見学会

by いくらちゃん 









1.

 ここは、南原コネクション。 よく晴れた5月上旬。
 コネクションは、臨時休日。 なぜか・・・
 それは、 【太陽学園】 の子供たちが、見学に来るからです。
 朝から心うきうき状態の豹馬。 かわいい後輩達が見学にやって来るので、せっせと、準備に執り汲んでいます。
 ほかのメンバーたちは、大食堂の会場造りに励んでいます。

十 三 「今日は五月晴れや、気持ちええわ」
金 太 「だって、照る照る坊主作ったんだ」
小 介 「そうですね。 お天気がなによりです」
大 作 「ちびっ子ギャング達が来ますたい、怪我が、無いように頼みますたい」
十 三 「そういえば、ちずると、知恵は、どないした?」
小 介 「厨房です。 昨日から女子職員総出で、準備らしいです」
金 太 「豹馬さん、これからお迎え行くんだよね。 おいらも、一緒にいってもいい?」
十 三 「おお、かまへん、かまへん」
金 太 「知恵、呼んでこよう」
大 作 「さぁ、もう、一踏ん張りたい」
小 介
十 三
「「おう」」






2、

 朝、いつもなら、遅くまで寝ている豹馬が、めずらしく早起き。
 朝食を済ませ、リビングでくつろぐ豹馬に、十三が、声を掛けてきた。

十 三 「えらい、珍しいこともあるもんだなぁ、」
豹 馬 「俺、すっげー嬉しいよ。この前、あいつらにショックな思いさせたんじゃねぇかと思ってたからな。 今日、こんな日が来るなんて、思ってもなかったさ。 コネクションの人たちに感謝してるぜ」
十 三 「あぁ、そうや。 後で迎いにいくんやろ。 こっちは、準備しとくで、まかしたり」
豹 馬 「あぁ、サンキュウな」




3、

 その頃、厨房では、大騒ぎ。
 女子職員一同、子供たちに食べてもらう、ケーキを焼いていた。
 四苦八苦しながら、スポンジ、生クリーム、フルーツと、格闘していた。

「ちずるさん。 すみませんが、チョコペンシルありますか?」
ちずる 「はい、このふくろの中にはいってます」

 そこへ、知恵が、

知 恵 「ねぇねぇ、おねえちゃん、味見したいな?」
ちずる 「だめよ、知恵ちゃん、後でのおたのしみ。 ね。 みんなでいただきましょ、そこの泡だて器取ってきて?」
知 恵 「はぁーい。 はい、おねえちゃん、今日のおねえちゃんいつもより、すごく輝いている。 豹馬兄ちゃんのため?」
ちずる 「もう、知恵ちゃん。 何もでないわよ」
知 恵 「あっ、豹馬兄ちゃん探してたよ?」
ちずる 「なにかしら? どこにいるの? 豹馬は」
知 恵 「格納庫」
ちずる 「わかったわ。 知恵ちゃんありがとう」

 格納庫では、豹馬が、ぽつんと待っていた。

ちずる 「どうしたの豹馬? なぁに?」
豹 馬 「よう、忙しいところわりぃな、そのぉ、なんだぁ。 今日は、いろいろ有難うな」
『豹馬さん、そろそろお迎えの時間です。 ピロティーにきてください』

 と、館内放送が流れる。
 ちずるの前に並ぶ豹馬。

ちずる 「ええええぇ?」

 ちゃっかり豹馬は、ちずるの鼻にくっついたクリームを、なめた。

豹 馬 「うまいよ。 サンキュ」

 かたまるちずる。
 豹馬は、猛ダッシュで、格納庫を後にした。





4、

「豹馬さん、そろそろ出発しますが、いいですか?」
豹 馬 「おうぅ。 おい、お前たちも来るのか?」

 バスに乗り込む豹馬。

知 恵
金 太
「「うん、行くよ。 だって、みんな急がしそうなんだもん」」
豹 馬 「はい、はい」

 コネクションを出発、一路、「太陽学園」へ。
 子供たちが、出迎えてくれる。

子供1 「先生、バスがきたようー」
先 生 「はい、分かりましたよ。 あわてないで大丈夫よ。 豹馬、今日は有難う」
豹 馬 「みんなー、元気だった? いい子にしてたかい?」

 バスを、降りる。

先 生 「豹馬、豹馬。 今日は、みんなでお世話になりますよ」
豹 馬 「さぁ、乗って乗って。 みんな向こうで首を長くしてまってるよ」

 そのころ、コネクションでは、ランチボックスが到着。
 実は、このランチボックス、ちずるの提案で、栄養士と共に考え、子供たちが喜ぶパッケージ、中身、味になっている特注なのである。

ちずる 「みんな喜んでくれるかしら? 心配だわ」
十 三 「どれ、どれ。 うん、ハナマルや、ちずる。 今日みんな大人も子供も、これを食するのや、かわいくできてるさかいに」
ちずる 「よかったわ。 そう言ってもらえて」
大 作 「はよ、並べんと到着してしまう、ばってん」
十 三 「そや、そや。 ギャングどもの襲来や」




5、

 コネクションピロティーでは、手の空いている職員が、今か、今かと待っている。

「皆さん、そろそろですよ。 ちゃんと並んでください」
四 谷 「みんなご苦労。 怪我の無いように頼みます」
一 同 「はい」
「到着しましたよ」
一 同 「いらっしゃい。 こんにちわ」
子供たち 「今日は、お世話になります」
四 谷 「よう、きてくれたね、歓迎するよ。 いらっしゃい」
先 生 「博士、本当にわざわざありがとうございます」
豹 馬 「みんな、行儀よくすんだぞ」
子供たち 「はーーーい」
知 恵
金 太
「はい、まずは、館内見学に参ります。 列をくずさないで、」」
豹 馬 「博士、後を頼みます」
四 谷 「うむ、お前たちも気をつけてな」
豹 馬 「ラジャ」

 博士 ・ 金太たちの館内見学が、続く。

四 谷 「では、デモステレーション、と、行きますか。 みんな、外に参りますか?」
先 生 「楽しみですわ、博士」
四 谷 「コンバトラー隊、開始」
子供たち 「わーー、きゃーーー。かっこいい」
豹 馬 「いっくぜー」
全 員 「おうーーー」

 各機による、飛行、そして煙幕「よ、う、こ、そ、V」
 そして、合体「コンバトラーV」

豹 馬 「決まったぜ」




6、

四 谷 「さぁ、お待ちかねのランチタイムじゃ。 ゆっくりあじわって、どうぞ」
子供たち 「わーーすっげや、このお弁当。 かわいい」
知 恵
金 太
「「いつもこういうのだといいね」」
豹 馬 「こら、贅沢いわない」
十 三 「なぁ、豹馬このプラン発案者しってか? ちずるなんだよ。 なんでも、子供たちの喜ぶ顔がみたって、いうてな。 わいらも、思っていたよって、たのしい会や、ほんまに」
豹 馬 「子供たちの喜ぶ笑顔に、かなうものはない。 ちずる、、、、ありがとな、」

 小声で言う。

先 生 「豹馬。 勢分、おとなになった気がしますけど、何かあったのかしら?」
豹 馬 「いやだなぁ、成長したんです。 自分なりにね」
四 谷 「暴れん坊も、少しは、大人になったか。 なぁ、豹馬」
豹 馬 「いつまでも、子ども扱いされては、きっついなー」
先 生 「頑張りなさい、豹馬」
豹 馬 「有難う、先生」
先 生 「ちずるさん、しっかり手綱をにぎっててください、ね」
ちずる 「?」
豹 馬 「うぉほん、今日はこの後、どうすんの? おっちゃん」
四 谷 「いろいろ、職員が、プラン建てている見たいようですな 皆さん、遊んでいってください。 せっかくですので、、」
先 生 「博士なんとお礼を申したら、有難うございます。 子供たちの為に」
小 介 「では皆さん、これよりフリータイムです。 いろんな企画が、あります。 体育館で、小さな縁日開いています。 それと、リビングでは飲み物等ございます。 あと、危険なことがない様、職員の皆さんおねがいします」
四 谷 「では、解散」
子供たち 「わーーーーぁ、いやっほーーーー」




7、

 ここは、体育館。 金魚すくい、輪投げ、鬼まとあて、紙芝居、職員たちも張り切って、ホスト役楽しんでいる。
 一方、ちずる、女子職員は、あとかたずけ、そして、懇談会の準備に追われ、会場を作りなおしの作業に追われた。

ちずる 「ふーぅ、大変ね、みなさん有難う。 あと、もう少しです、頑張りましょう」
十 三 「ちずる、大丈夫か? 少しやすんだほうが、、、」
ちずる 「心配有難う、大丈夫よ。 あと少し、がんばちゃいましょ。 十三クン」

 十三は、知っていた、ちずるが、少し貧血を起こしているとこを、、
 過労と、寝不足。相変わらず、無茶しとるなぁ。と、、、
 大食堂では、女子職員による、お茶が、運ばれている。
 なにせ、この会は、全員が、集まるため、所狭しとイスが並べられていく。

知 恵 「お姉ちゃん、このクッキーおいしい。 手作りなんでしょ」
ちずる 「ありがと、知恵ちゃん」
知 恵 「ねぇねぇ、豹馬さん、知ってるの?」
ちずる 「うんん、知らないわよ。 十三クンには知られちゃったけどね」
知 恵 「豹馬さん、忙しいもんね」
ちずる 「さぁ、あと少しよ」

 テーブルの上には、紙コップ・紙皿がならべらていく。
 そろそろ、みんながここに集合の時間だ。

館内放送 「皆さん、食堂のほうへお集まりください」

 豹馬の司会で始まる、交流会。
 食堂では女子職員による手作りケーキが、振舞われる。

ちずる 「お口に合うか分からないけど、食べてね」
子供たち 「うわぁーおいしい、ありがとう」
先 生 「とてもお上手ですわ、大変でしたでしょう?」
ちずる 「喜んでいただければ、、、有難うございます」
豹 馬 「みんな今日はありがとう。 俺、感動しています。 太陽学園のみんな、楽しんでもらえたかな? コネクションの方がた、本当にありがとうございました。(頭を下げる。) なんて、感動的な日になったんだろう、神に感謝します」
十 三 「まぁ、そんなもんでいいやろ、豹馬。 さぁ、ラストスパートや、楽しもうや。 おぅ、そうや、ちびっこ達の質問コーナーなんていいやろか? さぁ、遠慮なしやで、スタート」
a 1 「どうすればお兄さんたちにな、隊員になれますか?」
四 谷 「うーーん、元気が一番。 後は、運だろうな? なぁ、豹馬」
一 同 「ははははは(笑う)」
豹 馬 「そりゃないぜ、おっちゃん」
a 2 「豹馬兄ちゃんは、彼女いますか?」
豹 馬 「え、ごほごほ、ごにょごにょ、」
a 2 「聞こえません」
豹 馬 「さぁ、どちらかな? そうだ、立候補する?」
a 3 「コンバトラー隊の皆さんに質問です。 一番大事なものはなんですか?」
十 三 「そやなー、一杯あるさかい。 とりあえず、ライフルかいなー」
小 介 「そうですねー。 僕は、仲間」
大 作 「仲間たい、ばってんも、、」
ちずる 「ごにょごにょ、、、。 あっそうだわ、友情、そして、(小声で)愛情。 きやーーー」
豹 馬 「うーーん、バイクと、(小声で)     …かな?」
十 三 「ぼそぼそと、。のお二人さん、純情すぎるわ」

楽しい時間も終わりをつげる。





8、

豹 馬 「みんな今日は楽しかったか?」
子供たち 「はーーーい」
先 生 「コネクションの方々、博士、今日は子供たちのために、ありがとうございます。 こんなに楽しい会を開いていただき、心より感謝いたします」
四 谷 「喜んでいただけたなら、満足じゃ」
豹 馬 「おれ、うれしいよ、おっちゃん、先生」
大 作 「豹馬さん、幸せですたい」
小 介 「みんな、、、、元気で」
十 三 「今日は、楽しかった、、、ありがとさん。おおきに」
ちずる 「。。これ、お土産、良かったら食べてね」
知 恵 「これ、ちずるお姉ちゃんの手作りなの」

 子供たちに1袋づつ、渡される。

子供たち 「有難う」
豹 馬 「ちずる、、、ありがとな、」

 小声で言った。

子 供 「今日は、みなさん、有難うございます。 僕たちのために、今日の日は忘れません」
四 谷 「みんな、頑張るんじゃ。 うん」
先 生 「さ、行きましょ」
豹 馬 「先生、元気でな」
先 生 「あなたこそ、頑張りなさい。 そして、体には気をつけて」
豹 馬 「ありがとう。。。」
小 介 「では、参りましょうか?」
豹 馬 「大作、小介、よろしくな」
大 作 「無事送り届けますたい」
子供たち 「バイバイ、有難う。 豹馬兄ちゃん」

 バスが、コネクションを出て行く。
 それを見送る人々、手を振る人たち。

十 三 「ギャング共、帰っちゃたな。 嵐が去った後みたいだな」
豹 馬 「みんな有難う、俺、俺、」
十 三 肩をポーンと叩き「うん、楽しかったな」
豹 馬 「。。」

 十三、知恵、金太、豹馬、建物の中に入る。
 十三、ちずるがいつまでも外にいることに気づく。

十 三 「おい、姫を迎えにいって来い、豹馬」

 豹馬の脇腹をこづく。

豹 馬 「う、うん」
知 恵 「あれっ、お姉ちゃんどうしちゃったの?」
十 三 「はよ、中に入ろうな。 あとは、あいつに任せておけ、うん」
知 恵
金 太
「「十三さん、やるーー」」
十 三 「そうや」

豹馬、ちずるの後ろにつく。 そして、ちずるの肩が震えているのに気づく。

豹 馬 「ちずる、ありがとな」

 後ろから抱き寄せる。
 豹馬、ちずるの髪の中に顔を寄せ、耳元で囁いた。

ちずる 「豹馬、」
豹 馬 「、そのぉ、なんだぁ、もう少し、このままでいたい」
豹 馬 「おまえ、良い匂いがするなぁ、やわらかいし、、、、ちずる」
ちずる 「。。」

 かぁーと体の体温が上昇するのがわかる。
 ほっとしたのか、ちずるが少し豹馬に寄りかかるように向き合う。

豹 馬 「いろいろ無理させたかな? 貧血起こしているんだろ? 少し顔色が青い」
ちずる 「ううん、豹馬」

 と、首を振る。

豹 馬 「お前のとこは、俺が守る、いいか?」

 その詞を聞いて、ちずる崩れそうになる。 そっと抱きかかえる豹馬。

ちずる 「豹馬、豹馬。。」

 豹馬の首に手をかける、気が遠くなっていた。
 遠くからそれを見ていた3人。

金 太 「豹馬さん やるね」
十 三 「そや、やっとお互いの心 正直になったな」
知 恵 「ねぇ、あっれて、お姫様抱っこ いいなーぁ」
金 太 「絵になるね」
知 恵 「お姉ちゃんみたいに、だっこされたいわー」
十 三 「どれ、抱っこしてあげる、来い」
金 太 「まるで親子だよ。知恵」
十 三
金 太
「「はははは」」

 と、笑う。

 ちずるを部屋に運び、ベットに寝かせ、見つめる豹馬。

豹 馬 「ちずる、ゆっくり休め、傍にいるから」

 と囁いた。
 いすに腰掛け、片方の手を頬に、もう片方は手と手とつないだ。
 そこには、穏やかな寝顔のちずるがいた。
 心配した十三が、入ってくる。

十 三 「どや、お姫様は、」
豹 馬 「うん、落ち着いてる、貧血だろうな」
十 三 おうおう、幸せの寝顔や。 うちの姫は無理をしたがる。なぁ」
豹 馬 「俺、もっと早く気づば、、」
十 三 「無理だとおもうで。 それは、ちずるの性格みてみぃ、豹馬」
豹 馬 「うん、そうだな」
十 三 「まぁ、姫の看病たのむで」
豹 馬 「ああ」

 十三部屋を後にする。

豹 馬 「ちずる、ここにいるからな、俺は」

 そっと、キスをした。





9、

小 介 「ただいま帰りました」
十 三 「よう、ご苦労さん」
大 作 「あれ、豹馬は?」
金 太 「ちずるさんのところ、なぁ知恵」
知 恵 「うん、だから入いっちゃだめ」
十 三 「そや、そっとしたりや」



空には、満点の星空がかがやいていた。





おしまい。 



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