すみ=「すみ」です。 にえ=「にえ」です。
 「バートン版 千夜一夜物語」 第5巻  <筑摩書房 文庫本> 【Amazon】
世界最大の奇書「千夜一夜物語」を、世界に名高いバートン卿が翻訳した「バートン版 千夜一夜物語」の全訳。大場正史氏の流麗な翻訳文に、古沢岩美画伯の甘美な挿画を付した、文庫本全11巻。
にえ はい、「バートン版千夜一夜物語」も第5巻に入りました。今回は、読んでいくうちに思った千夜一夜物語におけるイスラム教の考察ってことだったよね。
すみ まあ、考察といっても、もとが知識のない私たちのやることだから、知れたものなんだけどさあ(笑) なんかね、読みはじめの頃、千夜一夜物語がイスラム教徒のものだと言っていいようなものなのに、意外と他教にたいして寛容なことに驚いたんだけど、それもまた変わってきたんで、 その話をちょっとしたいなと。
にえ そうそう、読んでるとけっこう気になるよね。キリスト教徒やユダヤ教徒をなんの抵抗もなく仲間として扱ってるような話があると思うと、イスラム教に改宗しないからって、娘が父親を殺してしまう話があったりして。
すみ そうなんだよ。もともと広い地域に伝わった、多くの民話を集めてひとつの話にしたんじゃないかって推測はしていたんだけど、もし、ある時代の一人の敬虔なイスラム教徒が、民話を集めてつなぎ合わせ、千夜一夜物語というひとつの物語を作り上げたのだとしたら、 もうちょっと統一感があっていいものなんじゃないかしら。
にえ うん、寛容になったり、狭量になったりとごちゃ混ぜってことは、一貫した宗教理念というのか、宗教定義というのか、そういったものがないってことだよね。それだと、もし一人のイスラム教徒が千夜一夜物語を完成させたのなら、その人ははっきりとした宗教的信念を持っていなかったってことになるよね。
すみ だから、一番考えられるのは、最初に基本的なものがあって、そこにどんどん足していったとか、そういう多人数の手によって、一般的に言われているよりも長い年月をかけて出来上がったものではないかってこと。それから、私が前々から気になっていたのは、イスラム教がもともとは寛容な宗教だったけど、16世紀か17世紀ぐらいに、キリスト教の影響で寛容さを失ったって説があるらしいんだけど、 そうではなくて、この千夜一夜物語が完成されるまでの時期に変化があったってことになるんじゃないかなあ、そんなことを思ったんだけど。
にえ あとさあ、イスラム教に改宗した娘が、改宗しない父親を殺すってエピソードは、第4巻の「アラジン・アブ・アル・シャマトの物語」に出てくるけど、これまで紹介したかぎりでは、この話だけにイスラム教のなかでもスンニ派とシーア派に分かれていて、完全に対立しているらしき記述があるでしょ。だから、キリスト教の影響はたしかにあるのかもしれないけど、それプラス、 スンニ派とシーア派に分かれたこともなにかしら関わっているのかもしれない。
すみ あとねえ、この第5巻に入っていきなり、そっくり同じような話が、まったく別の話のように挿入されることが増えたんだよね。一人の人が作り上げたのなら、長い長い物語だけに、あいだがあいて、忘れて同じような話をいれちゃったっていうのならわかるんだけど、すぐ直後にまた同じような話っていうのはありえないと思うんだよね。
にえ あと、前に王様がもうシャーラザッドを殺す気がなくなったような記述があったのに、この巻に入ったら、また、この話を聞き終わるまではシャーラザッドを殺すまい、なんて呟いてた。これも一人の人が書いたにしては、変だよね。 とにかく、この千夜一夜物語がどれぐらいの期間で完成されたのかわかれば、イスラム教の変遷というか、はっきりとした変化の時期がわかりそうなものだな。
すみ ああ、妹よ、夜が白々と明けてきてしまいましたわ。今宵はこの辺で。
「ペルシャ人アリ」 第294夜〜第308夜
ある夜、眠れないハルン・アル・ラシッド教主は、おもしろい話をさせようと、ペルシャ人のアリを呼んだ。アリの話したところによると、数年前、旅先で商売をしていたところ、持っていた袋を盗まれて、泥棒とどちらが袋の持ち主か、判官の前で証明することとなり・・・。
「ハルン・アル・ラシッドと奴隷娘と導師アブ・ユスフの話」
アル・ラシッド教主は、バルマク家のジャアファルが買ったばかりの奴隷娘を気に入って、譲ってもらおうとしたのだが、酒を飲んだ勢いで二人はしたくもない言い争いをしてしまうことになり、導師アブ・ユスフを呼び出した。
「泥棒のふりをした恋人の話」
バッソラーの太守ハリド・イブン・アル・カスリは、ある家に泥棒に入ったという男があまりにも見目よく、泥棒とは思えないので、問いただしてみたのだが、男は自分が泥棒に入ったのだと言い張って・・・。
「バルマク家のジャアファルと豆売り」
ハルン・アル・ラシッド教主がバルマク家のジャアファルを磔刑にしたのち、なにもしらずにいつも通りジャアファルを訪ねてきたバダヴィ人は、夢の中でジャアファルに、バッソラーの豆売りに会いに行けと言われ・・・。
「怠け者のアブ・モハメッド」
ズバイダー妃が製作を命じた王冠につける大型の宝石を手に入れるため、ハルン・アル・ラシッド教主が怠け者のアブ・モハメッドという商人を呼び寄せたところ、アブ・モハメッドはたくさんの珍しく大きな宝石を贈り物だと差し出した。驚いた教主にアブ・モハメッドは、15歳のときに父を亡くしてからの不思議な出来事を語り始めた。シナに渡る長老になにか買ってきてくれと銀貨5枚を渡したところ、長老は、毛が抜けて仲間に虐められていた一匹の猿を買い・・・。
「バルマク家のヤーヤ・ビン・ハリドがマンスルを寛大にあつかった話」
教主から用立ててもらっていた百万ディルハムが返せずに困っているマンスルに、バルマク家のヤーヤ・ビン・ハリドは快く金を渡したが、マンスルは・・・。
「にせ手紙を書いた男にハリドの子ヤーヤが情けをかけた話」
ヤーヤ・ビン・ハリドとアブズラー・ビン・マリク・アル・フザイとは犬猿の仲だったが、ある日、アブズラーのもとに、ヤーヤ・ビン・ハリドからだと偽の手紙を持ってきた者があり・・・。
「アル・マアムン教主と異国の学者」
アル・マアムン教主が学者たちを集めて会合を開いたところ、ぼろぼろの白衣を着た一人の異国人がとても素晴らしい意見を言い・・・。
にえ ヤーヤ・ビン・ハリドはジャアファルのお父さんで、とっても心が広くて優しくて、だれしもに慕われた人なの。この巻では、このお父さんにまつわる素敵なお話がいくつも出てきますよん。
すみ でもでも、チラッと書かれていたけど、どうやらジャアファルはハルン・アル・ラシッド教主によって処刑されたみたいなんだよね。どういう理由があったのか、わかっていないらしいけど。ハルン・アル・ラシッド教主&ジャアファル大臣って、とっても素敵なコンビだと思っていたのに、ショック〜っ。
「アリ・シャルとズムルッド」 第308夜〜第327夜
六十の齢にとどいて、ようやくアリ・シャルという息子を授かった商人アジド・アル・ジンは、息子のためにいくつかの忠告を遺したが、父親を亡くして最初の頃こそ忠告どおりに暮らしていたアリ・シャルも、いつのまにやら背くようなことばかりして財産をなくしてしまった。無一文になったアリ・シャルは、市で売られている奴隷女ズムルッドの美しさに目を奪われたが、買い取るだけの金はなく・・・。
にえ 奪われたズルムッド、それを追うアリ・シャル。千夜一夜物語では、愛する男女はすれ違い、追って追われてが定番なのよね。
「ジュバイル・ビン・ウマイルとブズル姫の恋」 第327夜〜第334夜
ハルン・アル・ラシッド教主が眠れずに困っているところに、アリ・ビン・マンスルが現れて、なにかおもしろい話をするよう命じたところ、バッソラーの君主(サルタン)を訪ねたときの話を始めた。偶然、美しい姫ブズルと知り合ったマンスルは、ジュバイル・ビン・ウマイルという若者に手紙を託されて・・・。
すみ 追えば逃げる、逃げられれば追う、これはさらわれるわけじゃなくて、男と女が追ったり追われたりする、現代にも通じる男と女の基本的なお話。
「アル・ヤマンの男と六人の奴隷娘」 第334夜〜第338夜
バッソラーのモハメッドがアル・マアムン教主に語ったところによると、アル・ヤマン生まれの金持ちの男がバグダッドに移り住んだが、この男には六人の奴隷女があり、一人めは色白、二人めは色浅黒く、三人めはまるまると肉が太り、四人めはすらっと痩せ型、五人めは黄色い肌、六人めは煤のように真っ黒と、それぞれ個性は違うか、そろってなかなかの器量よしだった。ある日、男は宴で六人の奴隷女を呼び、それぞれ一対一で自分を褒め、相手を貶しあってみよと命じたところ・・・。
にえ みな美しくとも、それぞれに個性が違っている六人の女奴隷が、才知をこらして、剽軽にも口悪にも相手を罵倒するっていう、楽しいゲームみたいなことをするお話。
すみ でも、いくら楽しそうでも、このあと、この6人は、今までどおりに仲良くいられたのかしら。怪しいもんだわ(笑)
「ハルン・アル・ラシッド教主とふたりの乙女とアブ・ノワス」 第338夜〜第342夜
ある晩、なかなか寝付けないハルン・アル・ラシッド教主が御殿をぶらついていると、ひとつの部屋に自分の髪の毛で裸体を隠し、寝入っている娘を見つけた。翌日、教主が詩人アブ・ノワスを呼んで詩を詠ませたところ、驚いたことに・・・。
「犬皿の使った黄金の皿を盗んだ男」
積もり積もった借金で肩身が狭くなり、家族を捨てて旅に出た男が、王宮のような御殿に入っていく一行を見つけ、自分も一緒に入ってみたところ、そこにいた猟犬たちは男に、金の皿に載った自分たちの豪華な餌を分け与え・・・。
「アレキサンドリアのいかさま師と警備頭」
港町アレキサンドリアの警備頭が語ったところによると、旅籠に馬をとめた旅人が金貨千枚の入った財布を盗まれたと訴えてきた。そこで旅籠の客をすべて牢にぶち込んだところ、一人の男が泥棒は自分だと名乗り出て・・・。
にえ 「ハルン・アル・ラシッド教主とふたりの乙女とアブ・ノワス」の、見ていないはずの出来事を詩人がそっくりそのまま詩にするって話は、あとにももう一度、出てきます。
「アル・マリク・アル・ナシルと三人の警備頭」 第342夜〜第344夜
アル・マリク・アル・ナシルがカイロ、ブラック、フォスタットの警備頭(ワリ)を招いて、在職中の印象深い出来事を話せと言ったところ・・・。
<カイロの警備頭の話>
評判の良い男を二人知っていたのだが、その二人はどちらも女にだらしなく、不行跡なふるまいの最中に乗り込んで叱責しようとしたところ・・・。
<ブラックの警備頭の話>
三十万ディナールの借金があったが、十万ディナールぐらいしか工面できなかった。するとある夜、泥棒の一団が訪ねてきて・・・。
<旧カイロの警備頭の話>
十人の夜盗を処刑し、首を並べておいたところ、いつのまにか1つの首がなくなっていて・・・。
すみ 泥棒だとか、いかさま師だとか、犯罪に関するおもしろ話。味わいとしては、落語の小咄ってところかな。
「泥棒と両替屋」 第344夜〜第353夜
泥棒が両替商から金貨の入った袋を盗んだが、奴隷女が疑われることになり・・・。
「クスの警備頭とぺてん師」
ある晩、クスの警備頭アラ・アル・ディンのもとに、追い剥ぎが訪ねてきて、盗んだ四万ディナールほどの品物が入っているという大箱を差し出し、かわりに更正するための資金占ディナールをくれと言われ・・・。
「イブラヒム・ビン・アル・マーディと商人の妹」
アル・マアムン教主が伯父のイブラヒム・ビン・アル・マーディに、今まで経験した中で一番おもしろい話をしてくれと頼んだところ、ある日、気晴らしで出掛けた先の屋敷で、美しい手首を見かけた話を始めた。たまたまその屋敷に二人の客が入っていったので、自分も一緒に入ってみたところ・・・。
「貧者に物を施して両手を切られた女の話」
ある国王が領内の民に施しをしてはならないとおふれを出した。ところが、ある女が一人の空腹を抱えた乞食に施しを求められて断りきれず・・・。
「信心深いイスラエル人」
糸を売って綿を仕入れ、残りの金でパンを買うことを常としていた男が、ある日、仲間に糸の代金を与えて手ぶらで戻ると、家の者に責められたので市に行った。そこに売れない腐った魚を一匹持った男が通りかかったので・・・。
「アブ・ハサン・アル・ジャディとホラサンの男」
アブ・ハサン・アル・ジャディが金に困っていたところ、一人のホラサン人が訪ねてきて、巡礼から戻ってくるまで、手持ちの一万ディルハムを預かってくれと頼んできた。とうぶん戻ってこないものと思って、預かった金を支払いに使ってしまうと、翌日になってホラサン人が戻ってきてしまい・・・。
「貧しい男と親友」
財産をすっかりなくした男が友人に金を借りに行くと、五百ディナールだけ貸してくれたのだが、その金で宝石市に店を開いたところ・・・。
「おちぶれた男が夢のお告げで金持ちになった話」
財産をすっかりなくしたバグダッドの男が、夢のお告げに従ってカイロに行ったところ・・・。
「アル・ムタワッキル教主と側女マーブバー」
アル・ムタワッキル教主が特に寵愛している側女マーブバーはときおり調子に乗って尊大な振る舞いに及び、教主に見放されたが・・・。
にえ 「アル・ムタワッキル教主と側女マーブバー」は短いながらも、ちょっとホロッとするお話だった。
「肉屋のワルダンが女と熊を相手に冒険をした話」 第353夜〜第357夜
肉屋のワルダンのもとに毎日、羊肉を買って帰る女がいた。肉屋が女のあとをつけると驚いたことに女は熊と・・・。
「王女と猿」
最初に黒人奴隷とまぐわったことがきっかけで、淫欲におぼれたある王妃は、侍女からヒヒがもっとも精力のあるものだと聞かされて・・・。
すみ え〜っと、この二つは女と獣のエッチなお話ですね(笑) 「遠野物語」と通じるところがあるのは、やっぱりこういうエッチな話の傾向は東洋好みってことかしら(笑)
「黒檀の馬」 第357夜〜第371夜
ペルシャでもっとも勢い盛んな王サブルのもとに、インド人、ギリシャ人、ペルシャ人の賢者が訪れた。三人の賢者はそれぞれ驚くべき秘宝を王に捧げ、喜んだ王が褒美に何がほしいかと聞いたところ、三人の賢者は王の三人の王女を望んだ。そのうちの、空飛ぶ黒檀の馬を献上した賢者は特に老いて醜くかった。その賢者を夫にすることになった一番下の王女は、どうしても嫌だと兄に泣きついて・・・。
にえ これは素敵だった。なんといっても、空を飛ぶ黒檀の馬ってのが素敵。黒檀の馬に乗って空を駆ける王子は、遠くの国で美しい姫君に出会い、またもや、さらわれて追うことになるの。
「ウンス・アル・ウユドと大臣の娘アル・ワルド・フィル・アクマム(ばらの蕾)」 第371夜〜第381夜
むかしむかし、多くの領土を宰領し、栄華を極めた王に、イブラヒムという大臣(ワジル)がいた。イブラヒムにはアル・ワルド・フィル・アクマムという美しい娘がいて、王に大変かわいがられていた。 ところが、この娘は王が特に目を掛けている家臣のウンス・アル・ウユドに恋をしてしまい、二人が心を通い合わせると、これを王に知られてはまずいと思ったイブラヒムは、孤島の城にアル・ワルド・フィル・アクマムを閉じこめた。
すみ 孤島の島に閉じこめられた美しい娘と、その娘を捜し求め、旅をする青年の物語。これも素敵よ。やっぱり後半は追うことになるけど。
「アブ・ノワスに三人の美少年とハルン・アル・ラシッド教主」 第381夜〜第389夜
詩人アブ・ノワスは家で、素晴らしく立派なご馳走を用意して、このご馳走にふさわしい客をアラーに願った。すると、天国の美少年にもまごうばかりの三人の若衆がやって来て、すっかり嬉しくなったアブ・ノワスは・・・。
「アブダラー・ビン・マアマルにバッソラーの男とその奴隷女」
バッソラーのある男が奴隷娘を買って育て、心底愛して二人で浮かれ過ごしたが、とうとう資産がつきて奴隷女を売るしかなくなって・・・。
「オズラー族の恋人たち」
オズラー族の見目麗しく才たけた男がいたが、女はある女に惚れ込み、つれなく当たられて恋わずいで死にそうになり・・・。
「アル・ヤマンの大臣と若い弟」
アル・ヤマンの大臣バドル・アル・ディンには年はのいかぬ美しい弟がいたが、この弟に教師として、立派な老師をあてがったが、老師はいつのまにやらこの若者に愛欲をおぼえるようになり・・・。
「授業中の少年と少女の恋」
自由な身分の男生徒は奴隷娘の女生徒に恋心を抱き、少女の書板に詩を書いたところ・・・。
「アル・ムラタムミスと妻のウマイマー」
アル・ヌウマン・ビン・ムンジルの手を逃れて、身を隠したアル・ムラタムミスにはウマイマーという愛し愛される妻がいたのだが、アル・ムラタムミスがもう死んだと思った周囲の人々は、ウマイマーに再婚を勧め・・・。
「ハルン・アル・ラシッド教主と水浴中のズバイダー妃」
ハルン・アル・ラシッド教主は寵愛するズバイダー妃のために遊園地をつくり、そのなかに大きな浴槽までこしらえた。ある日、ズバイダー妃がその浴槽に入っていたところ・・・。
「ハルン・アル・ラシッドと三人の詩人」
ある晩、眠れぬハルン・アル・ラシッド教主が王宮を歩きまわっていると、一人の乙女と出くわした。その翌日、三人の詩人を呼んで詩を詠ませてみると・・・。
「ムスアブ・ビン・アル・ズバイルとタラーの娘アイシャー」
ムスアブ・ビン・アリ・ズバイルがタラーの娘アイシャーと結婚したいと思い、イッザーという女に調べさせたところ、他は申し分ないが、脚の太いことだけが・・・。
「アブ・アル・アスワドと奴隷娘」
アブ・アル・アスワドは片目が潰れているという以外には申し分のない奴隷娘を買うことにしたが、周囲の人々は・・・。
「ハルン・アル・ラシッド教主とふたりの奴隷娘」
ハルン・アル・ラシッド教主が二人の奴隷娘に挟まれて寝ていたところ、二人は・・・。
「ハルン・アル・ラシッド教主と三人の奴隷娘」
ハルン・アル・ラシッド教主が三人の奴隷娘を抱いて寝ていたところ、三人は・・・。
「粉屋とその女房」
粉屋は女房をとてもかわいがっていたが、この女房は腹黒い女で、亭主よりも隣に住む男を好きになり・・・。
「薄ばかといかさま師」
うすのろが連れている驢馬をだまし取ろうと考えたいかさま師は、驢馬のかわりに自分の頭に手綱をかけ・・・。
「判官アブ・ユスフにハルン・アル・ラシッド教主とズバイダー妃」
ハルン・アル・ラシッド教主は、ある日、自分の寝台に精液らしきものがあるのを見かけ、ズバイダー妃に問いただしたが・・・。
にえ これまでは軽い味付けていどだった同性愛がはっきりと書かれているものがいくつか。意外とイスラム教社会って同性愛に寛容なのね、と思ったけど、これもまた時代の変遷とともにどうなったのやら。
「アル・ハキム教主と商人」 第389夜〜第397夜
ある日、アル・ハキム教主が出先で喉が渇き、ある商人の家に立ち寄ったところ、突然の訪問だったにもかかわらず・・・。
「キスラ・アヌシルワン王と村の娘」
キスラ・アヌシルワン王が、ある村に立ち寄って、乙女に水を所望したところ、乙女はサトウキビを絞った汁を水で割り、それに埃をふりかけて出した。
「水汲み男と細工師の女房」
ボハラの町の細工師の美しい女房は、三十年も家に通っている水運びの男が、その日にかぎって自分の手を握ってきたことで、夫が神様を怒らせるようなことをしたに違いないと気づいた。
「フスラウ王と妃シリンと漁師」
ペルシャのフスラウ・シャヒンシャー王は魚が大好物で、ある日、ひとりの漁師が立派な魚を献上したことに喜び、四千ディルハムを授けたが、それを見たシリン妃はこれを咎め、漁師を呼び戻すようにと進言した。
「バルマク家のヤーヤ・ビン・ハリドと貧乏な男」
バルマク家のヤーヤ・ビン・ハリドのもとに、貧乏な男が訪ねてきた。ヤーヤ・ビン・ハリドはこれを手厚く迎え、毎日千ディルハムずつ与えたが、男はヤーヤ・ビン・ハリドが返してくれと言いださないかと心配になり、逐電した。
「モハメッド・アル・アミンと奴隷女」
ジャアファルが持っていた美しいルート弾きの奴隷娘がどうしても欲しくなったズバイダー妃の息子モハメッド・アル・アミンは、ある日、ジャアファルを酔いつぶしておいて、奴隷娘を連れ去った。
「ヤーヤ・ビン・ハリドの息子たちとサイド・ビン・サリム・アル・バヒリ」
金に困ったサイド・ビン・サリム・アル・バヒリが、いやいやながらヤーヤ・ビン・ハリドのもとに相談に行ったところ、いったんは帰されたのだが・・・。
「亭主をだました女房の策略」
ある男が金曜日に、女房のところへ魚を持ってきて、会衆の祈祷が終わるまでに料理をしておけと言いつけたのだが、女房は出掛けて次の金曜日まで帰ってこず、二人は大喧嘩になってしまった。
「信心深い女と邪まなふたりの老人」
女を思い通りにできなかった二人の老人が、ありもしない姦淫の罪で女を訴えたが、12才のダニエルが裁くことになったおかげで・・・。
「バルマク家のジャアファルと年老いたバダウィ人」
ハルン・アル・ラシッド教主は出先で老いたバダウィ人を見つけると、ジャアファルに、老人をからかってこいと命じた。
「オマル・ビン・アル・ハッタブ教主と若いバダウィ人」
ある日、オマル・ビン・アル・ハッタブ教主のもとに、父を殺されたという二人の若者が会いに来た。二人の父親を殺したという若者は罪を認めたあとで、少し待ってもらうことを申し出た。
すみ この巻は、ヤーヤ・ビン・ハリドがいかに優れた慈悲心を持っていたかをしめす逸話と、とびきりのエロエロ話が多かったかな。つまり、すごい取り合わせでした(笑)
  
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