【終わらない夜】 P3 (啓X拓)  …裏に移動してまいりました(爆)

(SCENE 2 Please Kiss Me )

「ん!…ぁ、…ふ…」
 何度も小さく唇を啄んで、やっと解けたそれの中に舌を潜り込ませると、抱き締めた体がビクンと跳ね上がり、少しの迷いの後、拓海が体の力を抜いたのが解った。
───身を任せるべきか否かを迷ったような、ほんの少しの間。
 多分今でも『抱かれる』事に対する抵抗のようなモノが、拓海の中にあるのだろう。男なんだから、当たり前だ。
でも結局いつも前者を選んでくれる。それが嬉しくて、啓介はきつく抱き締めていた腕の力を抜くと、フワリと柔らかい髪の中に骨張った指を潜り込ませた。

 ───体を重ねて、初めて知った。拓海は結構、頭を触られるのが好きだという事。
正確にはやんわりと撫でられるのが好きらしい。日溜まりの中で撫でられて気持ちよさそうにしている猫みたいだなと、初めて知った時に思って、笑ってしまった事を今でもよく覚えている。

「拓海…」
 囁きは、極めて甘く、ゆっくりと誘うように・・・・。
体の線を手のひらで探りながら、啓介はゆっくり拓海の情欲を煽っていく。
「…やっ、ちょ……待っ…」
 腰の辺りを撫で下ろされると、拓海はブルリと体を震わせて、瞑ってい両の瞼を大きく見開く。
思わず洩れたこの言葉は、半分嘘で、半分本当。
 くすぐったくて止めてほしいけど、嫌じゃない。拓海がそう思ってる事が、いつの間にか啓介にも解るようになっていた。
目元を赤く染めて、拓海の大きめの瞳が甘やかに揺れている。その瞳に誘われるように顔を寄せて、啓介は仕種で拓海からのキスをねだった。

 近づけた唇を、触れるほんの少し手前で止めて、小さく微笑む。
余りに間近で、拓海からは啓介の口元は見えないけれど、目元が少し和んだ事で彼が微笑ったのが解った。視線は真っ直ぐ拓海のそれを絡め取っていて、その奥に情欲の炎が見え隠れしている。
 震える空気が啓介の吐息の温もりを拓海へと届けてきて、拓海は顎を持ち上げて唇を重ねた。
もっともっとその温もりを確かに感じたい。単純な、そんな欲求のままに身体を動かしていた。
・・・でも、柔らかく触れ合わせただけで、拓海の頭はすぐに枕の上に落ちてしまう。
「け、…すけ…さ…」
本当はもっと触れていたい。でも怠い身体が思い通りに動いてくれない。もどかしさに拓海は小さく啓介の名を呼んだ。

 その声は睦言のように甘く心地よく耳に響いて、啓介は両手を枕に埋まった拓海の顔へ、そっと触れさせた。
「何だよ?」
 前髪の生え際をなぞるように丸く指先で撫で下ろして、拓海の頬を手のひらへと包みこむ。確かな温もりがその手から伝わって、拓海は無意識にほわりと微笑んだ。
───きっと拓海自身ですら見たことがないだろうその笑顔は、啓介だけのモノだ。きっと他の誰も知らない笑顔。この笑顔を見た瞬間、いつも言葉にならない歓びが啓介の中に生まれる。
「もっと…してほしい。…キス」
 拓海は言葉にするのは、ホントは好きじゃない。何故ってそれはもちろん、恥ずかしくてたまらないからだ。
でも今、啓介が言葉にさせたがってるのが解ったから、意地を張らずに口にした。
「何だよ。…お前からしてくれんじゃねーの?」
 意地悪にそんなセリフを返しながらも、啓介は笑って拓海の唇を啄んだ。ゆっくり優しく触れては離す。時々いたずらにその唇をペロリと嘗めあげて・・・。

「したいけど・・・怠くて動けねー…。・・・だから・・・」
 続くセリフは、啓介の唇の中に消えた。言われなくても、したいのは啓介だって同じなのだから。
「・・・怠いって…お前、ダイジョブか?途中でなんて止めらんねーぞ?」
 軽いこのキスまでならセーブも出来るけど、コレ以上進んだら、きっと頼まれても拓海を離せなくなる自分を啓介は知っている。
だからもう1度、確認した。あんまりしつこく尋ねると又、機嫌を損ねそうだが、無理させるよりはよっぽどマシだ。

「さあ?」
 ふわりと笑いながらそう答えられて、啓介は苦笑した。返事から取ると大丈夫ではないから止めるというのが筋みたいだが、今の笑顔が僅かに残ってた理性を直撃してくれた。
「さあって…お前なぁ。・・・そーいう半端な返事は、都合のいいように取られるんだぜ?」
言いながら、啓介は拓海へのキスを深く激しいモノに変えていった。

「っ!…んんっ!…ぁ…」
 舌を痺れるほど吸い上げられて、拓海は苦しげな声を上げた。実際、ままならない呼吸は苦しく、触れ合った舌は焼けそうに熱い。
啓介は絡めていた拓海の舌を解放し、今度は戻るソレを追いかけた。拓海の口中を舌先でまさぐって、溢れた唾液を吸い上げる。
「ふっ…ん、…苦しっ…」
 切れ切れな声で訴えられて、唇の端に伝うどちらのモノか解らない唾液を拭い取るのを最後に、啓介は漸くそのキスを解いた。
 激しいこのキスは、啓介の本気の合図。苦しげに息をつきながら、拓海はまだ僅かに残っていた緊張を解いて、身の内側から生まれる熱に思考の全てを手放した。

 陶然とした表情で速い呼吸を繰り返す拓海を、啓介はジッと眺めていた。
閉ざされた瞳。苦しげに寄せられた眉。赤く熟れて濡れそぼる唇。薄暗くて見えないハズなのに紅潮してるのが解る柔らかい頬。そのどれもが啓介を誘っていた。
 いつも思うのだが、こんな時の拓海はやけに色気がある。誘っているように啓介の目には映る。普段どちらかというとそういうのとは無縁な感じなだけに、その激しいギャップが又、啓介を雄を刺激するのだ。
多分それは『独占欲』と呼ばれる欲求。自分だけどモノにしたいと、ただ、激しくそう思い、貪りたい衝動の駆られてしまう。

「拓海…」
 少し掠れた低い響きで切なげに名を呼ばれた。ただそれだけでも、拓海はビクンと反応を返す。常にないほど熱く敏感になった躯を持て余して、拓海は潤んだ瞳で啓介を見つめた。


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