すみ=「すみ」です。 にえ=「にえ」です。
 「指輪物語 二つの塔」 J・R・R・トールキン (イギリス)
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9人の仲間のうち、ガンダルフをのぞく8人は、モンドールに行くべきか、ミナス・ティリスに向かうべきか、 迷っていた。ボロミアの心のなかに指輪への欲望が芽生えたことを知ったフロドは、仲間と別れ、一人で 旅立とうとしていた。姿を消したフロドを探す仲間たちは散り散りになり、ただ一人、フロドの行き先に気づいた サムはフロドに追いつき、二人だけでモンドールへ向かうこととなった。残された仲間たちのうち、ピピンと メリーは、サルマンの手下であるオークたちに捕まり、連れ去られてしまった。ガンダルフに代わって仲間の 長となったアラゴルンは、ピピンとメリーを救出するため、オークたちのあとを追うことを決意した。
にえ 「指輪物語」の第二部「二つの塔」です。三部のなかで、この第二部 が一番、読んでて楽というか、新しい登場人物も少なくて、単純にストーリーを追えたよね。
すみ そうそう。でも、第一部では仲間がひとかたまりで行動してるから、 一本線で話が進んだけど、ここからは仲間が別れ、ストーリーも何本かに枝分かれしていくのよね。そういう 意味では複雑になってきた。
にえ まず、ピピンとメリーのあとを追うアラルゴンたちの話。 アラルゴンはかなり悩んでたね。
すみ うん、いきなりリーダーになっちゃったから大変だよね。でも、この悩みが、 のちのちの成長につながっていくんだろうな。そうならなければいけない立場の人だからね。
にえ あとのほうになって、いわば犬猿の仲のような種族、エルフ族とドワーフ族の レゴラスとギムリが、だんだんと切っても切れないほどの親友になっていくでしょ、あれがよかったな。
すみ 妖精のような、透明感のある美しさを持つエルフと、岩を掘って暮らし、 品が悪いとか、欲深いとか、悪い噂を立てられがちなドワーフが、互いに信頼していくさまは、なかなか微笑ましいよね。
にえ ギムリがまたエルフ族を超えるほどの品格と知性を持ったようなドワーフでしょ、 それもおもしろい。けっこう歯の浮くようなセリフも出てくるけど、ギムリが語ると妙に説得力があるのよね。 エルフが語るとサムッてなっちゃうのかもしれないけど(笑)
すみ 一方、オークたちに連れ去られたピピンとメリーは、智恵を使ってオークたち から逃げだし、エント族という、木の精みたいな人たちと出会うの。
にえ 正確には、エントたちは樹木の牧者。羊の牧者が羊を保護して育てるように、 エントたちは木を護り、育てているのよね。
すみ 私はこの第二部では、エントたちがなんといっても気に入ってしまったな。 エントたちはねえ、木にいろんな種類があるように、みんなそれぞれ見かけが違うんだけど、総じてノンビリ屋なの。
にえ でも、すごい力を秘めてるのよね。怒らすと怖いぞ。
すみ エントたちは今では男ばかりで、いなくなったエント女を求めて、 淋しい思いをしているのよね。なんか、せつないわ。
にえ そしてフロドとサムは、なんとあのゴクリに出会い、 ゴクリに道案内をさせてモンドールをめざすの。
すみ ゴクリがかわいかったよね〜。「そうよ、そうよ、いとしいしと」なんて、 なんともかわいいしゃべり方をして。
にえ サムはかわいいと思ってないみたいだけどね。おとなしくフロドの言うことをきく ゴクリが信用できなくて、つねに警戒の目を光らせてるの。
すみ なんかこの第二部になって、フロドとサムは、フロドが主役じゃなくて、 サムが主役みたいになってきたよね。
にえ うん、フロドはエルフっぽいなんて言われるようになってたけど、まさに その通りで、なんか神がかり的になってきたというか、なに考えてるのかわかりづらくなってきたけど、 サムは賢さがグングン目立ってきて、存在感が増してきたんだもん。
すみ で、彼らにからんで、騎馬賊の住む王国ローハンや、ボロミアの故郷である ゴンドール国なんかが出てきて、ちょっと騎士ものっぽい雰囲気も出てくるの。
にえ 美しい姫君、命令を下す王、勇敢な兵士たち、そして王国内の複雑な内部事情に戦、まさに 騎士ものって感じだよね。
すみ そしてそして、指輪を狙う敵は冥王サウロンだけじゃなく、もとは良い魔法使の長だったのに、 指輪への欲望から悪と化したサルマン、この二人になるから、なかなか大変。
にえ とまあ、ストーリーは複雑になっていきますが、なかなか読みやすいので、 第二部はスラスラッと読めて、第三部に突入できるんじゃないでしょうか。
すみ 三部のなかで、楽しさは一番じゃないかな。これから第三部へと進み、 楽しいとは言ってられないような大変なことになっていきますから、ここでは思いっきり楽しみましょう。