Title
2003年9月1日(月) 「けいすけ、漫筆を書く」
エッセイが書きたい。 男が書いたエッセイを読みたい人などいないことは分かっているが、 中学生の抑えきれない衝動と同じくらいエッセイがかきたい、いや書きたいのである。
エッセイは随筆だと私が小学校卒業記念に貰った 三省堂国語辞典第三版に記されている。 随筆とは見聞きしたことや感じたことなどを自由な態度で書いた文章をいうのだとも記述されている。 なるほどこれなら私にも書けそうだ。 なにより自由な態度というところが気に入った。 私は大日本帝国憲法について語っているのにいつのまにか天ぷらの話題になっているような 突飛な文章が大好きである。
しかし、エッセイと随筆は同じものであるのに、 エッセイストという肩書きはよく耳にするが随筆家とはあまり聞かない。 たしかにさくらももこは随筆家というよりエッセイストと呼ぶほうがしっくりする。 さくらももこのエッセイを読んだことのない私ですらそう感じるのだから、 きっと誰もがそうであろう。
だから私は考えた。 男の書いたエッセイが好まれないのであれば、 内容はエッセイでも違う名称にすればいいのではないかと。 そこで早速先日購入した類語大辞典を引いてみた。 もちろんエッセイの類語を調べるのだ。 すると私の目にある単語が飛び込んできた。 それが漫筆である。
類語大辞典によれば、 漫筆とは思いつくままにとりとめもなく書いた文章であるという。 素晴らしい。 マンピツという少し背徳感がある響きもまさに完璧である。 これこそ私が求めていたものだ。
私は決意した。 これから全身全霊を込めてとりとめもない漫筆を書くことを。
2003年9月2日(火) 「けいすけ、おっぱいを語る」
おっぱい。珠玉の単語である。 これ以上のピンポイントかつ至妙な単語を私は知らない。 ちんちんも素晴らしい名称だがおっぱいには見劣りしてしまう。 いや、それと比べることがそもそもの間違いなのだ。
おっぱいの名付け親はいったい誰なのだろう。 女性の乳房を一番最初におっぱいと呼んだ人間が知りたい。 その人こそ神である。 私は常日頃からその答えを求めてきた。 幼き日、いけないルナ先生を初めて読んだあの日から探し続けているのだ。 そして私も大人になり、 インターネットという情報の海を航海出来るようになった。 今こそ長年の疑問に終止符を打つときだ。
まずは「おっぱい 語源」で検索である。 Googleは私の疑問すべてに答えてくれる素晴らしい辞書。 何か知りたいことがあればググり、 何か分からないことがあればググり、 高島彩画像を探すときもググる。 私はとりあえずGoogleなのだ。
「おっぱい 語源」の検索結果は1840件だった。 それほど多くはない数字である。 なぜだ、どうしてだ、みんな知りたくないのか。 それともおっぱいの語源など当たり前の常識なのか。 トリビアにすらならない知識なのか。 ちなみに「高島彩 画像」の検索結果は3970件だ。
とにかく検索結果で表示されたサイトを調べてみる。 そして10分後、我が目を疑う結果を得た。 おっぱいの語源は諸説あるようだが、 どうやら一番有力なのは古代朝鮮語の「パイ」が 「吸うもの」という意味であることかららしい。 そんなバカな。 まさか古代朝鮮語とは。
話題を変えよう。 どうして私が突然話題を変えるのかというと、 私は朝鮮を心の底から愛しているからである。 ここでは語り尽くせぬほど好きで好きでたまらないのだ。 好きなものほど語るのは難しい。 だからこそ話題を転換する必要があろう。
さて、おっぱい星人という言葉をよく耳にする。 もちろん私もおっぱい星人だ。 種族は巨乳族の乳輪ピンク派である。 私の知る限り、大小の好みの違いがあるにせよ、 おっぱい星人ではないという男性は存在しない。 たとえいたとしても少人数だろう。 おっぱい星人でない男性は突然変異なのだ。 ではなぜ突然変異なのか。
私はこう考える。 おっぱい星は宇宙のどこかに存在するのだと。 宇宙は果てしなく広いという。 だったらおっぱい星のひとつやふたつあったとしても不思議ではあるまい。 いや、必ずあるはずだ。 そしておっぱい星があれば、おっぱい星人もまたいるはずである。
地球に人類が誕生するはるか昔。 おっぱい星人は地球にやってきた。 理由は彼らが故郷、おっぱい星が滅びたからである。 彼らの進化しすぎた文明によって。 そこで彼らは考えた。 どうすれば自分達がまた繁栄出来るのかを。 結論はひとつだった。 地球の生物に自分達のDNAを組み込んだのだ。 その結果生まれたのが人類。 おっぱい星人と地球人との間のヒト、人間の誕生である。
これは私の妄想ではない。 なぜなら人間を除く動物は交尾の際におっぱいを揉まないからだ。 授乳以外でおっぱいを揉むという行為すらしないかも知れない。 もしもそのような動物がいるならトリビアの泉に投稿するといい。 きっと満へぇを獲得することが可能であろう。
私は今日も空を見上げる。 我が故郷、おっぱい星を探し求めて。
2003年9月5日(金) 「けいすけ、あるお方に似ていることを告白する」
「有名人にたとえると…」
人を紹介するときによく使う言葉である。 とくに合コンなどの場合は生死に携わる重要な情報だ。 それにも関わらず、その手の情報が正しいことは数少ない。 私も以前「浅香唯に似ている女の子が来るから」と合コンに誘われ、 胸を躍らせてその場に行ってみると、 そこにいたのはどうみても浅香光代だったという苦い経験もある。 人が人を紹介するときにはどうしても色目を使いたくなるものだ。
私はある有名なお方に似ているとよく言われる。 それもかなりだ。 私を合コンで紹介するときには「こいつ○○○に似てるでしょ」と言えば、 たちまちその場に大爆笑の渦が巻き起こる。 それくらいよく似ているのだ。
しかしそれほどあるお方に似ている私ではあるが、 例えばテレビのそっくりさんのコーナーに応募しても採用されないだろう。 どんなに私がそっくりさんでも絶対にだ。 それは私が似ているあるお方というのが、 日本で二番目に尊いお方だからである。
そう、私は皇太子殿下に似ているのだ。 高校時代の私のあだ名は『太子』であり、 雅子様ご懐妊が宮内庁から公表されると、 友人から「お疲れ、おめでとう」というお祝いのメッセージが数多く私のところに寄せられた。 世が世なら当局から影武者としての要請があったかも知れない。 ちなみに私の母親の名前は『まさこ』である。
またこんなエピソードもある。 私は高校時代、池袋でよく遊んでいた。 その頃は当然金がないため食事は大抵マクドナルドか吉野家である。 そんなある日、友人とマクドナルドに行き順番を待っていた。 友人は席を確保するため一足先に列を離れた。 その去り際に彼はこう言った。
「太子、先に席行ってるぞ」
私はいつもそう呼ばれていたので気にも留めなかったが、 私の前にいる女性店員は違った。 スマイルを注文していないのに満面のスマイルを浮かべていたのだ。 むしろ笑いを必死でこらえている顔だったのかも知れない。 明らかに不自然に体が震えていた。
この他にもまだ色々なエピソードはあるが、 諸事情により割愛させていただく。 だが、私が皇太子殿下にどのくらい似ているかは十分にご理解いただけただろうと思う。
現在私は坊主頭である。 ゆえにそれと気付かれる回数は少なくなった。 それから、このことをこのような場所で告白していいものかどうか悩みに悩んだ。
しかしながら、私が皇太子殿下に似ているというのは事実なのだ。 そして私の誇りなのだ。
2003年9月8日(月) 「けいすけ、しりとりで主張する」
る んるん気分で、しりとりしよ う。
う しろから、さまぁ〜 ず。
ず ばり言いたい、どれみふぁ そ。
そ つなくこなせ、ひとつやふた つ
つ まり言いたい、ものすご く
く り○り す
す べてをかけろ、ネスカフェ よ
よ もやまばなしに、魯魚の誤 り
り んご剥きます、ここはど こ
こ りこりしたよ、おかあさ ん
ん っがっふっふと、どれみふぁ そ
そ んなばかなと、ぶあんこ く
く の一は男の浪漫 だ
だ しの素買ってく る
2003年9月10日(水) 「けいすけ、替え歌を作る」
〜麻雀っていいな〜
- リーチをしていて フリました
- 倍満出されて トビました
- 最後の最後で またビリだ またビリだ
- いいさ いいさ
- 俺なんていいさ
- ハイパイ悪いし ツモれば字ハイ
- 河には国士が完成してた
- いつもそうさ 俺なんてそうさ
- でんでんでんぐりがえって スッテンッテン
(まんが日本昔ばなしのエンディング曲のリズムに合わせて唄えば哀愁)
2003年9月12日(金) 「けいすけ、応援歌を作る」
亀井がいるさ 〜亀井静香で行きましょう編〜
- 亀井がいるさ亀がいる
- 東大卒の亀がいる
- いつかきっと いつかきっと
- 総理になれるだろう
- 亀井がいる 亀井がいる 亀井がいるさ
- 景気回復が最優先
- 金をバラ撒き減税だ
- 国債刷れ 国債刷れ
- これは借金じゃない
- 亀井がいる 亀井がいる 亀井がいるさ
- 新しい年金考案中
- 70になったら400万
- 配ればいい 配ればいい
- 老後も安心だ
- 亀井がいる 亀井がいる 亀井がいるさ
- ある日突然考えた
- どうして総理になれないの
- 疑惑のせい? 虚像のせい?
- 答えは闇の中
- 亀井がいる 亀井がいる 亀井がいるさ
- 許永中なんて知らないぞ
- 俺は無実だやってない
- 警察でも 検察でも
- 誰でも連れて来い
- 亀井がいる 亀井がいる 亀井がいるさ
- 亀井がいるさ亀がいる
- 東大卒の亀がいる
- いつかきっと いつかきっと
- 総理になれるだろう
- 亀井がいる 亀井がいる 亀井がいるさ
けぇずまにあ改は亀井静香先生を応援しています。
2003年9月25日(木) 「ヒカルとゆうこと小泉内閣」
ゆうこ
「最終回と言っておきながら、恥を忍んで再び帰ってきてしまったゆうこです」
ヒカル
「氏ね」
ゆうこ
「復帰第一声がそれかよ!」
ヒカル
「はいはい、どうもヒカルです」
ゆうこ
「なんで最初から投げやりなのよ!」
ヒカル
「相変わらずお前は察しが悪い人間ですね。
この私の崇高な挨拶を省略しているという時点で、
すでに巻きが入っているということに何ゆえ気付かないのですか」
ゆうこ
「なんでいきなり巻きなのよ!」
ヒカル
「巻きとは業界用語で急ぐ、早くの意味です」
ゆうこ
「そうじゃなくてなんで巻くのよ!」
ヒカル
「私がケツカッチンだからです」
ゆうこ
「はぁ?」
ヒカル
「ケツカッチンとは業界用語で次の予定があって時間がないことの意味です」
ゆうこ
「アンタに予定なんてないでしょ!」
ヒカル
「こんな業界用語でお茶を濁していても仕方がありませんので早速本題に入ります。
本日は小泉改革推進内閣について朝まで参ります」
ゆうこ
「朝生かよ!」
ヒカル
「まず最初の入場は
麻生太郎総務相
です」
ゆうこ
「麻生太郎(あそうたろう)衆議院議員、63歳、河野グループ、学習院大学政治経済学部、
福岡8区、当選7回」
ヒカル
「麻生太郎先生は数多くの伝説の持ち主であらせられます。私が知る限りでも、
・漫画雑誌を毎週20冊読破する猛者
・選挙演説で「国民の皆様」を「下々の皆様」とつい本音を言ってしまった剛の者
・毒舌下ネタ大王
といった具合に枚挙に暇がございません」
ゆうこ
「下々の皆様っていうのは凄いね…。やっぱり吉田茂元首相の孫というエリートだからかな」
ヒカル
「私といたしましては、漫画がお好きな麻生先生とエイケンや魔法先生ネギま! を題材に
先生の得意分野である経済について熱く語り合いたい所存です」
ゆうこ
「そんなもの題材にするな!」
ヒカル
「このままだと麻生先生だけでこの回が終わりそうなので名残惜しいですが先に進みたいと思います。
つづいては
野沢太三法務相
の入場です」
ゆうこ
「野沢太三(のざわだいぞう)参議院議員、70歳、森派、東京大学工学部、
比例代表、当選3回」
ヒカル
「野沢太三先生といえば、旧国鉄技術畑出身。
98年に行われた旧国鉄債務処理法案採決で、
持論を貫き造反したことから役職停止処分を受けたことで有名です」
ゆうこ
「参院憲法調査会長を務め、
事務方から「他の委員会の審議が遅れる」と苦情が出るほどの熱心さで審議をリードしたよね」
ヒカル
「最近は政治家の方のホームページはクリエイティブなものが多いのに、
野沢先生のホームページ
はまさに男のホームページと呼べるほどシンプルかつセンスがありません」
ゆうこ
「やめろ!」
ヒカル
「3人目の登場は
川口順子外相
です。」
ゆうこ
「川口順子(かわぐちよりこ)外相、62歳、民間、東京大学教養学部、エール大学経済学部大学院修士」
ヒカル
「ここぞの大一番での赤の勝負服はおなじみです」
ゆうこ
「官僚答弁との批判もあったし、まさか留任するとは思わなかったね」
ヒカル
「可もなく不可もなくといったところが評価されたのではないでしょうか」
ゆうこ
「それ評価されてんの?」
ヒカル
「さあテンポよく行きましょう、
次は
谷垣禎一財務相
です」
ゆうこ
「谷垣禎一(たにがきさだかず)衆議院議員、58歳、旧加藤派、東京大学法学部、
京都5区、当選7回」
ヒカル
「旧加藤派の急先鋒。3年前の加藤の乱では橋本派の切り崩しにズタズタにされ、
すでに戦意喪失だった加藤紘一先生を涙の撤退劇という儀式で見送った熱血漢」
ゆうこ
「加藤の乱以後、表舞台から遠ざかっていましたが昨年見事に
国家公安委員長、産業再生担当相として復活。YKKの絆の深さを見せ付けた形になったよね」
ヒカル
「官僚も舌を巻く政策通にもかかわらず、あまりのそつのなさゆえに存在感がないと心配されます」
ゆうこ
「それはアンタだけ!」
ヒカル
「つづきましては、
河村建夫文部科学相
の登場です」
ゆうこ
「河村建夫(かわむらたけお)衆議院議員、60歳、江藤・亀井派、慶應義塾大学商学部、
山口3区、当選4回」
ヒカル
「『子ども読書推進法』を成立させるなど教育行政一筋。
昨年行われた中央教育審議会では一部左翼教師ならびに女性運動家連中から
「教育基本法、改悪反対」という怒号が飛び交う中、
当時文部科学副大臣だった河村先生が閉会のあいさつを行いました」
ゆうこ
「野党の意見でも正しいと思えば「おっしゃる通り」と答弁して事務方を慌てさせる先生が大好き」
ヒカル
「これからも日本人愚民化教育を施して欲しいと思います」
ゆうこ
「ゆとり教育だから!」
ヒカル
「つづいては、
坂口力厚生労働相
です」
ゆうこ
「坂口力(さかぐちちから)衆議院議員、69歳、公明党、
三重県立大学大学院医学研究科(現:国立三重大学)、比例区東海、当選8回」
ヒカル
「あの髪型はご自分でカットしてセットしているらしいです」
ゆうこ
「厚労相在任通算1000日を超え、厚生行政トップとしては戦後最長を記録してるね」
ヒカル
「その記録はどの大臣も目標にしているようですが、
あの髪型を目標にする人はいるのでしょうか」
ゆうこ
「いい加減にしろ!」
ヒカル
「7人目は、
亀井善之農林水産相
です」
ゆうこ
「亀井善之(かめいよしゆき)衆議院議員、67歳、山崎派、慶應義塾大学経済学部、
神奈川16区、当選7回」
ヒカル
「エロ拓の側近です」
ゆうこ
「エロ拓言うな! 亀井善之先生は気配りの人で有名だね」
ヒカル
「山崎拓副総裁も女性にもう少し気配り出来たら絶倫なんて言われなかったのですが」
ゆうこ
「絶倫言うな!」
ヒカル
「それでは8人目の方、
中川昭一経済産業相
の入場です」
ゆうこ
「中川昭一(なかがわしょういち)衆議院議員、50歳、江藤・亀井派、東京大学法学部、
北海道11区、当選6回」
ヒカル
「北朝鮮による拉致被害者とその家族を支援する超党派の
拉致救出議員連盟の会長を務めました」
ゆうこ
「自主憲法制定を主張しているのでも有名だね」
ヒカル
「中川先生と安部・石破・小池先生の3人を合わせて、
左翼からはタカ派死天王と呼ばれ恐れられています。
もっとも…」
ゆうこ
「アタシからすればアンタが一番タカ派だよ!」
ヒカル
「ここで残念なお知らせです。閣僚8人が登場したところでお時間になってしまいました」
ゆうこ
「残りの9人は次回に持ち越しってこと?」
ヒカル
「ぶっちゃけこれだけでかなり体力を消耗してしまったので出来ればやりたくないのですが」
ゆうこ
「アンタ復帰しても最悪なままだよ…」
ヒカル
「さらにぶっちゃけると、最初の予定では副大臣までやってやろうと思ったのですが、
本当によかったやらなくて」
ゆうこ
「さすがにね」
ヒカル
「というわけで、本日はここまでです」
ゆうこ
「オチは?」
ヒカル
「今回のオチは業界用語で『ワラウ』というのがあってそれを利用しようと考えていたわけですが」
ゆうこ
「なに? ワラウって?」
ヒカル
「『ワラウ』とは片付ける、はずすという意味です。
閣僚全員登場させていれば、『この中で一番最初に小泉首相がワラッテしまうのは誰か』
みたいな感じでトトカルチョ」
ゆうこ
「アンタがワラエ」
2003年9月29日(月) 「けいすけ、ペットを飼う」
あらかじめ申し上げておくが、ハ虫類が苦手な方は読まれないほうがいい。 それほど大した画像ではないにしろダメな人はダメだと思う。 あとで気持ち悪くなったと言われても私にはどうしようも出来ないので注意していただきたい。
私は最近ペットを飼い始めた。 本日はそのペットを紹介しよう。
奴との出会いはまさに衝撃だった。 ある日、私が玄関のドアを開けると、 何かが突然ものすごいスピードで入ってきた。 私は最初それが何なのか分からなかった。 よく目を凝らしてその物体を見てみると、何やら白いヒモのようであった。
私は小心者である。 クーラーの風でコンビニの袋がガサガサするだけで、 ゴキブリかもとビクビクしながら殺虫剤を手に取ろうとする。 ゴキブリは人類の敵だ。 どうしてあんな黒光りする不気味なものが存在するのだ。 その点今回は白いヒモのような物体なので気持ち楽である。 しかし油断は禁物。 ヒモが自分で動くはずがないのだ。 私はさらに物体を凝視した。 そのときである、奴が私に向かって突進してきたのは。
私は慌てふためいた。 上島竜平が熱湯風呂から飛び上がるようにして逃げた。 そして私は逃げながらも見た。 奴に、白いヒモのような物体に足が4本生えているのを。
ヤモリだ。 明らかにヤモリだ。 誰がどう見てもヤモリである。 こうして私とヤモリのし烈な戦いが始まった。
まず私はこのヤモリをどうすべきか考えた。 奴が自分で玄関から消え去ってくれればそれが一番ベストだ。 しかしその気配は全くない。 それどころか、奴は私の隙を見て家の中に入ろうと目論んでいそうな様子。 奴はそんな目をしていた。 殺るか、真っ先に殺すことが頭に浮かんだが出来ればそれはしたくなかった。 可哀相などとは思わないが、後始末が大変である。 結局殺すにしろ何にしろ自分で捕まえなければ話しにならない。 私は奴を捕獲しようと決意した。
奴と私の距離は1メートル。 武器が必要と、近くにあったほうきを手に取る。 銅のつるぎを装備した勇者の気分だ。 常に先手を打たねば負けると直感した。 私の敗北条件は家の中に入られることだからだ。
私がほうきを振り下ろす。 だが敵もさるもの。 敏感に察知し素早い動作でそれを避ける。 つづけて私の攻撃。 また空振り。 さらに私の攻撃。 またまた空振り。 つづけざまに私からの攻撃をかわした奴は不敵な笑みを浮かべていたように見えた。 しかし、これこそ私の狙いだった。
私は奴を玄関の角に追い詰めるようにほうきを振りかざしていたのだ。 所詮はヤモリ。 人間様との知恵比べで勝てようがはずがなかろう。 奴は完全に玄関の角に追い込まれた。 私はさらに勝利を確実なものとするために、 奴の周りを玄関にある靴やスリッパ、傘立てなどあらゆる物で囲ってやった。 これで袋のネズミだ。 いや、袋のヤモリか。
普段の私ならヤモリのようなハ虫類など絶対に直接触れない。 だが、奴との戦いに没頭し熱くなっていた私は奴の横腹をそのまま手で掴んだ。 捕まえた直後こそ、奴は最後のあがきとばかりにジタバタしたが、 しばらくすると逃亡を諦めたのかおとなしくなった。 私の完全勝利である。
数時間後、 私は ヤモリのページ を読んでいた。 さきほど捕獲し、ビニール袋に入れられた奴はおとなしくしている。 慣れとはおそろしいものだ。 初対面であれほど私に脅威を与えたヤモリも、 おとなしくしていれさえすればそれはそれで可愛いと思い始めてしまったのだ。 それに『家を守る』からヤモリなのである。 奴を飼っておけば無事息災とまでは言わないが、 何かしらの恩恵を受けられるかもしれない。 そういった打算もあって私は奴をペットにすることにした。 そこで問題になるのが飼育方法。 ヤモリのページ を読んでいるのはそれを調べるためである。
どうやら私のヤモリ、『ヤモすけ』はニホンヤモリという種類らしい。 飼育方法はプラケースにそのまま入れて水とエサをこまめにやれば大丈夫のようだ。 これなら私にも飼えると思ったが、問題はエサ。 ヤモすけの主食にすべきエサ、それはコオロギ。 コオロギを売っている場所など知らない。
その晩、私は友人にこうメールをした。「コオロギ捕まえに行かない?」