同居人.21



 
 雨に黒く濡れた硬いアスファルトを踏む二人分の足音が、薄闇に包まれた港に響いている。けれどその足音は打ち寄せては引いていく波に、時折さらわれるように掻き消されていた。
 時任は前を歩く久保田の足音と波の音を聞きながら歩き続けていたが、久保田は時任の方を振り返ろうとはしない。そして、時任も走ればすぐに追いつくことができるのに、久保田の横に並ぼうとはしなかった。
 時任を拒むように振り返らない久保田の背中を見ていると哀しくなってきて…、見ているのがつらくなってうつむきたくなってくる。でも、こんな風に背中を見つめ続けながら後ろを歩いているのは、いくら手を伸ばしても手を繋ぎたい相手が手を伸ばしてくれなければ手を繋げないように…、いくら隣に並びたくても隣にいたいと想ってる人が、同じように隣にいたいと想ってくれなければ…、
 隣に並ぶことも、一緒に歩くこともできないと知っていたからかもしれなかった…。
 いつも隣にいたくて…、いつも一緒にいたくて…、
 けれど、強引に腕を掴んで、引き止めるように手を強く握りしめることでしか一緒にいられないのなら一緒にいる意味なんてなかった。でも、なのに寄せては返す波の音が寂しさになって胸の奥に染み込んできて、その寂しさが前を歩いてく背中を見つめてると恋しさに変わっていくから…、久保田の後を追わずにはいられない。
 久保田に嫌いだともういらないと言われた時、それでもいいから一緒にいたいと言いたかったはずなのに涙が止まらなくてさよならを言ったけれど…、
 
 止まらない涙の本当の理由がわかったから、どうしても久保田のそばにいたかった。

 黙り込んだまま歩き続ける二人の間に見える海と空を、沈んでしまった夕日の残照がわずかに赤く染めている。けれど、もうじきその残照も波に飲まれるように夜の闇の中に消えてしまうから…、どんなに夕日が空を赤く赤く染めたとしても、そこには何も残ることはないのかもしれない。
 日が沈んで冷たくなり始めた空気をすぅっと吸い込みながら、時任は寒さを感じてわずかに身体を震わせた。そして歩き続けていた足を止めて立ち止まると、首を縮めて小さくくしゃみをする。
 すると、立ち止まらずに歩き続けていた久保田も足を止めたが、やはり時任の方は振り返らなかった。

 「夜になって寒くなってきたし、風邪ひくから早くウチに帰りなね」
 
 久保田は時任に向かって淡々とした口調でそう言うと、また一人きりで歩き出す。けれど、そう言った久保田がどんな顔をしているのかは、振り返らないのでわからなかった。
 学校から帰る時も買い物やバイトに行った時も…、いつでもどんな時でも一緒にいるのなら帰る場所は同じだったのに、今はあのマンションの部屋に一緒に帰ろうとは言ってくれない。帰れという久保田の言葉を聞いた時任は、唇を噛みしめながらポケットの中に入ってるマンションのカギを強く強く握りしめた。
 ポケットに入っているマンションのカギと通帳があれば、これからもあそこで暮していけるのかもしれない。
 けれど…、いくら帰れと言われてマンションに帰りたくなかった。
 時任にとってウチと呼べる場所は久保田のいる場所だけだったから、どうしても一人ではウチには帰れなかった…。
 マンションが帰る場所でウチになったのはそこで久保田と暮してた日々が…、その思い出があの部屋に詰まってるからで…、

 そこに帰ると…、久保田が必ずおかえりと言ってくれるからだった。

 だから、あのマンションに帰っても久保田がお帰りと言ってくれないのなら…、あの部屋で待っていても久保田が帰ってこないというのなら…、
 ・・・帰る場所なんて、もうどこにもない。
 時任は再び真っ直ぐ久保田の背中に視線を向けると、帰れという言葉を聞かずにまた後を追って歩き出した。
 久保田がどこに行こうとしているのかはわからなかったが、久保田の足は夜の闇に覆われた港を抜けると駅へと向かう。時任のポケットには小銭しか入っていなかったが、たどりついた駅でなんとか久保田と同じ場所までいける切符を買うことができた。
 けれど、離れずに後を追い続けていると、迷うことなく歩いていく久保田の姿に寂しさだけではなく不安も大きくなってくる。時任の感じている不安の原因は振り返ってくれないということだけではなく…、迷うことなく歩いていく足取りで…、
 それを見つめながら考えるのは、久保田にはマンションの他に帰る場所があるのかもしれないということだった。

 「そういう可能性って…、あったんだよな…」

 時任は小さな声で哀しそうにそう呟くと、久保田の向かう先に見えてきた大きな家を眺める。その家に誰が住んでいるのかはもちろん知らなかったが、次第に近づいてくるにつれて嫌な予感を感じて鼓動が早くなった。
 久保田が振り返ってくれたら、いつもみたいに一緒に帰ろうって言ってくれたら…、こんな不安はすぐになくなるのに…、大きくなっていく不安で凍りついて何かを言いかけた唇が途中で止まる。
 けれど、時任にはどうしても久保田に伝えなくてはならないことがあった。

 好きだから大好きだから…、一緒にいたい…。

 でもそれは、同居人や相方として伝えたいことじゃなかった。だから、今までの関係に戻りたくてそんなことを言いたいわけじゃない。
 他の誰かと手を繋いでもキスしても、そこからは罪悪感と痛みしか生まれないのは…、久保田だけとしか手を繋ぎたくないしキスもしたくないからだって気づいたから…、
 それがはっきりとわかるようになったからその想いを伝えたかった。
 同居人で相方じゃなくなっても…、変わらない想いだから伝えたかった…。
 久保田を想い続けて止まらない鼓動が今も胸の奥で鳴り続けてるから、その想いを叫び続けているから…、たとえまたサヨナラを告げられてしまうかもしれなくても…、

 鳴り続ける鼓動で…、何度も名前を呼んだ唇で大好きだと言いたかった。

 けれど時任は久保田が入って行こうとしている家の表札の名前を確認すると、想いを叫ぶことを止めて手のひらに爪が食い込むほどに硬く拳を握りしめる。立派な表札に書かれていた名前は、時任の前に執行部で久保田の相方をしていた人物の名前だった。
 その名前を見ていると、久保田がこれから時任ではなく松本の隣に立つという橘の言葉が脳裏を過ぎる。マンションを出てここに来たということは久保田の代わりなんてどこにもいないけれど、久保田にとってはそうではないのかもしれなかった。
 でも何も言わないままで…、何も想いを伝えないままで…、ここから逃げだすように走り出したくない。このまま逃げ出して、現実から目をそらせて何事もなかったかのように思い出だけを胸に抱いて…、二人で眠ったことのあるベッドの上で両膝を抱えながら、そればかりを繰り返し夢に見たりしたくなかった。
 欲しいのは今で…、過去でも思い出でもない…。
 だから、時任は二人の距離を縮めようとするかのように、家の門を開けて中に入ろうとしている久保田に近づくと少し上にある見慣れた顔を見上げた。

 「・・・・・好きだ」

 はっきりとした声で時任がそう告げると、久保田は門を開ける手を止める。そして少し驚いたような表情で、港の倉庫を出てから始めて時任の方を見た。
 表情はすぐに元に戻ったけれど時任を見つめる瞳はどこか優しくて…、それを見つめ返していると切なくて泣きたくてたまらなくなる。こんな風に距離が離れてしまっても、時任を見つめてくる久保田の瞳はいつでも優しかった。
 時任はそんな久保田の瞳を見つめ返すと、もう一度、自分の想いを告げるために口を開こうとする。けれど、それを聞いた久保田はわずかに微笑みを浮かべただけで、何も言わずに再び門を開けて家の中に入ろうとした。
 それに気づいた時任はとっさに腕を伸ばして、久保田のコートのそでを掴もうとする。でも、わずかに震えてしまっていたせいでそでを掴み損ねた手は、そのまま下へと落ちてしまった。
 手が震えているのは寒いからなのか…、それとも別な理由からなのかはわからない。けれど、このまま離れてしまいたくなくて、時任は両腕を伸ばして瞳に滲み始めた涙を隠すように久保田の背中に抱きついた。
 「なんで…、なんで好きだって言ってんのに、なにも言ってくんねぇの? あの時みたいに、嫌いになったんだったら嫌いだって言えっ! いらなくなったんなら、いらないって言えよっ!!」
 「・・・・・・」
 「そしたら一人でマンションに帰るから…、だから…」
 「…時任」

 「大嫌いだって…、もういらないって言えよ…」

 本当は嫌いだなんて言われたくない…。
 もういらないなんて…、絶対に信じたくない…。
 でも…、このまま何も聞かないままに離れてしまうより、久保田の口から本当のことを聞きたかった。嫌いだと言われてあきらめられるのなら、こんな風に涙が止まらなくなったりしないって…、わかっていたけれど…、
 なぜ久保田が自分と同居しようと思ったのか、執行部で相方になろうと思ったのか知りたかった。

 ただ…、どうしても本当のことが知りたかった…。

 久保田の背中を後ろから抱きしめていると暖かさがゆっくりと伝染して伝わってきて…、その暖かさをずっと抱きしめていたくなる。でも、ずっとこのままではいられないから、抱きしめた暖かさをぬくもりを記憶しようとするかのように額を久保田の背中に押し付けると、時任はゆっくりと瞳を閉じた。
 ふざけて抱き合うことはあったけれど…、こんな風にこんな気持ちで久保田を抱きしめたことは始めてで…、
 始めて強く背中を抱きしめながら想うことは…、感じてることは…、誰よりも久保田が好きだということだけだった。
 なのに、暖かさを感じれば感じるほど…、好きだと想えば想うほど…、
 胸の中にたくさん何かが詰まっていくようで、痛くて苦しくて呼吸が苦しくなる。

 けれど離れないでいられるのなら…、ずっと苦しいままでいたかった。

 ぎゅっと背中に抱きついたまま瞳を閉じて動かないでいると、少し骨ばった大きな手が身体の前へと回されている時任の手を上からそっと握りしめてくる。すると、自分の手が握りしめられるのを感じた時任の身体が少し揺れた。
 「いつも一緒にいたのに…、同居してて相方だったはずなのに…、こんな風に泣かせることしかできなくてごめんね…」
 「・・・・・・・・俺は泣いたりしてない」
 「ごめんね、時任」
 「どうして…、なんでごめんなんて言うんだよ…。俺はぜんっぜん泣いてないし、ヘーキだし…、泣いてても久保ちゃんのせいなんかじゃねぇのにっ」
 「それでも…、ごめんね…」
 「そんな言葉なんか…、ごめんなんか聞きたくない」
 「時任…」

 「俺が好きだって言ったのは…、そんなのじゃなくて…」

 時任が苦しい胸の奥から想いを吐き出すように何かを言おうとした時、上から握りしめていた久保田の手が時任の手を強引に身体から引きはがす。そして、そんな久保田の行動に時任が哀しそうに瞳を揺らせると、久保田は自分の身体から引きはがした手を強く引いた。
 すると時任は転びそうになりながらも、その手に引かれて後ろから前に移動する。予想もしなかったいきなりの行動に、時任が驚いた表情のまま瞳を開いて久保田の顔を正面から見上げると、時任の唇に柔らかい感触が降ってきた。

 「くぼ…、ちゃん…」

 唇が離れた瞬間にやっとそれだけ呟いたが…、次の瞬間にはまた久保田の唇に声を奪われて何も言えなくなる。長く長く繰り返されていくキスはなぜか涙に似た味がして、時任は胸が痛くてたまらなくて再び瞳を閉じた。
 始めて久保田としたキスは繰り返せば繰り返すほど、またしたくなって離れられなくなる。いつの間にか伸ばしていた腕は、もっと深くキスできるように久保田の首に回されていた。
 けれど、久保田の唇は何度もキスを繰り返した後…、最後に額に暖かな感触を一つだけ残して離れていく。それに気づいた時任が瞳を開けると、そこには優しすぎるくらい優しく微笑んでいる久保田の顔があった。
 「好きだよ、時任。もうずっと前から…、誰よりも…、」
 「・・・・久保ちゃん」
 「けど、お前と俺の好きは違うから、だからもう一緒にはいられない…」
 「一緒にいられないのは好きが違うからって…、なんでそんなわけのわかんねぇコト言うんだよっ! 好きだって想ってるキモチに、同じも違うもあるばすねぇじゃんかっ!」
 「だったら、さっきみたいにキスするだけじゃなくて俺と寝てくれる?」
 「寝るって…、べつに今だってたまに同じベッドで寝てるだろ?」

 「そういう寝るじゃなくて、抱いていいかって聞いてるんだけど?」

 抱きしめられてキスされて…、切なく痛んでいた胸は好きだといわれてもまだ止まらない…。想いを伝えて好きだと言って、好きだと言われたはずなのに…、久保田はキスした唇で好きの意味が違うと言った。
 通じ合ったかに見えた想いはすれ違って…、時任の顔をのぞき込んで抱きたいと言った久保田の顔からは微笑みは消えてしまっている。怖いくらい真剣に見つめてくる瞳は、欲情の色を浮かべながら時任だけを写していた。
 「俺の好きはそういう好きだから、ベッドに眠ってるお前の顔を見て、抱いて犯して誰も触れないようにあの部屋に閉じ込めたいってずっと想ってた…」
 「・・・・・・・・・」
 「港の倉庫で抵抗してるお前を、無理やり犯そうとしてた奴らと同じようにね…」
 「・・・・久保ちゃんはアイツらなんかと違うっ!」
 「そう言ってくれるのはうれしいけど、それが事実だから…。だから、俺に壊されない内に早くマンションに帰ってくれない?」
 「イヤだっ!」
 「時任…」
 「好きなのに離れるなんて…、そんなの…、そんなのイヤに決まってるじゃんか…」
 「・・・・さよなら」

 「久保ちゃんっっ!!!」

 久保田は時任の腕を振りほどくと、その手で門を開けて中に入る。そして二人の間に線を引くように、重い音を立ててその門を閉じた。
 目の前には、もっともっとキスして抱きしめていたかった人がいる。
 でも…、不良達に組み敷かれた時任を見た瞬間に感じたのは、時任に触れた不良達への殺意と…、自分以外の誰かに犯されようとしている時任を同じように犯したがっている自分だった。
 好きだからキスしたい抱きしめたい…。けれど、時任を犯したがってる感情が衝動が、それを邪魔して優しく抱きしめることを許さなかった…。
 きっと一度抱いてしまえば、もう止まることはできない…。
 強くなっていく醜い独占欲と欲望に…、ずっと抱きしめてきた想いまで食い殺されてしまうかもしれなかった。
 
 一番大切なものを…、自分の手で壊しながら…。

 久保田が玄関のドアを開けて中に入ると、そこには外から聞こえる声に気づいて自分の部屋から出てきた松本がいる。松本の手には退学届が握られていたが、それを渡されても久保田は無言のまま受け取らなかった。
 二階へと続く階段を上がって松本の部屋に入ると、久保田は飲みかけたままで置かれた青いマグカップを見る。けれど、その中に残っているコーヒーは、すでに冷めてしまっていて飲めなかった。
 松本はそんな久保田をじっと眺めていたが、二人の様子を部屋から見ていたからなのか何も言わない。そして外を見るために窓際に立った久保田の方も、何があったのか松本に話そうとはしなかった。
 哀しい色を浮かべた久保田の瞳の見つめる先には、まだ立ち去らずに門の前に立っていると時任の姿がある。時任はじっとその場所に、久保田とキスして抱きしめ合った場所に立ったままで…、星一つ見えない暗闇に覆われた空を見上げていた。
 けれど、しばらくすると時任はゆっくりと…、夜の道を一人で歩き出す。その背中を見送りながら久保田が小さく時任の名前を呼ぶと…、近くにいた松本が苦しそうな表情で小さく息を吐いた。
 「あのまま…、時任を一人帰らせていいのか?」
 「いいから、見送ってるんだけど?」
 「だが、お前は時任を好きなんだろう?だったら、何があっても追いかけるべきじゃないのかっ!?」
 「・・・・・」
 「誠人っ!」

 「たぶん…、好きだったら何があっても追いかけられるのかもしれない…。でも、いつの間にかそれが大きくなりすぎて…、重くて苦しくて走れなくなってたから…」

 久保田はそう言うと少し開いていたカーテンを、時任かいた痕跡を消すように外が見えないように完全に閉じる。だが、松本が入れ直してくれたコーヒーを飲もうとした時、ポケットに入れていた携帯電話の着信音が鳴った。
 携帯のディスプレイに写っているのがアドレスに入っている唯一の名前ではないことを確認すると、久保田は親指で通話ボタンを押す。けれど話をするために携帯を耳に当てると、そこから聞こえてきたのは時任の声だった。
 『・・・・・良かった。電話に出てくんなかったら、どうしようかと思った…』
 「・・・・・・・・」
 『今からマンションに帰るけど、ちゃんと寝ないで待ってるから…』
 「・・・・・・」
 『久保ちゃん?』
 「・・・・同居はやめたって言ったはずだけど?」
 『それでも…、ずっと待ってる』

 「学校も退学届出したし、いくら待っててもムダなのに?」

 時任のしようとしていることを久保田が無駄だというと、時任は少しの間黙ったままだったが…、久保田と繋がっている電話を切ろうとはしない。そして久保田も無駄だと言いながらも、じっと受話器の部分から聞こえてくる時任の声に耳をすませていた。
 すると、時任の後ろから街のざわめきが聞こえてくる。時任の名前がディスプレイに出たのは、どうやら公衆電話か何かからかけてきているからのようだった。
 携帯電話は時任も持っていたが、普段はあまり必要ないので家に置かれたままになっていることが多い。それはいつも久保田が隣にいるせいもあったが、携帯電話のアドレスに久保田の番号とマンションの番号しか入っていないせいもあった。
 『なぁ、久保ちゃん…』
 「なに?」
 『久保ちゃんは俺の好きは久保ちゃんの好きは違うって言ってたけど、俺は久保ちゃんにキスされても抱きしめられてもイヤじゃなかった…。キスされた時、もっともっとキスされたいって思ってた…』
 「・・・・・・・・」
 『今はまだ気づいたばっかだから、わかんねぇコトとかいっぱいあるけど…、たぶん久保ちゃんがそういうコトしたいって思ってんなら、俺だって同じコトしたくなる…』
 「それは、まだお前がなにもわかってないから、俺の言ったことに流されて錯覚してるだけっしょ?」
 『錯覚?』
 「気のせいだってコト」

 『なんで…、なんでそんな風に勝手に決めつけんだよっ!』

 そう叫んだ時任の声は震えてしまっていて、聞いていると痛みが伝わってくる。その痛みを感じていると胸の奥が時任の涙で濡れいてく感じがして、久保田は感情を押し殺すように静かに瞳を伏せた。
 「ちゃんと彼女いるのに、キスしてごめんね…」
 『・・・・・桜井とは別れた。好きなヤツがいるって気づいたから…、好きなヤツがいるのに他の誰かを好きになんてなれないから別れたんだ…』
 「そう…」
 『久保ちゃんより好きなヤツなんていねぇのに…っ、キスしたかったから逃げないでキスしたのに…っ。なんで、気のせいとか言って信じてくんねぇんだよ…』
 「・・・・時任」
 『俺は同居人だから久保ちゃんと一緒にいたいんじゃないし、相方だからずっと一緒にいたいって思ってたんじゃない。好きだから同じ部屋で暮したくて、好きだからずっと隣にいたかったから相方でいたかった…。久保ちゃんが好きだから…、ずっとずっと一緒にいたかった…』
 「・・・・・・・・」

 『もしも帰ってこないなら俺が行くから…、だから…』

 涙の滲んだ声が言葉が…、哀しみと切なさを残して唐突に途切れて聞こえなくなる。けれど、久保田は通話の切れてしまった携帯を耳に当てたまま動かなかった。
 自分の胸の奥にある想いは、強くなりすぎていて壊すことしかできない。だから、時任が他の誰かを好きになる前にさよならを告げるしかないと想っていた。
 時任の幸せを祈れないから…、離れていくしかないと想っていた…。
 けれど、その想いは自分の予想を遥かに超えて、時任に触れるものも見つめるものも…、そのすべてを壊したがっていた。
 時任を犯したいのは、自分だけのものにしたいと想ってるのは…、好きだからじゃなくて単なる独占欲なのかもしれない。でも愛しさが恋しさが同じように胸の中にあるから、寄せては返す波のように想いが揺れ動いて…、
 離れようとしたのに…、時任の想いに涙に引き寄せられて…、

 もうどこへも行けなくなってしまっていた…。

 久保田は耳に当てていた携帯をポケットにしまうと、持ってきていたバックを持つ。そして部屋を出ようとすると、松本は慌ててマグカップの中身を捨ててタオルで拭って渡した。
 渡しながら大切なものなんだろうと松本が言うと、久保田は何も答えずに柔らかく微笑んでそれを受け取る。それからその微笑みを顔から消すと、いつもの表情に戻って松本にあることを頼んだ。
 「俺にはわからないが…、それはたぶん何か意味のあることなんたろうな」
 「たぶんね…」
 「・・・・・・」
 「他に頼めるヒトいないんだけど、やっぱ引き受けたくない?」
 「いや…」
 「なら、頼んだから…」

 「用事は引き受けたが、無意味なことになるよう祈りたい気分だ…」

 そう言った松本に軽く肩をすくめると、久保田は荷物を持って泊まる予定だった家を出る。そして、時任が歩いて行った道を同じ方向に向かって歩きだした。
 街灯の照らす道を歩いて繁華街を横切り…、そこからもひたすら歩いて…、
 それから歩きなれた道までたどり着くと、久保田はポケットからセッタを取り出すとそれをくわえながら少し歩調をゆるめる。セッタを持つ手にはまだ傷跡が残っていたが、もうそこから痛みは感じなかった。
 深く煙を吸い込んで空を見上げるとそこには一つも星は見えなかったが…、公園を通り過ぎていつも行くコンビニ近づくと視線を少し下にさげてみる。すると、そこには見慣れたマンションがあって…、四階の部屋には明かりがついていた。
 窓の明かりは誰かがつけなくてはつかない明かりで…、それをつけたのは間違いなくその部屋に住んでいる人で…、それが誰なのかを知っている久保田は、夜の闇の中に灯っている暖かな明かりを見つめながら目を細めた。
 あの明かりの中には時任がいて、眠らないで久保田が帰るのを待ってくれている。
 ゲームをしながら時計を見て…、時間を気にして心配して…、
 そんな時任の様子を思い浮かべると、目の前の明かりが暖かくて抱きしめたくなるほど愛しく見えた。この明かりに背を向けて夜の闇の中に紛れることはできるけれど…、暖かな明かりを見つめているとそこに帰りたくなる…。

 待ってくれてる人がいるから、大好きな人がそこにいるから…、あの暖かな明かりの下に帰りたかった…。

 これからどうなってしまうのか…、先のことなんて何もわからなかったけれど…、
 それでもあの暖かな明かりがあるから、壊すためなんかじゃなくて…、
 ただ好きだと伝えるために…、その想いを大好きな人に伝えるためにマンションを四階まで上ると401号室のチャイムを鳴らす。すると、バタバタと走る足音が聞こえてきて勢い良くドアが開いた。

 「・・・・ただいま」

 好きだというつもりで口を開いたのに、出た言葉はそんな言葉で…、
 けれど、それを聞いた時任は久保田にぎゅっとしがみつくように抱きついてきた…。 
 「おか、えり…」
 久保田の胸を濡らしていく時任の涙は、外から見えた明かりよりも暖かい。そのぬくもりを確かめるように時任を抱きしめると、時任の柔らかい唇が久保田の唇に触れてきた。
 始めて時任の涙を見た時は、どうしても流れ落ちる涙を止めたかったけれど…、
 でも今はその涙ごと抱きしめてたくて…、久保田は腕に力を入れ過ぎないように気をつけながら…、涙が止まるまでずっと時任の暖かい身体を抱きしめ続けていた。

 同居人で相方で…、けれど誰よりも大好きな人を…。












 晴れ渡った空には雲が一つもなく、日差しは廊下を明るく照らしている。そんな明るい日差しの中を松本は橘と歩いていたが、表情は空のように晴れやかではなかった。
 その理由は執行部が人質になるという前代未聞の事件の処理がまだ済んでいないということもあったが、実はもっと別な所にある。松本は窓の外で執行部存続を訴えるために、生徒から著名を集めている桜井達を眺めた。
 すると、そこに荒磯の不良の代名詞とも言える大塚が、ブスッとしたいつもの悪人づらで顔で桜井の所で著名をしているのが見える。どうやら、いつも公務を執行されて悪事を邪魔されてはいても、なくなるとなればそれはそれで寂しいらしかった。
 「著名を集めるから許可してくれと言われた時にはどうなるかと思ったが、思ったより集まっているようだ」
 「そうですね。執行部を非難する人は確かにいますが、やはりこの学校の治安を守っているのは事実ですから…。それに、あんなに大勢の不良達に処分を下したのですから、当分は公務も暇で校内も静かでしょうしね」
 「だが執行部がある限り、また同じようなことは繰り返されるのかもしれんな」
 「でしたら、執行部の代わりに本部で裏組織を作るという例の計画は白紙に戻さず実行に?」
 「いや…」

 「それはなぜです? 久保田君が貴方の誘いを断って、執行部に戻ってしまったからですか?」

 そう言った橘の言葉に松本はなぜか少し沈んだ表情で答えようとしたが、口を開いた瞬間に辺りに携帯の着信音が鳴り響く。そしてそれは、松本のポケットからではなく橘のポケットから聞こえていた。
 だが、橘は着信音のメロディーを聞いて首をかしげてから、携帯をポケットから取り出す。そして、その携帯が自分のものではないことを知って少し表情を変えたが、そのままゆっくりと通話ボタンを押した。
 『どーも…』
 「やはり、こんな真似をするのは貴方でしたか…。人の携帯をすり換えるなんて何の真似です? 久保田君」
 『そう言われても、ねぇ? 確かに頼んだのは俺だけど、すり換えを実行したのは俺じゃないんで…。ちょうど元執行部のお兄サンに、執行部を潰してくれってお願いしちゃったアンタみたいにね』
 「・・・・そう言われても、どういう意味なのか僕にはわかりませんが?」
 『どういうイミなのか、知りたければ教えてあげるけど?』

 「別に教えて頂いてもかまいませんが、聞いてもわからないと思いますよ」

 久保田の言葉に橘はそう答えたが、その口調はいつもよりもわずかに冷静さを欠いている。それに気づけるのは近くにいる松本だけだったが、松本は何も言わずに携帯で久保田と話す橘をじっと見つめていた。
 橘の持っている携帯に久保田から電話がかかってきたのは、橘本人にとっては意外なことだったが松本にとっては意外なことでもなんでもない。それは、久保田に頼まれて橘のポケットに入っていた携帯をすりかえたのが松本だったからだった。
 橘に気づかれずにすり代えることができるのは、いつも近くにいる恋人である松本しかいない。それを橘が気づかないはずはなかったが、黙ったままでいる松本に何も言わなかった。
 お互いに何も言おうとしない橘と松本の間に緊張感のようなものが漂い始めたが、そんな二人に近づいてくる人物がいる。だが、普段なら気づくはずのその気配に、二人は気づいていなかった。
 『その携帯が誰のモノなのか、ホントはわかってるよねぇ?』
 「いいえ…」
 『だったら、なんで副会長サンの携帯の着信履歴に、その携帯の電話番号が残ってんの? しかも、事件のあった日に…』
 「それは・・・・・・」
 『ベランダにいた桂木ちゃんのコト、犯人にチクったのってアンタだよねぇ? 本部にいる自分は顔も頼んだお兄さんにしか知られてないし、絶対に疑われないって思ってた?』
 「どうして貴方は…、僕が犯人だと思ったんです?」
 『執行部を潰すならワケのあるヤツはたくさんいるけど、時任と俺を引き離して得するヤツなんて、アンタくらいしか思いつかなかったんで』
 「・・・・・・・・」
 『ま、その件については桂木ちゃんに任せてあるし、俺はべつにどーでもいいけど。他のことで、副会長サンに礼が言いたいんだよねぇ』
 「僕に礼?」

 『・・・・・・時任にキスした罪は重いよ?』

 凍りつくように冷たい久保田の声が携帯から耳に聞こえてくると、橘は背筋にぞくぞくと悪寒を感じて額に冷たい汗をかく。久保田がどんな顔をしてそう言ったのかはわからなかったが、携帯からは殺意に似た冷ややかさが伝わってきていた。
 なんとかその殺意に飲まれないように意識を保ちながら、橘は通話がプツリと切れた携帯を橘が下へとおろす。けれど、ヒュンという音が橘の耳に聞こえてきた瞬間に、腹と頬に凄まじい衝撃が走った。
 それはいつの間にか前に立っていた時任が橘の腹に蹴り、そして頬に拳を叩きつけたせいである。その衝撃と痛みに耐え切れず橘が床に倒れ込むと、時任はそんな橘に向かって容赦なくまた蹴りを繰り出した。

 「あーいう計画立てたってコトよかっ、他のヤツらにやらせて高見の見物してたってのがいっちゃん気にいらねぇんだよっ!!」

 そう言いながら時任が攻撃を続けると、橘はそれなりに腕が立つにも関わらず殴られるままにまかせて、反撃することも攻撃をさけることもしない。橘の整いすぎるくらい整った美しい顔を殴られても、眼鏡が床に落ちて割れてもその場から動かなかった。
 それを見ていた松本は、ぎゅっと拳を握りしめると二人の間に割って入る。
 すると、時任の拳が橘ではなく松本の頬に当たった。
 「・・うっ!!」
 「会長っ!」
 「あ、ああ…、これくらい平気だ」
 「なぜ、かばったりするんです。僕が今回の件の犯人だと、本当は久保田君に言われる前から気づいてたんでしょう?」
 「・・・・・・・そうでなればいいと思っていた」
 「そうですか…、けれどすべては貴方の予想どおりです…」
 「・・・・・」
 「当然の報いを受けてるんですから、これ以上、僕にはかまわず危ないですから貴方は下がっていてください…。そしてお願いですから…、もう僕にかまわないでください…」
 「断るっ」
 「会長…」

 「今回のことは、お前の行動に気づけなかった俺の責任でもある…。それにやり方は間違ってはいるが、今回も俺のことを考えて動いてくれたのだろう?」

 松本が殴られた頬をさすりながらそう言うと、橘は哀しそうに微笑んで顔をして首を横に振る。そして、自分をかばってくれている松本を…、いつもの会長でも苗字の松本でもなく名前で呼んだ。
 「僕は試したかったんです。僕と久保田君と…、どちらを貴方が選ぶのかを…」
 「橘…」
 「もしも久保田君が時任君の相方にならなけば、貴方の隣には僕ではなく久保田君が並んでいたはずです…。だから、本当は久保田君の代わりに副会長のイスになんて座りたくなかった…」
 「な、なにをバカなことを…」

 「貴方は久保田君は名前で呼ぶくせに、僕のことは何度抱いてもいつまでたっても苗字でしか呼んでくれない…。だから、僕は久保田君に戻ってきて欲しかったんです、貴方の所に…」

 橘がらしくなく沈んだ瞳で松本を見つめながら自分の想いを告げると、また橘の頬に衝撃が走る。けれど、それは時任ではなく松本が橘の頬を平手打ちしたせいだった。
 松本は橘を叩いて赤くなった手を見て苦しそうな表情をすると、今度はその手で橘を頬をゆっくりと撫でる。それからバカだと橘に向かって何度も呟くと、ゆっくりと近づいて橘の肩に自分の額を乗せた。
 「俺は…、お前を誠人の代わりに選んだつもりもないし…。いくら誠人が戻ってくると言っても、副会長の席には座らせるワケなんかないだろうっ」
 「会長…」
 「俺はワンマンなところが多いし、硬すぎて融通もきかない。そんな俺の補佐をできるのは、お前しかいないにどう考えても決まってるじゃないかっ。それに好きでもない男に抱かれるほど…、俺は器用じゃない…」
 「だったら…、なぜ名前を呼んでくれないんです? 何度聞いても貴方は理由を答えてくれない…」
 「う…っ、それはだな…」
 「それは?」

 「す、好きだから…、照れ臭くて呼べないんだっ、このバカッ!!」

 松本はそう叫ぶと真っ赤になって、ますます橘の肩に額を押し付ける。すると、橘は珍しく本当に驚いたような顔をしていて、それからその驚きの表情をいつもの妖艶なものではなく優しい微笑みに変えると、腕を伸ばして松本の背中を抱きしめた…。

 「それは盲点です…」

 そう言った橘と松本の様子を見た時任は小さく息を吐くと、握りしめていた拳を下ろして戦闘態勢を解くと屋上に向かうために廊下を歩き出す。それはジャンケンで負けて執行部全員の代表としてここに来たが、この場に誰が立っていたとしても…、
 二人の姿を見て、拳を下ろすだろうことを知っていたからだった。
 時任の拳は恨みを晴らすためだけに橘に打ち込まれていたわけではなくて、今回の件を企んだ本当の理由を知りたかったから…、わざと松本の前で殴りつけたのである。それは殴られる橘を見た松本が、かばわずにいられなくなることを予測してのことだった。
 こんなことを考えたのはもちろん時任ではなく久保田で、本当なら久保田が橘を殴る予定だったが…、時任がダメだと止めたので久保田はここにはいない。しかし、久保田の代わりに物陰に隠れて話を聞いていた桂木が、時任と入れ替わるように白いハリセンを持って現れた。
 「ご苦労さま。アンタが引き受けてくれたおかげで、死人やケガ人が出ないですんだわ。ここにいたのが久保田君だったら、今ごろ…」
 「たぶんな…」
 「これから、一緒に今回の件の検証に付き合う?」
 「今日は俺らは見回りがあっから、わりぃけどここから先は桂木に任せるぜ」
 
 「そう…、了解したわ」

 ふふっと笑った桂木の手には生徒会室に設置するエアコンの要求書が握られていたが、今回の件の要求としては破格なのですぐに受理されるに違いない。まだまだ執行部存続の危機が完全に去ったわけではなかったが、手に入れたエアコンの暖かさをこれから来る冬に満喫しながら、これからも卒業するまで時任も桂木も…、そして他の執行部員達も校内の治安を守っていくのに違いなかった。
 時任は桂木と別れて屋上への階段を駆け上がりながら、ポケットに入っている腕章を取り出す。そしてそれを腕につけると、同じ腕章をつけたままで屋上で寝転がっていた相方に声をかけた。
 「…ったく、なにのん気に寝てんだよっ」
 「もしかして、用事終わった?」
 「終わった…。これでもう…、ぜんぶ終りにするから…」
 「…うん」
 「ごめんな…、久保ちゃん…」
 「どうして?」

 「なんとなく…」
 
 時任が良く晴れた空を見上げながらそう言うと久保田は起き上がって、あくびをしながら伸びをする。そして久保田が時任の隣に立つと、二人はいつもと変わらない様子で顔を見合わせて微笑み合ってから歩き出した。
 でも、今日はいつもと少し違うところがあって、それは誰もいないせいか二人の手は指をからませ合うようにして繋がれていることで…、
 けれどその手は時任から繋いだのではなく…、久保田から繋いだのでもなく…、
 
 二人がお互いに向かって伸ばし合って…、繋がれた手だった…。

 屋上のドアの前で時任が立ち止まると、久保田がゆっくりと時任の顔に唇を落としていく…。すると、それに気づいた時任も顔を上にあげて、近づいてくる久保田の唇に自分の唇を近づけていった。
 あれから何度もキスをしたけれど、それでもまだ足りなくてキスをする。好きだと何度も言うようにキスをして…、抱きしめ合うとすべてがあたたさに満ちていくようで…、二人の立つ場所にはもうあの日のように冷たい雨が降り注いだりはしなかった。
 けれど、何回目かのキスをしようとして二人の唇があと3センチに迫った時、偶然ドアを開けてしまった不幸な恋する男の絶叫が屋上に木霊する。すると右手に松本から渡された久保田の退学届を持って時任を追ってきた桂木が、響いてくるそれを聞いて深く長くため息をついた。

 「…ったくっ、デキててもデキてなくってもバカップルなんだからっ」

 久保田の腕に腕章はついていたが、もしかしたらこれからも時任を守るためにしか拳は振るわないのかもしれない。けれど、守りたいものを守ることが…、大切なものを守るものことが自分自身の正義と呼べるものだとしたらそれでいいのかもしれなかった…。
 時任は桂木の手から退学届を受け取ると、ビリビリに破って屋上の強い風の流れるままにまかせてそれを飛ばす。するとそれは雪のように…、そして白い花びらのように下へと舞い落ちた…。

 「行くぞっ、久保ちゃんっ」
 「ほーい」

 見回りに行くために二人が屋上を出ると、さっそくバレー部のケンカを止めてくれと生徒が騒いでいるのが聞こえてくる。その声を聞いた時任が走り出すと、久保田も同じように公務の現場に向かって走り出した…。
 執行部の証である腕章を腕につけて…。
 けれど、それは誰につけられたものでもなく、自分でつけた正義の証だった。
 執行部は証である青い腕章と共に今回の騒ぎで消えるかもしれないと思われていたが、その後、これまでの執行部員達の実績と桜井の集めた署名が認められて執行部廃止の話は立ち消えになる。そして新しくエアコンのつけられた生徒会室からは、部員達楽しそうなの声が響き…、
 そしてその中に…、久保田と時任の姿もあった…。
 相変わらず同居人で相方で…、けれど誰よりも深く深く想い合いながら…。


 いつも…、いつの日も二人で…。




 うわーんっっ、最終回なのですっ、完結なのです。・゜゜・o(iДi)o・゜゜・。
 コメントしたいのですが、言葉になりませんですっっ(涙)
 こんなに長く長くなって、なのに最後まで読んでくださった方、
 心から深く深くお礼もうしあげます<(_ _)>vv
 本当にありがとうこざいまずてすっっっ(涙)

 このお話は叶真様がしてくださった、番外リクのお話なのですが、
 実はずっとふせていたリク内容は、「執行部の久保時で、時任君が初めて
 久保ちゃんの前で泣いて しまい、うろたえる久保ちゃん」でした・・・・。
 うわーんっ、ちっとも合ってませんっっっ(/□≦、)
 本当にすいませんですっっ(涙)

 叶真様vv
 本当に素敵でドキドキのリクをしてくださって、ありがとうございますっっvv
 心からとてもとても感謝なのですっっvvヾ(〃^∇^)ノ
 な、なのに書かせて頂くのが、とてもとても果てしなく遅くなってしまった上に、
 長くなったばかりではなくリク内容まで違ってしまって…、
 本当におわびのしようもありませんです…(>_<、)
 ごめんなさいです〜〜〜〜(涙)
 ううう…、改めてメールをさせて頂きたいです。
 

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