【『切ない』ということ】 P11 (涼X拓)

「んっ・・・あ、・・やだっ!」
信じられないほど鮮やかな手並みで、涼介は簡単に拓海の服を脱がしてしまった。
手先が器用なのか、慣れているのか・・・多分、その両方だろう。
 拓海は余りの恥ずかしさに、すぐに体を小さく丸めようとする。
それを許さずに、涼介は優しいけど強い力で拓海の身体を組み敷いた。

 伸び上がって、拓海にそっと触れるだけの口づけを送る。
パニクッている拓海の意識を自分に向けさせるように。
ピタリと互いの身体を密着させて、拓海の手首を握っていた両手をはずし、互いの手の平を合わせるようにした。拓海の息が整うまで、涼介はそのまま辛抱強く待つ。
 拓海がゆっくりと息を整える。その手は、応えるように涼介の手を握りしめて。
絡まる指先は、思いの外優しくて、拓海は目元をほんのり染めながら瞼を開いた。
大きな瞳に、涼介の姿が映し出される。
 合わさった視線に、ニコリと涼介は微笑んだ。拓海も同じように微笑み返す。
2人の鼓動が、また重なって、もうどちらの音なのか解らない。
「好きだ・・・拓海」
 軽いキスの合間に、言葉はポロリとこぼれるように出て来た。
拓海は嬉しそうに微笑んで
「オレもです・・・」
小さくそう答えて、涼介の唇にちゅっと小さなキスを返した。

───愛しいという気持ちが、吐息からこぼれ落ちそうだった。
───愛しいという気持ちが、涙になってこぼれ落ちそうだった。
互いが互いに愛しくて、何だかすごく幸せで・・・なのにホンの少しだけ胸が痛い。
そう。きっとこれが、『切ない』というコト・・・

 初めて知る感情に、2人して戸惑っていたけれど、触れ合う指先はひどく優しくて安心できた。
 涼介は、拓海の返事に嬉しそうに微笑って、今度は深いキスを送る。
拓海の意識は、あっという間にそのキスに巻き込まれた。


「あ・・・り・・りょ・すけさ・・やぁ」
 左胸の突起を舌で刺激しながら、涼介は右手で拓海の下肢を探った。
 しっとりと汗ばんだ拓海の体は、確かに女のように柔らかくは無いけれど、線の細いその体はすっぽりと涼介の腕の中に収まってしまう。
 触れた肌は、まるで吸い付くようで、ついつい急ぎ足で指を延ばしてしまうのを涼介は必死で堪えていた。
「拓海・・・大丈夫だから・・・」
 慰めるように声をかけて、小さな抵抗を繰り返す拓海の動きを封じ、拓海自身に指を絡ませた。
「ひゃ・・あぁ・・・ダメっ!」
途端に、魚が跳ねるように拓海の身体が大きく跳ね上がる。
「や・・・ん・・・ああっ・・・」
伸び上がって逃げようとする拓海を慰めるように、涼介は目尻に滲む涙を吸い取った。
そして、握り込んだ拓海のモノをきつく上下に扱き上げる。
「ひっ・・・ぁああー・・」
拓海が短い悲鳴を上げた瞬間、ピシャリと拓海が放ったモノが涼介の手のひらを打つ音が響いた。
「・・・んっ・・やぁ・・ぁあ・・」
 拓海は断続的に何度か大きく体を弾ませると、沈むように全身の力を抜いていった。

 月明かりに、拓海の姿が浮かび上がる。
達したばかりの体は少し桜色に染まっていて、大きく息をする度に、その胸が上下に動いている。
 ほんの少し、指先で触れるだけでも、敏感になりすぎた肌には辛いようで、どうしようもない熱さに震える拓海は、ひどく扇情的だった。
 涼介は夢中になってムリをさせないように、必死で自分を抑えた。
今夜だけは、誰よりも、何よりも、拓海に優しい自分で居たかった。

 初めて他人の手でイカされたショックで、拓海は泣き出していた。
意識して泣いてるわけではなくて、思わず涙がこぼれるというカンジだ。
 嗚咽を漏らしながら小さく震える拓海の目元に、涼介が慰めるようにキスをした。
「気持ち良かった?」
耳元でそう囁かれて、拓海は顔を真っ赤に染める。
そして、そのまま涼介の胸元に頭を押しつけると、コクリと小さく頷いた。
「そうか」
 今度は頬に軽くキスをすると、拓海は微睡むように意識を遠ざけていく。
涼介は苦笑した。流石にココで眠られては、涼介が困ってしまう。
・・・可哀想だけど、もう少しつきあってくれ
そう心で呟くと、涼介は自分自身を拓海の股間に擦り寄せた。
 ハッとしたように拓海は顔を上げた。腿にあたる熱いモノ何なのか、解らぬ程バカではない。

「あの・・オレ、・・・どーすればイイですか?・・・その、涼介さんがしてくれたみたいにすればイイ?」
真っ赤な顔して、でもどうすればいいのか解らなくて拓海は涼介に尋ねた。
「・・・・・・」
 涼介はベッドの中で相手にこんな事訊かれたのは初めてで、一瞬頭が停止した。

・・・全く、拓海と一緒にいると『初めて』の連続だな。
 そう思って苦笑すると、ちゅっと拓海の唇に軽いキスをした。
「それも魅力的だけど・・今日は俺の好きにさせてもらおうかな。・・・拓海は出来るだけ力抜いて、素直に感じていてくれればいいから・・・」
 そう言うと、涼介はまた深いキスに拓海を巻き込んでしまった。

 拓海の弱い部分を探りながら、涼介の愛撫はだんだんと下に降りていく。
唇を噛みしめて、声を抑えようとする拓海を、涼介は許さない。
 ペロリと赤く腫れてしまった拓海の唇を嘗めると、
「素直に感じてって言っただろ?・・・大丈夫、俺以外は聴いてないから・・」
声を聴かせて・・・耳元で、そう囁くと、中断していた愛撫を続行した。
 拓海の弱い部分はたくさんあった。
首筋、うなじ、鎖骨、左胸、脇腹、腰骨、尾てい骨の少し上っといったカンジに。
その全てに余すところなく愛撫を施し、跳ね上がる身体を涼介は楽しんだ。
 見えない場所には吸い付いて、赤い痕を残していく。自分のモノだという印。

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