2月22日にゃんこの日、お祝い参加vv
荒磯ニャンコ騒動 〜後編.1〜
煙の立つトコロに噂アリ、そして悪事のあるトコロに執行部アリっっ!!!
と言うかどうかは知らねぇけど、勢いでにゃんこ部として出動したのはものの、にゃんこ部が何をする部なのか俺はいまいちどころかかなり疑問だったっっ。
執行部は公務を執行するから、執行部って言う。
でも、にゃんこ部は何をにゃんこするからにゃんこ部なんだ…。
謎だ…っ、謎すぎるっ!!!!
なのに、同じくにゃんこ部として出動した久保ちゃんは、何の疑問も感じてないカオしていつも通り現場に向かってた。いつもは横を走ってるはずなのにっ、いつの間にか俺の後ろを走ってる事をのぞいてだけどっ!!
俺の後ろを走ってる久保ちゃんは、なぜか俺がわざと速度を遅くすると同じように遅くなる。しかも俺の真後ろを走るから、かなり様子が不自然だったっ!!
気にせず走ればいいだけの話だけど…、やっぱ気になる…っっ。そうしてる内になんかしっぽや尻がムズムズしてきて、俺は立ちどまって後ろを振り返ったっ!
「なんで、横に並ばずにわざわざ後ろ走ってんだよっっ!!」
「別に横を走っても後ろを走っても、どこを走ってても現場には着くと思うけど?」
「そういうイミじゃなくってっ!!」
「後ろを走ってるのって、そんなに気になる?」
「気になるっ!! めちゃっくちゃっ気になるっ!!」
「うーん、後ろにはいてもセクハラはしてないんだけどねぇ?」
「そ、そんなのは当たり前だ…って、じゃあ後ろにいて何してんだよ?」
「ヒ・ミ・ツ」
「・・・なんか、目つきがやらしい」
「気のせいっしょ?」
「と、とにかく俺の後ろに立つんじゃねぇっっ!!」
「なんで?」
「なんでとかじゃなくてっ、どうしてもっっ!!」
俺はそう言うと後ろにいる久保ちゃんを振り切ろうとして、勢い良くダッシュで走り出す。すると、久保ちゃんはぼーっとしたカオからは想像つかないくらいのすっげぇ勢いで俺の後ろにピッタリとついてきたっっ!!
こ、コワイ…っ、マジで怖すぎるっ!!!
しかも…、なんか久保ちゃんは走りながら上じゃなくて下の方を見てた。
下とは言っても足元じゃなくて、それよりもっと上で…、いつもはついてないモノがついてる辺り…ってコトは…、こ、この視線の位置はまさかっ!!!!!!
「うーん、やっぱ穴開けて正解だぁね」
「ぎゃあぁぁぁっ!! 見るなっ、来るなぁぁぁっ!!!!」
「そう言われても目的地、一緒なんですけど?」
「せ、セクハラで訴えてやるっ!!!」
「それはいいけど、猫のしっぽ見てもセクハラにはならないデショ?」
「久保ちゃんならなるっ!!!」
「じゃ、触ったら?」
「ニンシンするっ!!!」
「ふーん…、なら触ってみようかなぁ…」
「…って、じょ、ジョウダンに決まってんだろっ!!」
「けど、世の中に不思議なコトはたくさんあるし…、しっぽが生えたんだからニンシンもするかもしれないし?」
「おいっ、ちょ、ちょっと待て…っ」
「一緒にガンバろうね?」
「だ、誰がそんなの頑張るかぁぁぁっ!!!」
さっきまで大塚達を退治するために走ってたはずなのに、俺はいつの間にか俺をニンシンさせようとする久保ちゃんの魔の手から逃げるために走り出す。そんなコトあるワケねぇとか思ってんのに…っ、なんか久保ちゃんだとマジでニンシンさせられそうで怖すぎるっっ。
けど、追いかけてくる久保ちゃんのヤル気を感じてしっぽをゾクゾクさせながら、俺が必死で走ってると目の前に見覚えのある三人組の背中が見えてきたっ!!
「大塚ぁ〜、今日の収穫は?」
「おっ、3万っ。さっきの一年、結構持ってやがったぜ」
「そんじゃ、今からソレでヒマつぶしにゲーセンかカラオケにでも行くか?」
「野郎、3人でかよ?」
「とーぜんっ、オンナ呼んでるに決まってんだろ」
「さっすが大塚っ」
「なぁ? 金が入ってた月謝って書いてある袋はどーする?」
「いらねぇから、テキトーにそこらヘンに捨てちまえ」
「はははっ、俺らは塾なんてくっだらねぇトコには行かねぇもんな」
そんないつも通りな会話が聞こえてきたけど、今日は追われててカッコよく決めてるヒマはねぇっ!! 俺は決めセリフも決めポーズもナシでいきなりジャーンプすると、目の前を歩く大塚の背中にキックを食らわせたっ!!
「てめぇが行くのはカラオケじゃなくてっ、便所そうじに決まってんだろっっ!!!」
しっぽのついた今日の俺様は、一味も二味も違う…。
勢い良く大塚を蹴り飛ばした俺は、クルクルっと一回転して見事に着地したっ。
・・・・・・・俺様カッコ良すぎるっっ!!!
けど、そんな俺様の見事なキックをまともに受けたはずなのに、なぜか大塚はダメージを受けて倒れながらもすぐにムックリと起き上がる。それにムッとした俺は、さらにパンチを食らわせてやろうとしたけど、なんとなく今日の大塚は様子がおかしかった。
なぜか俺の方を指差して、しかもその指先が小刻みにケイレンしてる。
なんかカオも赤くなってる気ぃするし、熱でもあんのかコイツ?
俺がそう思ってると、大塚の手から持ってた札がヒラヒラとすべり落ちた。
「にゃ、にゃんこ・・・」
「はぁ?」
「し、執行部のクセにっ、校内でそんなエロいカッコしててもいいのかよっ!!!」
「今日は執行部じゃなくて、にゃんこ部だからいんだっ!!! つーかっ、しっぽと耳だけでなんでエロいんだよっ!!!」
「ネコ耳とウサ耳は…、昔からエロいって決まってんだろ…」
「昔からってっ、そんなワケあるか!!…って、お、大塚?」
「・・・・・・ちょっと耳触らせろよ」
「へ?」
予想外の展開に俺様の口からマヌケな声が出る。でも、次の瞬間に初めてネコ耳にツッコミを入れられた事に気づいて、ちょっとだけジーンとしたっっ。
やっぱ俺様はネコじゃねぇぇっ!!!!バンザーイっ!!!
なーんてココロん中で俺がバンザイしてると、なぜか荒い息を吐きながら大塚が俺の耳に向かって手を伸ばしてくる。ぺっつに触られるくらいなんでもねぇ気もするけど…、な、なんとなくコイツにだけは触られたくねぇ…っっ!!!
身のキケンを感じた俺は、とっさに後ろに下がろうとしたっ。
けど、そうするよりも早く大塚の反対側の手が、頭じゃなくて後ろに向かって伸びてくるっ。すぐにその手が俺のしっぽを掴もうとしてるのに気づいたけど、耳に気を取られ過ぎてて反応すんのが遅れたっ!!
しっぽ握られるとマジでヤパイっっ!!
俺様はネコじゃねぇけどっ、今の俺様の弱点はしっぽだったっっっ!!!
「ぎゃあぁぁぁっ、このっ、ヘンタイっ、ネコ耳フェチ野郎っ!!!」
俺は必死で抵抗するために、そう叫んでジタバタ暴れようとする。でも、そうする前にカラダがふわっと浮いた感じがして…、次に後ろからあったかい何かに包まれた…。
そのあったかい何かからは、嗅ぎ慣れたセッタの匂いがして…、
俺は振り返らずに、後ろから抱きしめてくる腕に手を伸ばしてぎゅっと握りしめる。
すると、上から耳に柔らかいくすぐったい感触が降ってきた…。
「ま、触りたいキモチはわかるけど、耳もしっぽも俺のなんだよねぇ?」
そう言った久保ちゃんは俺を抱きしめたまま、右手で俺の弱点のしっぽを触ってくる。握るんじゃなくて撫でるカンジで優しく…、からみつくように…。
けど、大塚には絶対に触られたくなかったのに、久保ちゃんに触られるのはイヤじゃなかった。しっぽは弱点で触られると苦手な部分だけど…、久保ちゃんに撫でられるのはなんか苦手なはずなのに気持ち良くなってくる…。
だから、俺が無意識の内に自分から久保ちゃんの手にしっぽを巻きつけると、久保ちゃんはもっかい俺の耳に軽く唇で触れながら小さく笑った。
「こーいうコトなんで、指一本でも触ると殺しちゃうかも?」
「や、やれるもんならっ、やってみろよっ!!」
「あっそう…、じゃ遠慮なく」
「…ってっ、マジ顔で言ってんじゃねぇよっ!!」
「だって、マジだし?」
「うわあぁぁぁっ、まだ指一本も触ってねぇのにぃぃぃっ!!!!」
「うーん、じゃ見ると減るから見ただけで重罪ってコトで…」
「そんなのアリかぁぁぁっ!!!うがあぁぁぁっ!!!」
こうして、ヘンタイネコ耳フェチ野郎は久保ちゃんに退治された。
・・・・がっっ、結局っ、にゃんこ部が何をにゃんこしてにゃんこ部なのかは謎のままっ!
しかもっ、あれが公務だったのかどうかも疑問だったっっ。
にゃんこ部だからいいのか…、アレで?
生徒会室に戻りながら俺がそう思って唸ってると、久保ちゃんがネコ耳のついてる俺の頭を撫でる。そして、少しだけ立ち止まると開いていた教室のドアの中に見えたカレンダーをゆっくりと指差した。
「今日は2月22日だから、これでいんでない?」
「はぁ? なんで2月22日だからいんだよ?」
「にゃんにゃんにゃんの日だから」
「にゃんにゃんにゃんっっ?!」
「2月22日はネコの日デショ?」
「そんなの知らねぇっつーのっ!!」
「ネコの日は、ネコを可愛がりましょうってね?」
「だーかーらっ!! 俺様はネコじゃねぇっつーのっ!!!」
俺は言い飽きたセリフを言うと、ムッとしながらドスドスと歩き出す。
けど・・・、なんか妙に今日が2月22日だということが気になってた…。
まさか…、ネコの日だからネコになったとかっ、そんなフザケタ理由でネコになっちまったとかっ!! でも、そしたら次の日になったらネコじゃなくなるかも・・・っっ!!!
なーんてっ、そんな風に思ってちょっちだけ期待してたけど、次の日に目覚めても耳もしっぽもまだついたままだった…っっ!! チクショウっ!!!
考えたくねぇけど…、も、もしかして俺は一生このままなのかっ!?
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