【暁の協定2】P7 (涼X拓&啓X拓? ) タイトルに偽り有り(笑)
 啓介は改めて拓海の様子を眺めた。
あいかわらず丸まって、健やかな寝息をたてている。
 伏せた睫毛は意外と長くて、やわらかな陰影を拓海の顔に落としていた。
その余りのあどけなさに、ただでさえ若い拓海がもっと幼く見えてしまう。

 ふぅ、と啓介は深く溜息をついた。
今更ながらに、涼介から聞いた『文太のセリフ』が脳裏を過ぎる。
「ホント、いくらあのオヤジが付いてたからって・・・よくもまぁ、今まで無事で居られたもんだよ・・・コイツ・・・」
 これは少し注意してやらねば・・・と思うのだが、何となくソレは出来ない。
どーしてなんかな?
イマイチ、自分の気持ちが掴めなくて、何だかもどかしくなってしまった。

 啓介は、またジッと拓海の顔を見つめた。
小さく開いた柔らかそうな唇が、・・・何だか誘っているようだ。
・・・あ、マジィ・・・
 そう思ったときには・・・既に拓海の唇の横に小さくキスしていた。
・・・ホンの少し、触れるだけのキス。
拓海はまだ目覚めない。───そして、何か夢でも見ているのだろう。
ニコリと、無邪気に笑ったのだ。子供のように・・・

 その姿に、もう我慢なんて出来なくなってしまった。
啓介は静かにベッドに乗り上げると、丸まっている拓海の両手を捕らえる。
「・・・バカだな、お前は・・・」
 自分みたいな狼の目の前で、こんなに無防備な姿を晒すなんて・・・
ズルイ言い訳を呟いて、啓介はまた拓海にキスをした。

 今度は、さっきと違って本気のキス──

「・・・んっ・・・」
 息苦しさに、腕の中の拓海が小さく唸って身動いた。
・・・いいかげん起きちまうかな?
そう思ったその時に───

 コンッと、ドアを叩く音が響いた。
扉の方へ視線をやると、案の定、涼介が苦笑しながら立っていた。

「・・・早ぇじゃねえか。」
 啓介のセリフに、フッと涼介は笑みを浮かべる。
「イヤな予感がしたからな。・・・ホラ、もう離してやれ。」
 寝た子を起こすもんじゃないぞと、からかようにそう言った。
───何をしようとしてたかなんて、百も承知のクセに。
 啓介は名残惜しげに、ゆっくりと拓海から離れる。
拓海はまた丸くなって、自分を抱きしめるようにして眠り続けた。

 ふぅーっと大きく息を吐いた啓介を、涼介が軽く小突いた。
「コラ。バカなマネするなよ?俺達が約束破るワケにはいかないんだぞ?
その言葉に、啓介はガシガシと自分の頭を掻きむしる。
「あー・・・ったく、チクショー。・・・なぁ、アニキ、約束、早まっちまったんじゃねえか?こんなオイシそうな獲物を目の前にお預けだなんて・・生殺しだゼ。」
 涼介は苦笑した。啓介なら絶対そう言うと思っていた。
───早めに風呂を切り上げて正解だったな。

「バカだな、啓介」
フッとお決まりのスマイルを浮かべて涼介は言った。
「ムリヤリじゃなきゃイイのさ。なら、ゆっくり時間をかけて落とすまでのコトだ。」
ちろりと涼介は拓海を眺める。その顔に浮かぶ余裕の微笑み。
 余談だが、文太はそんなコトは一言も言っていない。
だが、彼の頭では今回の約束のボーダーラインは、そう解釈されているようだ。
「・・・なーる!そういうコトか。・・・でも、悪ぃケド、今回ばかりはアニキの独壇場にはなんないゼ?」
 ニヤリと啓介は笑う。啓介らしい、強気のニュアンスを含めた微笑みだ。
1歩も引く気はねーかんな!と、その挑戦的な視線が告げている。
「望むところだ。」
涼介は微笑いながらそう答えると、ゆっくり拓海に近づいて行き、その額におやすみのキスを落としたのだった。

End.

はー、何とか終わったです。啓介、惜しい。あと1歩だ (>_<)
・・・しかし、兄の部屋ではムリだろう!いくらなんでも(爆)
え?おいしーシーンはどうしたって?いやん、そんな昔の話は忘れてケロ。
その代わり、今回はSPECIAL SCENE なんて用意してみました。(←ごまスリ)
フフフ、ヒマな方は読んでみてね。(^-^)


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