2月22日にゃんこの日、お祝い参加vv
荒磯ニャンコ騒動 〜後編.2〜
ネコ生活…、すでに三日目…。
これくらい時間がたつと自然にしっぽも自分の意思で動かせるようになるし、頭の上についてる耳だってピクピクさせられる。最初は尻の辺りにやっぱ違和感あったけど、今はしっぽがぶら下がってんのがフツーな感覚。
生徒会室の窓から外を見てると、差し込んでくる陽の光があったかくて気持ちいい。けど、窓枠にひじをついてしっぽを軽くブラブラさせてると口から出てくるのはため息ばっか…っ。
そしたら、横でイスに座って本を読んでる久保ちゃんが俺に向かって手招きした。
「こっちにおいで、時任」
「嫌だっ」
「なんで?」
「だって、また触る気だろっ?」
「・・・・・触るってドコを?」
久保ちゃんはそう言うと読んでた本から顔を上げてあやしい微笑みを浮かべる。そして、俺の方に向かって右腕を伸ばしてきた。
俺はとっさに逃げようとしたけど、久保ちゃんの腕に抱き込まれるように腰を掴まえられて逃げらんねぇっっ。すると、久保ちゃんは微笑みを浮かべたまま俺を…っ!!
「あっ、やめ…っ!!」
「やめていいの? 俺に触られて、ずいぶんと気持ち良さそうに見えるけど?」
「そんなコト…、ない…っ」
「たまには素直になりなよ」
「だ、誰が…っ!!!」
「ほら…、気持ちいいっていってごらん?」
「な、なにすん…っ!!」
うあぁぁぁっ!!ちょっと待て〜〜〜っっ!!
そう叫びたいけど、今はそれどころじゃねぇっ!!くすぐったいっていうか気持ちいいっていうかっ、久保ちゃんに触られてっとなんかヘンになって…、きて…っっ。
「な、なんかマジでこのままだと…っっ」
「・・・・・・・って、しっぽ触っててどうなるってのよっ!! このイメクラバカップルっ!!」
バシィィィンッ!!!!
「いっ、痛ってぇぇぇ〜〜〜〜っ!!!!」
「あれ、桂木ちゃんいたの?」
「始めっからいたわよ、あんたがイメクラ始めた辺りからっっ」
「ふーん、けど時任の場合はイメクラじゃくなくてホンモノでしょ?」
「それは言われなくても知ってるわ。けど、それを完全に忘れるくらいっっ、あんた達がいかがわしかったって事よっっ!!」
「うーん、そう?」
「そうよっ!!だーかーらっ、今から校内で時任のしっぽ触るの禁止っ!」
「じゃ、しっぽじゃないならセーフ? たとえば耳とか?」
「そうねぇ、健全な学校の空気を壊さない程度ならいいわ」
「あれ、このガッコの空気って健全だったっけ?」
「あんた達よりは健全よっっ」
「じゃ、こっちに向かってくるアレは?」
「アレはもちろん例外っ。まぁ、別な意味で危険レベル超えてるけど」
「ふーん」
「そういうワケでマジメに禁止ねっ」
「ほーい、モザイクかからない程度に努力しまーす」
「・・・・って、俺を無視して勝手に決めんなっっっ!!!!」
俺はそう怒鳴るとブキミに花を散らしながら、両手を広げて久保ちゃんに向かって突進してくるヘンタイを蹴り飛ばすっっ。そしてジタバタ暴れて久保ちゃんの腕の中から脱出すると、廊下に続くドアに向かって走ったっ!
そうしないと、モザイクかからない程度にセクハラされるっ!!!
・・・っていうかっ、モザイクがかからない程度ってどんなだよっっっっ!!!
そんな風にココロの中でツッコミ入れながらドアを開けて廊下に出ると、後ろから呼び止める久保ちゃんの声がする。けど、俺はそれを無視して全速力でダッシュしたっ。
「耳もどこもセーフじゃねぇっつーのっっっ!!!!」
と、とにかく避難しなきゃ…、だよなっ!!!
そう思いながらも、なんで俺様が避難しなゃなんねぇんだっっとか思ったりしたけど、なんとなく一人になりたいと思ってたのはホントのコトだった。
突然に耳としっぽが生えてから、俺はいつも以上に久保ちゃんと一緒にいる。そ、それはそれで別にいいし、ちょこっとだけ…、ほ、ホントのホントにほーんのちょこっとだけ、たくさん一緒で心配もしてくれてるカンジでうれしい気もしたりすっけど…、
なんか…、落ち着かない…。
それは耳としっぽが生えちまってるからとかそんなのじゃなくて、もしかしたらそれが当たり前になってきちまってるせいかもしれなかった。
「いまだに原因とかなんもわかんねぇし、どうすりゃいんだよ…っ」
そう呟きながら歩いてても、誰も俺を不思議そうな目で見たりしない。
久保ちゃんや桂木や…、他のみんなも…、
それにホッとしながらも、なぜかモヤモヤした不安が胸の奥に広がってくるカンジ。
耳としっぽさえなければ、こんな気持ちになるコトもねぇのにさ…。
なんで、今も俺の頭に耳が生えててっ、俺の尻にしっぽが生えてんだよっ!
なんなんだよっ、一体っ!!!
そう胸ん中で叫んだのが何度目なのかも、もう良くわかんねぇ…。
走ってたどり着いた校庭の片隅でため息ついて、陽の当たってる芝生の上のゴロッと寝転がる。そうしながら、なーんかこんなトコで寝転がってっと、ますますネコっぽいじゃんかよっっとか思ったりして…、
けど、色々と考えてる内に陽だまりがあったかくて…、眠くなってきた…。
ちゃんと考えなきゃ…、ダメなのに・・・、
なんか眠くて…、目が開けてられ・・・な・・・
それきり記憶がなくなってて…、次に目が覚めた時は空が少し赤くなってた。
今が何時なのかはわかんねぇけど、突然、飛び出しちまったから久保ちゃんがたぶん探してる。確かに目が開けてられなくて眠っちまったけど、こんなに眠るつもりなんかなかったから俺は慌ててガバッと勢い良く起き上がろうとした…。
けど・・・・・、あれ????
眠りすぎちまったせいか足がフラフラして、カラダのバランスがなんか取れねぇっっ。だから、そのせいでどうしちまったんだ??とか思いながら、俺は派手に尻もちついたっ。
下が芝生だったせいであんま痛くはなかったけど、次の瞬間に別なコトで心臓が止まりそうになる…っ。それはとっさに芝生を掴もうとした手も…、カラダを支えようとしていた足も確かに俺の手と足のはずなのに、なぜかニンゲンのとは違ってたせいだったっっ。
「ニャニャニャーーーーッ!!!」
なんなんだぁぁぁぁぁっ!!!!!!!
俺はそう叫んだつもりだったのにっ、口からはヘンな声っつーか鳴き声が出てるっ!!!しかもっ、なんかどっかで聞いたコトのあるような鳴き声で…っっ、俺は口をパクパクさせながら確かめるために自分の手を見つめながら小さく声を出してみた。
「ニャ・・・、ニャア・・・・・」
ぎゃあぁぁぁぁっ!!!!ネコォォォッ!!!!
ニャア・・・って!!!これじゃあまるで俺様がホンモノのネコみたいじゃねぇかっ!!
つーかっ!!手に肉球がついてんのは、どう考えてもフツーじゃねぇだろっっ!!!
そ、そうだっ、カガミだっっ!誰か俺にカガミを見せてくれぇぇぇっ!!!!
俺はそう叫んだつもりでニャーニャー言いながら、四つん這いのままで校舎に向かう。けど、そうしようとした瞬間にふわっとカラダが上へと浮き上がったっっ。
こ、今度はなんだっっ!? 地震かっ!!!!
ぐるぐると混乱した頭でそう叫ぶと俺の目の前に、見たコトある顔がぬっと現れる…。その瞬間に身のキケンをカンジまくった俺はジタバタ暴れたけど、にっこりと腹黒そうな笑顔を浮かべたソイツからは逃げられなかったっっっ!!!
「おや…、もしかして貴方はノラ猫君ですか?」
「・・・・・・ニャニャッ!!!!!」
「でしたら、僕がウチで飼ってあげますよ。ちょうど…、かわいい黒猫が欲しいと思ってましたしね?」
「ウニャアァァァァァァァっ!!!!!」
久保ちゃんならまだしもっ、お前になんか飼われてたまるかぁぁぁぁっ!!!!
なのに、そう叫んでもやっぱネコの鳴き声しか出ねぇぇぇっ!!!
くっそぉっ、離せっっ!!!橘ぁぁぁっ!!!!
シャキーンと肉球から爪を出して橘を引っかいてやろうとしたけどっ、余裕の表情で簡単にかわされるっ!!けど、二度目に繰り出した攻撃はなんとか届いて頬をかすったっ!
すると、橘は暴れる俺の両手を左手一つで簡単に束縛するっ。そして、俺の顔を覗き込んでブキミにふふふっと微笑んだ…っっ。
「ふふふ・・・、いくら暴れてもムダですよ…。僕は抵抗されればされるだけ燃えるタイプですから…」
うわあぁぁぁっ!!!はーなーせぇぇぇっ!!!!
俺サマを勝手に掴まえてっっ!!!勝手に燃えんなぁぁぁっっっ!!!!
橘は攻めってヤツなだけじゃなくてっ、サドだっ!絶対にそうだっ!!!
なーんて…、そんな橘の意外じゃない一面を知ってもうれしくもなんともねぇぇっ!!!
それに、このままだとマジで橘のウチに連れてかれちまうっっ!!
またしても俺様ピーーンチっ!!!!!
けど、橘が校門に向かおうとすると長い黒い影が俺の上に落ちる…。それにハッと気づいて視線を少し上げると…、そこには久保ちゃんが立っていた。
久保ちゃんはやっぱ俺を探してくれてたみたいで、橘とは違って手にカバンは持ってない。でも、カガミなくて自分の姿はまだ見てねぇけど、今の俺は完璧なネコになっちまってるみたいで声はニャーとしか出ねぇし…、
たぶん…、久保ちゃんの目にもネコにしか見えてないに違いなかった。
久保ちゃんが探してたのは俺で…、ネコじゃない…。そう思うと耳とか逆立ってたしっぽが下に垂れてきて、しょんぼりとなったのが自分でもわかった。
「ニャ〜…」
やっと出た声も…、やっぱしょんぼりしてる。橘に捕まってピンチになった時よりも、久保ちゃんって呼べないってわかった時の方がなんかショックだった…。
目の前に久保ちゃんがいるのに手も短くて、伸ばしてもぜんぜん届かないし…、
カラダのバランスもなんか取れなくて上手く歩けねぇし…、
そんな風に思ってると少し赤くなった空の色が、じわじわと目に染みてくる。
なんで・・・って、いくら繰り返しても俺はネコのままだった…。
橘はおとなしくなった俺を見て微笑むと、目の前に立ってる久保ちゃんに軽くアイサツして横を通り過ぎるようとする。けど、なぜかそんな橘を久保ちゃんが呼び止めた。
「帰ろうとしてるトコ悪いんだけど、ちょっち止まってくんない?」
「おや、貴方が僕を呼び止めるなんて珍しいですね。もしかして何かありましたか?」
「別になにも?」
「だったら、なぜ呼び止めたんです?」
「アンタに返してもらいたいモノがあるんで…」
「返してもらいたい物? そうおっしゃられても僕は貴方に何か借りた覚えも、借りを作った覚えもありませんが?」
向かい合った微笑み合う久保ちゃんと橘の間の空気が、なんかピシッと凍り付いてる。けど、ショックを受けてる俺はそれどころじゃなかった…。
橘から逃げなきゃならないのはもちろんだけど、久保ちゃんにネコが俺だってどうやって伝えたらいいのか・・・、どうやったらわかってもらえんのかが一番頭の中にあって…、
まだ混乱したまま治らない頭の中でグルグルしてた…。
ずっとこのままだったら…、ウチのマンションはネコとか飼っちゃダメだし…、
もしかしたら、久保ちゃんと一緒にいられなくなんのかなとか…、
そんなコトを考えながら、ぷっくりとした自分の手にある肉球を見ると悲しくなった。
でも…、俺がじっと自分の肉球を見つめてたけど、遠く聞こえていた久保ちゃんと橘の声が唐突に大きくなる。その声にハッとして視線を上げると、久保ちゃんが橘じゃなくてネコになっちまった俺の方を見てた…。
「・・・・・その猫、ウチの猫なんで返してくんない?」
久保ちゃんが言った…、その言葉を聞いた瞬間に俺の耳としっぽが何かをカンジてビクビクと動く。完璧な猫になっちまったかもしれない俺を見て、俺のコトをわかるなんてないに決まってるって思ってんのに…、
俺は耳をピクピク動かしながら、久保ちゃんの次の言葉を待ってた。
べつに橘には猫が俺だってわかって欲しくないし、わからないだろうけど…、
なんか…、久保ちゃんにだけはどうしてもわかって欲しかった…っ。
「ニャア・・・・・・」
いつもみたいに久保ちゃんって呼んでも…、やっぱネコの鳴き声しか出ない。
けど、またしょんぼりしかけた俺の耳に、俺を呼ぶ久保ちゃんの声が聞こえた。
「おいで・・・、時任」
久保ちゃんは俺の方を見て俺の名前を呼ぶ…。
そして、おいでと手招きして俺に向かって真っ直ぐ手を伸ばした。
それを見た瞬間にグルグルしてた頭ん中が、ますますぐちゃぐちゃになって…、
俺は力を振り絞って橘の手を爪で引っ掻いて逃げ出すと、ヨロヨロしながら…、けど一生懸命に久保ちゃんのトコに向かって走る…。すると、久保ちゃんが微笑みながら優しくネコになっちまった俺のカラダを抱き上げてくれた…。
「おかえり・・・」
「ウニャアァァァァーーっっ!!!!」
久保ちゃんにぎゅっっっと抱きついて・・・、肩に頬をすり寄せる。そしたら、爪が立ってて痛いのに久保ちゃんは何も言わずに俺の背中と頭をよしよしって撫でてくれた…。
ネコから元に戻る方法も何もわかってねぇし・・・、なっちまった原因も何もわかってねぇけど、今はこうやって久保ちゃんにぎゅっと抱きついてたくて俺は久保ちゃんを呼んでるつもりでニャーニャー鳴き続ける…。そしたら立ち止まっていた橘の歩き出す足音が、自分の鳴き声に混じって聞こえてきた。
「残念ながら、本当にその猫は貴方の猫のようですね…。小さくて可愛くて、特に真っ直ぐに見つめてくる瞳が好みだったんですが…」
橘はそう言ったけど、久保ちゃんは聞こえなかったのか何も答えない。俺も久保ちゃんにぎゅっと抱きつくのに必死になってて、立ち去っていく橘の後ろ姿は見なかった。
久保ちゃんに抱きつけば抱きつくほど…、自分のカラダがちっちゃくて…、伸ばした手も何も握りしめられないのがわかって辛くなる。でも、久保ちゃんがちゃんと俺だってわかってくれたから…、それだけで今は胸がうれしくて苦しくていっぱいだった…。
久保ちゃんがわかってくれたなら…、もうそれだけでいい…っ。
けど…、橘と入れ替わるようにやってきた桂木が、久保ちゃんはわかってくれたワケじゃないのかしれないって…、そんな疑問を俺の中に植え付けた。
「いきなり居なくなったから心配してたけど、ココで日ぼっこでもしてたみたいね、時任」
「うん」
「さっきの見てたからっていうんじゃないけど、あまり学校にはペットを連れて来ない方がいいわよ。先生に見つかったら面倒だし、大塚みたいな奴らに見つかったら危ないし…」
「だぁね」
俺を抱きしめてんのは久保ちゃんで…、目の前にいるのは桂木だけど…、
・・・・・・・・・・なんか、なにかががおかしかった。
べつにさっきの見てたなら、俺の名前を桂木が呼んでもおかしくない。けど、俺が完璧なネコになっちまったって知っても、何も驚いたり聞いたりして来ないのが不思議だった。
それに…、桂木が俺をペットって呼んで久保ちゃんが当たり前みたいにうなづいたのにかなりムカついたけど、二人ともジョウダン言ってるばすなのにやけにフツーなカオしててブキミ…っ。 だから、なんとなく怒りそこねてツッコミも入れそこねたけど…、
桂木が持ってきてくれてたカバンを受け取った久保ちゃんは、校門に向かって歩き出しながらいつものようにのほほんと、俺に向かってもっと信じらんねぇコトを言いやがったっ!!
「今日、キャットフード安売りしてるから、帰りにスーパーに寄ろうね?」
・・・・ってっ!!そんなモン誰が食うかぁぁぁぁっ!!!!
そんなに買いたけりゃ、キャットフードじゃなくてドッグフード買って自分で食いやがれっっっ!!!久保ちゃんのバーカっっ!!エロ親父っっっ!!!!
俺様はペットなんかじゃねぇっつーのっっ!!!!
ペット扱いにかなりムカついた俺は、ココロの中でそう叫んで久保ちゃんの腕から抜け出すと、俺はヨロヨロと校門に向かって走り出すっ。始めは上手く走れなかったけど、走ってるウチに慣れてきて早くなってきたっ。
「時任っ」
いくら呼んでも誰が止まってなんかやるもんかっっっ!!!
俺はムカムカしながら追いつかれないようにジクザクに、久保ちゃんの通れない場所を選んで走る。そうしてずっとガムシャラに走り続けてると、いつの間にか久保ちゃんの足音は聞こえなくなって…、気づくとなぜか一人で駅の前に立ってた…。
どこをどう走ってたどり着いたのか自分でも良くわからねぇけど、こんな場所に来てもなんのイミもねぇコトだけは確かで…、俺は自分の何も握れない肉球のついた手を見る。そうしてると道を歩いて来たヤツに踏まれそうになって、慌てて近くの売店の影に隠れた…。
隠れた売店の影から辺りを見ると、目の前を歩いてくヤツらは誰も俺よりでっかくて周りの風景もいつもと違って見える。ネコになっちまった俺の目には…、何もかもが巨大で歩いてくヒトの足音もやけに大きくてビクっと耳が震えた…。
そうして一人で街の中にいると、さっき逃げてきたばすなのに久保ちゃんに会いたくなってきて…、近くに落ちてた小石をコツンと蹴る。けど、今の久保ちゃんは俺のコトをペットだと思ってるカンジがして…、会いたいのに会いたくなかった・・・。
俺がなんでネコになっちまったのかわかんねぇけど、それよりも久保ちゃんにペット扱いにされたコトがショックで…、元に戻るコトをあきらめたワケじゃないのにっ、あきらめてやるもんかって思ってんのにっ、まるで途方に暮れたみたいに俺はじっと街の風景を眺めてた…。
久保ちゃんは俺の相方で同居人でそれから…、それだけじゃなくて…っ、
だからいつも一緒にいて隣にいたのに、なんで俺は一人でこんなトコにいんだろ…。
なんで…、言いたいコトとかいっぱいあんのに喋れねぇんだろ…。
そう想って考えて空を見上げて、久保ちゃんを呼んで小さく鳴いた。
・・・・・・久保ちゃん。
そう呼んでも、それは鳴き声にしかならない・・。けれど、そんな俺の鳴き声に答えるように風が吹いて…、売店に置かれてる新聞がバサバサと音を立てる。その音があまり大きくてうるさくて俺が思わず新聞を見ると、新聞には当たり前に今日のニュースがたくさん書かれてた。
けど…っ、俺が見たのはその部分じゃないっ。
俺が見たのは新聞の記事じゃなくて、新聞に書かれた日付だったっ!
・・・・・2月22日。
売店で売られてるのは今日の新聞のはずなのに、なぜかとっくに過ぎた日付が書かれてる。何かの間違いかと思って他のも見たけど、どの新聞も同じ日付が書かれてた。
でも…、俺が耳やしっぽが生えた日は確かに2月22日で、久保ちゃんもテレビのニュースもそう言ってた気ぃする…。なのに、なんで今日も2月22日なのかわかんなくて、俺は唸りながら今までにあったコトを考え始めた。
耳としっぽが生えてから今まで、色んなコトがあって…、
けど、大塚はいつものようにやられるためだけに出てきてたし、藤原もいつものようにヘンタイだし…、そして橘もいつものようにわけわかんねぇブキミなカンジだったっ。そんで桂木はハリセン振り回してたし…、く、久保ちゃんもいつもと同じでエロ親父で・・・っっ、
でも、そこまで考えて・・・、さっき久保ちゃんと桂木の話を聞いてた時と同じ違和感をカンジる。それはもしかしたら…、始めっからカンジてたかもしれないヘンなカンジだった。
俺に耳やしっぽが生えて…、それは異常事態でフツーは驚かなきゃなんねぇコトなのに久保ちゃんならまだしも誰も驚かねぇ…っ。大塚は気づいてたみてぇだけど、生徒会以外の他の奴らが俺の耳やしっぽを見てる様子もなかった…。
こ、コレって桂木に言われてなんとなく納得しちまってたけど、良く考えたらすっげぇっ、しかもかなりヘンじゃねぇかっっ!? しかもホントにあの日も22日…、今日も22日…、そんでその前も22日だったら考えるまでもなくおかしすぎるっっっ!!!
そして・・・、そしてそれに…、
久保ちゃんは確かにネコ好きだしエロ親父だけど…、もしも俺がネコになったりしたら心配してくれて一緒に戻る方法考えてくれて…、
きっとたぶん…、こんな風に一人きりになったりしない…。
そう想う理由とかワケとかないけど…、絶対にそうに決まってる・・・。
だからきっと・・・・、ネコになるなんてあり得ないとかそんなのじゃなくて…、
ネコの耳とかしっぽとか生えてても、今みたいに完璧なネコになっちまっても確かに俺だけど…、俺が久保ちゃんのコトをそう想ってるみたいに…、
久保ちゃんもいつもの俺が一番だって…、好きだって想ってくれてるはずだから…、だからきっと…、
これは夢だっっっ!!!!!
チッチッチッチ・・・・・・・・
・・・・・・すぐ近くで時計の音が聞こえる。
そして、それよりも遠くからスズメの鳴き声が聞こえてくる。
それ以外の音はあまりしない室内で、閉じた覚えのない目を開けた俺は荒い息を吐きながら寝ていたベッドのシーツを握りしめた。さっきまで街の雑踏の中にいたばすなのに、目を開いた瞬間に飛び込んできたのは見慣れたマンションの寝室で…、
俺はやっと水の中から生還したみたいにふーっと息を吐いてから、少し強張っていたカラダの力を抜く。けど、すぐにハッとして自分の頭を撫でてみたけど、そこにも何もなくて手にも肉球はついてなかった…っっ。
ううう・・・っ、マジで良かったっっっ!
いきなりネコなんてあり得ねぇっつーのっっ!!
やったーっっ!!なんとなく俺様バンザイっっっ!!!
あれが夢だったコトを確認して噛みしめた俺は、横に寝てる久保ちゃんを起こさないように気をつけながらぎゅっと抱きつく。すると、久保ちゃんは少しだけ目を開けて微笑むと、腕枕してくれて頭を撫でてくれた…。
そしたら、なんかすっごくホッとして…、眠くなってきて…、
でも、やっと悪夢から生還してなんか久しぶりに会った気がしてるせいなのかもしんねぇけど、久保ちゃんを見てるといつもドキドキしてくる。だから、照れたカオを見られないようにもっとぎゅっと抱きついた。
「サンキューな…、久保ちゃん」
「…って、なにが?」
「ヒミツ」
「ふーん…」
「けど…、俺は何があっても久保ちゃんのコト…」
「ん?」
「・・・・・・・・好きだかんな」
眠りかけてるせいか言ってるコトが…、なんか意味不明。
けど、久保ちゃんは微笑んで俺の唇に軽くキスした…。
それがくすぐったくて眠たくて目を閉じたけど…、次の瞬間に俺は再びパッと目を開けるっっ。あれは夢のはずだったのに・・・、な、なぜか俺の足に何かが当たってた…っ。
でもモゾモゾってカンジじゃなくて、なんかフサフサするっっ!!!だからっ、ぎゃーーっ!!!!とココロの中で声にならない叫び声を上げてとっさに頭を抑えたっっ!!!
けど・・・、あれ???
フサフサしてるのはなんか当たってるけど、俺の頭には耳はないし…、尻を触ってもしっぽらしきモノもついてねぇじゃん…っ。なのに、なんでフサフサしてんだよっっ!??
不思議に思った俺は、毛布の中をゴソゴソと探って…。 そしてある事実に気づいて自分のじゃなくて…、ゆっくりとおそるおそる久保ちゃんの頭を見る…。
すると…、久保ちゃんの頭の上に幻覚が見えた…、が・・・っ、
けど、俺はすぐに目を閉じて毛布にもぐりこんだ。
「・・・・・・・・・・寝よ」
これは夢だっっ、ぜってぇ夢に違いないっ!!!
そう思いながら、せっかく夢から覚めたはずなのに俺はまた眠っちまったけど・・・、
コレって・・・、どっちが夢????
荒磯わんこ騒動に続か・・・・ない?
終わりました…、にゃんこ騒動完結なのですっ!!!
。・゜゜ '゜(*/□\*) '゜゜゜・。 vvvv
予定よりも遥かに長くかかってしまいましたですが、終わることができましたっ!!!
もうもう…、言葉になりませんっっ(ノ◇≦。)
にゃんこ万歳っ!!!ネコ時万歳っ!!!!!
今、言いたいのはそれだけです・・・vv(号泣)
最後まで読んでくださった方vv拍手や掲示板やメールで励ましてくださった方vv
そして、ネコの日企画におさそいくださったらず様vv
本当に心からとてもとても感謝ですvv<(_ _)>
ありがとうございますですvv
多謝vv\(*T▽T*)/vv
以下、前編の時と同文。
にゃんにゃんにゃんの日vvvv
2月22日はネコの日なのです〜〜〜vvヽ(▽^〃ヽ)
実はずっっと前に、ニャンコの日のお話を書いた事がありますのですが、
今回のお話はリンクさせて頂いています『forbidden place』のらず様のニャンコの日、
お祝い企画に私も参加させて頂きたくて書いてしまいましたvvvv
ニャンコ万歳っ!!!ニャンコラブなのですっvvヽ(*⌒∇⌒*)ノ::・'゜☆
私にとってニャンコは『愛』です☆(意味不明)
なので、ネコ時も当然ラブですd(-_☆)vv
らず様vvお忙しくて大変な中、素敵なお祝いにさそってくださってvv
本当に本当にありがとうございますですっっ!!!vvvv
後編.1 へ 戻 る
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