=「すみ」です。 =「にえ」です。 | |
「ホビットの冒険」 J・R・R・トールキン (イギリス) <岩波書店 単行本> 【Amazon】
中つ国にある、ホビット庄で暮らすホビットのビルボ・バギンズは、代々暮らしむきの良い家柄で、 なに不自由のない生活をしていた。ところがある日、有名な魔法使のガンダルフがやってきて、冒険の話を はじめた。冒険なんてとんでもない。ホビット庄ではのんびり暮らすのが偉いホビットで、冒険なんかする ホビットは軽蔑されてしまうのだから。ところが、翌日には13人のドワーフがやってきて、ビルボのこと を、旅の仲間に志望した忍びの者だと決めつけた。なにがなんだかわからないまま、ビルボは忍びの者とし て、ガンダルフやドワーフたちとともに、欲深い竜のスマウグに奪われた宝を奪い返す旅に出た。 | |
これは「指輪物語」の前のお話。この本ではビルボが冒険にでかけ、 「指輪物語」では旅から戻ったビルボから話がはじまります。 | |
こっちは読者の対象も、ぐっと年齢を低く設定してあるのよね。 | |
そうなの、だから、小学校高学年ぐらいで「ホビットの冒険」を読んで、 中学生か高校生ぐらいに「指輪物語」を読むっていうのが一番理想的なんだろうね。そうすれば、本の中で流れる 時も、すんなりと自然に受けとめられるだろうし。 | |
そんでもって、大人になって映画を観る前に「指輪物語」を再読す れば、なお理想的かも。でも、過去には帰れないから、私たちは今読むしかないのだ(笑) | |
今になって読むとなると、時間の流れの順番どおりに、「ホビットの 冒険」を先に読んでから「指輪物語」を読んで、ひとつの流れとして把握する。もしくは、「指輪物語」 を先に読んで、外伝的な感じで「ホビットの冒険」を読むってことになるだろうね。 | |
私たちにはやっぱり、子供向きに書かれた「ホビットの冒険」は軽い 外伝だと思ってあとから読む方があってたと思うけど、これはもう人それぞれでしょ。 | |
それにね、「指輪物語」だけ読んで、「ホビットの冒険」は読まなく ても、べつに問題はないと思う。両方読まないと読んだことにならないよ!ってほどではないんじゃない? | |
うん、そうだね。ただ、「指輪物語」ではすでにビルボと友だちに なってた登場キャラが、ここでこうやって知り合ったのね〜とか、わかって楽しめることが多いから、 読む価値はありだよ。 | |
そうそう、私はとくに、石になったオークの話は、オオッと思った。 | |
「指輪物語」ではフロドが石のオークを見て、これがビルボの話に出 てくる、あのオークかって思うだけで、説明はないんだよね。それがこの本を読むと、どうしてオークが石 になっちゃったかわかるの。 | |
逆に、「ホビットの冒険」を先に読んだ人は、「指輪物語」で、 あの石になったオークはまだ残ってたんだ〜ってうれしくなるだろうね。 | |
あとさあ、「指輪物語」で、ドワーフのグローインってのがチラッと出て くるんだけど、この本ではグローインは、ビルボの旅の仲間、13人のドワーフの一人なの。これは、「ホビ ットの冒険」で13人のドワーフを知ってから、「指輪物語」でグローインが語る、残りのメンバーのその 後を読むと、また楽しいんじゃないかな。 | |
とにかくそういう感じで、共通する登場キャラがたくさん出てくるし、 「指輪物語」ではあたりまえのようにビルボの友人だった登場キャラと、どうやって知り合ったかとかわ かるし、そういう喜びがたくさんあるの。 | |
ひとつだけ、両方の本を読んで初めてわかるなと思ったのは、つらぬき丸。 「ホビットの冒険」ではビルボがもらって使う剣、「指輪物語」では、ビルボからフロドに与えられる剣なんだけど、 片方の本しか読んでないと、すごい剣だなぐらいにしかわからない。でも、両方を読むと、つらぬき丸は不 思議な運命をたどった剣なんだなとわかるよ。 | |
もちろん、はずしてはならないのは指輪。「指輪物語」では一番重要 なアイテムなんだけど、ビルボがどうやってゴクリから指輪を奪ったか、この本を読めばよくわかるよ。 | |
こっちの本にもゴクリが出てきて嬉しかったよね〜。ゴクリのしゃべり かたはホント、かわいいんだもん。ちょっとだけゴクリの人生が違ってたけど。 | |
で、この本の話じたいなんだけど、これはもう子供向けだから、長め とはいえ、トントン話は進んでいくし、いろんな出来事が待ってるし、読みやすいし楽しいよね。 | |
目的意識もな〜んにもないビルボが、間抜けなことをやったり、 とんでもないことをやっちゃったりするうちに、本当に立派な忍びの者になっていく姿が、ちょっと変だけど、 おもしろいよね。 | |
子供の本とはいえ、当たり前のように魔法があったり、不思議な種族 住んでいたりする中つ国は、知る喜びをめいっぱい味あわせてくれるしね。 | |
ドワーフとエルフがどうして仲が悪いのかとか、そういう知識も増え たよね(笑) | |
あと、小人の知識も増えたよ。白雪姫の小人はドワーフで、ガリバー に出てくるのはリリパットだなんて、知らなかった〜。 | |
それにね、意外と単純なお話ではなかったの。最初は、13人のドワ ーフと、頼りになる魔法使いと、ドジで間抜けだけど運のいいホビットが冒険をして、いろいろ怖い目に遭ったり、 すごい宝を手に入れたりする、それだけのお話かと思ったけど。 | |
うん、最後のほうでは、かなりひねりをきかせて、急展開だったよね。 まさかこんなことになるなんてと驚きもしたし、種族別の性格がはっきり出てたから、説得力もあったし。 なんか最後のほうだけ、これはもう「指輪物語」の世界だわ〜と思った。 | |
というわけで、「指輪物語」のあとに読んだ私たちは、そうとう楽しめ たのでした。 | |