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ひとときも忘れない

 自作品後日談的ショートショート+感想第2段。

 今回は「ひとときも忘れない」。
 激しくネタバレしているので、未読の方は続きを読まないことを強く推奨します。

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 ……思い出した。
 思い出した思い出した思い出したぁぁああ!

「ぎゃああああああ」

 久美との会話の中であのときのことを思い出した俺は、思わず発狂してしまった。

「叫ぶほどのことじゃないよー」

 幸せ顔で俺をたしなめる久美。しかし、それは羞恥心をさらに煽るものでしかない。

 思い出したんだ。
 記憶をなくしていた時のことを。

 記憶を無くす前の自分に嫉妬?
 今度こそおまえをひとときも忘れない?
 なのにそれすら忘れて再度同じことを?

「ぎゃあああああああ!」

 状況整理でさらに発火。
 俺の顔は爆発寸前だ。

 とうとう俺は頭を抱えて座り込んでしまった。

「ねぇシュン。
 私はとっても嬉しかったんだよ」

「うるせーうるせー、何も言うなこんきちしょう」

 騒ぎ立てるが久美は言葉を止めない。

「記憶をなくしても同じことをいってくれて、記憶が戻っても同じことを言ってくれて」

「うっせーうっせーうっせぇぇええ!」

 なんだこれは! これが噂に聞く羞恥プレイか!
 こいつ、いつの間にそんなテクニックを!

「ずっと同じように好きでいてくれるんだってわかって、とっても嬉しかった」

「わーわーわー!」

 殺す気だ!
 恥ずかしさで俺を殺す気だ!

「大好きだよ。シュン」

 だけど俺はこいつがまらなく大好きで、いつもいつも恥ずかしい行動をとってしまう。
 恥ずかしくてもなんでも、こいつのこの声を、笑顔を見たいと思ってしまう。

 ひとときも忘れないっていうのは無理だったけれど、ずっとこいつを好きでいる自信ならある。

「ぎゃあああ! 何考えてんだ俺はぁぁあああ」

 俺は本当に恥ずかしいやつのようだ。

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 物語を書く者として、記憶喪失ネタは一度は抑えておかないといけません。
 みたいな考えは、中学生時代の私にあったわけがありません。

 どこか二枚目になりきれない、性格の悪い男が魅力的に感じてしょうがない時代が私にもありました。

 しかしなんとまぁ恥ずかしいやつなのか。
 ここまで恥ずかしく書き切った昔の自分に嫉妬すら覚えます。

 なんとなく、シャボン玉飛ばそうに続き、「昔の俺すげぇ」みたいな感想が続いておりますが、それはつまり成長しないオレってヘボい!ってことなのであります。
 本当に台詞回しや、物語の進ませ方に進歩らしい進歩が見られない。

 おそらく、どうしようもなく自分の作品が好きらしいのが原因だと思われます。

 恥ずかしいことに。

 下品で申し訳ありませんが、オ○ニー作品としか言いようがないのでしょう。

 なんだか2作品目ですでに致命的な欠陥が見つかったような気がしますが、最後までやります。

 次は魔女の飼い方ですので、少し時間がかかると思いますが、長い目でみてください。