同居人.9
時任達が捕まっているという場所にたどり着くと、松原と室田は立ち止まって廃ビルの最上階を見上げる。
だが、やはり下からは上の様子はまったくわからなかった。
人質のいる場所にたどり着くためには、藤原の入った正面と桂木の入った裏口からの二通りの道がある。上の階までたどり着ける可能性が高いのは裏口だが、わざわざ廃ビルを選んで呼び出した相手が見張りも置いていないとは考えられなかった。
けれど、桂木の情報では誰もいないらしい…。
早く助けに行かなくてはならなかったが、少しの間、松原は立ち止まったままその場から動かなかった。
「室田…」
「どうした、松原」
「・・・・・嫌な予感がします」
「もしかして…、桂木のことか?」
「それもありますが、最初に時任が捕まったことも不思議です」
「・・・・・・・・」
「おそらく、裏口からでも正面からでも結果は同じ…」
「そうだとするなら、ここに桂木にに呼ばれて俺達が来るのも計算済みか…」
「今の状況からすると、そう考える方が妥当です」
「・・・・・うむ」
「相手は僕らが罠にかかるのを待ってます…」
松原は今の状況をそう分析すると、手に持っていた使い込まれた木刀をきつく握りしめる。この木刀を振り下ろす時のように何事にもいつも一直線に向かっていく松原だが、いつも真っ直ぐに付き進むだけで何も考えていない訳ではなかった。
執行部員に体力だけではなく知力が求められているのは、校内の治安を守るためには的確な判断を下す能力が必要不可欠だったからである。校内の問題には時にプライバシーのからんだデリケートな問題もあるため、 何も考えずにただ正義の鉄拳を振るうだけの人間では執行部員としては役不足だった。
実は過去に起こした問題のせいだけではなく、その辺りが藤原が未だに補欠のままの理由なのだがそれを本人は知らないでいる。それは別に藤原を補欠のままにしておきたいという思惑があるからではなくて…、正義心も優しさも思いやりもすべては言葉ではなく腕章を付けている内に身に付いていくものだからだった。
執行部の象徴である腕章を腕につけた室田は、同じように腕章をつけている松原の横に立つ。そして廃ビルの方から松原の横顔に視線を移すと、そっと肩へと手を伸ばそうとしたが…、やはりその手はいつものように肩に届く前に下へと落ちた。
「どうする? 松原」
室田がそう聞くと、松原は上を見上げたままで少し表情を険しくした。
室田には室田なりの判断があったとしても、いつも松原の意見の方を優先する事が多い。それは惚れた弱みというだけではなく、自分とコンビを組んでいる松原の勘と判断力を信じているからだった。
松原の振るう剣に迷いが無い限り、同じ方向に向かって走る室田にも迷いは無い。だからいつでも走る方向を決めるのは、二人の行く先を示す剣を握っている松原だった。
松原は急いで桂木にメールを打つと、見上げていた視線を廃ビルの正面にある入り口に向けてすぅっと息を吸って精神統一をする…。
そして、いつも握っている愛刀である木刀をゆっくりと正面に構えた。
「どちらでも同じなら、この剣のおもむくまま正面から行くっ」
「正面を強行突破か…、悪くないな。日ごろの修行の成果を試せる」
「行くぞっ! 室田っ!!!」
「おうっ!!」
二人はそれぞれのスタイルで戦闘体勢を取ると、松原の真っ直ぐ構えられた木刀の切っ先のように迷うことなく一気に廃ビルへと突入する。するといきなり突入してきた二人にふいをつかれた入り口にいた男達が、悲鳴を上げる余裕すら与えられずに木刀と拳によって倒された。
けれど、やはり初めから執行部が来るのを待ち構えていたらしく、すぐに二人のいる場所に鉄パイプや角材を持った荒磯や他校の生徒が殺到する。これほどの人数の人間に恨まれている事実が目の前にあったが、それでも松原と室田は先に上の階へと駆け上がって行った時任と同じように怯まなかった。
荒磯の生徒と他校の生徒が手を組んでいるという事態に不自然さを感じてはいたが、それを考えるのは相手を倒してからでいい…。松原が自分に向かって振り下ろされた鉄パイプ二本を同時に木刀で受けると、その隙をついて背後から襲いかかってきた相手を室田が拳で勢い良く殴り飛ばした。
「私立荒磯高等学校生徒会執行部っ!! 義によって只今参上っっ!!!」
襲いかかってくる大勢の不良達に向かって松原は不敵な表情でそう叫ぶと、室田と共に時任達が捕まっている場所を目指す。室田の豪腕が唸りをあげ、真っ直ぐに振り下ろされる松原の木刀がこの場の不穏な空気をも一刀両断に切り伏せた。
さっきまで悪意に満ちたざわめきに包まれていた廃ビルを、木刀が打ち合う音と拳を打ち込まれて上げられる悲鳴が廃ビルを満たしていく。
恐れを知らない二人の快進撃に、不良達は恐怖を感じて後退し始めた。
「ちょっとマジでやばくないか…、あいつら…」
「おいっ、逃げんのかよっ! てめぇは松原に恨みあんだろっ!」
「た、確かにそうだけどよっ」
「俺は恨みあんのは、こいつらじゃねぇから…」
「…って、逃げてんのはてめぇの方じゃねぇかっ!!!」
執行部で最強と言われているのは時任と久保田のコンビだが、だからと言って松原と室田のコンビが弱いわけではない。最強の地位は譲ってしまっていても、この二人の強さは本物だった。
日々、修行を重ねているため、打ち込まれても殴りかかられても疲れは見えない。もしかしたら持久力という点においては、時任や久保田よりも上かもしれなかった。
このまま二人が快進撃を続けると、もしかしたら時任のいる場所までたどりつけるかもしれない。下の階が騒がしいことに気付いた桂木は、松原と室田が到着したことを知ってホッと軽く息を吐いた。
けれど、二人は裏口が手薄だと伝えたにも関わらず正面から突入している。それを不審に思った桂木は、切っていた携帯に電源を入れて見た。
すると…、思っていた通り松原からのメールが来ている。
桂木は良くない状況を想像して眉間に少し皺を寄せながらメールを開いたが、そこに表示されたメッセージを目にした途端…、
なぜか…、背中にゾクっと悪寒が走った。
・・・・・そこは誰かに見張られています。
そう始まった松原の文章は、自分達が騒ぎを起こすから早く逃げてくださいと続いている。今まで見張られてるなんて考えたこともなかったが、松原の文字を見た瞬間に誰かの視線を感じたような気がして、桂木は飛び越えてきた隣りのベランダを見た。
すると…、そこに何者かの影が横切ったような気がして、大きくなっていく自分の心臓の鼓動を聞きながら驚いて大きく目を見開く。
桂木はゆっくりと向こう側のベランダから見えない位置に移動しようとしたが…、その時、大きな音が辺りを包んでいた静けさを切り裂いた。
ジリリリリリ…、ジリリリリリ………。
アンティーク調のベルの音…。
それは携帯の着信音だったが、桂木の持っている携帯からの音ではない。
そのベルは時任の捕まっている室内からしていた。
落ち着けと自分の心臓に言い聞かせるように胸の辺りを押さえながら、桂木がカーテンの隙間から室内を覗くと…、そこからは主犯格の男が携帯で誰かと話しているのが見える。話している内容を聞き取ろうと耳を澄ませようとしたが…、男は携帯で誰かと話しながら視線をゆっくりと動かした。
何を見ようとしているのかと、男の視線を桂木は追おうとしたが…、
その瞬間…、男は桂木の方を真っ直ぐに見て笑った…。
「ご…、めん…、みんな…」
そう呟いた声は少しかすれていたが、桂木の視線は見つめてくる男の視線を鋭い瞳で睨み返している。けれど、その視線を受けても男の笑みは消えなかった。
桂木は中の様子を連絡しながらここに松原達が到着するのを待って、それから全員が松原達に気を取られている隙に人質にされている桜井を助けたかった。
無敵の正義味方は絶対にこんなヤツらに負けたりしないから…、そうすれば時任や松原や皆が何とかしてくれるに違いない。そう考えていたのだが、その前に何者かの連絡によって桂木の隠れているベランダのカーテンが開けられた。
「悪の巣窟へようこそ、正義の味方の桂木サン」
捕らえようとして自分に向かって伸ばされた乱暴な手をピシリと跳ね除けた桂木に向かって…、そう言いながら首謀者の男が微笑む。そして桂木が自ら部屋の中に足を踏み入れた頃、下の階では快進撃を続けていた松原と室田の足がピタリと止まった。
だが、それは桂木が捕まったという連絡を受けたからではなく、二人に予想もしなかった事態が起こったからである。松原は不審そうに室田の方を見ていたが、室田の視線は目の前にいる小さな子犬に向けられていた。
つぶらな瞳の子犬は、執行部に復讐しようとしている男の腕の中にいる。
けれど、かわいい子犬は抱いている男の犬ではなく、実は室田の犬だった。
「ど、どうしてお前がここに……」
「この犬の命が惜しかったらおとなしくしろっ、室田っ!」
「ぐぅっ…」
「はははっ、恨むなら誰にでもしっぽを振る自分の犬を恨むんだな」
「じゅ…、ジュン…」
室田は思わず自分の飼い犬の名前を呼んだが、なぜか返事をしたのは犬ではなく松原である。それは別に犬の代わりに返事をしたのではなく、犬の名前と松原の名前が同じせいだった。
自分の犬に同じ名前をつけたことを知られたくなかったので、今まで松原が家に遊びに来た時には別の名前で呼んでいたのである。そのことに気付いた室田はかなり慌てたが、松原はしっかり聞いていて返事までしたのですでに遅い。
松原と同じ名前の犬は悪人の腕の中で、冷汗をかいている室田に向かって無邪気に尻尾を振っていた。
「こ、こ、これはだな…、その…」
「もしかして、この犬は改名したんですか? 前は確かコロ…」
「そう、そうだ、改名したんだ。コロだと、そのなんだ…、ころっと逝きそうだからな」
「なるほど、言われてみれば…」
「だ、だから、松原のように強い日本男児…じゃなくて、日本犬になって欲しくて改名したんだ」
苦しい言い分けをしながら、室田はしきりに額の汗を拭っている。そんな室田の言い分けを松原は、強い日本犬にという言葉ですんなりと納得したようだった。
どう見ても目の前にいる犬はつぶらな瞳のチワワで日本犬ではないのだが…、それは気にならないらしい…。チワワは飼い主の思いも知らず、自分をさらってきた悪人に懐いてしまっていた。
それを見てショックを受けた室田は、よろよろと一歩前に出ると、
「お前…、サングラスをかけていれば誰でもいいのか…」
と、言って頭を抱える。
チワワを捕まえている男は、室田と同じように黒いサングラスをかけていた。
自分の敵ともいうべき相手に懐いてしまっている犬だが、やはり見捨てることはできない。室田はショックを受けてしばらく唸っていたが、握りしめていた拳を下に降ろした。
「すまん、松原…。俺にはジュンを見捨てることはできん…」
「室田…」
「飼い主を見分けることもできないような犬だが、俺には家族も同然なんだ」
そう言いながら室田が肩から力を落とすと、そんな室田の背中を松原が軽く叩く。
そして持っていた木刀を潔く、男達の前に放り投げた。
「もしも犬を見捨てていたら、男を打ちのめす前に僕は室田を殴っていた…」
「・・・・・・・」
「正義を守ることも人を助けることも大切…、たが、目の前にいる子犬を見捨てて守れるものなど何もないっ。正義とは守るということとはそういうものでしょう?室田」
「松原…」
熱い視線が二人の間で絡み合っていたが、松原の視線に恋愛感情が込められているかどうかはわからない。けれどその間にある熱い信頼と武道に対する情熱は、誰にも打ち崩せそうにはなかった。
そしてそんな二人の熱さに飲まれて静まり返った廊下に、松原の携帯の着信音が響く。その音に気付いた松原が届いていたメールを開くと…、そこには最悪の状況を知らせる言葉がたった一言だけ表示されていた。
『ごめん…』
桂木が捕まったことを悟った松原は、ぐっと拳を握りしめながら室田と顔を見合わせる。どうやら相浦と久保田を残して、全員がこの廃ビルに捕らえられてしまったようだった。
もしかしたら部員全員が捕まるという事態は、執行部始まって以来かもしれない。
けれど、こんな異常事態にも関わらず、久保田の消息を知らせる相浦からのメールは松原の元にも桂木に元にも届いていなかった。
朝、着てきた上着は時任にかけてしまったので今はないが…、屋上から生徒会室に行く途中で会った松本呼ばれて入った生徒会本部では必要ない。
それは生徒会室と違って、本部はやたらと暖房が効いていたからだった。
ゆっくりと自分の方に向かって流れてくる暖かい空気を感じながら、久保田はなぜか少しだけ何を想うように自分の肩に手を当てる。そこは屋上にいた時に時任と触れ合っていたが、すでにそのぬくもりはどこにも残っていなかった。
口ではさよならを告げながらも…、まだ手も腕も時任の痕跡を探している。
そんな自分に苦笑していると、会長の立派な椅子に座った松本は机の上で手を組んでそこに難しい顔をしながら顎を乗せた。
「ここに呼んだのはもちろん用事があったからだが…、今回は不良が悪事を働いたとか、どこかの部が不正を働いたからではなく、お前のいる執行部のことで呼んだんだ」
「なら、用事があるのは俺じゃなくて桂木ちゃんでしょ?」
「それはわかっている…。しかし、今回の件はやはりお前の方が適任だろう」
「適任、ねぇ?」
「単刀直入に言うが、執行部をやめてもらいたい…」
理由を言わずにそう話を切り出した松本は、小さく息を吐きながら久保田の目の前に書類を並べる。手に取らずに久保田がその書類を眺めると、それにはこの学校に通う生徒の父母からの執行部廃止の嘆願書だった。
嘆願書に署名しているのは荒磯の中等部から高等部へエスカレーターで上がってきた生徒ではなく、外部からの受験で入学してきた生徒の父母が多い。しかも圧倒的に女子生徒の親が多かった。
もしかしたら、共学になってからまだそれほど年数がたっていないということもあって、執行部の悪評ばかりを聞いてそれを信じてしまっているのかもしれない。嘆願書の内容からすると荒磯に不良が多いのは事実だったが、それを取り締まるのが執行部という権限を与えられた同じ生徒だという所に不安を感じているようだった。
「執行部の存在の是非については発足当初から揉めていたが…、今回のように嘆願書まで提出されたのは始めてらしい」
「つまり嘆願書を無視してこのまま継続すると、嘆願書ではすまないくらいもっと騒ぎが大きくなる可能性があるってコトね」
「しかし、執行部の存在はやはり必要だ」
「派手に荒れちゃってるもんねぇ、このガッコ」
「お前も知っているように、これでもいくらかマシにはなったんだがな…」
「そう?」
「・・・・誠人」
「…で、俺に執行部やめさせて何させたいワケ?」
「そう言いながらお前のことだ…、予想くらいついてるんだろう?」
「さぁね?」
執行部の危機を聞いても、久保田の表情はのほほんとしたままで変わらない。けれど、その視線はじっと嘆願書を見つめたままだった。
曖昧な返事をしながらも、松本が何のために自分を呼んだのか想像はついている。松本は久保田に執行部をやめさせて、裏で極秘に執行部と同じような機関を作らせようとしていた。
現在、執行部は表で腕章をつけて公務を行っているが、松本が考えているのは隠密に不正や悪事を暴き調査する機関である。つまりその機関は執行部のように自らが表に出て公務を行うのではなく、一般生徒には知られない裏で本部の影として活動することになるのだった。
その役目はやはり桂木ではなく、今までも松本の頼みで裏で動いてきた久保田が適任である。けれど、久保田は松本から話を聞いても首を縦には振らなかった。
「一応、俺も執行部員なんで、つぶす手伝いはできないんですケド?」
「・・・・・・・やりたくてやるワケじゃない。だが、他にどうしようもないんだ」
「そーいうのなら、俺よか適任はいくらでもいるっしょ?」
「いないから言っている」
「あっそう」
「執行部をやめた後は動きやすいように本部にお前の席は用意するし、出来る限りのバックアップもさせてもらう」
「・・・・・・・」
「だから頼まれてくれ…、誠人」
これまで何回も聞いたように、今回も松本は久保田に頼むと言う。もしもこれが命令だったらすぐに背を向けることができるが、頼むと言われれば簡単には背を向ける事は出来なかった。
それが十円の借りのせいなのか、それとも単なる成り行きなのかはわからなかったが…、あの時に吸ったセッタがうまかったからというのが案外理由なのかもしれない。
久保田はポケットからセッタを取り出して火をつけると、その煙を深く吸い込んでから嘆願書を手に取った。
「俺にくれる本部の席って、どの席?」
「それはまだ決まってないが、お前の好きな席でかまわない」
「ふーん…」
「会計でも書記でも…、各部の委員長でも…」
「なら、副会長は?」
「えっ?」
「副会長の席くれるなら、考えてもいいけど?」
「そ、それは…」
頼み事を聞く代わりに出した久保田の要求に、松本がらしくなく戸惑った様子で口ごもる。現在、生徒会副会長の席には誰もが知っているように橘がついていた。
松本は机の上で組んでいる手を、ぎゅっと握り込むと眉間に皺を寄せる。
今回の件で荒磯の裏の部分にも執行部にも精通している久保田の協力は必要不可欠だったが、今まで会長である松本を影から支え続けてきたのは橘だった。
けれど、このまま嘆願書の要求通りに執行部をなくしてしまえば、今まで執行部が不良達を押さえ付けていた反動で校内が派手に荒れて治安が乱れるのは目に見えている。松本は思わず自分の横を見たが、そこには今日は用事があって橘はいなかった。
「誠人…、副会長の席は…」
橘の事を考えながら苦しそうに松本はそう言いかけたが、その言葉をさえぎるように本部のドアが勢い良く開けられる。その音に松本と久保田が開けられたドアの方に視線を向けると、そこには必死の表情で息を切らせながら立っている相浦がいた。
「久保田っ、すぐに今から一緒に来てくれ!! 時任がっ、みんながっ!!!」
執行部廃部の危機に起こった事件を相浦は久保田に伝えようとしたが、久保田は話を聞くよりも早くドアの方へと足を踏み出す。そしてドアの手前に立っている相浦の横に立つと、いつもよりも低い冷たい声で時任達の居場所を聞いた。
「・・・・・・どこにいるか教えてくんない?」
久保田の声を聞いた相浦は、肩をわずかに震わせてから廃ビルの場所を教える。
だがその時、すでに相浦の携帯には桂木と松原からのメールが入っていた…。
刻一刻と時はすぎて…、状況は予想を越えて悪くなっていく。
廃ビルに向かう久保田の後を追いながら、相浦は心の中で無事でいてくれとそればかりを祈りながら走っていた。
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