【終わらない夜】 P4 (啓X拓) …裏に移動してまいりました(爆)
視線にひき寄せられるように、啓介はゆっくりと唇をその瞳へと近づけた。拓海の瞳はいつも、言葉より雄弁に彼の気持ちを語ってくる。だから、その返事を返すように瞳に優しいキスを落とした。
「ぅん……っ…あ……ふ…っ」
瞼に触れた唇の感触に、拓海から甘やかな吐息が漏れる。ねだるように突き出た紅い唇にもキスをして、自然と綻んだ唇の隙間から舌を忍ばせた。
舌先で小さくつつくと、拓海から大胆に舌を絡ませてきた。湿った音を響かせながら、互いの口腔を探り合う。こんな熱いキスを、拓海に教えたのは啓介だった。
情欲の波に飲まれつつある拓海の様子を見てとって、啓介は両手で拓海の躯をまさぐりだす。
「…っ!!…ん、啓介さ……ちょっ…」
まるで拓海の躯のサイズを手で計っているかのように、緩やかな動きで拓海の上半身を這う啓介の手を押しとどめるようにしながら、拓海は小さな抗議の声を上げた。
「何だよ」
可愛くない台詞を封じるように小さくキスしながら、啓介は抗う拓海の手をスルリと躱すと胸の飾りをややキツク摘んだ。
「あ!…や、痛っ……んっ」
痛いほどの刺激と相まって駆け抜ける戦慄に思わずのけぞった拓海の顎の下に、啓介は素早く顔を潜り込ませると露わになった喉仏のあたりにしっとりと口づけた。
拓海が息を潜めたコトやゴクリと唾液を呑み込んだのを唇で感じ取りニヤリと笑むと、そのまま唇を鎖骨までゆっくりと降ろしていく。
「や!…ちょっと待てって言ってんだろっ!」
さっきつけられた痕の上にもう1度きつく吸い付かれて、拓海は啓介の顔を両手で押して強引に離させた。
「痛ってぇな、何だよ、さっきから。…ここまできて止めるか?普通…」
グキッっとなってしまった首をさすりながら文句を言う啓介を、拓海はキッと睨んだ。「あんたが人の話、聞かないからだろー!…ちょっと待てって言ってんのに。」
「・・・あのなぁ、俺は最初に言ったろ?これ以上進んだら止められねーって。」
尖っている唇にちゅっと軽いキスを落として膨らんだ両頬を骨張った大きな手で包み込むと、啓介は話を聞く体制をとった。本当は問答無用で襲いかかりたい心境なのだが、せっかく今日はイイ感じなのに水を差すのも勿体ない。
「…だから、その…するのは別にイイけど・・・・。」
めずらしく啓介が折れてきたので、拓海も硬質な態度を維持できない。すぐに元のぽやんとした雰囲気に戻って言いにくそうに小さな声でそう告げると、顔を隠すように啓介の首にしがみついた。
「…俺だって。・・・・啓介さん、欲しいし…」
それは、聞こえるか聞こえないかという程の小さな告白だったけど、啓介の耳にはちゃんと届いた。こうして言葉で示すのは、拓海にしては珍しい。嬉しさに思わず啓介の口元がほころんだ。
「・・・んじゃぁ、何?」
ふぁさっと柔らかい茶色の髪が頬に当たるのを心地よく感じながら、啓介はその頭をポンポンと軽く叩いた。その拍子にふわりとシャンプーの香りが啓介の鼻孔を擽る。
(・・・結構、汗かくコトした後なのに…イイ匂いさせやがって…)
その香りにせり上がってくる欲望を堪えながら、啓介は拓海に分からないように苦笑した。
自分の首にしがみつく、この少年は知っているのだろうか?
───コイツに、自分だけの匂いを残したい。
そんな風に思っている、この気持ちを・・・。
(・・・多分、分かってねぇだろうなぁー)
まあ、その辺は期待していない。良くも悪くもそれが拓海で、そんなトコも全てひっくるめて愛してる自分を知っているから。
「・・・・して…さい。」
「?…なんだって?拓海?」
自分の考えに意識が向かっていた啓介は、小さな呟きのような拓海の言葉を聞き逃してしまった。
「…だから、・・・電気…消してくださいって…」
何度も言わせんなよ…と憎まれ口付きで、拓海はやや大きな声でもう1度告げた。
(・・・ああ?そんなモン、点けてねーはずだよなぁ?)
拓海の言葉を理解して、啓介は確認するために部屋の上方に顔を向けた。シンプルなデザインの大きな電灯は確かにその姿を闇の中に隠している。
「…ついてねぇだろーが・・・」
やや呆れたように告げられたその言葉に、拓海は啓介の首を強引に別方向に向けさせた。啓介の首がまた、グキッと大きな音を立てる。
「痛てーって!…ったく、ムチャすんなよ!」
「そっちじゃなくて、こっちっすよ。こっち!」
啓介の文句など耳にも留めずに、拓海はキッと目を吊り上がらせて怒鳴った。
啓介の目の前には、オレンジ色の小さな灯り。
ベッドサイドの電話用に置いてある、手元を照らす程度の小さくて、柔らかな光だけ。
「・・・いーじゃん、コレくらい。」
こんなモノの為に、折角ノッてたテンションを下げられたのかと思うと、啓介は内心でガックリきた。
ちょっと手を出すのが早かったか。もう少し、キスで酔わせればよかった…なんて、馬鹿な思案をしているうちに、拓海が啓介の下から伸び上がって電源の方へ手を伸ばしていた。
その腕を、啓介の長い腕が易々と捕らえた。やや強引に捕まえた手を自分の口元に引き寄せて、啓介は拓海の指先を軽く噛んだ。
「だーめ」
いたずらな光をその目に浮かべて、啓介は拓海を見ながらそう言った。
「…な、何で…」
「お前こそ、何でだよ?」
切り返して聞いてきた啓介に、拓海はグッと言葉を詰まらせた。
「…だって、そんなん。……あ、明るいトコでするコトじゃねーんだから、当たり前だろ」
ぷいっと顔を背けて、拓海は唇を尖らせた。
「・・・見られるとハズカシイってか?」
拓海の横顔に顔を近づけて耳元で啓介は言った。ほんの少し、声に笑みが含まれている。
カチンときた拓海が尚も文句を言おうとして振り向いた時、すぐ傍にあった啓介の唇が強引に拓海のソレを塞いできた。反射的に力づくで離そうと藻掻いても、啓介の身体はビクともせず、息も継げないほど強く拓海の身体を抱き竦めてきた。
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