【Sweet Sweet Pain】 P12 (涼X拓) …何となくでたらめな英文字←アホか

「涼介さんも…解らないこと、あるんですか?」

 何を言えばいいのか解んねー…と頭では思っていたのに、拓海の口からは無意識にそんな言葉が零れて、言った拓海自身が驚いた。今の拓海が話をするとは思わなかった涼介も、一瞬ひどく戸惑った顔で拓海を見つめていた。
「……当たり前だろう?拓海の事は特に…自分でもどうなるか解らない。俺はお前が思ってるほど大人でも…紳士でもないんだ。……ただの大バカ野郎さ。」
 涼介は苦笑してそう言うと、そっと拓海の体を離した。これ以上抱きしめてると、また何をするか解らない。

「解らない?大人じゃない?……涼介さんが?」
 コトリと首を傾げて不思議そうに拓海は呟いた。
「そうだ。…解るのは自分がどうしようもないくらい、お前が好きだと言うこと。そして……」
 涼介はそこで切なそうに微笑って言葉を切った。
「そして……?」
 オウム返しのように、拓海は尋ねた。涼介の深い瞳に吸い寄せられるように、真っ直ぐにその瞳を見つめながら。
「…そして……お前が欲しくて堪らないという事。」
 今度は困ったように微笑って言った涼介のセリフに、拓海はポッと頬を染めた。
「ほら。そんな顔をする。・・・だから、堪らないんだ。」
 涼介は苦笑して、そっと拓海の頬を撫でた。

 しばらくそうして、2人とも沈黙を守っていた。
その沈黙を先に破ったのは拓海だった。
「……もう…離して下さい。」
 小さくそう言った拓海に気づいて、涼介は拓海の頬に当てていた手をどけた。
「そっちじゃないっ!」
「え?」
 抗議するような拓海の声に一瞬驚いた涼介だったが、くいくいともう片方の手を動かす拓海に気づいて急いでその腕のリボンを解いてやった。
「すまない。…痛かっただろう。」
 涼介は眉を寄せて、リボンの痕がくっきりと残り、血が滲むその手首に口づけた。が、拓海は払うようにその手を涼介から取り返す。

───仕方ない事だと解るけれど、拓海のその仕種に一瞬涼介は酷く傷ついた。

 だが、そのすぐ後にフワリと柔らかく、拓海は両腕を涼介の首に絡めた。包み込むように涼介の頭を抱きしめる。
「えっ!?」
 呆然と、涼介は呟いた。拓海は尚もギュッと、涼介の首にしがみついて、強く抱きしめる。
 自然と2人の距離が縮まって、触れ合う躰のあちこちから、温もりが生まれる。
少しずつ、まるで2人を包むように、じんわりと・・・。

「……藤原………ダメだ。離してくれ。」
 努めて冷静な声を作って、今度は涼介が、拓海を引き離そうとした。
呼び名も普段通り、わざと『藤原』に戻して。

───残酷だと、思った。これが報復なら、これ以上のものはないけれど。
 こんな事されたら、期待してしまう。拓海にその気がなくとも、誘われてしまう。
そんな事、拓海にだって解っているハズなのに。
───拓海は残酷だなと、涼介は思った。

「……」
 涼介の首にしがみついたまま、拓海は無言でブンブンと首を振った。
コレには涼介も、カチンときた。これ以上、俺を試す気か、と。
「藤原!!いい加減に…!」
「ゴメ…なさ…っ…」
 怒鳴ろうとした涼介の声と、泣き声混じりの拓海の声は同時だった。
「ゴメンなさいっ!」
 涼介の声に負けない大きさで、もう1度叫ぶように言った拓海の言葉に、涼介は呆然とした。
「……どうして……お前が謝るんだ?」
 さっきの怒りなど、消し飛んでしまった。涼介は静かに、拓海の身体を軽く抱き返しながらそう呟いた。
「……俺、知ってたから。…涼介さんが…俺と…その、…」
「…俺が、お前を抱きたいと思ってた事か?」
 言いにくそうにどもる拓海の言葉を、涼介が続けた。拓海はその言葉にコクンと首を縦に振る。

 ふぅ〜と深く溜息をついて、涼介はポンポンと拓海の背を叩いた。
そうすると、力がこもっていた拓海の体から、すうっと力が抜けていく。
「俺も…知ってた。藤原が解ってるのに、解ってない振りしてる事を知ってたよ。葛藤があって当然だから、待つべきだと思って……結局、俺は待てなかったんだ。」
「・・・もう、拓海って…呼ばないんですか?」
「俺を煽るな。…解っているんだろう?藤原。頼むから、もう・・・」
───これ以上、俺を試さないでくれ。
 拓海がそんな真似をするヤツじゃないと涼介にも解っている。でも、まるで、忍耐力を試されているような気になるは、この場合仕方ないことだろう。

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