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<2002年上半期ベスト>まとめ
日時: 2003/07/04 22:16
名前: すみ&にえ
参照: http://www.aw.wakwak.com/~w22/

これは別の掲示板に投稿していただいた、<2002年上半期ベスト>をまとめたものです。書き込みはできません。
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Re: <2002年度上半期ベスト>まとめ ( No.7 )
日時: 2003/06/21 03:01
名前: さかい

みなさんのようにたくさん翻訳本を読んでいないので、ちょっと恥ずかしいですが・・・。メインBBSに書きましたが「エドウィン・マルハウス」はよかった。それとティム・オブライエン「本当の戦争の話をしよう」がすばらしかった。短編集ですが、同じ作者の長編よりよいと思います。オブライエンが、ベトナムの体験を踏まえたうえで、リアリティとはなにか、それこそ一作一作命をかけて試行錯誤している様子がありありと伝わってくる。集中の「レイニー河で」という作品を電車のなかで読み、比喩でなく涙が止まらなくて困りました。
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Re: <2002年度上半期ベスト>まとめ ( No.8 )
日時: 2003/06/21 03:01
名前: H2
参照: http://www2.ocn.ne.jp/~h2tea/

上半期のベストですが、ファンタジィと児童文学は省きました。すみ&にえさんをブックガイドとさせていただいているので、ここに挙げた本で『冬かぞえ』と『月とかがり火』以外は重なってますね。これからも期待してまっせ>すみ&にえさん
1位は断然『冬かぞえ』です。以下は順不同。

●バリー・ロペス『冬かぞえ』(パピルス)
ネイティヴ・アメリカンについて書かれた短編集ですが、あまり意識せず読めると思います。詩的で一見ファンタスティックなんだけど、よく読むととても論理的なのです。ともかくピリッと詩的で知的!

●チェーザレ・パヴェーゼ『月とかがり火』(白水社)
ファシスト政権崩壊直後のイタリア、山岳地帯の農村に暮らす人々を描いたもの。詩的な文章で内容もいいのだけれども、私は詩的な美しさで書かれた風景描写が好きです。いかにも中部か北イタリアらしい山村の風景が。イタリア好きにはたまりません!山岳都市に行きたい!
イタロ・カルヴィーノ『くもの巣の小道』の風景に通じていて、『くもの巣〜』より、視覚的・詩的に書いたと言う感じかな。

●グレアム・スウィフト『ウォーターランド』(新潮社CREST BOOKS)
「芳醇な語り」の一言に尽きるんじゃないかなあ。うねうねとした語りで最後まで書き切る力量はなかなかすごいと思います。

●スティーヴン・ミルハウザー『三つの小さな王国』(白水社、白水Uブックス)私の中でミル様(笑)は別格ですっ!他の作家と同列には並べられません。

●ロジェ・グルニエ『シネロマン』(白水社)
フランス片田舎のさびれた小さな映画館で、悲喜こもごも生きる人々。猥雑でも度を過ぎない雰囲気がいいです。フランスのモノクロ映画は好きなのですが、そんな映画を見ているような感じで読めました。歳を経て読み返すと、いまとは違った感慨をもてそうな本でした。

●アレッサンドロ・バリッコ『海の上のピアニスト』(白水社)
作中から感じられる、軽快で品があり、でもスルリとすり抜けられてしまうようなムードが好きです。心地良い本だと思います。

●ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』(東京創元社,上下巻)
いまさら言うことはない定番。中世・イタリア・異端というと、もっと小難しくて読みにくいのかと思っていたのですが、想像していたのよりは読みやすかったです。映画ではわからなかった部分を知ることができました。
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Re: <2002年度上半期ベスト>まとめ ( No.9 )
日時: 2003/06/21 03:02
名前: 海ねこ

とりあえず順位はつけずに5点だけあげますね。あくまでも猫ベストです♪
★「ウォーターランド」 グレアム・スウィフト
  「ラストオーダー」も「この世界を逃れて」も好きですが最近読んで記憶に新しいのでこの作品をあげます。
★「ロンドン」エドワード・ラザファード
  小説としてはちょっと異質ですけど、圧倒的な存在感&面白さ!
★「息をひそめて」 トレッツァ・アッツォパルディ
  主人公の強さとやさしさが好ましい。つらい内容ですが...。
★「カヴァリエ&クレイの驚くべき冒険」 マイケル・シェイボン
  圧縮版ではなく全文読みたいと思わせる魅力がありました。
★ 「スカヤグリーグ 愛の再生」ウィリアム・ホァウッド
  ちょっと特殊な小説なので入れようかどうしようか迷いました。翻訳文がこなれていない部分があるし、長篇だし、読んでいてつらい部分もあるけど、でも心に残る秀作です。もう絶版ですが、図書館で借りました。

並べてみると、なんかイギリスに偏っていますわ〜 
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Re: <2002年度上半期ベスト>まとめ ( No.10 )
日時: 2003/06/21 03:03
名前: きゅー
参照: http://www.geocities.jp/s_kanesh/main.html

うーん、これだけ錚々たるメンバーが上半期ベストブックスを書いていますと私もムズムズとしてきて、名を連ねたいなという気になってしまいました。
では。
順不同で以下の通り五作品を挙げます。

闇の底のシルキー デイヴィッド・アーモンド
→メインモチーフを「闇」とするこの作品は、闇の持つ怖さ以上に闇の持つ神秘性に重点を置いていて心地よかった。
クライマックスでいくつもの物語、何人もの想いが重なり合う様は圧倒的。

所長 スワヴォーミル・ムロージェク
→ポーランドの作家。邦訳のあるほかの二作品はつまらなかったがこれは大受け。プラハと言ったときにカフカのあの「不条理」を思い浮かべるより先に酒場「ウ・カリハ」で飲み騒ぐハシェクを思い浮かべてしまうような人には最適。(って、何の比喩だそれは?)
とにかく愉快な作品。

ドーナッツをくれる郵便局と消えゆくダイナー ビル・ブライソン
→ユーモアエッセイとしては非常に高いレベルを保っていると感じた。電車の中で読もうものなら一人で笑い出す恥ずかしい人となってしまうことは必至。
しかも分量がしっかりとあるので読んでも読んでも次の楽しいエッセイが待っていてくれている。
最後の方になっても「また、このネタか・・・」ということにはならない。

ウォーターランド グレアム・スウィフト
→待ちに待ったグレアム・スウィフトの作品。いまだに「子どもたちよ・・・」と話者が話しかける声が聞こえてくるよう。
イギリスの文学史に残るであろう名作。
ずっしりと重厚で、しかしながら逆説的だが、重さを感じさせない。
森閑とした空気のように澄明で、濁りが感じられない。
これから何度も読み返すであろう作品。

と、言うことでちょうど上手くジャンル的にばらついてくれたと思っています。
こんなものでいかがでしょう?
もちろん選定は「今年出版された本」ではなく「今年私が読んだ本」ですのであしからず。
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Re: <2002年度上半期ベスト>まとめ ( No.11 )
日時: 2003/06/21 03:04
名前: サキ

『煙突掃除の少年』バーバラ・ヴァイン〜ネタバレ


一冊選ぶのならコレです。ミネット・ウォルターズもチャンネ・リーも良かったのですが。

しかし、なぜこの死んだ作家は結婚しなければならなかったのか?
出世をめざす実業家、会社員ならいざしらず、作家であれば独身でも問題ないでしょうに(いくら当時の社会がいま以上にゲイへの偏見にみちていても)。

自分がゲイであることに罪悪感をいだいているうえに、弟の事件などもあり、結婚し「家庭」を築かなければ、という結論に至ったのか。妻はいらんが子は欲しい、そして「家庭」には母親も必要、ということなのか。

「素晴らしい家庭」に対する幻想もあったのかも知れません。

しかしその家庭が、(妻への罪悪感のせいか)妻を無視したいびつなものになってしまったのは皮肉です。

どうせ演技するのなら「良き父」だけではなく、「良き夫」も演じろよといいたい(笑)。ストレートの男性でも(女性でも)演技で家庭を円満に保つ人はたくさんいるのだから。
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Re: <2002年度上半期ベスト>まとめ ( No.12 )
日時: 2003/06/21 03:05
名前: カワイルカ
参照: http://www.geocities.co.jp/Bookend-Akiko/5866/

順位はありません。好きな作家の作品を5つ並べただけです。

『海の上のピアニスト』 アレッサンドロ・バリッコ
 話も面白ければ語り口もよかったです。読んでいる間はいつまでも終わらないでほしいと思いました。読者として幸福感に浸れる作品でした。

『リプリー』 パトリシア・ハイスミス
 主人公が好きになれないにもかかわらず夢中になってしまいました。とにかくよくできたサスペンスなのでこの作品の影響を受けた作家も多いのではないかと思います。

『鳥−デュ・モーリア傑作集』 ダフネ・デュ・モーリア
 純粋なミステリは少ないのですが、その分人間の描き方が素晴らしく、雰囲気もよくでていて読みごたえがありました。イギリスの作家らしくユーモアと皮肉が効いていているところも好きなところです。

『パッチワーク・プラネット』 アン・タイラー
 主人公は30歳、バツイチ、職業は便利屋のようなもの。しかし、アン・タイラーの手にかかるとこれが魅力的なキャラクターになるのです。読み終わっても登場人物が気になってしかたがない作品でした。

『悪童日記』 アゴタ・クリストフ
 第二次世界大戦中に自分たちのモラルだけで生きてゆく双子の兄弟の話です。救いのない世界の衝撃的な話が感情を廃した文章で語られますが、不思議な魅力のある作品でした。
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Re: <2002年度上半期ベスト>まとめ ( No.13 )
日時: 2003/06/21 03:06
名前: じゅび
参照: http://homepage1.nifty.com/naoe/jyujiro/

この半年、翻訳本を余り読んでないのですが、ほとんどが人からの薦めで読みましたので、ハズレがありませんでした。皆さんにとっては、目新しいものはないと思いますが、一応、書いてみます。

順不同です。
●「頭蓋骨のマントラ」エリオット・パティスン ハヤカワ文庫
チベットを舞台にしたミステリ。重く深く考えさせられるお話です。

●「神秘の短剣」フィリップ・プルマン 新潮社
シリーズものの二作目を選ぶのもヘンですが、ファンタジー苦手の私にとっては、これが一番楽しめました。

●「イン・ザ・ペニー・アーケード」スティーブン・ミルハウザー 白水社
私にとって新しい作家との出会いです。すみ&にえさん、おすすめありがとうございました。
最初の一編「アウグスト・エッシェンブルク」が、強烈パンチでした。
長編も読んでみたいです。

●「四季屏風殺人事件」ファン・フーリック 中公文庫
オランダ人が書いた中国ミステリ。日本の時代劇みたいな展開ですが、
作者自らの挿絵もあって、面白いです。

●「ボトムズ」ジョー・R・ランズデール 早川書房
登場人物が魅力的で、すぐに引き込まれました。

●「黒と青」イアン・ランキン ハヤカワポケミス
一匹狼の主人公がかっこいいです。

●「遠い山なみの光」カズオ・イシグロ ハヤカワepi文庫
しっとりと、心にしみいるようなお話でした。
何がどうということもないのですが、読後の余韻が、たまりません。

下半期は、もう少し、翻訳本を読めると思います。ではでは。
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Re: <2002年度上半期ベスト>まとめ ( No.14 )
日時: 2003/06/21 03:07
名前: セス
参照: http://www.geocities.co.jp/MusicStar-Guitar/7782/index.html

あくまで、私が今年読んだってだけですけど。

@鍵のかかった部屋    ポール:オースター
C百年の孤独       ガルシア:マルケス
A真夜中に海がやってきた スティーブ:エリクソン
途中
Bすべての美しい馬    コーマック:マッカーシー
Cイブの百人の子供    ノンフィクション

再読
ペスト          カミュ
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Re: <2002年度上半期ベスト>まとめ ( No.15 )
日時: 2003/06/21 03:08
名前: こつつぼ

以前にもこのコーナーに投稿させて頂きましたが、その際はコーフンして1冊についてだけ書きまくってしまい、他にも好きな本があったなと思って、今回追加してみることにしました。

・『オコナー短編集』 フラナリー・オコナー
新潮文庫の帯(オビ)で作家の桐野夏生さんが推薦しているのを知って読んでみた本です。
フラナリー・オコナーはアメリカ南部の出身で、25才で紅斑性狼痩という難病に罹り、38才で亡くなっています。生前に2冊の長編小説と2冊の短編集を残していますが、この『オコナー短編集』は作者の死後に編まれた短編全集からの抄訳です。
彼女の詳しい履歴は私の知る所ではないのですが、オコナーは、文学博士号を取得しながらも、発病から亡くなるまでの間、母と使用人しかいない生家の農場でひっそりと暮らし、その生活の中で、人間存在の奥底から湧き上がって来る叫び声の様なものに耳を澄まし、小説へと書き取っていた人だとでも言えそうです。長編の『賢い血』も読んでみましたが、この2冊を比べて見ると、短編の方が優れていると思われます。彼女の作風は、登場人物たちの歪んだ言動からか、一般に「グロテスク」と評されている様ですが、執拗に推敲された作品は、高度な完成度を有しつつ、今にもバラバラに崩れてしまいそうな危うさをも孕んでいる所が魅力なのではないかと思います。

・『戦士たちの挽歌』 フレデリック・フォーサイス
フレデリック・フォーサイスはアリステア・マクリーンやトム・クランシーと並んで、最も女性に読まれないタイプの小説を書く作家ではないでしょうか。国際政治や軍事・諜報活動に関する蘊蓄の上に成り立つストーリーと、恋愛の要素の希薄さと言うイメージには、一般的な女性読者を寄せ付けないものがあるのでしょう。
久し振りの短編集であるこの作品も、ベタな邦題とデザイン性に欠けた装丁のせいもあって、書店で手に取る女性の存在が想像出来ない本になっています。
とは言え、その内容は外見程にはマッチョなものではありません。
前半に収録された4つの短編はバラエティに富むものの、これまでの作品の延長線上にあって、ファンには物足りない感じもしますが、初めての読者には(男女を問わず)楽しめる内容だと思いますし、後半を占める中篇の「時をこえる風」は予期せぬラブ・ロマンスかつファンタジーとして衝撃的です。
さて、その物語は1868年のアメリカ合衆国、カスター将軍の第七騎兵隊とインディアンとの戦いで幕を開けます。この戦いで、たった260人で数千人のインディアンに挑んだ第7騎兵隊は全滅するのですが、ここから、ただ1人生き残った白人青年と彼に助けられたインディアン少女の逃避行が始まります。インディアン達は少女を取り戻すべく、合衆国陸軍は第7騎兵隊の敗北を青年の裏切りに帰すべく追跡を開始します。
この小説のキモは、当然ながら2人がいかにして追っ手から身をかわして行くのかと言う部分と、もう1つ、小説中盤のファンタジックな仕掛けが物語を飛躍させ、それを小説の後半で取り戻して行く所にあります。
結局、ここに見られる守る男と守られる女の構図などはマッチョな物語の典型なのでしょうが、ただ、この小説の面白さはそれを補って余りあると思います。
又、作者自身がこの小説を書く事を楽しみ過ぎている感じがなんとなく鼻につきますが、これも愛嬌のうちでしょう。そして、この小説を読んで私が一番強く感じたのが、これはとても映画化に向いた小説だし、作者もそれを念頭に置いて書いているのではないかと言う事でした。
メンテ
Re: <2002年度上半期ベスト>まとめ ( No.16 )
日時: 2003/06/21 03:09
名前: すみ&にえ
参照: http://www.aw.wakwak.com/~w22/

以上が、別の掲示板に書いていただいたときの<2002年上半期ベストほんやく本>です。
募集は締め切っていますので、書き込みはできません。
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