女神の騎士

エピローグ

 今宵も男の剣が走る。
 その剣の道には、異形の者がその進路を塞ぐように存在してたが、無惨に両断されることによりその道を譲った。
 剣の大きさから考えられないような、豪快にして華麗な剣さばき。異形の者はそれに抗うことができずに闇に葬られた。
 剣を一振りしてまとわりついた体液を飛ばし、クルリと回して背中に収める。

 その男。振り返ること無く己の道を突き進む。

 何体の異形の者を葬ったかわからない。
 このまま続けても辿り続けるとは限らない。

 しかし男は戦い続ける。

 道連れは大振りの剣と、あの日に刻んだ額の傷と、胸に秘めた一つの想い。

「アレスゥ……歩くの速いて! 足の長さが違うんやら、もうちょっと気ぃつかってぇな」

 そして、その想いを見届けると言った女。

「つべこべ言うな。おいていくぞ、ラヴェルナ」

 男はあの日見た記憶の中の女神を求めて。
 女は男の強い想いを求めて。

 不毛としか言いようがない二人の想い。
 矛盾だらけの二人の関係。

 しかし二人は共に歩く。
 二人の想いはそのままに……。













女神の騎士 完

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