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<2002年年間ベスト>まとめ
日時: 2003/07/05 00:56
名前: すみ&にえ
参照: http://www.aw.wakwak.com/~w22/

これは別の掲示板に投稿していただいた、<2002年度年間ベスト>をまとめたものです。書き込みはできません。
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Re: <2002年度年間ベスト>まとめ ( No.3 )
日時: 2003/06/22 00:05
名前: すみ&にえ
参照: http://www.aw.wakwak.com/~w22/

さんざん悩んだんですけど、8作だけに絞り込んじゃいます。このあとの僅差での次点って作品が多すぎて、次をあげたらあふれかえってしまいます〜。

■第1位■ イエ・グワンチン『貴門胤裔』(7/8アップ)
 これはもう、読んだときから今年の1位に決定してしまいました。今年もなにも、一生に一度出会えたらラッキーっていうたぐいの本だったので。素晴らしすぎる! 読書感が変わった!

■第2位■ エドワード・ラザファード『ロンドン』(4/11アップ)
 普通の年なら、これが1位のはずでした。とにかく、読者を楽しませるためにこういう本を書くラザフォードさんに、感謝、感謝です。

■第3位■ アレッサンドロ・バリッコ『シティ』(2/19アップ)
 とにかく好きなんです。こういう特殊な感受性を持った作家との出会いは、読書をする喜びですね。だれにでも安心して勧められる本ではないかもしれないけど、とにかく私たちは好きです(笑)

■第4位■ アンジェラ・カーター『ワイズ・チルドレン』(1/22アップ)
 キュートすぎます、本をギュッと抱きしめずにはいられません。読んだときの感触がまだ余韻として残っています。

■第5位■ イサベル・アジェンデ『エバ・ルーナ』(5/30アップ)
 この本1冊がどうのというより、イザベル・アジェンデが素晴らしい! 20世紀、そして21世紀の稀有なストーリーテラー。同じ時代にいて、著作を読めることを喜ぶしかありません。

■第6位■ スーザン・ヴリーランド『ヒヤシンス・ブルーの少女』(7/25アップ)
 長編に偏りがちな私たちの好みに、一石を投じる本でしたね。短く、美しく、余韻深い小説でした。

■第7位■ ジャネット・ウィンターソン『オレンジだけが果物じゃない』(8/5アップ)
 長く長く待ったウィンターソンのデビュー作。裏切られるかという不安がありましたが、予想以上に良くて驚きました。ウィンターソンの今後には期待と不安が入り混じっているのですが。

■第8位■ エリザベス・レッドファーン『天球の調べ』(11/21アップ)
 とにかく作品中の雰囲気が好きなんです。じっとり湿っぽくて、なんともいえない芳香のついた空気が、ムンと押し寄せてくるような。こうなるともう完成度うんぬんじゃないですね(笑)

ホントにホントに、他にもあげたい本がたくさん、たくさんあります。それはまた後日…かな(笑)
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Re: <2002年度年間ベスト>まとめ ( No.4 )
日時: 2003/06/22 00:05
名前: Yuuk

1位 ハーメルンの死の舞台 :ちょっと残酷だったけどオススメでした
2位 ソフィーの世界 :学校の先生に思わず借りちゃいました(笑)
2位 星の王子さま  :勧められたその日に読み切ってしまいました!
3位 シーラという子 :続きの「タイガーと呼ばれた子」も読んでみて
            ください。

少なくてすみません・・・。でも、↑が2002年に読んだ本のうちよかったものです(^-^)
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Re: <2002年度年間ベスト>まとめ ( No.5 )
日時: 2003/06/22 00:06
名前: ぎんこ
参照: http://www.geocities.co.jp/Bookend-Hemingway/9629/

こんばんわ、すみにえさん、みなさんv
さてさて、今年のベスト翻訳ですが、私はみなさんほど本を読んでないので四苦八苦です〜。
 
 1.「ウォーターランド」
 1.「昏き目の暗殺者」
 3.「貴門胤裔」
 4.「さくらんぼの性は」
 4.「指輪物語」
 6.「ダブル/ダブル」
 7.「スローターハウス5」
 7.「高い城の男」
 9.「ディフェンス」
 10.「ミスター・ヴァーティゴ」
 
 1位二つは、同じような話(家族にまつわる過去の悲劇)を扱いながらも正反対な作品。痛い話だけど、感動しました。
 
 3位は、すみにえさんのおススメがなかったら絶対読みませんでした。感謝感激。まさに、この作者にしか書けない物語。
 
 4位は、評判通りの傑作。ラストの空間の広がりは素晴らしい!女性にとにかくすすめてしまう1冊です。
もう一つの4位には、やっと読むことの出来た「指輪物語」を。私はまだこの物語の入り口にさしかかった所なのかもしれません。再読します!
 
 6位は、チョイスがすばらしい短編アンソロジー。粒よりでした。
 
 7位二つは、私がもっとも好きなSF作家の傑作。
 
 9位は、ナボコフのチェスに見立てた人間の物語。訳者の解説もとても良かったです。
 
 10位は、オースターの佳作を。これからオースターを読みたい人にいいかもしれません。最後の一文が大好き!
 
 てなわけで、翻訳の文学作品に限って選ばせて頂きました。
すみません、こんなので…(^_^;)
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Re: <2002年度年間ベスト>まとめ ( No.6 )
日時: 2003/06/22 00:07
名前: hasyos
参照: http://homepage.mac.com/hasyos/bookworm/

年間ベストですが、こんな感じです。まぁ、あと数日残っており、その間に二〜三冊は読むでしょうが、その時点での修正もありとして。恐らくチャールズ・フレイジャー「コールドマウンテン」がどこかに。今年はいつもより少し多めで240冊読了の中からのベストです… でも順番はかなりテキトー。

長編
 1 ジョナサン・フランゼン「コレクションズ」
 2 E・アニー・プルー「シッピング・ニュース」
 3 スティーヴン・ミルハウザー「エドウィン・マルハウス」
 4 スティーヴン・ミルハウザー「マーティン・ドレスラーの夢」
 5 イアン・マクドナルド「火星夜想曲」
 6 バーバラ・ヴァイン「煙突掃除の少年」
 7 デイヴィッド・L・ロビンズ「鼠たちの戦争」
 8 エドガー・パングボーン「デイヴィー荒野の旅」
 9 ネヴィル・シュート「パイド・パイパー」
10 スティーヴン・キング「アトランティスのこころ」

中短編
   S・ミルハウザー「J・フランクリン・ペインの小さな王国」
   ロジャー・ゼラズニイ「この嵐の瞬間」
   ジェイムズ・ティプトリィ・ジュニア「愛はさだめ、さだめは死」
   チャペック「ダーシェンカをおとなしく座らせておくためのお話」

シリーズもの
   デイヴィッド・エディングス「エレニア記〜タムール記」
   デイヴィッド・エディングス「ベルガリアード物語〜マロリオン物語」

ジョナサン・フランゼン「コレクションズ」は生涯最強の滂々沱本だと思います。
ミルハウザーは特に「J・フランクリン・ペインの小さな王国」を好みます。残念ながら明日届くはずの「夜の姉妹団」で最後… その後の予定はどうなっているのでしょうか?
イアン・マクドナルド「火星夜想曲」、エドガー・パングボーン「デイヴィー荒野の旅」はSFはどうも… という方々にもおススメしたいですね。
キング「アトランティスのこころ」は特に「アトランティスのハーツ」部分が好みですが、邦題を何とかして欲しかった…

この他、カート・ヴォネガットを「別格の人」(特に「猫のゆりかご」を好みます)に。いつもやりすぎのジェフリー・ディーヴァーは「あきれた人」に認定… ディーヴァーはしばらく自粛し、読者の信頼を取り戻す努力するべきだと思います。

その他詳しくは近い内に僕んちのホームページにまとめたいと思っています。
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Re: <2002年度年間ベスト>まとめ ( No.7 )
日時: 2003/06/22 00:08
名前: カワイルカ
参照: http://www.geocities.co.jp/Bookend-Akiko/5866/

今年のベスト本といっても後半に読んだ本だけなのでベスト5にしたかったのですが、どうしても絞れなくてベスト6になりました。順位はありません。

『最後の場所で』 チャンネ・リー (新潮社)
こういう本は多くの人に読んでほしいと思います。

『パイド・パイパー』 ネビル・シュート (創元推理文庫)
この本はどうしてもあげたかった本です。

『アトランティスのこころ』 スティーブン・キング (新潮社)
スティーブン・キング作品は久しぶりでしたが、来年は未読本を読みたくなりました。

『ウォーターランド』 グレアム・スウィフト (新潮社)
この本に出会えたことは幸福でした。今年の収穫といっていい傑作です。

『コレリ大尉のマンドリン』 ルイ・ド・ベルニエール (東京創元社) 
これを読んだら、コレリ大尉の楽天的なところがうつってしまいました(笑)。

『歳月のはしご』 アン・ターラー (文春文庫)
アン・タイラーは読むたびに驚かされます。ほんとにすごい作家です。
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Re: <2002年度年間ベスト>まとめ ( No.8 )
日時: 2003/06/22 00:09
名前: 海ねこ

迷っていてもしょうがないから無理やり決定!
わたしは図書館で偶然出会った本を主に読んでいるので、読みたいと思っていても読めなかった本が多数。来年からは予約して取りに行く方法に改めようかと思案中です。自分で買わないのはなぜかというと、ハードカバーの分厚い本ばかり集めるのが趣味のパートナーのせいで家中本だらけなんですよ。これ以上増やしたら家が倒壊しますわ〜 しかも好みの不一致で共通する分野がほとんどないという....。(ここで愚痴ってどうする?)
では、2002年海ねこベストを♪
  1.「ウォーターランド」
  2.「ロンドン」
  3.「貴門胤裔」
  4.「スカヤグリーグ 愛の再生」
  5.「コールドマウンテン」
  6.「カヴァリエ&クレイの驚くべき冒険」
  7.「望楼館追想」
  8.「オレンジだけが果物じゃない」
  9.「アインシュタインの夢」
 10.「息をひそめて」
 
 惜しくも圏外
 11.「航路」
 12.「パイドパイパー」
 13.「シッピングニュース」
 14.「星を継ぐもの」
 15.「囁くこだま」←漢字が変換できん!
                       以上でした♪
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Re: <2002年度年間ベスト>まとめ ( No.9 )
日時: 2003/06/22 00:10
名前: きゅー
参照: http://www.geocities.jp/s_kanesh/main.html

まずは長編部門。順位はなんとなくです。ちなみに今年読んだベストブックスであって、今年出版された本では必ずしも無いところ留意。

1.ドン・デリーロ『アンダーワールド』
----20世紀のアメリカ文学はこれで締めですな。もともと歴史を無名の人間の視点から捉えた作品は好きなので。

2.グレアム・スウィフト『ウォーターランド』
----この本に関しては今更何も言うこともないでしょう。何年も邦訳を待っていた甲斐があったというもの。

3.ステファノ・ベンニ『聖女チェレステ団の悪童』
----すっごいバカらしくてしかもおもしろい。登場人物の多さに圧倒されなくて平気ですから是非。

4.ジャネット・ウィンターソン『オレンジだけが果物じゃない』
----ジャネットと岸本さんのベストコンビが産んだ訳の分からない小説。やっぱりジャネット・ウィンターソンはいいね。

5.高行健『ある男の聖書』
----読みはガオ・シンヂエン、フランスに亡命した中国人。ノーベル文学賞受賞者。文化大革命を二重の視点で捉えた孤独な流浪者のため息。

6.デイヴィッド・アーモンド『闇の底のシルキー』
----人を誘い込むような暗闇の小説。登場する人物がどれも映えていて良い。最後の幻想と現実が交錯する場面は圧巻。

7.キース・ロウ『トンネル・ヴィジョン』
----次点として入れた。ロンドンの地下鉄を一日でかけずり回るしがない男のコメディー。路線図を見ながら読む小説というのも乙なものでは?


次に短編&ユーモア部門。こちらは順不同。

セルゲイ・ドヴラートフ『かばん』
----ロシアにこれだけ軽やかな文章を書ける人が居るのだという証左。

ハシェク『不埒な人たち』
----『兵士シュヴェイクの冒険』も良いけど、こちらのピリリとした短編集も捨てがたい。

ビル・ブライソン『ドーナッツをくれる郵便局と消えゆくダイナー』
----小説ではなくエッセイだけど、これはおもしろかった! しかもページ数が多いからお得感倍増。

アレッサンドロ・ボッファ『おまえはケダモノだ、ヴィスコヴィッツ』
----ヴィスコヴィッツが様々な生き物になって奇想天外の物語を紡ぎ出す。でも私、カマキリの雄にはなりたくない・・・カリカリされちゃうから。

スワヴォーミル・ムロージェク『所長』
----東欧のユーモア作家三人と言ったらハシェク、チャペック、そしてムロージェク。他の短編集はいまいちだけど『所長』は楽しかった。

PS:ここで紹介した本の詳しい感想は私のHPにあります。もしよろしければ見てやってください。
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Re: <2002年度年間ベスト>まとめ ( No.10 )
日時: 2003/06/22 00:11
名前:
参照: http://yonosk.tripod.co.jp

 2002年に読んだ本の総数は124冊でした。そのうち翻訳本は小説ノンフィクション合わせて88冊。国産本の約2倍という結果でした。「ほんやく本のススメ」にうかうか乗せられた結果だったりして〜。
 とりあえず上位10冊+次点3冊を列記します。

1. 『ガラテイア2.2』  リチャード・パワーズ  みすず書房
 恋愛とは自分と他者がもっとも純粋な姿で向き合う瞬間。傷つきやすく柔らかな君を、ぼくはどのように扱ったらよいかわからなかった…。サイバー小説の体裁を取りつつ、青春と恋愛の痛みが描かれます。

2. 『貴門胤裔』  イェ・グァンチン  中央公論新社
 自分もまた歴史の中のひとり。時はわたしの上を、わたしの中を流れてゆく…。
 すみさんにえさんのご紹介で、この作品がみなさまに読んでいただけたのは昨年もっとも嬉しかったことのひとつですね。

3. 『精霊たちの家』 イサベル・アジェンデ  国書刊行会
 ラテンアメリカの濃厚な血の匂い、人間どもの間をさまよう精霊たちの存在さえ感じ取れるような作品でした。

4. 『さくらんぼの性は』 ジャネット・ウィンターソン  白水社uブックス
 すべてを包み込むような犬女の「母性」だけではなく、17世紀から20世紀まで広く視点を変えうる著者の「自由さ」がうらやましくなるほどの作品。

5. 『冗談』  ミラン・クンデラ   みすず書房
 クンデラの人間観察眼はどのような逆境にあってもしたたかで、しかも一歩置いたユーモアを忘れません。第一作である本作からその姿勢は顕著です。

6. 『シティ』  アレッサンドロ・バリッコ  白水社
 少年の繊細な魂と、社会と折り合いをつけられない三十代女性との出会い。かなり残酷な物語ではあるのですが、暖かさに貫かれています。

7. 『琥珀の望遠鏡』(ライラの冒険シリーズ3)  フィリップ・プルマン  新潮社
 これはハイ・ファンタジーの傑作。登場する少年少女が精神的にも肉体的にも成長を遂げてくれます。しかもその世界のユニークなこと。魅力的なキャラはシロクマだけじゃないよ〜。

8. 『アインシュタインの夢』  アラン・ライトマン  早川epi文庫
 人類もまた自然法則に支配されずにはいられない。ひとつの法則を発見するとは、同時に神の所業をあばき、人間から自由を奪うことなのか。この著者ならではの疑問が見え隠れするファンタスティックにして苦みも感じられる掌編集。

9. 『ウォーターランド』  グレアム・スウィフト  新潮社
 ひとつの土地、ひとつの家系、その果てに自分がいる。位置を見据え、彼は語り続ける。それが自己存在の証であるかのように…。

10. 『ダイヤモンド・エイジ』  ニール・スティーヴンスン  早川書房
 SFではあるのですが、ファンタジー好きの弱点をくすぐってくれます。世界でたった一つ、君のための物語。いいですねー。

 惜しくもベストテンに洩れたのは次の3編。
『望楼館追想』     エドワード・ケアリー
『コペルニクス博士』  ジョン・バンヴィル
『世界が生まれた朝に』 エマニュエル・ドンガラ

 さっ、今年はどんな本との出会いが待っているのでしょうか。楽しみですねっ。
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Re: <2002年度年間ベスト>まとめ ( No.11 )
日時: 2003/06/22 00:12
名前:

私は、HPも持たず、感想もきちんと書いていないような怠惰さで、
ただ手帳に読んだ本と簡単な評価を控えているのみです。
だから、ちゃんと内容を憶えているかどうかも怪しいものなんですが、
とりあえず☆の数が多かったものを……(言い訳)

1.『エドウィン・マルハウス』スティーヴン・ミルハウザー   
ミルハウザーのものは大体ひいきなのですが、もうこれは別格。
濃厚な色彩感と緻密な作品世界が、とにかく好きで好きでたまらない。

2.『パウラ 水泡なすもろき命』イザベル・アジェンデ
これも上と同じく、アジェンデというだけでひいき目なのですが(笑)、
ノンフィクションでありながらここまで飛翔する物語性と、他の作品が
書かれた背景を知ることができる、という点でも良かったです。

3.『オレンジだけが果物じゃない』ジャネット・ウィンターソン
爆笑したりしみじみしたり、いろいろな感情を引き起こす小説でした。
処女作でこれを書いちゃったウィンターソン。
全く異なる社会通念や宗教観をものともせず、ここまで生き生きと
素晴らしい日本語に翻訳した岸本佐知子さん。両方凄いです。

4.『石のハート』レナーテ・ドレステイン
この作品はあまりに痛くて辛いので、読む人を選ぶかもしれませんが、
私はすごく惹きつけられ、揺さぶられました。

5.『寝盗る女』(上下)マーガレット・アトウッド
とにかく面白い。翻訳に少し疑問点が残らないでもなかったのですが、
それを超えるアトウッドの絶対的な筆力と、邪悪の権化のような女
ズィーニアが凄い。
未読の『昏き目の暗殺者』はもっと面白いに違いない……と
期待がふくらみます。

6.『ウォーターランド』『ラスト・オーダー』グレアム・スウィフト
おや?私は読み易さで『ラスト・オーダー』に1票!だったはずなのに、
手帳の評価は『ウォーターランド』のほうが高かった……どういうことか
もう自分でもわからなくなってきたので、両方6位!(笑)

7.『望楼館追想』エドワード・ケアリー
奇怪で哀しい、でもどこかやさしくて可笑しみのある登場人物たちが
とても魅力的でした。好きなんだなあ、こういう物語。

8.『最後の場所で』チャンネ・リー
静謐で平和な現在の生活と、陰惨な暴力に満ちた過去の記憶、
このふたつの対比が見事でした。

9.『息をひそめて』トレッツァ・アッツォパルディ
アイルランドの家族もの。貧困や裏切り、諦めに満ちた悲惨な生活
なんだけど、生き生きとした子供の視点で語られるという点が好みです。
ということで(笑)、ロディ・ドイル『パディ・クラーク・ハハハ』も同点9位!

10.『父の遺産』フィリップ・ロス
脳腫瘍に罹った父親を自分も初老の域に入った作家である息子が
看取るノンフィクションなんですが、現実的で頑固で根っからユダヤ人の
父親がすごく良くて、正直でリアルな筆致と悲しみを抑えたユーモアが
却って心を打ちました。

次点としては……
 『ストーン・フィールド』キョウコ・モリ
 『ヒヤシンス・ブルーの少女』スーザン・ヴリーランド
 『灰色の輝ける贈り物』アリステア・マクラウド
というところでしょうか。

別格・番外編として、
 『家庭の医学』レベッカ・ブラウン を挙げさせていただきたい!(笑)
 私、この作家には冷静に順位つけられないです〜。


あと、YAものはどうしてもベスト入りには不利だろうということで、
中で良かったものを何冊か別記させていただきます。

 『フォックス・ファイア』ジョイス・キャロル・オーツ
 『家なき鳥』グロリア・ウィーラン
 『チョコレート・ウォー』ロバート・コーミア
 『穴』ガイ・バート
 『魔女の血をひく娘』セリア・リーズ
 『天国までもう一歩』アン・ナ
 『塵よりよみがえり』レイ・ブラッドベリ


以上、大作を避けて通ってるようなベストになってしまいました。
今年はもっと、大作も怖がらずに読まなくちゃですね!
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Re: <2002年度年間ベスト>まとめ ( No.12 )
日時: 2003/06/22 00:12
名前: こつつぼ

上半期に続いて投稿させていただきました。
ベストというよりは、何となく印象に残ったものです。そのせいか最近読んだ本が多くなりました。

『透明な対象』 W・ナボコフ
ナボコフ晩年の作品だそうで、短い上に、若い頃のピリピリした感じが薄れて読みやすく感じましたが、あのナボコフ節とでも言うべき語り口は健在です。特に小説終盤の文体的な高揚から一気に結末へと畳み掛ける手際には、誰もが翻弄されてしまうのではないでしょうか。

『地球礁』 R・A・ラファティ
よくラファティの小説はヘンチクリンだと言われますが、この初期の長編を読むとそれにはちょっと首を傾げたくなります。確かにテイストは風変わりですが、物語の構造は至って普通なので、その意味では安心して読むことが出来ると思います。

『愛のゆくえ』 リチャード・ブローディガン
「詩人=小説家」ブローディガン唯一の小説らしい小説(?)ですね。しばらく前に新潮文庫から消えてしまい、古本屋で3000円くらいで売られていると思ったら、ハヤカワepi文庫から再登場とは。再読してやっぱりグッと来ました。アメリカの小説なのにこんなに弱弱しくて良いのだろうか。この小説はタイトルで損してると思う(原題は ”The Abortion”)。

『月とかがり火』 チェーザレ・パヴェーゼ
今年の本ではありません。最近見たストローブ=ユイレの『雲から抵抗へ』と言う映画の原作(のカタワレ)で、彼らの映画にはついて行けないと思うことも多いですが、この映画など、小説を読んでから思い返してみると見ると、やはりあれが正解だと納得させられてしまいました。

『エリック・ホッファー自伝』
ウブな人ならその経歴を聞いただけで参ってしまいそうな、沖仲仕の思索家(!)エリック・ホッファーの自伝です。惜しむらくは短すぎる事かな。彼の「箴言形式による論述スタイル」からすると致し方のない事だとは思いますが。
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