2月22日にゃんこの日、お祝い参加vv
荒磯ニャンコ騒動 〜中編.2〜
さっきから、俺様の心臓が壊れそうになるくらいバクバクしてる。
どれくらいバクバクしてるかっつーとっ、三日前くらいにトイレのドアのカギを閉め忘れちまって、久保ちゃんにいきなりガチャッと開けられた時くらいなカンジ…。
ほんっっとっ、あん時はまだ途中だったしマジで焦ったっ！
早く閉めろっつってんのに、久保ちゃんはぼんやりしてて早く閉めてくんねぇしっ！！！
こんな時に限って出てるモンは長げぇしっっ！！！！
ぼーっと突っ立ってる久保ちゃんに片足で蹴り入れながらっ、マジで玄関のドアは閉め忘れてもっ、トイレのドアのカギだけは閉めようと誓った瞬間だったっ！！！
・・・・・・・・忘れるな、ドアの向こうにエロ親父。
なーんて…、今は妙な標語を作ってる場合じゃねぇってのっっっ！！！
確かにトイレのカギは重要だしっ、心臓がバクバクしてるカンジは似てっけどっ、久保ちゃんにトイレのドアを開けらるよりも大変な事態がアイドルで超絶美少年な俺様の身に起こってた…。今まで公務をしててちょっちピンチだったコトはあるけど、今回のピンチはマジでハンパじゃねぇっ！
久保ちゃんはいつも通りに堂々としてれば大丈夫とかつってたけど…、耳は出たまんまだしっ、しっぽは後ろでブラブラ揺れてるしっ！！！
どこからどう見てもっっ、今日の俺様はフツーじゃなかったっ！！！
「・・・・・久保ちゃんのバカっ、ヘンタイっ」
いつものように机に突っ伏して寝てる久保ちゃんを横目で見ながら、ブツブツ文句を言うとノートにシャープペンを走らせる…。そして、ブラブラしてるしっぽを前に動かして手でいじったりしながら、黒板を見てまたノートに文字を書いた…。
そんなカンジで一時間目が終わって、二時間目と三時間目が終わって…、
四時間目が終わったら久保ちゃんと購買でパン買って、一緒に昼メシ食ってっ、
それから、午後の授業を受けると放課後のチャイムが、キンコンカーンと鳴って…っ、
そんでっ、放課後に執行部するために生徒会室に・・・・っっ、
「ていうかっ、マジでさっさと誰か突っ込めよっっっ！！！！」
そう叫ぶといつも通りに集まってた桂木達がいっせいに俺の方を向く…。けど、なんで叫んでんのかわからないみたいで不思議そうなカオしてたっ。
けど・・・・、てめぇらじゃなくてっ、俺様の方が凄まじく不思議だっつーのっっ！！！！
それにっ、なんか『その耳どうしたんだ？』とか聞かれねぇと…、
なっ、なんかさみしいじゃねぇかーーーっっっ！！
と、俺様が不思議そうな視線を浴びながらココロん中で叫ぶっ。そしたら、桂木がやっと何かに気づいたみたいで、左の手のひらを右手の拳でポンッと叩いた…。
「時任、その耳としっぽはどうしたのよ？」
「…って、おそーいっっっ！！！！」
「はぁ？遅いって何がよ？」
「ツッコミがっっっ！！」
「ツッコミって、まさかその耳とかしっぽってボケ？ アイドルやめてコスプレ系か着ぐるみ系でお笑いに転向する気？」
「だっ、誰がお笑いだよっっ！！ そーじゃなくってっ！ 耳としっぽに気づくのが遅すぎるっつってんだっ！！！」
「でも、教室にいる時はついてなかったわよね？」
「てめぇの目は節穴か…っっ！！ ガッコに来た時からずっっと付いてんだろっ！！」
「あら、そーだったかしら？ あんたに言われるまで、あまりにも自然すぎて気づかなかったわ」
「し、自然って何が？！」
「つまりネコに耳としっぽがついてるのって、当たり前だから気づかなかったってこと」
「ぬ、ぬぁにぃぃぃぃっ！！！」
そ、そんなワケあるかぁぁぁっと叫ぼうとしたけど、桂木の発言に他のヤツらもうんうんとうなづいてやがるっ！！ ウソだ…、ネコ耳としっぽがついてんのが自然で当たり前なんて、それで突っ込まれなかったなんてぜってぇっっあり得ねぇ…っっ。
プルプルと拳を震わせながら、とれあえず俺がみんなに耳としっぽがホンモノで朝起きたら生えてたってのをしっぽや耳を動かしながら説明すると、いきなり横からイスに座って本を読んでた久保ちゃんの手が伸びてきて…、
そして、まるでネコみたいによしよしと頭を撫でられたっ。
「・・・ほらね？」
「ほらねって、何がだよっ！」
「朝、ガッコに来る前に、堂々としてれば大丈夫だって言ったっしょ？ ネコに耳とかしっぽが生えてたってフツーだし？」
「…ってっ、誰がネコだっ、誰がっ！！！」
「ちょっぴりエッチなお年頃の時任稔君〜」
「お、俺様の名前の前にヘンな説明つけんなっ！！それにちょっぴり・・・じゃなくてっ！すっげーエッチなお年頃なのは俺じゃなくって久保ちゃんだろっ！！」
「そうねぇ」
「あっさり認めんなよっ！！」
「でも、ホントのコトだし？ それはお前が一番良く知ってるし？」
「そ、それはそうだけどさ・・・」
「でしょ？」
「・・・・・・とかってっ、さりげなく妙なコト認めさせてんじゃねぇっっ！！」
「知らないなら、今から教えてあげよっか？」
「そんなのは知らなくていいっ！！！」
「あら、ザンネン」
「それよりもっ！！ 俺が元に戻れる方法を少しは考えろよっ！！！」
俺は久保ちゃんに向かってそう叫んだけど…、ぜんっぜんっ元に戻る方法を考えてくれてるように見えねぇっっ！ 耳とかしっぽとか生えてマジで悩んでんのに、久保ちゃんはやっぱ相変わらず楽しそうに見えたっ。
ウチではズボンとか履けるようにしてくれて、ちょっちなんかじーんとしちまったけど、今は頭を撫でられてっとムカッとしてくる。俺の頭を撫でてる時の久保ちゃんは、マジでなんかうれしそうで…、それを見てた桂木が首を左右に振りながらふーっとため息をついた。
「時任…」
「あぁ？」
「戻る方法を考えさせるのはいいけど、久保田君には期待しない方がいいわよ」
「なんでそんなコト言うんだよ？ 一人で考えるよかマシだろ？」
「確かね。でも、今の状況は久保田君にとって理想なのよねぇ…」
「はぁ？ 久保ちゃんの理想？」
「ネコっぽい性格のあんたとネコの合体っ！！！まさに今のあんたは、外見も中身も完璧に久保田君の好きなタイプのネコっぽい子なのよっ！！！」
桂木がそう言うと、久保ちゃんはマジ顔で俺をじーっと見つめてくる…。
そして何かに満足したようにうなづいて、ポンっと俺の肩を叩いた…っっ。
「大丈夫だよ、時任」
「だ、大丈夫って、なにが大丈夫なんだよ？」
「心配しなくても、耳とかしっぽなくても十分だから」
「へっ？」
「フツーのままでも、十分すぎるくらいネコだって言ってんだけど？」
「…ってっ、だーからっ！！」
「ん？」
「俺様はネコじゃねぇっつってんだろっっっ！！！！」
バキィィィィッ！！！！
「うごがぁぁぁ…っ！！！」
俺様のねこパンチ…じゃなくてっっ、美少年パンチが見事に炸裂するっ。
けど、パンチの先にあったのは久保ちゃんじゃなくて、なーんか見たことがあるような茶色いアタマつーかっ、物体だった気ぃしたし気色悪りぃ叫び声まで聞こえたカンジしたけど…、確認する前に慌てたカンジのヤツが生徒会室の中に入ってくる。
すると、ソイツから大塚が下級生から金を巻き上げたと聞いた桂木は、いつものように俺と久保ちゃんに出動するように言ったっ。
「私立荒磯にゃんこ部っ、出動よっ！！！」
「だ、誰がにゃんこ部だっっっ！！！」
「つべこべ言わずにさっさと行きなさいっ！」
「イヤだっ！！！」
「なら、行かないかわりにココで…、あたしにネコかわいがりされてもいいの？」
「うっ・・・っっ」
「さぁ〜、かわいがってあげるからコッチにいらっしゃ〜い〜」
「げっ！！ なんかハリセンよりも、マジですっげぇイヤすぎるっっ！！」
「何か言った？」
「あっ、荒磯にゃんこ部っ、さっさととっとと喜んで行かせていただきマースっ」
「よろしいっ、久保田君も頼んだわよ？」
「ほーい」
桂木にネコかわいがりされるより荒磯にゃんこ部になるコトを選んだ俺は、長いしっぽを揺らしながら生徒会室を出て廊下を走り出す。すると、久保ちゃんも同じように俺の横を事件の現場に向かって走り出した。
私立荒磯にゃんこ部っ、発進っ！！！なーんつって…、なー・・・、
・・・・・とかってっ！ マジでこれでいいのか俺っっ！！！！
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