【Sweet Sweet Pain】 P11 (涼X拓) …何となくでたらめな英文字←アホか
涼介の身体から立ち昇る熱が、少しずつ移ってきているみたいに・・・
───まるで、全身を支配されたように動けなかった。
抱かれるというコトはこういう事なのだと、拓海は思った。解っていたつもりで、判ってなかった自分を思い知る。
───コワイッ!!
言葉にすれば、まさにソレで。
本気で涼介を恐いと思った。ココから、この腕から、今すぐ逃げ出してしまいたい。
「あっ!…ん、ぅあ…ぁ…やぁっ…やめ…っ、涼介さんっ!」
見開いた拓海の瞳から、大粒の涙が次々とこぼれ落ちる。拓海は涼介の腕の中でガクガクと全身を震わせはじめた。
まるで、何かの発作でも起こしたかのように・・・
ダメだ、離すな!と警告する自分と、いい加減に止めろ!とキレイ事を言う自分が、涼介の内側でせめぎ合っていた。
だが、尋常でない拓海の様子に、流石の涼介も手を止めてしまう。
「拓海?」
改めて、拓海を見る。その姿をじっくりと目にした途端、胸が痛んだ。今更そんなの厚かましいと自分でも思うけれど。
ブルブルと痙攣しているかのように、涼介の身体の下で拓海は震えていた。まるで命の危機にさらされている小さな動物のようだった。
「…拓海……」
───絶対に逃がさないと決めていた。今夜は絶対に・・・と。でも・・・
涼介はグッと手を握りしめた。爪痕がくっきりと付いてしまうほど強く強く。
握っては開き、また強く握る。何度かそうして逡巡を繰り返した後、涼介はそっと拓海から手を離した。
───離したら、もう2度とこんなバカな真似は出来ない。
そんな自分を判っていたけれど、これ以上拓海を泣かせることは出来なかった。
拓海の涙に、涼介は勝てなかった。
───拓海を愛しいと思う自分の気持ちに・・・どうしても勝てなかった。
・・・これじゃ、今までと同じじゃないかっ!
覚悟して来たつもりだった。
拓海に拒まれても泣かれても、今夜は手を離すものかと決めていた。
でも、そんな涼介の覚悟など、拓海の涙の前には何の役にも立たないのである。
・・・・最悪だな。
結局、拓海に悪い印象───それも最悪な───を残しただけ。
「涼介さん…りょう…さっ…うっ、ん…涼…介さ…」
何度も何度も、嗚咽混じりに涼介の名を呼びながら、拓海は縛られていない方の腕で自分の体を抱きしめながら震えていた。涼介はその姿を辛そうな表情で、ただ見下ろしていた。
そして、ふわりと拓海の頬に手を添えて、自分の方に向けさせる。
「……っ!りょう…さ…」
うまく紡げない言葉で、涼介の名を呼びながら、拓海は素直に涼介と視線を合わせてきた。
「俺は……謝らない。」
涼介はきっぱりと拓海にそう言った。後悔はするつもりはない。してはならない。
抱きたくて仕方ない自分を、これ以上誤魔化すことはもう出来ない。謝って、また優しいだけの自分に戻る事は、もう出来ないのだ。
「涼介さっ…」
大泣きする前の子供のように、拓海は顔を歪ませた。
その表情を見ていられなくて、涼介は拓海の頭を抱き込んだ。拓海の髪に顔を埋める、涼介の表情も悲痛に歪んでいた。
───胸が張り裂けそうな痛み。
どうして、拓海と会う時はいつもこうなるのだろう?
どうして、それでも好きだと思う自分を止められないのだろう?
それは、涼介自身でも、どうにもできない感情だった。
「……ど…して?…悪い冗談…なんですか?こんなの…こんなっ…」
涼介には、嘘だと言って欲しいと、拓海が望んでいる事が解っていた。
拓海は、嘘ではないと、本気なのだと解っていたけれど、涼介が嘘だと言ってくれるならソレを信じたいと思った。でも・・・
「冗談じゃない。……解ってるんだろう?」
涼介は拓海が逃げる事を許さなかった。辛そうに眉を寄せて、それでも拓海に微笑みかけた。初めて見る、無理してるのが見え見えの、そんな微笑み。
「!……涼介さ…」
「俺は、拓海を抱きたい。もう優しいだけで、いられないんだ。」
すまないという言葉の代わりに、涼介は拓海を抱きしめた。
「ホントはずっと、我慢するのが辛かった。お前にこんな真似したかったんだ。……まるで、ケダモノだろう?俺は……」
自嘲するように涼介はそう言った。言葉とはウラハラに、今の涼介の指先は酷く優しい。
「……でも、…これが本当の俺なんだ…」
拓海はじっとそんな涼介の独白を聞いていた。いつもの自信にあふれた涼介の声とは違う響きの、その声を。
「拓海が愛しくて大切なのも本当なのに……どうしてこうなってしまうんだろうな。」
自分に問いかけるように、涼介は言った。切なそうな涼介の溜息に、拓海の胸も激しく痛んだ。
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