって、美里の話?」
「・・・・・コンビニで会ったんだ。久保ちゃんとケンカしたから仲直りしたいって言ってて、だから、この場所を教えた。そしたら、ココに向かったはずなのに、ココに未だに来てない…」
「・・・・・・・・」
時任から聞いた話ではコンビニに行くと美里が居て、自宅に向かう久保田の跡を付けて来たのだと言ったらしい。別れ話を無かった事に…ではなく、ケンカしたので仲直りしたいから、コンビニで待ち伏せしているのだと…。
美里が嘘ついたのか、本当にそう思っているのかはわからないが、そのおかげで別れた事がバレていないようだった。
けれど、その後、ここに向かったまま行方知れずとなり、時任の表情を曇らせている。
美里の行方よりも沈んだ時任の様子が気になるのは、やはり最低だからだろう。
最低で人でなしで…、救いようが無い。なのに、そんな久保田に向かって、時任は自分自身を責めるように拳を固く握りしめながら謝った。
「勝手なコトしちまって…、ゴメン」
自分が勝手な事をしたせいで、美里が居なくなったと…、
そんな風に時任は言ったけれど、時任が謝らなくてはならない事は何一つない。
美里が本当に行方不明になったのだとしても、それは時任のせいじゃない。
コンビニで待ち伏せをしなくてはならない理由を作ったのも、跡をつけられていると知りながら放置していたのも久保田自身だ。
別にマンションを突き止められても、中に入れなければいいだけ。
うるさければ、引っ越せばいい。
時任が部屋に居る事に気づかれても男相手にあらぬ疑いをかけられる事はないし、そもそも、一週間の同居は個人的な理由ではなく依頼された仕事だ。そう思っていたから、別れ話をした日から自分の後を付け回している美里を放置していた。
「ケータイ繋がらないのはケンカしてるからで、ココに来てないのは途中で気が変わっただけだと思うし…。お前が謝るようなコトは何もないよ」
「けどっ!」
「もしも、ホントに居なくなってたとしても、お前には関係の無い話だし、仕事のコトだけ考えてなよ。ま、お前んトコに依頼すれば話はベツなのかもしれないけど、ね」
「・・・・・・っ!」
「コレは俺らの問題で、お前には関係ないから…」
時任が傷つくとわかっていて、関係ないと自分で探すと久保田は言った。
すると、やっぱり時任は傷ついたような顔をして、視線を久保田から床へと落とす。小さく震えた肩と握りしめられた拳は、時任の素直な心情を示していた。
昔、まだ高校生で相方だった頃、久保田の言う「俺ら」は時任と久保田の事だったのに…、
今の…、七年後の久保田の言う「俺ら」の中には、時任は含まれていない。
関係ないと言われ俯いた時任の頭のつむじを、久保田をじっと眺めていた。
前向きで真っ直ぐな時任を俯かせ、その瞳に床を写させてしまっている自分自身を見つめるように眺め、そんな最低な自分を嘆くのではなく…、嘲笑い、蔑み…、
そして、それは時任を想うたびに深くなり、深くなり続け留まる事を知らない。
溜まり続け行き場の無くなった想いを殺すために、美里に名前も忘れてしまった女達に欲望を埋め続け、これまでもこれからも罪を重ね続けて、嘘をつき続けた。
「何かあっても何が起こっても、ただ俺がサイテイってだけのハナシで…。だから、お前がそんなカオする必要はどこにもないよ…、これまでもこれからも…」
だから、笑っていてと言いたかったけれど、やはり言えない。
関係がないと言った口で、最低なゴミの分際で、何を言うつもりなのかと嘲笑う自分自身の声に、紡ぎかけた言葉は途切れ続かなかった。
神崎の依頼を引き受けたのは、たった一週間だったからで…、
その間は昔のように、七年前のように日々を送り、また別れるつもりでいたのに、なぜか上手くいかなくて時任との間はどこかギクシャクしている。まるで、舞台の上で演技でもしているかのように久保田は七年前の自分を演じ、時任も普段は昔と変わらず笑っていても、毛布に包まり眠りに付いている時は誰かを想うように泣いていた。
けれど、久保田は時任の涙を見て見ぬフリを続け、七年前の自分を演じ続けるしかない。そうしなければ、一歩でも前に踏み出してしまえば…、誰かを想い泣いている時任に取り返しの付かない事をしてしまいそうだった。
だから、近づきたくても近づけない。
時任を傷つけたくない、相方だった頃を二人で居た過去を壊したくない。
でも、そう思った瞬間に、また耳元で何者かの声がいた。
・・・・・・・・・ウソツキ。
本当に聞こえたのではなく、これは幻聴。
でも、その幻聴を否定する気はない。
組み敷いて犯して…、閉じ込めて…、
そんな事は絶対にしてはならないのに、本当はそうしてしまいたかったから否定できない。
泣いている時任を抱きしめたい自分と、犯してしまいたい自分が心の中に居た。
「彼女は俺が探すから、お前は仕事に戻ってくれる? そうしないと、ココから動けないし?」
自分の中に渦巻く想いと欲望を誤魔化すように、久保田は時任のつむじから目を逸らす。
そうして、のほほんとした口調で安心させるように、美里と連絡取れたら、必ず知らせるからと微笑みかけた。すると、時任はようやく床から視線を上げ、久保田を見る。
けれど、美里の事を心配しているのか、まだ自分の責任だと思っているのか、少し青ざめた硬い表情でわかったとうなづいただけだった。
「腹減ったら鍋にカレーがあるから、ソレ食べててくれる?」
「うん…、わかった」
「ゴメンね、またカレーで」
「ベツに慣れてっから、カレーでいい」
「・・・・・・・そう」
「カレーがいいんだ…」
硬い表情のまま、そう言い直し…、時任は立ち上がった久保田に近づく。
ようやく上げた視線を久保田に向け、真っ直ぐに見つめて正面に立つ。
その時、指が腕が身体が…、存在そのものが時任の方へ引寄せられるのを感じた。
まるで、磁力のマイナスがプラスに引かれていくように、久保田の指が反応してピクリと動く。けれど、それでも久保田の指は手は…、時任に伸ばされることはなく…、
時任も真っ直ぐに見つめながらも、それ以上は何も言わずに久保田の横を擦り抜けた。
「・・・俺に出来るコトがあったら、何でもすっから」
「気持ちだけ、もらっとくよ」
横を擦り抜けた瞬間、交わした言葉まで交わらずに擦り抜け…、
時任は久保田に背を向け、久保田も時任に背を向けたまま一度も振り返らずに部屋を出た。
その二人の擦れ違い方は、昔、一度だけ一緒に見た恋愛映画のワンシーンにひどく似ていて…、ふいに思い出した懐かしい日々が脳裏に蘇る。
その映画は見に行きたいと言う時任に、半ば強引に連れて行かれたの時に見たもの。
だが、本当に見たかったアクション映画は一日前に公開を終了していて、それを知ってガックリうな垂れた時任と、せっかく来たのだからと適当に選んで入って見た映画だった。
その映画の題名は覚えていないが、とても平凡な内容で退屈で…、
けれど、うとうとしながら見ていたにも関わらず、擦れ違い誤解を重ねていく二人の姿を久保田は今も覚えていた。
横ですっかり眠ってしまっていた、時任の無邪気な寝顔と一緒に…。
大きなスクリーンに映し出されていた二人も、今の久保田と時任のように擦れ違っていた。
そして、擦れ違いを何度も繰り返して、それでもハッピーエンドを迎えていた。
けれど、あの二人は男女で…、久保田と時任は違う。
だから、もしも久保田と時任が主人公だとしたら、この物語にハッピーエンドは有り得ない。
有り得ないし…、そんな事を考えること事態どうかしている…。
久保田は軽く頭を振り脳裏に浮かべていた懐かしい日々を消すと、玄関のドアを開けて401号室を出た。
連絡の取れない美里を探すために…。
そして…、曇った時任の表情を晴らすために…。
けれど、本当はたぶん…、ただ逃げたかっただけなのかもしれない。
真っ直ぐに見つめてくる時任から逃げたくて、擦れ違ったまま背を向けて部屋を出た。
あの頃は真っ直ぐに見つめてくる瞳を見つめ返す事ができたのに、今はできないから…、
七年かけて…、それよりも本当は前から幾重にも塗り固めてきた嘘を、誰よりも大切に想っている人の瞳に暴かれるのが怖かったから…、
だから、振り返る事ができなくて、あの瞳に見つめられたくなくて逃げた。
まるで、二人で暮らした部屋を出た時のように…、真っ直ぐな瞳に背を向けた…。
「俺って弱虫なだけじゃなくて、卑怯者なんだよね…、知ってた? 桂木ちゃん」
部屋と外を分ける境界、閉じられたドアの前で久保田はそう呟く。
けれど、かつて話し相手になってくれていた気丈な紅一点は、ここには居ない。
だから、当然、問いかけに対して返事があるはずもなく、久保田はドアを離れエレベーターに向かう。そして、マンションの警備員が常駐している1階のボタンを押した。
エレベーターが4階に到着するまでの間、美里へ二度目のコールをしてみる。
しかし、まだ電源が切られているのか、美里のケータイには繋がらなかった。
「取り越し苦労だとは思うけど…、時任の勘は良く当たる。時任の勘の良さは、相方だった俺の折り紙つき…、だしね」
エレベーターのドアが開くと、久保田はそんな呟きと共に中に乗り込み1階のボタンを押す。そうして、4階から下の階へと点灯していくランプを眺め、次に押したボタンのある操作パネルを見た。
美里がマンションに来たかどうかは入り口やロビー、エレベーターに設置されている防犯カメラの映像を見ればわかる。だが、なぜか妙に普段は気にして見た事のない部分が気になり、久保田はいつも細い目を更に細めた。
「うーん…、妙と言えば妙かな…」
妙に気になる、各階を示すランプと操作パネル。
それらを眺めていると、すぐにエレベーターは1階へと到着しドアが開かれる。久保田は気になる部分を見出しながらも、エレベーターに留まらずに、まだ出来て新しいマンションのロビーに足を踏み入れた。
そして、コツコツと足音を響かせて警備員室のドアの前に立ち、軽くノックをする。
すると、カメラでマンションの内部を監視している警備員が中から出てきた。
「おや? 誰かと思えば、久保田さんじゃありませんか。貴方が警備室に来られるなんて、珍しいですね。何かありましたか?」
ドアをノックしたのが久保田だと知ると、警備員は愛想笑いを浮かべる。
実は久保田は他の入居者と違い、マンションのオーナーの勧めで入居した経緯があった。
そのため警備員の対応も、他の入居者とは若干違ってくる。
しかも、オーナーの表向きの職業は経営コンサルティング会社の社長となっているが、実際は久保田に良く代打ちの依頼をしてくる、お得意様。
つまり、この界隈を縄張りにしている組の関係者だった。
「ちょっち、気になるコトがあってね。3時間くらい前から今までの監視映像、見せてくんない?」
「そりゃ、久保田さんなら別に構いませんけど…、なんでまた?」
警備員は室内に久保田を招き入れると、各所に設置された映像を監視中の画面とは別に設置された確認用の小さなモニター画面に映し出す。すると、監視映像の上に録画された日付と時間が表示された。
映像に表示された日付は確かに今日で、時間も指定された3時間前。
けれど、早送りで次々にチェックしていった映像のどこにも、美里らしい人物は映っていなかった。映っているのは、マンションを出て帰ってきた時任と住人らしき人物が1名だけ…。
このマンションに非常口はあるが、そこの監視カメラの映像には誰も映っていない。
どうやら、監視映像を見る限り、美里はマンションには来なかったようだ。
だが、久保田は美里が映っていないのを確認した後も、一時停止させた映像を見つめている。しかも、その映像は美里が訪れたらしき時間ではなく、久保田が警備室に来る直前の映像。
玄関入り口の映像の、ある部分をじっと見つめていた。
「ねぇ、聞きたいコトがあるんだけど」
「あ、はいっ、なんでしょうか? 自分に答えられる事なら、何でも答えますよ」
「なら・・・・・、神隠し」
「・・・・っ!!」
唐突に言った久保田の一言に警備員の顔色が変わったが、それはほんの一瞬だけで、すぐに元に戻る。けれど、それを横目で眺め見逃さなかった久保田は、のほほんとした表情で、現在の玄関入り口のカメラの映像に視線を向けた。
「なーんてね、ジョウダン。神隠しの噂が流行ってるらしいから、ちょっと言ってみただけ」
「は、はぁ、そうですか」
「ホントに聞きたかったのは、今日の天気」
「今日の天気なら…、あぁ、曇っているみたいですね」
今日の天気を答えた警備員が見ていたのは、久保田が見ているのと同じ玄関入り口のカメラの映像。朝になるとそこに差し込むはずの光が、今日は映し出されていなかった。
なのに、一時停止させた画面には、差し込んだ光が映し出されている。
401号室の窓から外を監視していた久保田だからこそ、今日は曇りで朝から一度も厚い雲の間から、わずかでも光が漏れ、マンションを街を照らした事が無いのを知っていた。
だが、久保田はそのまま何も言わずに、何も問わずに警備室を出た。
「・・・・・・どうも、俺の気のせいだったみたいだから。悪いね、仕事の邪魔して」
「いいえ、これくらい別に大したことじゃありませんよ。それよりも、お茶でも飲んでいきませんか?」
「いいよ、これから用事あるし」
「そう言わずに、せっかく来てくださったんですから、たまに話しくらい」
「それじゃ、また…」
「ちょ、ちょっと…っ、久保田さんっ」
呼び止める警備員を無視して、パタリとドアを閉じる。
そして、エレベーターの前に立つと、ランプは4階で止まっていた。
だから、下まで降ろすためにボタンを押そうとしたが、その前に誰かが乗ったのかエレベーターは下降を始める。久保田はさっき見た映像の事を考えながら、下降してくるランプを目で追った。
久保田が見ていたのは差し込んだ光の映る玄関の映像と、映らない同じ場所の映像。
けれど、その違いは時間の差ではなく、日にちの違い。
いつ撮られたものかは知らないが、あらかじめ用意されていたものだろう。
しかも、手際の良い事に、美里が映った部分だけが差し替えられていた。
いくら監視カメラが設置されていたとしても、エレベーターに乗り1階に降りるまでの短時間で出来る芸当ではない。つまり、それは久保田が警備室に来る事を、それよりも前に予測し、知っていた人物が居るという事になる…。
だが、本当に美里が神隠しに合ったと仮定しても、その理由がわからない。代打ちの依頼が美里を通じて行われる事からもわかるように、美里も組と無関係ではなかった。
興味が無いため、本人に聞いた事が無いので詳しくは知らないが、元々は借金の片に売られた身の上らしい。今も久保田の連絡係をする他は、ヘルスで働いているらしかった。
それに理由はどうあれ、来ても居ない人物を、久保田はすぐには探しに来ない。
・・・・・だとしたら、考えられるのは・・・・。
短時間でそこまで考え終えた久保田は、ある考えに思い至り、ランプを見つめていた細い目を驚いたように見開く。まさかと思ったが、4階で何者かにボタンを押され、降りてきたエレベーターに乗っている人物が…、なぜか時任のような気がしてならない。
エレベーターの内部までは陽が差さないから、確認のしようが無いが…、
警備員が久保田を警備室に引きとめようとしたのは、もしかしたら、時任がエレベーターに乗るのを見たせいだったとしたら?
時任の勘ほどではないが、久保田の勘は良く当たる。
しかも、その勘は起こる事態が悪ければ悪いほど、良く当たる。
降りてくるエレベーターのランプが1階に点灯した瞬間、久保田は固く閉ざされたドアを思い切りドアを蹴った。だが、エレベーターはその衝撃を感知せず、1階で止まるはずのランプは…、他のどの階にも止まらず消える。
そうして、しばらくして再び1階のランプが点灯し、エレベーターのドアが開いたが…、
・・・・・・そこには誰も乗っていなかった。
久保田はそれを確認すると持っていたケータイで、時任に連絡を取ろうとする。
しかし、居なくなった美里と同じように、時任とも連絡が取れなくなっていた。
無人のエレベーターは次の乗り手が居ないせいで、久保田の目の前でドアを閉じる。
すると、久保田はケータイを右手で握りしめながら、閉じられたドアを左手でドアを勢い良く…、強く叩いた。
「会いたくなかった…。もう二度と一生、お前とは会いたくなかったのに…」
胸の奥から痛みと一緒に吐き出された言葉は本当で…、嘘…。
好きだから会いたくて、会いたくてたまらなくて…、
好きだから会うのが怖くて、怖くてたまらなくて会いたくなかった。
なのに、今エレベーターのドアの向こうで、お互いの顔を見る事もなく擦れ違ったように…、
運命のように呪いのように二人の時間は唐突に交差し、同じように唐突に奪われた。
真っ直ぐな瞳に見つめられたくなくて、逃げたせいで時任はランプと共に消え…、
なのに、こんな時だというのに、昔、一緒に見た恋愛映画のタイトルを思い出し、久保田は再び開いたエレベータに乗り込みながら唇をきつく噛みしめた。
・・・・・・背中越しのI love you。
好きだと紡ぐ唇からは、決して声が出ることはなく…。
唇だけで囁きかけるのは真っ直ぐな瞳ではなく、擦れ違い続ける背中。
それは背中越しの届かない、届いてはいけない想いだった。
どんなに好きでも愛していても…、だからこそ伝えられない…。
殺していくだけの、殺し続けるだけの想い。
けれど、今は胸の奥で響き続けた銃声が、自分の鼓膜を震わせない事を祈り…、
久保田はエレベータの天井にある救出口から、時任の居ると思われる場所へと向かった。
401号室に戻って時任の不在を確認をする余裕もなく、ただ自分の勘と…、
殺し続けた想いに…、導かれるように…。
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