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民家から離れ。 秋也と三村は、深い茂みの奥にいた。 三村が軽く罠を貼ったので、――――万全とはとてもじゃないが言い切れないが。―――― それでも、とりあえず安心でいられる場所だった。
「どうしよう、これから・・・・」 「俺に考えがある。七原は自分のことだけ心配してろよ、な。」 三村は、パソコンを小突きながら、微笑んだ。 秋也が微笑み返そうとした瞬間。 どこからともなく、『みんなー、聞いて―』と言う声が。 その耳に飛び込んできた。 「三村!あの声・・・!」 「落ち着け、七原。」 それはどうやら、日下友美子と、北野雪子のもので――。 「三村、行こうよ。向こうも仲間を探してるんだ、俺達と一緒だ!」 仲間を探してるのは、お前だけだよ、七原。 そんな風に思ったが、もちろん、口にはしなかった。 「いや。今出て行くのは危険だ。」 言ったと同時。 マシンガンの音と、女の子の悲鳴が響き渡った―――。 二人が声の方に視線を向けると。 黒い学生服がちらりと目に入った。 「豊だ・・・・」 「瀬戸・・・?三村!行こう!」 秋也は、今にも泣き出しそうな声を発した。 そう、せめて瀬戸豊だけでも仲間に。 「・・・・ああ。」
数十メートル走ったところで、瀬戸豊とぶつかった。 かなり動揺しているようだったが、三村と秋也の姿を確認して。 すぐに安堵の表情を浮かべた。 ―――――のも、束の間だった。
シンジの様子が、違う。 直感でそう感じた。 七原秋也は、多少のやつれが伺えたものの。 あの、城岩町の教室の時と、なんら変化は無かった。 でも。
豊は、その場からだっと走り去った。 「瀬戸!」 後ろから、秋也の声がかすかに聞えた。
「七原。俺、豊を連れてくる。あのままじゃ、――――殺される」 「俺もい―――」 「さっきの場所にいろ。いいな。銃を渡しておくから―――いざとなったら、撃て。すぐ戻る。」 三村はそれだけ言うと、茂みの中に消えていった・・・
「豊!」 すぐに捕まった。 豊が、走るのが早くないこと。 それは周知の事実だった。 「シンジ・・・来るな!」 二人の間に、3メートルほどの距離が出来ていた。 三村は歩みを止め、その場で腰に手をやる。 「何で逃げるんだよ。向こうで七原が待ってる。行こうぜ。」 「嫌だ。」 はっきりと答え。 豊はフォークを胸元で、握りなおした。 「シンジと何年友達やってると思うの。――――シンジの変化は、すぐわかるんだよ。」 豊は三村をにらみつけた。 そして、 一息置き、続けた。
「シンジ・・・シューヤ殺す気・・?」 声こそ震えていたが、その目は真剣だった。 「まさか。何言ってんだ、豊。落ち着けよ?」 三村は、一歩豊に近づいた。 「・・・・・それじゃあ、他の皆は殺すの。」 豊がそう言い。 三村の表情が変わった。 さっきまで作られていた。 笑顔が。 冷めた。 ――――冷たいまなざしに、変わった。 「シンジ!他のみんなは殺す気なの!!」 もう一度、フォークを握りなおした。 口元に、かすかに笑みを浮べ。 三村が呟いた。 「・・・・だったら?」 そして、一歩、また一歩と豊に近づく。
ごくり。 唾を飲み込んだ。 嫌な汗が。 体中にまとわり付いていた。 大丈夫。 シンジ、武器は持っていない。 「・・・僕のことも、殺すの。」
「最初、会った時点で、お前が仲間になっていたら。」 もう、二人の距離はほんの1メートルに迫っていた。 「しばらくは、生かしておくつもりだった。」
「でも、ゲェム・オーバーだぜ、豊。」
言い終わるなり。 三村は豊の、フォークを持っている腕を掴みに掛かった。 「ヒっ・・!」 短い声が発せられたかと思うと、 三村の右手によって。 口を封じられる。 豊は必死で逃げようとした。 この、ほんの数時間前までは、親友だった男から。
ブチ
鈍い音がし。 首―――右の方。 のどの辺り。 熱くなった。
三村の神経に。 皮膚が破られたような感覚が走った。 豊の喉辺りに、銀色のフォークが突き刺さっていた。 「んー!!んんーんーーー!!!」 三村はぐっと左手に力を込め、 そのフォークをねじった。 紅い液体が、少し、あふれ出。 もう、豊はぴくりとも動かなかった。
自分の顔に掛かった、小量の血液を拭い。 豊のデイパックから、水と食糧を取り出した。 そして、もう一つの旅行鞄を漁った。 少しでも、何か役に立つもの―――。
手帳が出てきた。 日記兼、ネタ帳らしかった。
5月18日。 もうすぐ修学旅行だ。 きっとシンジは旅行中、シューヤに何かするんだと思う。 女好きかと思ってたから、意外だった。 でも、本気でシューヤを好きならそれでいいんじゃないかと思う。 頑張れシンジ! 僕はシンジの味方だよ!
三村は手帳を投げ捨て、元来た道を戻り始めた。
「幼なじみってのも、結構良いもんだよナァ。豊?」
never end
ヤバイよ!!シンジさん!! 今回は豊くんの懺悔です。 ちょっくら、この後エンディングにどうつなげるか決まってません。
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