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<2002年上半期ベスト>まとめ
日時: 2003/07/04 22:16
名前: すみ&にえ
参照: http://www.aw.wakwak.com/~w22/

これは別の掲示板に投稿していただいた、<2002年上半期ベスト>をまとめたものです。書き込みはできません。
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Re: <2002年度上半期ベスト>まとめ ( No.1 )
日時: 2003/06/21 02:55
名前: しま
参照: http://user.yoitoko.jp/xoen/

うちのBBSに書いたものと同じですが、一言ずつ付け加えて見ました。
順位はつけられなくてごめんなさい。(゚゚)(。。)ペコッ
○アイザック・アシモフ「はだかの太陽」
 去年読んだ「鋼鉄都市」の続編です。SFってやっぱり面白いと再認識させてくれたシリーズですね。1月に読んだ本です。
○アレッサンドロ・ボッファ「おまえはケダモノだ、ヴィスコヴィッツ」
 20篇のクレバーな法螺話的な作品でした。様々な生物の世界で、その生態に沿った様々な愛の形を見せてくれました。4月に読んだ本です。
○アンジェラ・カーター「ワイズ・チルドレン」
 私生児として生まれ、ショウ・ガールとして生きたキュートな双子ノーラとドーラの波乱万丈の人生を描いた長編。
とにかくキュート♪キュートで切ない作品でした。1月に読んだ本です。
○ハンス・ベンマンの「石と笛」
 「まだ、すべてではない」というフレーズにずしりと重みを感じるドイツの長編メルヘン。単一民族の中だけに収まらないスケールの大きさがまた魅力でした。2月に読んだ本です。
○ルドルフォ・アナーヤ「トルトゥーガ」
 おかっぱの少年が、首から下を包帯でぐるぐる巻きにされて、窓の外を見ているという飯野和好さんの表紙のイラストがそそった作品です。
 グロテスクでいて、キラキラ輝くような「生きる」ことを描いた作品でした。4月に読みました。
○オタ・パヴェル「美しい鹿の死」
 1930年ユダヤ人の父とチェコ人の母の間に生れた著者の、父親を軸にした自伝的な連作短編集です。明るい筆致に漂う悲しみ、ただただ、良かったです。5月に読んだ本です。
○ロジェ・グルニエ「シネロマン」
 すでに傾いた映画館「マジック・パレス座」をラ・フレーシュという男から買い上げたローラン一家と映画館の物語です。猥雑なぐらい人間くさい登場人物たち。挫折のほろ苦さ。良かったです〜。5月に読んだ本です。
○エドワード・ラザフォード「ロンドン」
 長いロンドンの歴史の中、どのシーンにも居合わせたような錯覚さえ覚える大作でした。一つの都市がまるで古い友達のようにぐぐっと親しく感じられました。長い作品だけど、もっと読みた〜いと思わずには居られませんでしたね。5月に読みました。
○ジェイムズ・P・ホーガン「星を継ぐもの」
 単純に「科学」って面白い、「理科」ってエキサイティングだなって思わせてくれました。6月に読みました。続編を読むのが楽しみです。
○ダニエル・ペナック「散文売りの少女」
 この作品は、私の大好きなダニエル・ペナックの、大好きなバンジャマンシリーズの新作ということで外せないな、というひいきの引き倒しでランクイン。(笑)フレンチ・ミステリです。3月に読みました。
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Re: <2002年度上半期ベスト>まとめ ( No.2 )
日時: 2003/06/21 02:56
名前: Green

えーと、今年読んだ本… 何があったっけな…

しかも翻訳本ですよね、まぁ大半が翻訳本なんですけれど…
面白かったもの、何とか10冊(+αくらいありました)。
一応上から順ですが、余り深く考えておらず、横一線と思って頂いても同じことかもしれません。

●「ふくろうの叫び」 (パトリシア・ハイスミス)
人は何もしなくても地獄に落ちることがある、といった趣の話。人と人との化学反応が何をもたらしていくのか… レンデルやミラーが好きな方なら、きっと気に入ると思いますが…
●「ヘリオット先生奮闘記」 (ジェイムズ・ヘリオット)
これはある意味ノンフィクションといえるのですが、でも余りに面白かったので…
こんなに笑えた本(しかも気持ちよく!)は久々。しかも人間への愛情(と観察眼)にあふれています。一見、動物が主役の獣医ものなんですけどね。
●「深夜+1」 (ギャビン・ライアル)
もともと手に取るつもりがなく、本を持ってくるのを忘れたので、駅構内の古本出店で手にしたもの。しかしこれが面白かった! あまり動きのない護送劇なのですが、人の生い立ちや内に隠されたもの、置かれた状況が見えてくる辺りなど、渋い味わいの人間ドラマです。
どちらかというと男性好みの本かも。
●「Pop1280」 (ジム・トンプスン)
人間の黒い本性を笑いのめす本。保安官でありながらわが身の保全のために人を殺し、また人の邪悪さを煽り立てて破滅へと追いやり、あげく自分は神の意志でこれをやっているのさ、とのたまう主人公(これがあながちただのデタラメともいえないのが恐ろしい…)。いやはや。
●「香水」 (パトリック・ジュースキント)
一人の、匂いに生きた奇怪な人物の一生。原始的な感覚が呼び覚まされるようなシーンの多用と、シンプルでシュールな筋立てがいい感じ。園芸好きには様々な香りについて語られる辺りも嬉しい。
●「サンディエゴ・ライト・フット・スー」 (トム・リーミイ)
全てがパーフェクトな訳ではないですが、ツボにあった作品のインパクトは流石。ちょっと性の気配の漂うブラッドベリといった感じかな。短編集。
読んだのは昔ですが「沈黙の声」もお薦め。これも思春期の気配の濃厚な傑作。
●「罪深き誘惑のマンボ」 (ジョー・R・ランズデール)
こちらは言動過激ながらも内面は実にまっとうな2人組み。差別の横行する町で失踪した黒人女性の行方を追うが… タフだけれどもヒーローとまではいえない、それでいて果敢でけなげですらある彼らにはちょっと共感も。
●「優雅に叱責する自転車」 (エドワード・ゴーリー)
これは大人向けの絵本。ナンセンスでシュール。他にも数冊、部屋に飾っておきたいような、どことなく品格と(黒い?)ユーモアのある本。
●「運命の倒置法」 (ルース・レンデル)
これも奇妙な味わいの一品。ひとつの死へと帰結する、ヒッピー・コミューンのような共同生活とその破綻(その過去をかかえながら(それに影響されながら)の現代の生活…)。私の好きなある文句が、皮肉な形で引用されているのも印象的でした。
●「死の蔵書」 (ジョン・ダニング)
面白かった割には余り内容を覚えていないのですが、各種ベストに選ばれるような定評の作品ですね。
●「最後の刑事」 (ピーター・ラヴゼイ)
ラヴゼイの特徴は、個人的には謎解きというよりも、この先いったいどうなるのかと思わせるストーリーテリングや、登場人物のやりとりの味かなぁ、と思っています。この作品もそんな種類のおもしろさが感じられたと思いますが…
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Re: <2002年度上半期ベスト>まとめ ( No.3 )
日時: 2003/06/21 02:57
名前: ぎんこ
参照: http://www.geocities.co.jp/Bookend-Hemingway/9629/

 もう今年上半期のベストですかv
ああっ、ですが、私みなさんのようにたくさん読んでないんですー。
おまけに思い付いた本はみなノンフィクションで…参考になりませんですね…(でも書いてみる)

今んとこの一番は「暗号解読」(S・シン著/新潮社/2600円)ですね!
これは本当に面白い上に分かりやすいという、すっごい難しいことを
やり遂げている本だと思います〜。
暗号の話ですが、暗号を開発した人々の人間ドラマでもあったりするんですよー。これがまたいいんですv

「ビューティフル・マインド」(S・ナサー著/新潮社/2600円)も良かったなー。映画がきっかけで読んだのですが、本があまりにもいいので映画行く気が失せました(笑)
ある性格の悪い天才数学者ナッシュが精神病を発病し、どんぞこに落ちてからノーベル賞をとるまでのいわゆる「ええ話」なんですが、
ただの「ええ話」ではなく、現実の厳しさもあり、そこがまた感動を呼びます。ナッシュの周りの学者たちも豪華でいいですね。ボーアやらアインシュタインやらのエビソードも楽しいです。
 
 うーん、また思い付いたらきていいですか(笑)
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Re: <2002年度上半期ベスト>まとめ ( No.4 )
日時: 2003/06/21 02:58
名前: すみ&にえ
参照: http://www.aw.wakwak.com/~w22/

できれば順位をつけて、なんて書いておきながら、自分たちがはっきり順位をつけられなくて申し訳ないんですが(笑)、2002年度上半期に読んだ本の中で、オススメかどうかというのはとっぱらって、自分たちにとってモロ好みだった本を挙げておきます。

■アレッサンドロ・バリッコ 「シティ」 (2/19アップ)
どうにもこうにも、こういう独特の感性を持った作家さんにはメロメロです(笑)

■ウィリアム・サロイヤン 「わが名はアラム」 (5/10アップ)
短編集でここまで好きになった本って珍しいかもしれない。

■アンジェラ・カーター 「ワイズ・チルドレン」 (1/22アップ)
去年はアゴタの「悪童日記」、今年は「ワイズ・チルドレン」と、じつは嘘っぽい双子の出てくる小説が大嫌いな私たちが、連続して双子が主人公の小説をお気に入りに挙げました。けっきょく、自分たちにはあんまり似てないんですが(笑)

■エドワード・ラザファード 「ロンドン」 (4/11アップ)
毎年1作は、こういう生涯のうちにかならず読むべき本だったなと思うような小説に出会えるってことは幸せですね。

■ロジェ・グルニエ 「シネロマン」 (4/26アップ)
この本を読んだときのように、小説の世界にボワ〜っと入り込めるのもまた読書の喜びです。

■マイケル・シェイボン 「カヴァリエ&クレイの驚くべき冒険」 (4/5アップ)
作者の意向とはいえ、原書の3分の1にされてしまった寂しさはあるんですが、シェイボンはこれからにスンゴイ期待してる作家さんなので。

■イサベル・アジェンデ 「エバ・ルーナ」 (5/30アップ)
イサベル・アジェンデは、文句なしにストーリーテラーとして天才だと思います。

■サルマン・ラシュディ  「真夜中の子供たち」 (3/19アップ)
ブッカー賞受賞作品を追ってなかったら出会ってなかっただろう小説だけに、出会いがなおウレシイ。この人の頭の中はかち割って見てみたいです(笑)

■チャンネ・リー 「最後の場所で」 (3/6アップ)
翻訳者の高橋茅香子さんからメールをいただいたこともあって、読んだあとで何度も何度も思い返しましたが、この小説の主人公のような人物設定って、やはり並の作家ではできないと思います。これから先も、何度も思い出しそうな小説ですね。
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Re: <2002年度上半期ベスト>まとめ ( No.5 )
日時: 2003/06/21 02:59
名前:
参照: http://yonosk.tripod.co.jp

今年もはや半年たったのですね、ああ時がわたくしの脊髄を流れて行きます。知らんぷりしようとしてたのに〜。
 暑いときにベストというのも初めてなんですけど、パソコンに点数つけてメモしてますから、ソートしてしまえばいつでもすぐにベストの書名だけは出てくるのです。でも、順位付けはお正月のお楽しみに取って置いて、とりあえずは順位なしの上位6点です。

◇『琥珀の望遠鏡(ライラの冒険シリーズ3)』フィリップ・プルマン
 シリーズものだけにだれも出さないのじゃないかなーと思い、あえて出します。悲壮感漂ってます。わたくしが、ぢゃなくてライラとウィルが。イメージの喚起力、上品でないリアルな子どもたち、いろんな意味で斬新な「ファンタジー」です。

◇『貴門胤裔(上下)』葉広今(Ye Guangqin)
 これはもう個人的好みの世界ですねー。映画で言うと『覇王別姫』と『ラストエンペラー』をご覧になった方はすんなり入り込めると思います。

◇『アインシュタインの夢』アラン・ライトマン
 人は常に孤独な旅人。思考を続け、天を仰ぎ、わが身を確かめ、それでもほんとうにわたしはここにいるのかと自問せずにはいられない…。

◇『シティ』アレッサンドロ・バリッコ
 おっ、ようやくすみさんにえさんと共通本がっ。かなりカブって読んでいるのに、ベストを選択すると滅多に共通本が出てこないというのも当然というか謎というか。それはともかく、孤独な少年と、少女の心を持つ女性の痛々しい魂の彷徨、それでもイタリアらしいアメリカンイメージという複雑テイストの楽しくて悲しいお話でしたねー。

◇『ウォーターランド』グレアム・スウィフト
 今年前半では、最も「小説らしい小説」でした。と言いつつも、どーだっ参ったかっというほど偉そうでもないし、どうしたらこれだけ地に付いた仕事ができるのかねえ。

◇『ダイヤモンド・エイジ』ニール・スティーヴンスン
 これは正統SFですね。論理の破綻もなく、しかもJ.キャロルのようなダークファンタジーの要素も持っているという贅沢な世界です。
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Re: <2002年度上半期ベスト>まとめ ( No.6 )
日時: 2003/06/21 03:00
名前: こつつぼ

今年出版された中でお勧めしたい本が一冊あって投稿しました。
レイナルド・アレナスの『夜明け前のセレスティーノ』です。
アレナスと言えば、自伝である『夜になるまえに』が映画化されて
知名度が上がりましたが(私も映画で知りました)、
彼の作品の翻訳は、その『夜になるまえに』と、代表作『めくるめく世界』、中篇集『ハバナへの旅』に続いてこれが4冊目です(多分)。
アレナスはその小説と同じくらい(?)面白い経歴を持った人で、
キューバの山奥で赤貧の大家族に育って、カストロ政権下で発禁処分にあいながら反革命的で同性愛的な小説を書き継ぎ、多くの男たち(自称5千人!)と奔放な性生活を送った挙句に、関係を持った男に同性愛者として告発され、浮き輪を漕いでフロリダに渡ろうとして失敗し、ハバナ近郊を亡命の機会を求めながら彷徨した挙句に、公園のねぐらでホメロスの『イリアス』に読み耽っている所を逮捕されて、4年にわたる刑務所生活の後にアメリカに亡命しますが、エイズに侵され、数年にわたる(アメリカ国籍を取得しなかったので)健康保険も無い過酷な闘病生活の後に自殺しました。
『夜明け前のセレスティーノ』はそのアレナスが二十歳で書いた小説です。少年時代のアレナス自身と重なる語り手の「叙情的な、錯乱したモノローグ」(フアン・アブレウ)に覆われた小説ですが、瑞々しくイマジネーションに溢れ、素晴らしいと思いました。
実は、『夜明け前のセレスティーノ』よりも、次作の『めくるめく世界』こそがアレナスの代表作と言う事になっていて、実際『めくるめく世界』はガルシア=マルケスの『百年の孤独』と共に1969年のフランスの最優秀外国小説賞を分け合っている程なのですが、私は以前読んだこの小説にはイマイチのめり込めませんでした。破天荒なピカレスク・ロマンをマジック・リアリズムで書いているのが、「どーだこんな書き方も出来るぞ」と言わんばかりで、そこが鼻につきました。
それで、アレナスは自伝はいいけど小説は「?」かなと思っていたのですが、『夜明け前のセレスティーノ』でいっぺんに目が覚めました。
私が『めくるめく世界』で白けてしまった力みかえった作者の「若さ」が、ここでは小説の臭みになっていない、と言うか、単に叙情的なのが私の壷にはまっただけかも知れませんが、いい、めちゃめちゃいい。
すると以前読んだ分まで良く思えてくるもので『めくるめく世界』も思い返してみればスゴい小説だったな、と思えてきました。
他の小説に対する評価まで変えさせる『夜明け前のセレスティーノ』でした。次の翻訳が待たれます。
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