【Sweet Sweet Pain】 P4 (涼X拓) …何となくでたらめな英文字←アホか

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───赤城

 たくさんの車のエンジン音があちこちに鳴り響く中で、拓海はボーッとドコか空に視線を放っていた。ワイワイと騒がしいこんな夜に、拓海は何時の間にやら馴染んでいた。この雰囲気を心地よいと思えるほどに。

・・・あれ?涼介さん・・・まだなのかな?
 
 端から見ると、ただボーッと突っ立っているように見えるけど、視線は無意識に涼介を探して彷徨っていた。そんな拓海にRedsuns内のメンバーが数人、挨拶しながら集まってきた。
 最近仲良くなった人物達で、年が近かったせいか拓海がこの峠に初めて姿を現した頃から、気安く話しかけてきてくれた。つまり、新しいお友達である。
いずれもプロジェクトDには参加してない、まだまだひよっこではあるが、拓海にはそんなコトはどうでも良かった。
大体、拓海は自分の速さも、ロクに意識していないのだから。遅いとは思っていないけど、特別速いとも思ってはいない。
「よう!藤原。───どうだったよ?こないだの遠征。話、訊かせてくれよー。」」
 ワクワクした様子で、拓海に話しかけてくる。遠征に参加していない彼らは、今夜は拓海から遠征の話を聞くのを楽しみにしていたのだ。

 そのころ、少し遅れて涼介が峠に到着していた。
 スッとFCから降り立った涼介を素早く見つけた史浩は、すぐに本日の練習走行の打ち合わせの為に涼介の元へ歩いていった。
 プロジェクトDに参加する2台については、走り慣れたこの地を走る時でも念入りにデータの収集・チェックを行うので、打ち合わせも欠かさないのだ。
(注:この話は勝手に作ってます〜。信じないように(笑))

「よう!涼介。…啓介はどーした?」
「煙草買いにコンビニ寄ってる。すぐ来るさ。…皆はそろってるか?」
そう言いつつ、涼介の目が誰を捜してるか?なんて、長い付き合いの史浩にはお見通しだった。
「藤原ならアソコだ。ちゃんと来てるぞ。」
 史浩は苦笑しつつ、拓海の方を親指でくいっと示した。涼介はすぐにその方向へ視線を流し、誰かを話をしている拓海の姿を確認する。一瞬、ふっと無意識に、涼介は口元を和ませた。
「…別に…俺は藤原とは言ってないが…?」
「ん?そーだったかぁ?…ま、いいじゃないか。それより今日の予定なんだけど・・・」
 無理すんな、という態度ありありで、史浩は涼介の言葉を軽く流すと、さっさと本題へ話を持っていった。流石に長い付き合いなだけはある。
 涼介は見透かされて何となく面白くない気分だったが、見た目は相変わらずのポーカーフェイスであった。

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 史浩を話をしている涼介を見つけて、拓海は小さく溜息をついた。

・・・あの人のドコが大人じゃナイんだよ。

 多分、今日の打ち合わせしているのだろう涼介を眺めて、拓海はもう1度、深い溜息をついた。
 ドコからどう見ても、イイ男である。落ち着いた雰囲気が、彼ほど似合う人はいない。ただ立って話をしているだけなのに、彼の周りだけが空気の色が違うように見える。
 容姿も頭脳も走りも、どれをとっても彼は特別で・・・そして、自分はどれも普通でしかない。
 また、チクッと、胸の奥が小さく痛んだ。
取り残されるような寂しさに、なんだかやるせなくなってきた。

 そんなコトを思いながら、じーっと涼介を眺めていた拓海は、話をしていた3人のウチの1人が掛けてきた声に、急に我に返った。
「───なぁ?お前もそう思うだろ?藤原」
「えっ?」
 キョトッとした拓海の顔に、彼はガグッと肩を落とした。
「おいおい……だからさー、涼介さんってホント、すげーよなぁって言ってんだよ。」
・・・ボケてんなよ、と苦笑しつつ、彼はもう1度言い直した。

 話の内容はイマイチよく解らなかったが、拓海は彼の言葉を否定する気は無かった。確かに涼介は、ドコをとっても完璧でスゴイ人だったから。
「・・・うん、スゴイ。ホントに…。」
 どこかに心を飛ばしている様にボーッとしたまま、拓海はそう呟いて返事を返した。
───『スゴイ』
 その言葉は、口に出して初めて心に届いて、拓海は首を傾げた。
それだけだろうか?・・・あの人はスゴイ。ソレは確かだけど・・・。
それだけじゃない。もう1つ・・・強い言葉が自分から涼介に向かっている。

───スゴイ人。そして・・・『スゴク・・・大切な人』

 自分の感情を言葉として認識して、拓海はポッと頬を染めた。
慌てて俯いて、顔を隠す。一人で何、馬鹿なことやってんだー俺!と思っても、染まった頬はなかなか元には戻らない。

「どーしたんだ、藤原?」
 急に俯いた拓海に、一人が又、声を掛けた。
「…俺っ、・・・ちょっと、トイレ!」
そう言って断ると、拓海はその場を小走りで離れた。今の自分の顔を、誰にも見られたくなくて・・・。

 一方、何を話しているのだろう?と思いながら、史浩との打ち合わせを終えた涼介は拓海達の方へ近づいていた。ボソボソと、声がなんとなく聞こえて来る。
特に、拓海の声は特別に・・・(スゴイ耳(笑))
 だが、今夜はこれが仇になってしまったのである。

『…うん、スゴイ。ホントに…。』

 拓海のその言葉が、涼介の頭でリフレインしていた。
知らない内に足を止めて、走り去る拓海の背中をただ眺めた。

スゴイ…?俺が?…拓海も・・・そうなのか?

『スゴイから、憧れる。』
その言葉に続くのは・・・『でも、世界が違う』『遠い人』
───いつだって、そんな形容詞ばかりだった。

───違う!!!
 心の中で、涼介は叫んだ。

 涼介が拓海に望むには、そんな気持ちじゃない。
そんな想いじゃない。遠くになんて居たくない。
もっとずっと近くに。
今よりも、もっともっと───誰よりも近くに居て欲しいのに。

 涼介は、震えそうな手をグッと握りしめることで堪えた。
悲しいのか?怒っているのか?───自分の感情を表す言葉すらも、見つからない。
ただ・・・嵐のように激しい感情から来る震えだった。

───ゆっくりと廻っていた、2人の歯車が少しずつ噛み合わなくなっていく。
 まるで、何かが挟まってしまったように、その動きを止めようとしている。
今までは、どこかぎこちなく…それでも廻っていたのに。

───お前まで?冗談だろう?拓海・・・
 涼介の心の声は届かない。
自分の中で、何かが音をたてて崩れるのを、涼介は感じた。何が壊れたか?なんて、考える余裕すらない。

───『特別』になりたかった。
拓海にとって、誰よりも『特別』な存在になりたかった。
でもそれは、すごいとかそういうのではなくて・・・『大切な誰か』になりたかったのだ。
誰よりも、傍に居て欲しいと思って貰えるような、そんな存在になりたかった。
───自分にとって拓海がそうであるように・・・。

なのに・・・

「・・・コレはちょっと・・キツイな。」
ダメージは大きい。足下がぐらつきそうな程のショックに、涼介は苦く笑った。
拓海の言葉ひとつでこんなになってしまう自分を彼は知らない。知らないのだ。

胸の中に潜んでた獣が、暴れようと蠢きだしている。
涼介はぐっと唇を噛んだ。抑えなければいけない。とんでもないコトになる。

───でも、どこかで・・・頭の何処かで、ソレの解放を望んでる自分に涼介は気がついていた。

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